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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 018
管理番号 1110153 
審判番号 無効2002-35113 
総通号数 62 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-02-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-03-28 
確定日 2005-01-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第3370681号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3370681号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1.本件商標
本件登録第3370681号商標(以下「本件商標」という。)は、やや太字で「Lolita」の欧文字と「Valentino」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成6年5月16日に登録出願、第18類「かばん類、袋物、携帯用化粧道具入れ、傘」を指定商品として、同10年11月6日に設定登録されたものである。

2.引用商標
請求人が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する3件の登録商標は以下のとおりである。
(1)引用登録第972813号商標(以下「引用A商標」という。)は、「VALENTINO」の欧文字を横書きしてなり、昭和45年4月16日登録出願、第21類「宝玉、その他本類に属する商品」を指定商品として、同47年7月20日に設定登録されたものであるが、指定商品中の「かばん類、袋物」についての登録は、一部放棄により抹消され、その登録が平成2年6月25日になされているものである。
(2)同じく登録第1793465号商標(以下「引用B商標」という。)は、「VALENTINO GARAVANI」の欧文字を横書きしてなり、昭和49年10月1日に登録出願、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、同60年7月29日に設定登録されたものである。
(3)同じく登録第1786820号商標(以下「引用C商標」という。)は、「VALENTINO GARAVANI」の欧文字を横書きしてなり、昭和49年10月1日に登録出願、第22類「はき物(運動用特殊ぐつを除く)かさ、つえ、これらの部品および附属品」を指定商品として、同60年6月25日に設定登録されたものである。
次に、請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして、以下の3件の登録商標を引用している。
(4)引用登録第852071号商標(以下「引用D商標」という。)は、「VALENTINO」の欧文字を横書きしてなり、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、昭和45年4月8日に設定登録されたものである。
(5)同じく登録第1415314号商標(以下「引用E商標」という。)は、「VALENTINO GARAVANI」の欧文字を横書きしてなり、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、昭和55年4月30日に設定登録されたものである。
(6)同じく登録第1402916号商標(以下「引用F商標」という。)は、「VALENTINO GARAVANI」の欧文字を横書きしてなり、第27類「たばこ、喫煙用具、マッチ」を指定商品として、昭和54年12月27日に設定登録されたものである。
そして、上記引用各商標は、何れも現に有効に存続しているものである。

3.請求の趣旨及び請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を概要次のように述べ、証拠方法として甲第1号証の1ないし同第62号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第8号について
請求人は、イタリアの服飾デザイナー「VALENTINO GARAV
ANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)の同意を得て、同氏のデザイン
に係る各種の商品を製作、販売しており、「VALENTINO GARA
VANI」或いは「VALENTINO」の欧文字からなるそれぞれの商標
を各種商品について使用している者であるが、同氏は、単に「ヴァレンティ
ノ」(VALENTINO)と略称されており、この略称も本件商標の登録出願の日前より著名なものとなっている。
すなわち、「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノガラヴァーニ)は、1932年イタリア国ボグヘラで誕生、17才の時パリに行き、パリ洋裁学院でデザインの勉強を開始し、その後、フランスの有名なデザイナー「ジーン・デシス、ギ・ラ・ロシュ」の助手として働き、1959年ローマで自分のファッションハウスを開設した。1967年にはデザイナーとして最も栄誉ある賞といわれる「ファッションオスカー(FashionOscar)」を受賞し、ライフ誌、ニューヨークタイムズ誌、ニューズウィーク誌など著名な新聞、雑誌に同氏の作品が掲載された。これ以来、
同氏は、イタリア・ファッションの第1人者としての地位を確立し、フラン
スのサンローランなどと並んで世界三大デザイナーと呼ばれ、国際的なトッ
プデザイナーとして知られている。
その後も同氏の作品は無地の服を得意とし、大胆な「白」と「素材」を特
徴とし、その服飾品は芸術に値すると賞賛されており、その顧客には、レオ
ーネ・イタリア大統領夫人、グレース・モナコ王妃、エリザベス・テーラー、オードリー・ヘップバーンなどの著名人も多い。同氏のデザイン活動は、婦人用、紳士用衣服を中心にネクタイ・シャツ・ハンカチーフ・マフラー・ショール・ブラウスなどの衣料用小物、バンド・ベルト・ネックレス・ペンダントなどの装身具、バッグ・さいふ・名刺入れその他のかばん類、その他サングラス、傘、スリッパなどの小物からインテリア装飾にも及んでいる。 わが国においても、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」の名前は、1967年(昭和42年)のファッションオスカー受賞以来知られるようになり、その作品はVogue誌などにより継続的に日本国内にも紹介されている。昭和49年には三井物産株式会社の出資により同氏の日本及び極東地区総代理店として株式会社ヴァレンチィノヴティックジャパンが設立され、ヴァレンティノ製品を輸入、販売するに至り、同氏の作品は、我が国のファッション雑誌にもより数多く掲載されるようになり、著名なデザイナーとして一層注目されるに至っている。
以上の通り、「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」は、世界のトップデザイナーとして本件商標が出願された当時には、既に我が国においても著名であった。
同氏の名前は、「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」とフルネームで表示され、このフルネームをもって紹介されることが多いが、同時に新聞、雑誌の記事や見出し中には、単に「VALENTINO」「ヴァレンティノ」と略称されてとりあげられることも多い(甲第7号証の1ないし同32及び同第8号証等)。
しかるところ、本件商標は、その構成が大きく二段に横書きした「Lolita」と「Valentino」の下段部分の「Valentino」の
文字が「ヴァレンティノ」と称呼されるものであることは明らかであるから、本件商標は「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノガラヴァーニ)の著名な略称を含む商標であり、その者の承諾を得ずに登録出願されていることは明らかである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号の規定に違反
してされたものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用A商標とを比較検討するに、本件商標「Lolita Valentino」の欧文字は、その全体を称呼するときは「ロリタヴァレンティノ」の8音にも及ぶ冗長なものとなるばかりでなく、外観上「Lolita」と「Valentino」の文字とが上下二段に表示されていることもあって、「ロリタ」と「ヴァレンティノ」とがそれぞれ段落をもって称呼されるものであり、しかも上記のデザイナー「VALENTINO GARAVANI」氏の氏名が「VALENTINO 」(ヴァレンティノ)と略称されて著名なものとなっていることとも相俟って、これに接する取引者、需要者は、その構成文字中、取引者、需要者に親しまれている「VALENTINO」の文字に相応する「ヴァレンティノ」の称呼をもって、取引に当る場合が決して少なくないものとみるのが簡易迅速を尊ぶ取引の経験則に照らして極めて自然である。
したがって、本件商標は「ヴァレンティノ」の称呼をも生ずるものといわざるをえない。
一方、引用A商標ないし引用C商標が何れもその指定商品に使用された結果、全世界に著名なものとなっていることは甲第9号証をはじめとして、同第62号証までの書証によっても明らかなところであって、引用A商標「VALENTINO」は、その構成上、「ヴァレンティノ」の称呼を生ずることは明らかである。
また、引用B商標及び引用C商標は、「VALENTINO GARAVANI」の文字を書してなるところ、その全体から「ヴァレンティノガラヴァーニ」の称呼を生ずるものであるが、この称呼は冗長なものであるので、上記デザイナー「VALENTINO GARAVANI」氏の氏名が「VALENTINO 」(ヴァレンティノ)と略称されて 著名なものとなっていることとも相俟って、その構成文字中、前半の「VALENTINO」の文字に相応する「ヴァレンティノ」の称呼をもって取引に資されている場合も決して少なくないのが実情である。すなわち、引用B商標及び引用C商標は「ヴァレンティノ」の称呼をも生ずるものであるといわざるを得ない。
してみると、本件商標は、引用A商標ないし引用C商標と「ヴァレンティノ」の称呼を共通にする類似の商標であり、また、本件商標の指定商品は引用各商標のそれと抵触するものであることは明らかであり、結局、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反してなされたものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について、
請求人提出の甲第9号証及び同第10号証ないし同第62号証によって、引用E商標は、婦人服、紳士服、ネクタイなどの被服に使用されていること、引用F商標がライターについて使用されていること、引用各商標が本件商標の登録出願の日前より全世界に著名なものとなっていることは明らかである。そして、本件商標と引用A商標ないし引用C商標がその称呼を共通にする類似する商標であることは前述のとおりであるから、同様の理由により、本件商標と引用D商標ないし引用F商標とは類似する商標である。
また、本件商標の指定商品と各引用商標が使用されている上記の商品とは何れも服飾品の範疇に属する密接な関係にある商品、いわゆるファッション関連の商品である。
したがって、本件商標は、これを商標権者がその指定商品に使用した場合、その商品が恰も請求人の製造、販売等の業務に係る商品であるか、又は請求人と経済的或は組織的に何等かの関係にある者、すなわち姉妹会社等の関係にある者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ぜしめるおそれがあるものである。
よって、本件商標の登録は商標法第4条第1項第15号の規定に違反してなされたものであるから、無効とされるべきである。

4.被請求人の答弁
被請求人は何等答弁していない。

5.当審の判断
(1)VALENTINO標章の著名性について
本件審判請求の理由及び甲第7号証の1ないし同32及び甲第13号証の1ないし同第62号証(枝番を含む。)を総合してみるに、以下の事実が認められる。
a)ヴァレンティノ ガラヴァーニ(Valentino Garavani)は、1932年イタリア国ボグヘラで誕生、17才の時パリに行き、パ
リ洋裁学院でデザインの勉強を開始し、その後フランスの有名なデザイナー
「ジーン・デシス、ギ・ラ・ロシュ」の助手として働き、1959年ローマ
で自分のファッションハウスを開設した。1967年にはデザイナーとして
最も栄誉ある賞といわれる「ファッションオスカー(Fashion Os
car)」を受賞し、ライフ誌、ニューヨークタイムズ誌、ニューズウィー
ク誌などの新聞、雑誌に同氏の作品が掲載された。それ以来、同氏は、イタ
リア・ファッション界の第1人者となり、サンローランなどと並んで世界三
大デザイナーとも呼ばれるようになった。
そして、請求人は、ヴァレンティノ ガラヴァーニのデザインに係る紳士
服、婦人服等の商品を製造・販売していて、その商品に「VALENTIN
O GARAVANI」「VALENTINO」の文字よりなる標章(以下
これらを「VALENTINO標章」という。)を使用している。
b)我が国においては、昭和49年に「株式会社ヴァレンティノヴティック
ジャパン」が設立され、以来、ヴァレンティノ ガラヴァーニのデザインに
係る紳士服、婦人服等の商品が同社により輸入・販売されている。
c)例えば、甲第7号証の4ないし同32は、主に昭和51年9月から同11月にかけて発行された新聞等におけるヴァレンティノ ガラヴァーニのデザインに係る紳士服、婦人服の紹介記事を抜粋したと認められるものであるが、その紹介記事の見出しに、「鮮やか黒いファッション ヴァレンティノ秋冬ショー」(繊研新聞、昭和51年9月28日版)、「世界のVIP女性愛用のヴァレンティノ・コレクション発表」(日刊ゲンダイ、昭和51年10月2日版)、「伊の鬼才ヴァレンティノ これが76年秋冬の新作」(日経産業新聞、昭和51年10月6日版)との記載があり、また、「世界の一流品大図鑑’85年版」(甲第15号証の1ほか)中の「VALENTINO GARAVANI(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」の標章が記載された項における紹介記事においては、「・・・魅惑的で優美な衣裳作りを心がけているといヴァレンティノ。(婦人服)」、「シーズン毎にカジュアルシューズも発表しているヴァレンティノですが、・・・(紳士靴)」との記載、同じく「男の一流品大図鑑’85年版」(甲第16号証の1ほか)においては、「・・・オフタイムこそ、ヴァレンティノで洒落てみたい。(紳士用ベルト)」との記載、さらに、「25ans 1987年10月号」(甲第22号証の1ほか)においても、「・・・ヴァレンティノの服は、このスカート丈とニット素材というカジュアル要素を持ちながらも、・・・」等の記載があるように、VALENTINO標章が「VALENTINO(ヴァレンティノ)」の商標と呼ばれ、そのデザイナーである「Valentino Garavani」も「VALENTINO(ヴァレンティノ)」と呼ばれ、その名で知られていることを前提とした記事が多数掲載されている。
以上の事実によれば、本件商標の登録出願時の平成6年5月には、VALENTINO標章は、「VALENTINO(ヴァレンティノ)」の商標として、また、デザイナーのヴァレンティノ ガラヴァーニ(Valentino Garavani)も「VALENTINO(ヴァレンティノ)」と呼ばれて、紳士服、婦人服等について、同人のデザインに係る商品に付される商標ないしは同人の略称として、取引者、需要者の間に広く認識されていたものということができる。そして、該「VALENTINO(ヴァレンティノ)」の著名性は、現在も継続していると認められるものである。
(2)出所の混同について
本件商標は、前記のとおり、やや太字で「Lolita」の欧文字と「Valentino」の欧文字とを二段に横書きしてなるから、両文字部分は、視覚上分離して把握されるものであり、かつ、全体で特定の熟語的意味合いを有する語とも言えないものであるから、これらを常に一体不可分のものとして看取しなければならない理由もないものと言える。
してみれば、本件商標の構成は、「Lolita」と「Valentino」の欧文字(語)を結合してなるものと容易に理解し把握されるとみるのが相当である。
そして、前記(1)のとおり、本件商標の登録出願時には、既に、VALENTINO標章が「VALENTINO(ヴァレンティノ)」の商標と、また、ヴァレンティノ ガラヴァーニ(Valentino Garavani)が「VALENTINO(ヴァレンティノ)」とも呼ばれて、紳士服、婦人服等について、同人のデザインに係る商品に付される商標ないしは同人の略称として著名であったこと及びVALENTINO標章が付される商品「紳士服、婦人服」等と本件商標の指定商品「かばん類、かさ」等は、共にファッション関連の商品であって、密接な関連性がある商品といい得るものであること等を併せ考慮すれば、本件商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者・需要者は、その構成中下段の「Valentino」の文字のみを捉え、著名なVALENTINO標章を連想、想起し、それがヴァレンティノ ガラヴァーニ又は同人と何らかの関係がある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。
また、この混同を生ずるおそれは、本件商標の登録出願時及び登録査定時はもとより、現在においても継続しているものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-10-28 
結審通知日 2004-10-29 
審決日 2004-11-18 
出願番号 商願平6-48043 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (018)
最終処分 成立 
前審関与審査官 中嶋 容伸涌井 幸一 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 岩崎 良子
小林 薫
登録日 1998-11-06 
登録番号 商標登録第3370681号(T3370681) 
商標の称呼 ロリータバレンチノ、ロリータ、バレンチノ 
代理人 末野 徳郎 
代理人 廣田 米男 
代理人 杉村 興作 
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