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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z09
管理番号 1108490 
審判番号 取消2002-31341 
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-01-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2002-11-15 
確定日 2004-12-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第4326901号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4326901号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に表示した構成よりなり、平成10年2月19日に登録出願、第9類「温度計,圧力計,液面計,湿度計,熱量計,粘度計,濃度計,密度計,流量計,ガス分析計,自動調節機械器具,配電用又は制御用の機械器具,検出器,有線通信機械器具,放送用機械器具,無線通信機械器具,遠隔測定制御機械器具,ICカード,電子応用機械器具,火災報知器,盗難警報器,赤外線式人体検知装置,電動式扉自動開閉装置,画像処理装置,液晶表示装置」を指定商品として、平成11年10月22日に設定登録されたものである。
また、本件審判の請求の登録日は平成14年12月11日である。

第2 請求人の主張
請求人は、本件指定商品中「電気通信機械器具の電気コネクタ及びその類似商品」を取り消すとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べている。
1 請求の理由
本件商標は、日本国内において指定商品中「電気通信機械器具の電気コネク夕及びその類似商品,電気通信機械器具の光コネク夕及びその類似商品」について現在に至るまで商標権者は本件商標を使用していない。また、通常使用権専用使用権を許諾した事実もない。
したがって、本件商標の指定商品中、取消請求に係る指定商品についての登録は、商標法50条第1項の規定により取消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、答弁書の中で「電気通信機械器具の電気コネクタ及びその類似商品,電気通信機械器具の光コネクタ及びその類似商品」が本件商標の指定商品中、どの商品に該当するものか不明確であるため、取消請求は成り立ち得ない。なお、請求人は対象の商品を明確に記述すべきと思料する。
しかしながら、不使用取消審判においては、登録商標の指定商品中、取消しを必要とする商品の範囲を任意に指定して、取消を求めることができることは言うまでもない。また、その指定方法は、商品を包括的に指定するのか、具体的に指定するのかに制約されるものではないことは、不使用取消審判請求において、ごく自然に行なわれていることである。
したがって、請求人による本件不使用取消審判請求において、取消しを必要とする商品を「電気通信機械器具の電気コネクタ及びその類似商品,電気通信機械器具の光コネクタ及びその類似商品」のように指定する方法は明確であり、取消請求は成り立ち得ないとする被請求人の主張は明らかに失当である。
(2)被請求人は、答弁書の中で「使用時期については、カタログ4頁の末尾200209の文字が製作年月日2002月9月を表すものであるから、本件審判請求後以前に使用されたことも明らかである。」と述べている。
確かにカタログ4頁の末尾には200209の文字が表示されている。しかしながら、”200209”は単なる数字の羅列にすぎず、具体的に2002年9月と表示されているわけではない。すなわち被請求人はカタログ4頁の末尾の文字 ”200209”を当該カタログ製作年月日2002月9月であると主張しているが、“200209”をそのように解釈する理由に乏しいものと考える。
例えば、特許・実用新案審査便覧(発明協会)の42.04Aには刊行物の頒布された年(月・日)の取扱いについて詳細に記載されてる。これによれば、発行時期が記載されている場合として発行の年月日の記載がある場合にその年月日に刊行物が頒布されたものとして取り扱うこととしている。
この取扱いを被請求人が提出する証拠方法である広告書類としてのカタログに当てはめると、当該カタログは、カタログ発行時期が記載されていない場合に分類されるので、当該カタログの頒布日は特定されないものと思料する。
そうとすれば、被請求人が証拠方法として提出されたカタログについてのより具体的な発行時期を立証する証拠方法がない限り当該カタログの発行年月日は不明なものと考える。したがって、当該カタログが実際にいつごろから頒布されたものであるかが不明であり、もって、本件不使用取消審判請求登録前3年間不使用であるとして被請求人の商標登録は取消されるべきである。
(3)被請求人は、グループ会社の製品等をPRする目的で、月間に発行されている外部向け広報誌を乙第2号証として提出している。確かに15頁右下には発行日として2002年9月1日として記載されている。
しかしながら、乙第2号証が実際に頒布されたか否かは不明である。実際に頒布されたか否かが立証されない限り、被請求人の登録商標の使用とは言えないものといえる。
そもそも、乙第2号証中登録商標”μF”は存在していない。
したがって、被請求人は、「CML本体と上位機器との間で遠隔的に測定データを通信し、遠隔監視する内容が示されており、7頁右下には…流量計測を担うCMLとして乙第1号証の製品が取り付けられた写真が掲載されています」と述べていますが、この写真に掲載されているCMLの商標が”μF”であることは乙第2号証からは認識できない。
ここで、商標の使用の一態様として、商品に対する広告をなす行為があり、本件において当てはめまると、被請求人の主張する行為が、商品に関する広告に標章”μF” が付されたものが頒布されたりする行為にあたるのかが問題となる。そこでこの点について検討すると、まず、乙第2号証では標章”μF”が標記されておらず、写真に掲載されているCMLの商標が”μF”であるか否かは不明である。仮に需要者が”μF” が標記されていない乙第2号証を目にしたとき、前記7頁右下に掲載される写真に写されているCMLに対して当該CMLの商標が ”μF”であることを認識することはできないものと思料する。
したがって、乙第1号証のカタログの頒布時期については、乙第2号証のカタログの発行年月日が2002月9月1日を表すものであるから、上記した内容より、乙第1号証のカタログ頒布時期も2002月9月1日とするのが自然であるという被請求人の主張は明らかに失当である。
以上より、被請求人が提出された乙第1号証であるカタログは、未だカタログ発行時期が記載されていない場合に分類されるので、当該カタログの頒布日は特定されないものと思料する。
したがって、当該カタログが実際にいつごろから頒布されたものであるかが不明であり、もって本件不使用取消審判請求登録前3年間不使用であることから、本件商標の登録は取消されるものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証を提出した。
1 答弁の理由
被請求人が取消対象としている「電気通信機械器具の電気コネクタ及びその類似商品,電気通信機械器具の光コネクタ及びその類似商品」が本件商標の指定商品中、どの商品に該当するものか不明確であるため、取消請求は成り立ち得ないものと考える。
なお、請求人は対象の商品を明確に記述すべきと思料する。
2 弁駁に対する答弁の理由
(1)被請求人は、添付カタログ(乙第1号証)に示されるように、本件商標を、請求人が取消対象としている「第9類 電気通信機械器具の電気コネクタ及びその類似商品,電気通信機械器具の光コネクタ及びその類似商品」に属する指定商品の一つ「遠隔測定制御機械器具」を本件審判請求日前3年以内に使用している。
ここで、本件商標の具体的な使用方法を述べると、カタログ(乙第1号証)の2頁左に「山武独自に開発したμF(マイクロフロー )センサを採用し、」とあるように、通常の文字としてカタログ内に使用している。
また、カタログの表紙にあるように、製品に直接貼付した形としても使用している。本件商標はここに示した態様の、中核的な文字部分であると考えられるため、実質上同一の商標と考えられる。
また、カタログの3頁左、仕様表の「通信機能」欄に「RS-485インタフェース、5線式。最大配線距離 300m max 弊社機器(EST240Z,CMC10G,WEBIOO)と接続用の通信 通信速度4800/9600bps 積算値、瞬時流量、警報状態の読み出しが可能です」とあること、同2頁右、「高性能を標準装備」部分に、RS-485ケーブルを通じて、CML本体と、上位機器との間で遠隔的に測定データを通信し、遠隔監視する構成が示されていることから、本件商標が「遠隔測定制御機械器具」に使用されているのは明らかである。 なお、RS-485とは、コンピュータ機器を接続するシリアル通信方
式の1つで、高速、長距離のデータ送受信ができる一般的な方式である。
最後に、使用の時期については、カタログ4頁の末尾 200209の文字が制作年月2002年9月を表すものであるから、本件審判請求以前に使用されていたことも明らかである。
(2)請求人は、「”200209”は単なる数字の羅列にすぎず、具体的に2002年9月と表示されているわけではないから、カタログ4頁の末尾の文字”200209”を当該カタログ制作年月日2002年9月であると解釈する理由に乏しいものと考える」旨述べている。
これに対して、被請求人は平成15年5月26日付けで提出した証拠の乙第1号証「カタログ CMLシリーズ」の制作時期と発行が同時期であり、CMLシリーズが実際に導入された例が紹介されている書面「Savemation 9 Sptember.2002」(乙第2号証)を提出する。
乙第2号証は、被請求人を含むそのグループ会社の製品等をPRする目的で月刊発行されている、外部向け広報誌である。その6頁右下より「・・多回路形電力モニタに付加されているパルス受信の機能を使い、山武のCML、CMSによる圧縮空気流量計測のデータを受けてホストに送る役目を担っています」として、CML本体と上位機器との間で遠隔的に測定データを通信し、遠隔監視する内容が示されており、7頁の右下には「圧縮空気メイン配管の流量計測を担うCML」として、乙第1号証の製品が取り付けられた写真が掲載されている。これらより、乙第1号証に示された製品が実際に第9類「電気通信機械器具の電気コネク夕及びその類似商品,電気通信機械器具の光コネク夕及びその類似商品」に使用するのは明らかである。
また、同15頁の右下には発行日が「2002年9月1日」と記載されていることから、乙第1号証のカタログと頒布の時期も同じくすると考えるのが自然である。よって、乙第1、2号証共に、本件審判請求以前に使用されていたことは明らかである。
したがって、本件商標は日本国内において、本件審判請求の登録前3年以内において、当該指定商品について使用されているものである。

第4 当審の判断
(1)被請求人は、本件取消請求に係る商品「電気通信機械器具の電気コネクタ及びその類似商品,電気通信機械器具の光コネクタ及びその類似商品」が不明確である旨主張しているが、この点については以下のように判断するのが相当である。
本件商標の指定商品中には、「電気通信機械器具」の表示はないものの、商標法施行規則別表第9類には、「十三 電気通信機械器具」の概念の下に「(二)有線通信機械器具」、「(四)放送用機械器具」、「(五)無線通信機械器具」及び「(七)遠隔測定制御機械器具」が例示されていることからすれば、本件商標の指定商品中の「有線通信機械器具」、「放送用機械器具」、「無線通信機械器具」及び「遠隔測定制御機械器具」が電気通信機械器具の一つであることは明らかである。また、本件取消請求に係る商品「電気通信機械器具の電気コネクタ及び電気通信機械器具の光コネクタ」は、電気通信機械器具に用いられる「電気コネクタ」及び「光コネクタ」と解される。
しかして、「電気コネクタ」は、「コネクタ」が「連結用部品、連結用端子」 の意味を有する語(株式会社技術評論社発行「2001-2002年版最新機電・情報用語辞典」)であることからすれば、電気機器、すなわち電気通信機械器具に用いられる「コネクタ」と解するのが相当である。このことは、例えば、社団法人電子通信学会発行「電子通信ハンドブック」の「コネクタ」の項の「コネクタは単純なそう入抜去により一時に複数個の回路を接続、分離させるもので、複数個のコンタクトと、それらを配列保持する絶縁体と、そう入・抜去・結合などのための補助機構の3部分で構成される雄、雌一対の部品をいう。」との説明からも首肯し得るものである。また、「光コネクタ」は、株式会社コロナ社発行「改訂電子情報通信用語辞典」によれば、「光部品の一つ。光ファイバあるいは光ケーブルを繰返し着脱可能とするために、光ケーブルあるいは装置の一部に取り付けられる。」とされることから、電気通信機械器具に用いられるものというべきである。そうすると、「電気通信機械器具の電気コネクタ及び電気通信機械器具の光コネクタ」は、電気通信機械器具の部品又は附属品と解するのが相当である。そして、電気通信機械器具の一つである本件商標の指定商品中の「有線通信機械器具」、「放送用機械器具」、「無線通信機械器具」及び「遠隔測定制御機械器具」と電気通信機械器具の部品又は附属品とは、その構造、機能、用途等からして、互いに類似する商品といえる。
してみれば、本件審判請求は、「電気通信機械器具の電気コネクタ及び電気通信機械器具の光コネクタ」の類似商品である「有線通信機械器具」、「放送用機械器具」、「無線通信機械器具」及び「遠隔測定制御機械器具」についても、登録の取消を求めているものと解さざるを得ないから、本件取消請求に係る商品は明確であるというべきである。
(2)被請求人は、第9類「電気通信機械器具の電気コネクタ及びその類似商品,電気通信機械器具の光コネクタ及びその類似商品」に属する指定商品の一つ「遠隔測定制御機械器具」に使用しているとして乙第1号証及び乙第2号証を提出しているので、提出に係る乙号証について検討する。
乙第1号証のカタログをみると、該カタログの表紙及び2頁には、別掲のとおり、「μF」の標章(以下、「使用商標」という)、表示されている、「CMLシリーズ」の記載が認められる。 そして、該カタログ2頁の「高機能を標準装備」の欄に「RS-485通信機能」の記載があり、その下に「上位機器との間で遠隔的に測定データを通信し、遠隔監視する構成図」が表示されている。さらに、該カタログの3頁左の「仕様表」の「通信機能」の欄に「RS-485インタフェース、5線式 最大配線距離 300m max 弊社機器(EST240Z,CMC10G,WEBIOO)と接続用の通信 通信速度4800/9600bps 積算値、瞬時流量、警報状態の読み出しが可能です」、同4頁には商標権者と認められる「株式会社 山武」の記載が認められる。
乙第2号証の広報誌をみると、該広報誌7頁の右下には「圧縮空気メイン配管の流量計測を担うCML」の記載とその取り付けられた写真が掲載されている。また、該広報誌の発行日は、2002年9月1日であることが認められる。
そうとすれば、使用商品は、「CMLシリーズ」の商品で、上位機器との間で遠隔的に測定データを通信し、遠隔監視する商品であることから、「遠隔測定制御機械器具」に使用しているものといえる。
そして、「遠隔測定制御機械器具」は、上記認定のとおり、本件審判請求に係る指定商品に含まれるものと認められる。
また、該カタログ4頁の末尾に「200209」の数字の記載内容からみて、該カタログの作成日は、「2002年9月」に作成されたものと認め得るものであるから、本件審判の請求の登録日前3年以内に作成されたものといえる。
(3)してみると、本件商標と使用商標とは、別掲のとおり、ともに「μF」の文字からなる標章であることから、その構成に一部異なるところがあるとしても、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標といえる。
(4)請求人は、該カタログ4頁の末尾の”200209”は、単なる数字の羅列にすぎず、具体的に2002年9月と表示されているわけではないから、“200209”を年月を表示したと解釈する理由に乏しい旨主張している。
しかしながら、「200209」の数字が年月を表示するものではないとする客観的な理由は認められないし、また、年月を西暦で六桁の数字で表示することは普通に行われていることから、該数字は、年月を六桁の数字で表示したものと理解するのが自然であるといえるので、請求人の主張は採用することができない。
(5)以上の事実及び被請求人の答弁の全趣旨によれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品に含まれる「遠隔測定制御機械器具」ついて、商標権者である「株式会社山武」によって使用されていたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定に基づき取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標

使用商標


審理終結日 2004-09-15 
結審通知日 2004-09-16 
審決日 2004-10-21 
出願番号 商願平10-13282 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z09)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 堀内 真一
富田 領一郎
登録日 1999-10-22 
登録番号 商標登録第4326901号(T4326901) 
商標の称呼 ミューエフ 
代理人 池田 憲保 
代理人 後藤 洋介 

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