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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 Z36
審判 一部申立て  登録を維持 Z36
管理番号 1111803 
異議申立番号 異議2004-68004 
総通号数 63 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2005-03-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2004-04-09 
確定日 2004-11-01 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第797237号商標の商標登録に対する登録異議の申立について、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第797237号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件国際登録第797237号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、2002(平成14)年5月17日付けでSwitzerlandにおいてした基礎登録に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して2002(平成14)年9月18日を国際登録の日として、第36類「Issuing of credit cards;issuing of travelers’checks;financing services;banking services;procurement of credit and loans;services concerning insurance;hire-purchase services;hire-purchase of image and sound recordings;financial backingof sports events;information services in connection with financial and insuranceservices,provided on line from a computerized data bank or on a global computernetwork(the Internet)or by wireless electronic communication devices;home banking;banking services on a global computer network(the Internet)or by wireless electroniccommunication devices.」のほか、第3類、第5類、第6類、第8類、第9類、第11類、第14類、第16類、第18類、第20類、第21類、第25類、第27類、第28類、第29類、第30類、第32類、第33類、第38類、第40類、第41類、第42類、第43類、第44類及び第45類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定して、平成16年2月13日に設定登録がされたものである。
2 引用商標
(1)引用商標の構成
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用した登録第4366828号商標(以下「引用商標1」という。)は別掲(2)に、登録第3307524号商標(以下「引用商標2」という。)は別掲(3)に、登録第4610322号商標(以下「引用商標3」という。)及び登録第3097887号商標(以下「引用商標27」という。)は別掲(4)に、登録第3294158号商標(以下「引用商標4」という。)及び登録第4329814号商標(以下「引用商標5」という。)は別掲(5)に、登録第4338049号商標(以下「引用商標6」という。)、登録第3097888号商標(以下「引用商標28」という。)及び登録第3133701号商標(以下「引用商標29」という。)は別掲(6)に、登録第3307525号商標(以下「引用商標7」という。)は別掲(7)に、登録第3294155号商標(以下「引用商標8」という。)は別掲(8)に、登録第4755061号商標(以下「引用商標9」という。)は別掲(9)に、登録第3294156号商標(以下「引用商標10」という。)は別掲(10)に、登録第3307527号商標(以下「引用商標11」という。)は別掲(11)に、登録第4338039号商標(以下「引用商標12」という。)は別掲(12)に、登録第3294159号商標(以下「引用商標13」という。)、登録第2683264号商標(以下「引用商標30」という。)及び登録第2694628号商標(以下「引用商標31」という。)は別掲(13)に、登録第4013868号商標(以下「引用商標14」という。)、登録第3307573号商標(以下「引用商標32」という。)及び登録第4133306号商標(以下「引用商標33」という。)は別掲(14)に、登録第4365609号商標(以下「引用商標15」という。)は別掲(15)に、登録第4365610号商標(以下「引用商標16」という。)は別掲(16)に、登録第2499629号商標(以下「引用商標17」という。)は別掲(17)に、登録第2591150号商標(以下「引用商標18」という。)、登録第2634741号商標(以下「引用商標19」という。)、登録第2645695号商標(以下「引用商標21」という。)、登録第2653956号商標(以下「引用商標22」という。)、登録第2653957号商標(以下「引用商標23」という。)、登録第2683275号商標(以下「引用商標24」という。)及び登録第3097885号商標(以下「引用商標25」という。)は別掲(18)に、登録第2642805号商標(以下「引用商標20」という。)は別掲(19)に、そして、登録第3097886号商標(以下「引用商標26」という。)は別掲(20)に、それぞれ示すとおりの構成からなるものである。
(2)引用商標の詳細情報
(ア)商品及び役務の両方を指定しているもの
上記(1)の引用商標のうち、引用商標1は平成10年2月13日に、引用商標5は同年3月3日に、引用商標12は同年3月23日に、引用商標6は同年3月27日に、引用商標15及び引用商標16は同年5月18日に、引用商標3は同13年4月25日に、引用商標9は同14年12月25日に、それぞれ登録出願、いずれも商品区分第9類及び役務区分第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務をそれぞれ指定して、引用商標5は同11年10月29日に、引用商標6及び引用商標12は同年11月26日に、引用商標15及び引用商標16は同12年3月3日に、引用商標1は同年3月10日に、引用商標3は同14年10月4日に、引用商標9は同16年3月12日に、それぞれ設定登録されたものである。
(イ)役務のみを指定しているもの
上記(1)の引用商標のうち、引用商標2、引用商標4、引用商標7、引用商標8、引用商標10(特例商標)及び引用商標13はいずれも平成4年9月30日に、引用商標11は同年10月27日に、引用商標14は同6年8月15日に、それぞれ登録出願、いずれも役務区分第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定して、引用商標4、引用商標8、引用商標10及び引用商標13はいずれも同9年4月25日に、引用商標2、引用商標7及び引用商標11は同年5月16日に、引用商標14は同年6月20日に、それぞれ設定登録されたものである。
(ウ)商品のみを指定しているもの
(a)書換登録がされていないもの
上記(1)の引用商標中、指定商品のみを指定したものの中で、引用商標30及び引用商標31はいずれも平成3年11月28日に、引用商標18、引用商標19、引用商標21、引用商標22及び引用商標24はいずれも同年12月27日に、引用商標25、引用商標26、引用商標27、引用商標28及び引用商標29はいずれも同4年9月30日に、引用商標32及び引用商標33はいずれも同6年8月15日に、それぞれ登録出願、引用商標25、引用商標29及び引用商標32はいずれも商品区分第9類に、引用商標31は商品区分第11類に、引用商標21は商品区分第13類に、引用商標26、引用商標27、引用商標28及び引用商標33はいずれも商品区分第16類に、引用商標22は商品区分第17類に、引用商標19は商品区分第21類に、引用商標18は商品区分第22類に、引用商標24は商品区分第25類に、引用商標30は商品区分第26類に、それぞれ商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定して、引用商標18は同5年10月29日に、引用商標19は同6年3月31日に、引用商標21及び引用商標22は同年4月28日に、引用商標24及び引用商標30は同年6月29日に、引用商標31は同年9月30日に、引用商標25、引用商標26、引用商標27及び引用商標28はいずれも同7年11月30日に、引用商標29は同8年3月29日に、引用商標32は同9年5月16日に、引用商標33は同10年4月10日に、それぞれ設定登録、その後、引用商標18は同15年5月27日に、引用商標19は同年12月24日に、引用商標22は同16年1月27日に、引用商標21は同年2月17日に、引用商標24及び引用商標30は同年3月16日に、引用商標31は同年4月27日に、それぞれ商標権存続期間の更新登録がされたものである。
(b)書換登録がされているもの
上記(1)の引用商標中、指定商品のみを指定したものの中で、引用商標17は平成1年3月27日に、引用商標20及び引用商標23はいずれも同3年12月27日に、それぞれ登録出願、引用商標17は同5年1月29日に、引用商標20は同6年3月31日に、引用商標23は同年4月28日に、それぞれ設定登録、その後、引用商標17は同15年1月21日に、引用商標20は同年12月24日に、引用商標23は同16年1月27日に、それぞれ商標権存続期間の更新登録がされ、また、商品の区分及び指定商品については、引用商標17は同15年7月16日付けで第16類に、引用商標20は同16年5月26日付けで第14類及び第34類に、引用商標23は同年6月16日付けで第9類及び第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする書換の登録がされたものである(以下、これらをまとめていうときには、「引用商標」という。)。
3 登録異議の申立ての理由
(1)理由の概要
(ア)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、申立人(マスターカード インターナショナル インコーポレーテッド)が所有する円図形からなる引用商標(33件)と類似しており、本件商標の指定商品及び指定役務中、第36類に属する指定役務と引用商標の指定役務とは範囲を同じくするので、本件商標がその指定役務に使用された場合、役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
(イ)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、それぞれの円を横一列上に円の端が少し重なるようにして並べた図形からなるが、これは著名な申立人の引用商標を看者に強く連想させるものであるから、本件商標がその指定役務に使用された場合、役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
(2)具体的理由
申立人は、世界最大手のクレジットカード会社であり、本件商標の登録出願日である平成14(2002)年3月26日をかなり遡る時点から、我が国において既に著名であったことは株式会社小学館発行の最新英語情報辞典(昭和58年1月10日発行)に記述があることからも明らかである(甲第35号証)。
さらに、申立人は、本件商標の構成と同様に同大の円を横一列に配置し、少し重ね合わせた引用商標を、本件商標の役務と同様の「クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算」の分野において多数所有している(甲第2号証ないし甲第17号証)。
申立人は、指定役務第36類以外の分野にも本件商標と同様の構成からなる同大の円を横一列に配置し、円の端を少し重ね合わせた引用商標を多数所有しており(甲第18号証ないし甲第34号証)、申立人の引用商標は、クレジットカード、新聞、雑誌、テレビ、街中の看板等あらゆるところで使われており、取引者・消費者のみならず、申立人と直接取引をしていない人々も、必ず目にしたことがあるといっても過言ではない。
申立人にとって、「同大の円を横一列に配置し、円の端部分を少し重ね合わせた図」は、クレジットサービスを含む「クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算」や、その他の商品・役務を提供する申立人のシンボルであり、この独特の標章を市場に先駆けて使用し、かつ、これを一般に広く普及させたのは、申立人の多年に亘る勤勉な努力の結果である。
「同大の円を横一列に配置し、円の端部分を少し重ね合わせてなる図」よりなる本件商標は、申立人のシンボル的商標である引用商標に外観上酷似するので、申立人と本件商標の権利者との間に、恰も協力関係があるかの如く認識されてしまうものである。
さもなければ、本件商標は、申立人が新たに作り出した「同大の円を横一列に配置し、円の端部分を少し重ね合わせた図」シリーズ標章のニューバージョンの一つであるかのようにも誤解されかねない。
外観上の類似によって生じ得るこのような混同・誤認は、引用商標が消費者に広く知られているだけに深刻に懸念されるところである。
また、本件商標は、引用商標と観念的にも類似するところ大である。
というのも、申立人は、2002年FIFA ワールドカップ(開催国は韓国及び日本)の公式スポンサーになったことがあり、このことは日本を含む世界中に宣伝された。この広告等を目にした人々に、本件商標の商標権者及び申立人が協力関係にあったことを強く記憶に残したものである。現に、インターネット検索エンジンで「FIFA」(本件商標の商標権者の通称)及び「MasterCard」の単語で検索すれば、両当事者の関係を残す広告等のページが多数検出される(甲第38号証ないし甲第46号証)。
よって、本件商標を目にした人は、申立人と本件商標の商標権者の過去の協賛関係を紹介した多くのメディア媒体による刷込みによって、恰も本件商標は、申立人の業務に係るブランドであると容易に思い込んでしまうことが確実である。
しかしながら、申立人の標章を強く想起させる本件商標を、本件商標の商標権者が取得するのに、申立人は、何ら許諾を与えていない。もし、このまま、第36類の役務について登録を認めるならば、本件商標の商標権者より遙か以前にネームヴァリューを保持し続けている申立人との協力関係があった事実を不正に利用するものであるから、誤認惹起行為及び信用毀損行為を黙認するも同然である。
さらに、本件商標の指定役務は、申立人の提供する最重要な役務“クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算”と完全に抵触するものである。申立人が提供する役務を利用している消費者、あるいは、申立人が提供するサービスを全く利用していない消費者からも、本件商標と引用商標とに時と所を異にして接した場合、本件商標の存在は、消費者等に混乱・誤解を招く。
そのような事態を招く一例を次に述べる。“クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算”の役務とは、大抵の場合において、消費者にクレジットカードを携帯してもらうものである。本件商標(第36類役務)の登録が存続する場合、ある消費者が申立人のクレジットカード一枚と本件商標の商標権者のクレジットカード一枚をもち、同じ財布等にしまうことも十二分にあり得るし、その財布のクレジットカード上の本件商標をさっと見て申立人のクレジットカードであると思いながら、本件商標の商標権者のクレジットカードを使ってしまうといったことが挙げられる。
世界で、そして、日本全国に広く流通し、メジャーなクレジットカードといえば、「マスターカード」が代表例にあげられるほど、申立人の提供するサービスは、社会に浸透している(甲第36号証及び甲第37号証)。
もし、本件商標の商標権者により提供された役務が、恰も申立人の提供によるもの、あるいは、申立人と関連のある役務であるかのように誤解されることは、申立人にとって、名誉毀損、信用毀損であり、また、申立人あるいは申立人の関係する子会社等の役務であるとの錯覚から一般消費者が本件商標の商標権者による役務を利用するようなことがあれば、これは消費者にとっても多大な損害であり、不利益である。申立人は、長年に亘り消費者から信頼されている会社であり、また、信頼に足るよう常に誠心誠意の努力を払ってきたものである。このように細心の努力をしながら、申立人は、現在のような営業規模で、種々の業務を世界的に展開していることからすれば、商標の誤解を生じさせる事態が生じることは否めないから、申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その出所について消費者に混同させることは明らかである。
また、申立人のような大手クレジットカード会社の商標を模して、「クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算」等の役務を提供する合法・非合法的な会社が後を絶たないクレジットサービス業界で、誤解を招くようなイメージが出現することは、世界的に著名な申立人にとって、信用・信頼へのダメージにもなる。
消費者に対するイメージに、申立人のような企業がいかに力を注いでいるか、また、イメージの些細な紛らわしさから発展して多大なマイナスイメージが発生するおそれがあることも十分に考慮されるべきである。特に、企業が著名であればあるほど一点たりといえども紛らわしい類似商標がもたらすイメージの被害には計り知れないものがある。
消費者を含む一般の人々に広まっている先行イメージが、本件商標を目にした人々のイメージに当てはめられてしまうことは自然の成り行きである。
よって、外観・観念において、本件商標と引用商標は類似することは疑いの余地がない。
4 当審の判断
(1)本件商標は、別掲(1)に示すとおり、同じ大きさの二つの正円形図形(該正円形図形の各表面には五角形と六角形とを組み合せて構成した蜂の巣のような模様が白抜きされている。)を中央部近辺において双方が僅かに重なるように表し、そのうちの右側の円形図形内には南北アメリカ大陸の地図、左側の円形図形内には、それ以外の大陸の地図、いわゆる世界地図をやや暗めのトーンで施した構成よりなるものである。
これに対し、引用商標1ないし引用商標7、引用商標13ないし引用商標33は、重ねて配した二つの正円の左右に施されたそれぞれの色彩等が各々異なる点を除けば、いずれも全て同一の構成よりなるものである。
そして、引用商標1ないし引用商標7、引用商標13ないし引用商標33の外観は、いずれも同じ大きさの二つの正円の一部を特定の位置で重ね、その重合部に幾つかの横縞(スリット)を施した構成(以下、この図形を単に「双子様円図形」という。)よりなるものである。
引用商標8は、四隅を丸めた縦長長方形輪郭内にあって、上部に、世界地図の模様を白抜きした黒塗りの横長楕円形図形を配し、その下部に、「MasterCard」の欧文字を白抜きした前記双子様円図形を配した構成よりなるものである。
引用商標9は、前記双子様円図形中の上部に横書きした「MasterCard」の欧文字を、その下部に横書きした「Electronic」の欧文字をそれぞれ白抜きで配した構成よりなるものである。
引用商標10ないし引用商標12は、前記双子様円図形内に横書きした「MasterCard」の欧文字をいずれも白抜きした構成よりなるものである。
そこで本件商標と各引用商標とを比較するに、両者は、上記したとおりの構成よりなるから、外観構成及び印象において明らかな差異を有するだけでなく、一般人が通常の注意力をもってすれば、当該差異は容易に認識し把握し得るものであり、互いに見誤るおそれはなく、本件商標と各引用商標とは、外観上判然と区別し得るものと認められる。
次に、本件商標からは、特定の観念及び称呼を生じないとみるのが相当であるというべきところ、仮に、これより観念及び称呼を生ずることがあるとしても、せいぜい「二つのサッカーボール」の観念及び「フタツノサッカーボール」という称呼程度のものというのが相当である。
これに対し、引用商標8ないし12よりは、「MasterCard」の欧文字に相応し、「マスターカード」の称呼を生じ、特定の観念を生じないとみるのが相当である。
してみると、仮に、申立人主張のように、引用商標8ないし12が申立人のクレジットサービスを含む「クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算」その他の役務に用いられる商標として我が国の取引者、需要者間において広く認識され、「マスターカード」のマークの観念及び「マスターカード」の称呼を生ずるということができたとしても、本件商標から「マスターカード」の称呼及び「マスターカード」のマークの観念を生じない以上、本件商標と引用商標8ないし12とは、外観のみならず称呼、観念において互いに紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならず、他に、両者が類似すると判断すべき格別の理由は見当たらない。
一方、引用商標中の引用商標1ないし7、及び引用商標13ないし33は、申立人提出の全証拠を見ても、これらが申立人の「マスターカード」のマークとして我が国の取引者、需要者間において広く認識され、「マスターカード」のマークの観念を有し、かつ、「マスターカード」と称呼されていると認めるに足る証左は見出せず、本件商標と引用商標1ないし7、及び引用商標13ないし33との場合もまた、外観のみならず、称呼、観念のいずれにおいても彼此相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
(2)そして、たとえ、本件商標の優先日[2002(平成14)年5月17日]ないしは国際登録日[2002(平成14)年9月18日]時点において、申立人主張の「マスターカード」のマークに係る標章(引用商標8ないし12)が申立人の業務に係る役務であるクレジットサービスを含む「クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算」その他の役務等の商標として、取引者・需要者の間において広く認識されているということができたとしても、本件商標と引用商標は、上記のとおり、判然と区別し得る非類似の商標であり、ほかに両者を結び付けて見なければならない特段の理由もないから、時と所を異にして離隔的に観察しても互いに紛れるおそれのない別異の商標というべきものである。
そうとすると、商標権者が本件商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者は、引用商標を連想又は想起するものとは認められず、その商品及び役務が申立人又はそれと何らかの関係を有する者の業務に係る役務又は商品であるかの如く、役務又は商品の出所について誤認・混同を生じさせるおそれもないものといわなければならない。
(3)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものとはいえず、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】




















異議決定日 2004-10-15 
審決分類 T 1 652・ 271- Y (Z36)
T 1 652・ 26- Y (Z36)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田中 亨子 
特許庁審判長 涌井 幸一
特許庁審判官 鈴木 新五
和田 恵美
登録日 2002-09-18 
権利者 Federation Internationale de Football Association
代理人 黒田 健二 
代理人 宮武 敏夫 

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