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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y25 |
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管理番号 | 1110192 |
審判番号 | 不服2003-8762 |
総通号数 | 62 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-02-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-04-10 |
確定日 | 2005-01-12 |
事件の表示 | 商願2002-34462拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第25類「履物,運動用特殊靴」を指定商品として、平成14年4月11日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、単に履物の底の形状としか認識し得ない図形よりなるものであるから、これを本願指定商品に使用しても、上記形状を有する靴であることを理解するに止まり、単に商品の形状・品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)本願商標は、別掲のとおりの構成からなる図形商標であるところ、その図形は、履物における底面の輪郭を形取った破線を描き、その内側に輪郭線に沿って全体を菱形状(一部菱形形状の中に六角形模様を加えている。)の模様を連続的に施してなるものと容易に理解されるものであって、特に顕著に表されている部分のないものである。 ところで、本願商標を使用する商品(指定商品)は、前項1で述べたとおり、履物又は運動に使用される特殊靴であり、それらの履物等の底面の輪郭形状は、概ね、本願商標中の破線で表されている形状となっているものであり、またその履物等の底部分(接地する側の面)は、その履物等の用途、用法に応じその効果を発揮するように、またその消費者の趣味・趣向的な面を考慮して、様々な底面形状のものが造られ、またその接地面に凸凹状の形状模様が施された商品が製造・販売されていることはよく知られているところである。 そして、その履物等の底面全体が扁平状の形状をなし、またその底面全体に一定の幾何学的模様をなすように凸凹状の模様が施されているものも容易に考えられるところである。 上記の履物等における底面の全体的形状、凸凹模様の実情からすると、上記図形からなる本願商標は、履物等の底面の形状、そこに施されている凸凹模様を普通に表しているものとみるのが相当である。 してみると、本願商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者・需要者をして、その商品の底面がその商標に表されている図形の形状及び凸凹模様をなすものであって、その商品の形状、品質を表しているものと理解、認識し、自他商品を識別する標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。 (2)請求人は、「本願商標をその製造販売するシューズに遅くても1970年代半ばころから今日まで日本全国において使用してきた結果、本願商標は、十分に自他商品識別機能(識別力)を有するに至っており、商標法第3条第2項の適用を受け得るものである」旨主張し、その証拠方法として甲第1号証ないし同第42号証を提出しているので、その点について検討する。 請求人(出願人)が原審において提出した意見書及び審判請求書における主張及び甲各号証よりすると、請求人は、シューズ等の製造販売を行う企業であり、そのシューズについて本願商標と同じような凸凹模様の靴底を有する履物を多数販売していることが認められる。 そして、例えば、提出されている甲各号証中、本願商標と概ね同じ様な靴底の凸凹模様の写真を掲載している甲第8号証(雑誌「Boon」平成8年5月1日詳伝社発行)の記事によると、本願商標と同様の靴底(ソール)写真の横には、「ソールはグリップ能力が高いオフ・ザ・ウォール・ソール。はちの巣とワッフルの合いの子のようなデザイン。生ゴム使用は今では少ない。」との説明がある一方、同頁には「VANS」、「VANS TRADITION」、「OLD SKOOL」や「HI-TOP」等の表示が掲載されていることからして、その靴底模様の写真は、そのシューズの形状、品質を説明し表しているにすぎないものであり、その自他商品の識別は、「VANS」、「VANS TRADITION」、「OLD SKOOL」や「HI-TOP」等の表示によるものと認められる。 また、雑誌記事である甲第9号証ないし同第11号証、甲第13号証についても同様であって、その記事に表されている靴底の凸凹模様の写真は、そのシューズの形状、品質を表しているものと理解されるものである。 その他、提出されている甲各号証及び請求人(出願人)の主張を総合勘案してみても、本願商標は、それと同一の図形からなる表示(図形表示)が、その指定商品について自他商品を識別する標識として需要者に認識され、何人かの業務に係る商品であることを表しているものに至っていると認めることはできない。 してみると、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しているものということはできない。 なお、請求人は、本願商標と同様に「単に履物の底の形状としか認識し得ない図形」からなる商標が多数登録されていることから、本願商標も同様に十分識別力がある旨主張している。 しかしながら、それらの登録例は、その商標の構成中に文字が含まれ又はその図形が極めて特徴的なものである等、本願商標とは商標の構成が相違し、事案を異にするものであり、また、本願商標は、上記認定のとおり商品の形状、品質を表すものであるから、それらの登録例を基準に判断すべきものではなく、請求人のこの主張は採用できない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(別掲) 本願商標 |
審理終結日 | 2003-11-27 |
結審通知日 | 2003-12-05 |
審決日 | 2003-12-17 |
出願番号 | 商願2002-34462(T2002-34462) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(Y25)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 富田 領一郎 |
特許庁審判長 |
宮下 正之 |
特許庁審判官 |
松本 はるみ 佐藤 達夫 |
代理人 | 阿部 佳基 |