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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 005 |
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管理番号 | 1109772 |
審判番号 | 取消2003-30408 |
総通号数 | 62 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-02-25 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2003-04-04 |
確定日 | 2004-12-07 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3204445号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件審判請求に係る登録第3204445号商標(以下「本件商標」という。)は、「SABER」の欧文字と「サーベル」の片仮名文字を二段に横書きしてなり、平成6年2月7日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、平成8年9月30日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を、本件商標は、その指定商品について過去3年間使用された事実が認められず、商標法第50条第1項の規定に基づき取り消されるべきものであると述べている。 第3 被請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁して、その理由を要旨以下のとおり述べ、その証拠方法として乙第1ないし第7号証を提出している。 1 本件商標を「除草剤」に使用していることについて (1)被請求人であり本件商標の商標権者であるイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニーは、デュポン株式会社に本件商標の使用を許諾しており、通常使用権者であるデュポン株式会社は、本件商標「SABER/サーベル」及び「サーベル」を「除草剤」について使用している。 本件商標の通常使用権者は、「除草剤」を包装した袋(乙第2号証)、及び、「除草剤」のドラムのラベル(乙第3号証)に「サーベル」の文字を記載して販売している。乙第2及び3号証に示す、前記袋、及び、ラベルには、「サーベル」及び商品「除草剤」の文字が記載されている。更に、前記ドラムのラベルには、被請求人の名称が記載されている。 また、本件商標の通常使用権者は、除草剤のリーフレット(乙第4号証)等を作成・配布すると共に、2001年に「2002デュポン農薬要覧」(乙第5号証)を作成し、全国の公的機関、販売メーカー、卸売り業者等に配布している。乙第4号証に示す、リーフレットには、「サーベル」及び商品「除草剤」の文字が記載されている。「2002デュポン農薬要覧」は、カタログに該当するもので、本件商標「SABER/サーベル」及び「サーベル」、商品「除草剤」の文字が記載されている。 以上より、被請求人及び通常使用権者が、本件商標を使用していたことがわかる。 更に、本件商標の通常使用権者は、「除草剤」を本件審判請求の登録の日、即ち、平成15年4月25日より前3年の間に日本国内において販売している。その証拠方法として、通常使用権者であるデュポン株式会社が受領した、平成15年1月15日付けの丸和バイオケミカル株式会社の注文書、及び、2002年農業年度出荷実績表を提出する(乙第6,7号証)。上記注文書及び出荷実績表には、「サーベル」の文字が記載されている。 (2)上述のとおり、被請求人等により、本件商標「SABER/サーベル」がカタログに使用されていることは明らかである。 更に、乙第2ないし第7号証に記載された「サーベル」は、本件商標の片仮名であり、本件商標の欧文字「SABER」の読み方を示したものであることは明らかである。よって、「サーベル」は、本件商標「SABER/サーベル」と同一の称呼及び観念を生ずる商標であり、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であることは明らかである。 以上より、被請求人等が本件商標を使用していることは明らかである。 2 「除草剤」が、本願の指定商品に含まれる商品であることについて 被請求人等が製造・販売する「除草剤」が、本願の指定商品「薬剤」に含まれることは明らかである。 3 結論 以上のとおり、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品「除草剤」について本件商標を審判請求の登録の日前3年間に使用している事実があることから、本審判の請求は成り立たない。 第4 当審の判断 1 被請求人は、本件商標を商品「除草剤」について使用をしていると主張しているので、その点について検討する。 (1)乙第2号証ないし同第7号証における事実 a)本件審判請求の登録(平成15年5月7日)前3年以内に係る乙第5号証及び同第6号をみるに、「2002 デュポン農薬要覧」(2002年版、デュポン株式会社発行)(写し)である乙第5号証には、除草剤が掲載されていて、その除草剤について「商品名:DPX-T76(サーベル:SABER)」、「製品:サーベルDF」と記載されている。 また、「注文書」(写し)である乙第6号証によると、丸和バイオケミカル株式会社が平成15年1月15日付けでデュポン株式会社に対し、商品名「サーベル」、規格「50kg」、数量「1ドラム」を注文したことが認められる。関連して、乙第7号証(被請求人作成の資料)で、丸和バイオケミカル株式会社における「サーベル」の2002年9月集計の農薬年度出荷実績として、当月までの累計162kg、昨年度累計273kg等あったことが記載されている。 b)商品包装用袋(写し)(日付不明)である乙第2号証によると、表面に「農林水産省登録第18763号」、「除草剤」、「丸和」、「サーベル DF」、「10g」と表示、成分として「メトスルフロンメチル水和剤」、「メチル=・・・60.0% 界面活性剤・・・40.0%」と表示、取扱者「丸和バイオケミカル株式会社」また販売者「株式会社ユニカス」と表示されている。裏面には適用雑草と使用方法の項の作物名の欄に「日本芝」、製造場として「デュポン アグリカルチュラル カリベ インダストリーズ,Ltd」、小分製造場として「三共株式会社」と表示されている。 c)商品包装用のドラムのラベル(写し)(日付不明)である乙第3号証には、「サーベル DF 除草剤」、「50kg」の表示、水和剤として「活性成分:メトスルフロンメチル」「メチル=・・・60%」と「不活性成分・・・40%」と表示、そして、最下段に「デュポン・アグリケミカルズ・カリーブ・インコーポーレテッド製造」、「E.I.デュポン・ド・ヌムール・アンド・カンパニー 農薬製品事業部」、「Wilmington, DE 19898 U.S.A」と表示されていることが認められる。 d)「ゴルフ場専用除草剤」と記載された商品リーフレット(写し)(印刷日は、リーフレットの末端に「'95-08-10TC」との表示から1995年(平成7年)8月10日に印刷されたものと推認される。)である乙第4号証には、1頁目に、「低薬量型の新しい芝生用除草剤」、「丸和」「サーベルDF」の表示、最終頁に、「有効成分:メトスルフロンメチル・・・60%」、「包装:10g×10」、その下段に、「本剤の販売は、ゴルフ場での用途に限定しています。」、さらに、販売者として「丸和バイオケミカル株式会社」、輸入発売元として「デュポン株式会社」が表示されていることが認められる。 (2)使用商品及び使用商標について a)上記の乙号証中、本件審判請求の登録(平成15年5月7日)前3年以内の日付に係る乙第5号証、同第6号証における事実及び被請求人の主張を総合すると、被請求人(商標権者)の日本法人であるデュポン株式会社は、除草剤を輸入、販売していて、同社が顧客等に対し取り扱っている商品の化学名、構造、性質、特性等を掲載して紹介する「2002 デュポン農薬要覧」(乙第5号証)に商品名「DPX-T76(サーベル:SABER)」、一般名「メトスルフロンメチル」、製品名を「サーベルDF」とする除草剤(以下「使用商品」という。)が掲載されている。そして、デュポン株式会社は、その使用商品について、丸和バイオケミカル株式会社から平成15年1月15日に商品名「サーベル」、50kg、1ドラムを注文を受け、販売をしたことが認められる(乙第6号証)。 b)さらに、他の乙号証の事実を含めると、上記使用商品のドラムのラベルには「サーベルDF」の商標、「除草剤」であること、その商品の取扱者として被請求人(商標権者)の名称が表示されている(乙第3号証)。 また、デュポン株式会社から使用商品を購入した丸和バイオケミカル株式会社は、小分製造(1袋10g)をして、「サーベルDF」の商標を表示して芝生用の除草剤(包装用袋、乙第2号証。商品リーフレット、乙第4号証)を販売したことが窺えるものであり、その商品リーフレット(乙第4号証)には、販売者が丸和バイオケミカル株式会社、輸入販売元が被請求人の日本法人であるデュポン株式会社であることが表示されている。 c)以上からすると、メトスルフロンメチルを有効成分とする除草剤(使用商品)について、「サーベルDF」又は「サーベル」の商標(以下「使用商標」という。)を、少なくとも、デュポン株式会社が、平成14年(2002年)及び平成15年1月15日に使用をしていたものと認められる。 (3)本件商標及び指定商品との関係 本件商標は、前項第1で述べたとおり、「SABER」の欧文字と「サーベル」の片仮名文字を二段に横書きしてなるところ、「サーベル」の片仮名文字は上段の「SABER」の欧文字の読みを表したものであって、「SABER/サーベル」の文字は「洋式の刀」を意味し「サーベル」の外来語で親しまれている語といえる。これに対し、使用商標は、「サーベル」又は「サーベルDF」の文字からなるところ、使用商標「サーベルDF」については、その構成中後半部の「DF」の文字は商品の記号・符号としてありふれて使用される欧文字2字であることから、その使用商標の前半部の「サーベル」の文字部分が自他商品を識別する標識として機能し、認識されるものと認められるものであり、また、他方の使用商標は「サーベル」の文字からなるので、本件商標と使用商標とはいずれも「サーベル」の称呼、洋式の刀の観念を共通にする社会通念上同一とみても差し支えないものといえる。 また、上記使用商品は、除草剤であるので、本件審判請求に係る指定商品「薬剤」に含まれる商品と認められる。 (4)通常使用権者について 上記デュポン株式会社は、被請求人(商標権者)と業務上密接な関係にある日本法人であることからすると、本件商標における通常使用権の許諾がされていたものと推認される。 (5)以上からすると、本件商標は、通常使用権者が、本件審判請求に係る指定商品中「除草剤」について、少なくとも、審判請求の登録前3年以内である平成14年(2002年)及び平成15年1月15日に、本件商標と社会通念上同一の商標を使用したものといわなければならない。 なお、請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら弁駁をしていない。 2 まとめ してみれば、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者がその請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていたものである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定に基づき取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-07-01 |
結審通知日 | 2004-07-02 |
審決日 | 2004-07-28 |
出願番号 | 商願平6-10251 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(005)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 高橋 厚子、山本 敦子 |
特許庁審判長 |
宮下 正之 |
特許庁審判官 |
富田 領一郎 田中 亨子 |
登録日 | 1996-09-30 |
登録番号 | 商標登録第3204445号(T3204445) |
商標の称呼 | サーベル、セーバー |
代理人 | 高原 千鶴子 |
代理人 | 浅村 皓 |
代理人 | 望月 良次 |
代理人 | 浅村 肇 |
代理人 | 谷 義一 |