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審決分類 |
審判 一部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z1641 審判 一部無効 外観類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z1641 審判 一部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z1641 |
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管理番号 | 1113224 |
審判番号 | 無効2004-35149 |
総通号数 | 64 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-04-28 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2004-03-19 |
確定日 | 2005-02-07 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4528930号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4528930号の指定商品及び指定役務中「第16類 紙類,文房具類」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4528930号商標(以下「本件商標」という。)は、「Shade」の文字(標準文字)よりなり、平成12年6月26日に登録出願、第16類「紙類,紙製包装用容器,印刷物,書画,写真,写真立て,文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,青写真複写機,あて名印刷機,印刷用インテル,印字用インクリボン,活字,こんにゃく版複写機,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,装飾塗工用ブラシ,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,封ろう,マーキング用孔開型板,郵便料金計器,輪転謄写機」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,相撲の興行の企画・運営又は開催,ボクシングの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画・運営又は開催,サッカーの興行の企画・運営又は開催,競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,当せん金付証票の発売,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,興行場の座席の手配,映写機及びその附属品の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,スキー用具の貸与,スキンダイビング用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与」を指定商品及び指定役務として、平成13年12月14日に設定登録されたものである。 2 引用商標 請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第2476633号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおり「SHADE’S」の文字よりなり、平成2年7月16日に登録出願、第25類「紙類,文房具類」を指定商品として、平成4年11月30日に設定登録され、平成14年11月30日に商標権存続期間の満了により、その商標権が消滅し、平成15年8月20日にその商標登録の抹消がされたものである。 3 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証(枝番号を含む。)を提出した。 本件商標は、その指定商品「紙類、文房具類」につき、本件商標の査定時において請求人の所有していた引用商標と同一又は類似であるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、法第46条第1項の規定により無効とされるべきものである。 (1)本件商標と引用商標との類否について 本件商標は、「Shade」の英文字を横書きしてなるものであるから、英語の知識に富んだ現代の日本人は、これより「シェード」の称呼を容易に生じ、また、「陰」等の観念を生ずるものである。 一方、引用商標は、「SHADE’S」の英文字を横書きしてなるものであるから、英語の知識に富んだ現代の日本人は、これより「シェーズ」の称呼を容易に生じ、また、「陰の」等の観念を生ずるものである。 本件商標と引用商標の差は語尾の「’S」の有無であるが、「’S」は、英文字を用いる際、日常的に使用される「の」といった程度の意味合いを発するにすぎないものであり、「’S」を付すことによって、当該「’S」が付された語の意味が大きく変化するわけではない。すなわち、「Shade」に「’S」を付したとしても、当該語である「SHADE’S」からは、「陰」等の意味合いをも発すると解するのが至当である。してみると、本件商標と引用商標とは観念上明らかに類似するものである。 また、本件商標から生ずる「シェード」の称呼と、引用商標から生ずる「シェーズ」の称呼は、それぞれ語尾が「ド」、「ズ」であるが、全体から見れば僅か1字の差であり、しかも相違する音の子音がともにダ行(「ズ」は当然ザ行であるが、「ズ」と「ヅ」は同音であるため、音のみを考慮する場合はダ行ともいえる。)に属し、その母音が近似(口の開き方と舌の位置の比較から、母音オはウに近似する。)していることから両称呼は近似、すなわち、本件商標と引用商標は称呼においても類似する。 さらに、本件商標と引用商標の外観上の差は、上述のとおり、語尾の「’S」有無のみであり、この差では、称呼及び観念の点で類似する事実に対抗することはできない、すなわち、当該外観上の差異のみをもって全体的に非類似とする程度外観は相違していないと解する。 以上の点からして、本件商標と引用商標とは全体的に類似する商標と解される。 そして、本件商標に係る指定商品中の「紙類,文房具類」と引用商標の指定商品旧第25類「紙類,文房具類」とは、同一又は類似の商品である。 以上のとおり、本件商標は引用商標と類似する商標であり、その指定商品中「紙類,文房具類」は引用商標の指定商品と同一又は類似である。よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その指定商品中「紙類,文房具類」についての登録を無効とすべきである。 (2)商標法第4条第1項第11号にいう当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標について 引用商標は、現時点では既に商標権の存続期間の満了により消滅しているが、本件商標の査定時には適法に存していたので、商標法第4条第1項第11号にいう当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標として引用し得るものである。 (3)まとめ 上述したとおり、本件商標は、その指定商品「紙類,文房具類」に関する限り引用商標と同一又は類似であるので、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。したがって、その「紙類,文房具類」についての登録は、同法第46条第1項の規定により無効とされるべきである。 4 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。 (1)「SHADE」なる英単語は、現代の英語教育の事情をかんがみても、学習者が早期に習得する英単語ではなく、該英単語が広く知られているとはいい難いことからすると、本件商標に接する取引者、需要者は、欧文字「Shade」からなる本件商標から直ちに英単語「SHADE」を認識し、その英単語の有する「陰」等の意味合いを看取するとは考えられないものである。 また、引用商標は、その構成中に「’S」の文字を有するものであるが、該文字が英文法における所有格を表す文字であると認識される場合であっても、この所有格の用法としては、生類名詞、特に人に関して用いられるものが原則であり、かつ、「’S」はその後に名詞等の一定の語を伴うことが多いことからすると、引用商標中の「SHADE」の文字から直ちに「陰」等の意味を有する「SHADE」なる英単語が認識されるとは考えられないものである。 このような状況、更には、第16類の本件指定商品との関係において「陰」等の意味が容易に想起し得るとする特段の事情が存在しないことをも考慮すると、引用商標中の「SHADE」の文字から「陰」等を意味する英単語の「SHADE」が想起されるとは考えられず、むしろ、引用商標は、その構成中に「’S」を付すことにより視覚上強い印象を与える態様で表された商標であり、特定の観念を有しない一種の造語であると考えるのが相当である。 以上詳述したように、本件商標からは、その構成上、直ちに「陰」等の観念が看取されることはなく、また、引用商標からは特定の観念が生じないと考えられることから、本件商標と引用商標とは、観念上類似しない商標であることは明らかである。 (2)このように、本件商標は、引用商標と観念上類似しない商標であると考えられるが、次に、両者の類否を称呼の観点から検討することとする。 これに関し、請求人は、本件商標から生じる「シェード」の称呼と引用商標から生じる「シェーズ」の称呼とは、語尾において「ド」と「ズ」の音が相違し、これは全体からみれば僅か1音の差である点を強調し、また、このような1音の差の場合には、特許庁商標課編・商標審査基準第4条第1項第11号の項に記載されている判断法則に照らせば、相違する音の子音がともにダ行に属し、その母音が近似していることから、両商標は称呼上においても類似する旨主張する。 しかしながら、本件商標から生じる称呼「シェード」と引用商標から生じ得る称呼「シェーズ」は共に3音という短い音数から構成されており、このような短い称呼にあっては一音一音が明確に聴取されることにかんがみると、「ド」と「ズ」の音の差異は、僅か1音の差異として考えられるべきものではなく、むしろ、一音一音が明確に聴取される三つの音のうちの一つの音が顕著に相違すると考えられるべきものである。 また、差異音である「ド」と「ズ」の音を考察すると、「ド」の音は舌先を上歯茎に接触させて離すと同時に発する破裂音(d)と母音(o)の結合であるのに対し、「ズ」の音は舌先を下歯茎に接触させた上下の歯の間から発する摩擦音(z)と母音(u)との結合であって、調音位置、調音方法を異にし、両音は明確に聴別し得るものである。 上述の状況、及び、差異音である「ド」と「ズ」の音は、いずれも濁音であって強く発音される音であることをも考慮すると、両音は相紛れるおそれはなく、商標全体からみて僅か1音の差といえども、「ド」と「ズ」の音の差異が両商標の全体に及ぼす影響は極めて大きいものといえる。 また、請求人が参照している上記特許庁商標課編・商標審査基準の第4条第1項第11号の項の判断法則に関しては、相違する音の子音が共通又は近似する例として、「1音の相違にあって(i)相違する音の子音がともに50音図の同行に属しその母音が近似(例えば、口の開き方と舌の位置の比較から、母音オはアとウに近似する。)するとき。」と記載されているが、同審査基準においては、括弧書き中において「ただし、相違する音の位置、音調、全体の音数の多少によって異なることがある。」とただし書が付されている。 そこで、上記判断法則に照らして、本件商標と引用商標との差異音である「ド」と「ズ」の音を考察すると、請求人も指摘しているとおり、「ド」の音はダ行であるのに対し、「ズ」の音はザ行に属するものであるが、音のみを考慮する場合であっても、上述したように、両音は明らかに音質を異にするものであることからすると、相違する子音は共に「ダ行」に属するとはいえず、故に50音図の同行に属すものではないといえる。また、相違する音が末尾に位置するとしてもその音質が明らかに異なり、全体として3音という短い音数の中で1音が相違することをも考慮すると、両音は明瞭に区別し得ると考えられるものである。 上述の諸点からすると、上記特許庁商標課編・商標審査基準の第4条第1項第11号の項の判断法則に照らしても、本件商標は、引用商標と称呼上類似する商標であるとはいえないものと考える。 そこで、以上の諸点を総合的に勘案して、本件商標から生じる称呼「シェード」と引用商標から生じる称呼「シェーズ」とを対比すると、両者を一気一連に称呼した場合には、両者は全体の語調・語感を異にし、称呼上相紛れるおそれはないと考えられてしかるべきものである。 (3)さらに、本件商標は「Shade」なる欧文字で表されてなり、引用商標は「SHADE’S」なる欧文字で表されてなるものであるが、引用商標がその構成中に「’S」を付すことにより視覚上強い印象を与える態様で表された商標であることを考慮すると、本件商標と引用商標とは、外観上においても相紛れるおそれはないと考えられるべきものである。 (4)上述の諸点を勘案すると、本件商標と引用商標とは称呼、観念、外観のいずれにおいても類似しないことから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではなく、同法第46条第1項の規定により無効にされるべき商標ではないことは明らかである。 (5)引用商標は、平成14年11月30日をもって、該商標権の存続期間満了により消滅しており、審判請求時である平成16年3月19日の時点で既に1年半弱が経過しているものであるが、「工業所有権法逐条解説」(発明協会発行・特許庁編)の商標法第46条の解説部分の参考の項において、「4条1項13号中の規定に違反して商標登録がされ、その後、同号違反を理由として無効審判の請求があったが、その時には既に商標登録が効力を失った日から1年を経過してしまっている場合の取扱いはどうかという問題があるが、この場合には瑕疵が治癒したと考えて審判の請求はできないと解釈される。」と記載されていることをかんがみると、商標法第4条第1項第11号の適用に際しても、このような法理が適用されるとするのが妥当である。したがって、前述のように、本件商標と引用商標とは類似しないものであるが、既に存続期間の満了により消滅している商標を引用商標とすることの適法性という点にかんがみると、両者の類否判断を待つまでもなく、本件商標は請求人の主張する引用商標をもって無効にされる商標ではないと考えられる。 (6)いずれにしても、本件商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではなく、同法第46条第1項の規定により、その指定商品中「紙類,文房具類」について登録が無効にされるものではない。 5 当審の判断 (1)本件商標と引用商標の類否について 本件商標は、上記のとおり「Shade」の文字を横書きしてなり、一方、引用商標は「SHADE’S」の文字を横書きしてなるところ、引用商標に接する取引者、需要者は、末尾の「’S」を名詞の所有格語尾とみて、その全体から「SHADEの」との意味を直ちに理解し、ひいては引用商標が使用される商品との関係において、それが「SHADE」と称する者により製造又は販売される商品、あるいは、「SHADE」という商標で販売される商品の一つであるとの認識をする場合が多いものと認められる。そうすると、引用商標は、その構成中の「SHADE」の文字部分が、主要な自他商品識別標識として認識され、独立して商品識別機能を果たすものということができる。 そして、本件商標を構成する「Shade」の文字と引用商標の前記独立して商品識別機能を果たす「SHADE」の文字部分を比較すると、一部大文字と小文字の差異はあるが同一綴りの欧文字であって、実質的にほとんど同一といえるものであり、その称呼は同一の「シェード」であり、その観念も「Shade」又は「SHADE」という実質同一の観念が生じ、これらから取引者、需要者が「陰」等の意味を認識するか否かに関わらず紛らわしく、外観も近似し紛らわしいものと認められる。 したがって、本件商標と引用商標は、互いに類似する商標といわなければならない。 (2)指定商品について 本件商標の指定商品中の「紙類,文房具類」(第16類)は、引用商標の指定商品「紙類,文房具類」と同一又は類似の商品と認められる。 (3)商標権が消滅した引用商標を無効理由に引用することの適法性についての被請求人の主張に関して 被請求人は、「工業所有権法逐条解説」(発明協会発行・特許庁編)の商標法第46条の解説部分の参考の項に記載されている商標法第4条第1項第13号に関する審判請求についての解釈を示して、商標法第4条第1項第11号に関する審判請求についてもこのような法理が適用されるべきであるとの主張をする。 しかし、前記「工業所有権法逐条解説」の商標法第46条の解説部分には、商標法第4条第1項第11号に関する審判請求についてはそのような解釈をすべきとの記載がないことからすれば、通常のとおり、査定又は審決の時に無効理由が存在した場合は無効審判の請求が可能との見解とも考えられる。 そして、被請求人は、他に、既に存続期間の満了により消滅している商標を引用して無効審判の請求をすることが具体的にどのような理由で適法性に欠けるかについて示すところがないから、この点の被請求人の主張は採用できない。また、引用商標は、上記のとおり、平成14年11月30日に商標権存続期間の満了により、その商標権が消滅したものであるが、本件商標について登録査定がされた時、及び本件商標が設定登録された時には、商標登録がされていて有効に存続していたものである。 (4)結び したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、本件審判請求に係る指定商品「紙類,文房具類」についての商標登録を無効とすべきである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
引用商標 |
審理終結日 | 2004-12-09 |
結審通知日 | 2004-12-13 |
審決日 | 2004-12-28 |
出願番号 | 商願2000-70737(T2000-70737) |
審決分類 |
T
1
12・
263-
Z
(Z1641)
T 1 12・ 262- Z (Z1641) T 1 12・ 261- Z (Z1641) |
最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
小池 隆 |
特許庁審判官 |
鈴木 新五 柴田 昭夫 |
登録日 | 2001-12-14 |
登録番号 | 商標登録第4528930号(T4528930) |
商標の称呼 | シェード |
代理人 | 岡部 正夫 |
代理人 | 齋藤 晴男 |
代理人 | 越智 隆夫 |
代理人 | 加藤 伸晃 |
代理人 | 臼井 伸一 |
代理人 | 高見 香織 |
代理人 | 産形 和央 |
代理人 | 本宮 照久 |