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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 005 |
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管理番号 | 1108236 |
審判番号 | 取消2004-30323 |
総通号数 | 61 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-01-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2004-03-08 |
確定日 | 2004-11-15 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3014562号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第3014562号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第3014562号商標(以下「本件商標」という。)は、「ほっこりん」の文字を横書きしてなり、平成4年8月11日登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同6年12月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 (1)請求の理由 本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。 (2)答弁に対する弁駁 乙第1号証は、粉末状の入浴剤(以下「使用商品」という。)の写真2葉であり、そのうち下段は、使用商品の包装用袋の裏側を撮影したものとみられるものであるが、下端部分には「入浴用化粧品」との記載がある。自己の販売する商品には「化粧品」と記載し、本件において「薬剤」であると主張するのは矛盾である。 「化粧品」とは、「薬事法に規定する“化粧品”の大部分及び“医薬部外品”のうち、人体に対する作用が緩和なものであって、身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つことを目的として、身体に塗擦、散布等の方法で使用するものが含まれる。(中略)ただし、薬事法にいう“医薬部外品”のうち、使用目的が医薬品的用途に使用されるものとして取引される「薬用ベビーオイル」、「薬用ベビーパウダー」等は、第5類1薬剤に含まれる。」(「商品及び役務区分解説」平成4年3月25日改訂2版:甲第2号証)とされるのであるから、本件使用商品が第5類に属する「薬剤」に該当しないことは明らかである。 むしろ、被請求人が有し、指定商品を第3類「せっけん類、化粧品」とする登録第3014570号商標「ほっこりん」(甲第1号証)の使用に該当するものであると考えられる。 以上より、被請求人の主張は理由がない。 3 被請求人の答弁 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。 (1)使用に係る商品について 被請求人は、包装袋入りの粉末状の入浴剤(使用商品)を製造し、その包装袋に「ほっこりん」の文字からなる商標を付して販売している(乙第1号証)。 上記使用商品の包装袋の裏面には、成分として「硫酸Na」及び「炭酸水素Na」等が記載され、使用方法として、「浴槽約200リットルに対し、本品1包(20g)の割合で投入し、良くかき混ぜてご使用下さい。」と記載され、使用上の注意として、第3に「他の入浴剤との併用や入浴以外の用途には使用しないでください。」と記載されている。 上記成分「硫酸ナトリウム(Na)」及び「炭酸水素ナトリウム(Na)」は、いずれも、皮膚の表面の蛋白質と結合して膜を形成し、この膜が身体の熱の放散を防ぐために、入浴後の保温効果が高く湯冷めしにくいという効果を奏するものであり、特に「硫酸ナトリウム」は、皮下組織の賦活作用、修復作用があり、また、「炭酸水素ナトリウム」は、石鹸と同じように皮膚の脂肪や汗腺にある脂肪の汚れを乳化し、清浄効果を有するため、無機塩類系入浴剤の成分として広く知られ、かつ、使用されているものである。 なお、使用商品は、包装袋に表示されているとおり、「ゆず」の香りを有するものである。 (2)取引書類について 乙第2号証は、株式会社大木から被請求人に対し、2003年12月18日付で、使用商品(但し、「ホッコリン ユズ」と表示)を96個(10包入り)発注したことを示す発注書であり、その納期は2003年12月22日AMと指定されている。 乙第3号証は、乙第2号証の発注書に応じ、被請求人から販売先である株式会社大木に対し、使用商品を96個(10包入り)販売したことを示す2003年12月19日付の売上伝票である。 (3)まとめ 「ほっこりん」の商標が付された入浴剤は、本件審判請求に係る指定商品「薬剤」に属するものであり、本件審判請求の2ヶ月以上前に被請求人によって販売されていた。 すなわち、本件審判請求登録前3年以内に日本国内において、商標権者である被請求人がその請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしているものであるから、商標法第50条第2項の規定により、本件審判請求は理由がない。 4 当審の判断 (1)被請求人は、本件商標をその指定商品中の「入浴剤」について使用している旨主張し、乙第1号証ないし乙第3号証を提出しているので、以下検討する。 (2)乙第1号証は、使用商品及びその包装袋の写真2葉と認められるところ、上段写真に示された包装袋の表面には、「ほっこりん」の文字が大きく表示され、その下に「ゆずの香り」の文字が表示されている。また、下段の写真に示された包装袋の裏面には、「成分」として、「硫酸Na、炭酸水素Na・・ケイ酸Ca」(途中袋の破れ目や折れ目の光沢により文字が読みにくく確認することができない。)などと記載され、最下段左端には「入浴用化粧品」との記載がある。 (3)ところで、商標法の商品区分第5類に属する「薬剤」は、薬事法(昭和35年法律第145号)の規定に基づく“医薬品”の大部分と“医薬部外品”の一部が含まれる(但し、農薬は除く。「商品及び役務区分解説」平成4年3月25日改訂2版参照)ところ、薬事法第2条第2項に規定する「医薬部外品」のうち、「厚生労働大臣の指定するもの」には、「浴用剤」が含まれること(平成11年3月12日厚生省告示第31号)、薬事法第59条によれば、医薬部外品は、その直接の容器又は直接の被包に、「医薬部外品」の文字、「厚生労働大臣の指定する医薬部外品にあっては、その使用の期限」などが記載されていなければならないことが認められる。 (4)これを本件使用商品についてみるに、前記(2)で認定した事実によれば、使用商品の包装袋の表面及び裏面のいずれにも「医薬部外品」はなく、裏面の下段に「入浴用化粧品」との記載があるのみである。 そうすると、使用商品は、医薬部外品としての商品区分第5類「薬剤」の範疇に属する「浴剤」とは認めることはできない。 そして、被請求人は、上記とほぼ同趣旨の請求人の弁駁に対し、何ら答弁するところがない。 したがって、被請求人は、本件請求に係る「薬剤」の範疇に属するものとは認められない商品についての使用の事実を立証するのみで、請求に係る指定商品について本件商標を使用していることを何ら証明するところがないものといわざるを得ない。また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品について使用していなかったことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。 (5)以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定に基づき、取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-09-17 |
結審通知日 | 2004-09-21 |
審決日 | 2004-10-05 |
出願番号 | 商願平4-155989 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(005)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 広石 辰男、上村 勉 |
特許庁審判長 |
茂木 静代 |
特許庁審判官 |
津金 純子 内山 進 |
登録日 | 1994-12-22 |
登録番号 | 商標登録第3014562号(T3014562) |
商標の称呼 | ホッコリン |
代理人 | 青木 博通 |
代理人 | 柳生 征男 |
代理人 | 足立 泉 |
代理人 | 中田 和博 |