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審判番号(事件番号) データベース 権利
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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 266
管理番号 1106827 
審判番号 取消2002-31374 
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-12-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2002-11-22 
確定日 2004-09-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第0445205号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標登録の取消しの審判
1 本件商標
本件商標登録の取消しの審判に係る、登録第445205号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、昭和27年12月27日に登録出願、第66類(大正10年12月17日農商務省令第36号をもって改正された商標法施行規則15条に基づく商品の区分のもの)「ゴルフに関する事項を内容とする雑誌」を指定商品として、同29年5月26日に設定登録され、その後、同49年11月28日、同59年7月17日及び平成7年1月30日の3回に亘り商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
2 本件商標登録の取消しの審判
本件商標登録の取消しの審判は、商標法50条により、本件商標の登録の取り消しを請求するものである。
第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第6号証を提出した。
1 請求人であるエーオーエル タイム ワーナー インコーポレイテッドは、アメリカ合衆国ニューヨークにおいて、インターアクティブ・サービス、ケーブル・システム、映画産業、テレビジョン・ネットワーク、音楽、新聞雑誌等の出版などのメディア産業を事業とする世界一流の会社であり、本件と関連のある「GOLF MAGAZINE」の商標を付したゴルフ関連の雑誌(甲第2号証)を、アメリカ合衆国国内は勿論、オーストラリア国,カナダ国,香港,台湾など海外においても多数販売している実情にある。
これら商標は、当初は、タイムズ ミラー マガジンズ インコーポレイテッドの所有であったが、タイムズ ミラー社が、後に、請求人に会社合併され、そのために、同商標等は、請求人の所有に属している。
そして、上記「GOLF MAGAZINE」の商標は、国際分類第16類について、すでに多数取得している(甲第3号証)。
さらに、請求人は、日本国特許庁に対し、平成10年12月17日付にて商標「GOLF MAGAZINE」第16類を出願(商願平10-107482号)し、平成11年8月30日(起案日)に拒絶理由通知がなされ、引用例として登録第3065555号が引用されており、引用例第3065555号と本件商標は旧商標法に規定する連合商標としての関係にあった(甲第6号証)。
したがって、請求人は本件取消審判を行なうについて重大な利害関係を有しており、先に本件商標について、不使用に伴う商標権の取消し審判を提起したが、商標権の所有権者がすでに死亡しており、現在のベースボール・マガジン社に所有権が移転され、移転を受けた本件商標権者が本件商標の使用について、1997年(平成9年9月8日発行)までの使用の事実を立証している。
その後、この引例商標があるために、上記出願が拒絶査定に至ったものである。
2 上記事情において、本件商標を、その指定商品「雑誌」について、日本国内において、継続して3年以上、商標権者或いは専用,通常使用権者が確かに現在使用しているか否か重大な関心をもって、調査したところによれば、1997年(平成9年)9月8日発行の雑誌をもって、廃刊になったのか、それ以後の株式会社トーハン発行の「雑誌のもくろく」1999年版(甲第4号証)及び2002年版(甲第5号証)で調査したところ、本件商標を付した雑誌が販売されている事実がなく、また、本件商標の原簿(甲第6号証)を見るも、専用使用権,通常使用権の設定がなされておらず、上記使用者による使用も認められない。
してみると、本件商標に関しては、指定商品「雑誌」について、本件審判請求日である平成14年(2002年)11月22日以前3年間(平成11年11月21日)は使用しておらず、本件商標は、商標法50条の規定により取り消されるべきである。
3 弁駁の理由
(1)被請求人は、乙第1号証に示す雑誌の表紙右上部に片仮名文字で記載された「ゴルフマガジン」をもって、本件商標の使用であるとしているが、これは何等商標の使用に該当しないものである。
即ち、本件商標は英文の特殊装飾文字で、「GOLF」と表し、下段右側によせて英語の筆記体小文字で小さく「magazine」と表したもので、特に上段の「GOLF」の英文特殊文字は、一字々々分離した場合には素直に「G」「O」「L」「F」と判断できないほどに、陰影を施した特殊装飾文字であり、本件商標において、特に取引者、需要者にアピールする顕著性を有する部分である。
しかるに、本件商標の使用証明のために提出された乙第1号証の商標は片仮名と英語で「ゴルフマガジン/B.B.MOOK」と2段に表し、全体的に「ゴルフマガジンビービームック」と称呼されるものであり、本件商標とは称呼及び外観形状が全く異なるものである。
被請求人が提示した乙第1号証の雑誌の誌名は、被請求人が言うように「ゴルフマガジン B.B.MOOK 50歳からの飛ばしBOOK」であり、上記雑誌の背表紙にもその記載があり、単なる「ゴルフマガジン」ではない。確かに、乙第1号証の表紙の右上部のゴルフボール図形に片仮名で「ゴルフマガジン」と表記されてはいるが、その下段には英語で「B.B.MOOK」と標記されており、取引者、需要者からは全体的に「ゴルフマガジンビービームック」と称呼される。
したがって、乙第1号証の商標は、「ゴルフマガジン B.B.MOOK 50歳からの飛ばしBOOK」又は「ゴルフマガジンビービームック」と一般的に需要者間で称呼・取引され、単に「ゴルフマガジン」の称呼で取引されることはない。
してみれば、乙第1号証の商標の使用は、本件商標の使用には当たらないものである。
(2)商標の使用において、文字を極端に変更、図案化した登録商標の使用の有無を判断するにあたっては、その文字の特殊形態と取引上同視せらるべき形態における使用の有無を基準とすべきである。
本件商標は、特殊の図案化した形態において商標としての特別顕著性を有するべきものであり、本件商標の使用の有無に当たっては、単にその商標から生じる称呼、観念だけでなく上記特殊形態又は少なくとも取引上これと同視せらるべき形態における使用の有無を基準とすべきであり、乙第1号証における使用態様をみても上記特殊形態と同視せらるべき形態において使用されたことを認めるに足る証拠とはなり得ないものと思われる。
登録商標と使用商標の称呼が同一であるからといって、同一性の判断を緩やかに行なってもよいとする合理的根拠はない、とする判断・判決がこれまでの通説である(例えば、昭和60年9月3日東京高等裁判所判決・昭和60年(行ケ)26号)。
(3)乙第2号証にあっては、単に今後も上記商標「ゴルフマガジンB.B.MOOK」を継続して使用する意思のあることを示している、とされるもので、本件審判請求の登録前3年間の日本国内における使用を裏付ける証拠とは足り得ないものである。
エ)乙第3号証は、2002年の雑誌のもくろくで、219頁に「B.B.MOOK(ビービームック)」が記載されており、これで本件商標の「ゴルフマガジン」の商標使用を判断できるとされているが、乙第1号証と同様の雑誌を発行していたとするならば証拠を提出すべきであり、単に雑誌もくろくから推察或いは判断せよでは到底納得できない。
一歩譲って、上記乙第1号証と同一の使用態様であったとしても、本件商標の使用には該当しないものである。
この乙第3号証でいうところの「B.B.MOOK(ビービームック)」は、この雑誌もくろくの誌名欄に記載された誌名であり、取引者、需要者は当然に「B.B.MOOK(ビービームック)」を商標として認識するものであり、これをもって直ちに本件商標「ゴルフマガジン」の使用であるとする被請求人の主張には到底承服できない。
オ)本件商標はゴルフに関する内容の雑誌について使用しているものであり、単に商品の品質(内容)を表示するに過ぎず、自他商品の識別機能を果すものとはいえず、商標法3条1項3号に該当する商品に使用した商標であり、登録されてはいるが無効原因を有する登録商標である。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第3号証を提出した。
1 商標権者株式会社ベースボール・マガジン社は、本件商標を本件取消商品について審判請求の登録前3年間に日本国内において使用しているので、その使用事実について以下に提示する。
乙第1号証は、商標権者が、平成13年12月15日に発行した「ゴルフマガジン B.B.MOOK 50歳からの飛ばしBOOK」の写しである。また、乙第2号証は、商標権者が、平成14年12月20日に発行した雑誌「ゴルフマガジン B.B.MOOK 50歳からの飛ばしBOOK」の写しである。
乙第1号証の表紙の右上において、商標「ゴルフマガジン」が使用されている。
そして、当該商標は、本件商標と同一の称呼及び観念を生ずるものであり、本件商標と社会通念上同一と認められるものである。題号を含め、雑誌に使用する商標は、英語にするかカタカナにするか、1段表記にするか2段表記にするか等を含め、そのデザインにおいて、その時々の流行にあわせて変更されるのが常識的であり、これは、雑誌表紙のデザイン・レイアウトいかんによって、雑誌の売れ行きが大きな影響を受けるものであるために、通常行われるものである。
乙第1号証の表紙に使用されている欧文字「ゴルフマガジン」は、本件商標のように欧文字2段表記ではないが、これは雑誌出版業界においては通常行われる程度のデザイン上の変更であり、雑誌の取引者、需要者にとって社会通念上同一と認められる商標であるから、商標法50条1項に規定されている登録商標の使用と認められるべきものである。
また、背表紙の下側には「ベースボール・マガジン社」と記載され、裏表紙の発行所を記載する位置に商標権者「株式会社ベースボール・マガジン社」の名称が記載され、104頁下側には「発行所(株)ベースボール・マガジン社」と記載されている。
なお、乙2号証は本件審判請求後に発行されているものではあるが、商標権者が本件商標を現在も継続的に使用しており、また、今後も継続使用する意思を有していることの証として提出するものである。この意思を表わすものとしては、例えば乙2号証104頁左下に「次回は03年5月発売予定」と記載されていることが挙げられる。乙2号証においても乙第1号証と同様に、表紙の右上において、商標「ゴルフマガジン」が使用されており、背表紙の下側には「ベースボール・マガジン社」と記載され、裏表紙の発行所を記載する位置に商標権者「株式会社ベースボール・マガジン社」の名称が記載され、104頁下側には「発行所 (株)ベースボール・マガジン社」と記載されている。
乙第1号証の裏表紙には雑誌コード「67673-01」が記載されている。
2 乙第3号証は、雑誌目録刊行会発行の「雑誌のもくろく 2002年版」の一部写しであるが、その219頁(当該頁は、甲第5号証の中には挙げられていない。)には、「誌名コード67673」に該当する「誌名」が「B.B.MOOK(ビービームック)」である旨記載されている。また、“この目録をご利用の皆様へ”の頁には、「この雑誌のもくろくは、2002年2月末日現在、全国の書店で販売されている雑誌(コードが8から始まるものを除く)約3,500誌を収録しております。」と記載されている。このことは、雑誌「ゴルフマガジン B.B.MOOK 50歳からの飛ばしBOOK」(乙第1号証)が実際に発行されていたことの裏付けとなるものである。
以上に挙げた証拠は、本件商標の審判請求の日前3年間の日本国内における使用を充分に裏付けるものである。
なお、1952年(昭和27年)6月1日創刊(乙第1号証)以来50年間にわたり定期的に発行されてきている雑誌「ゴルフマガジン」に使用されてきた本件商標には、多大なる業務上の信用が化体し、被請求人において貴重な財産と認識しており、今後も本件商標を継続的に使用していく所存である。
3 上記のように、本件商標を、その指定商品「ゴルフに関する事項を内容とする雑誌」について、本件審判の請求の登録の日前3年以内に商標権者株式会社ベースボール・マガジン社が日本国内において使用していたことは、乙第1号証及び同第3号証により明らかである。
第4 当審の判断
被請求人が、本件商標をその指定商品について使用しているとして提出した乙各号証により、本件商標が、本件審判請求前三年間以内に、指定商品である「ゴルフに関する事項を内容とする雑誌」について使用されていたか否か検討する。
1 乙第1号証の出版物について
被請求人が本件商標を使用しているとして示している、乙第1号証の出版物は、表紙及び目次の記載に照らせば、これが「ゴルフに関する事項を内容とする出版物」であることが認められるところ、この出版物が、定期的に刊行される雑誌と認め得るものであるか否かについて、まず検討する。
(1)乙第1号証の裏表紙左下部分には、「雑誌67673-1」との表示がされているところ、「67673-1」の数字は、「ASAHIネット」のインターネットホームページ(http://www.asahi-net.or.jp/ ̄ax2s-kmtn/bcodes.html)によれば、雑誌コードであることが認められ、その第1桁は発行形態コードを表し、これに続く第2桁ないし第5桁は雑誌名コードを表すものであり、本件出版物については、そのコードの第1桁が「6」であることから、これがムックを表すものであることが認められる。
(2)しかして、ムックについてみるに、広辞苑第5版によれば、「(magazine(雑誌)とbook(書籍)との合成語)編集の仕方や体裁が雑誌と書籍との中間であるような出版物のこと」との記載があり、また、自由国民社発行「現代用語の基礎知識2003年版」によれば、「雑誌(magazine)と書籍(book)の合成語で、雑誌とも、書籍ともつかないあいまいな存在。」との記載が認められる。
(3)「ヒントブックス」のインターネットホームページ(http://homepage1.nifty.com/hint-yf/Sea_mcode.htm)には、「雑誌コード」として、「『6』から始まる『雑誌コード』」、「平凡社の月刊誌『太陽』は05901ですが、『別冊太陽』は65941。このように『6』から始まる雑誌を『ムック』といいます。MagazineとBookの合成語、Mook。雑誌と書籍の合成語ですが、出版流通としては『雑誌扱い』です。」との表示が認められる。
(4)乙第3号証である、「雑誌のもくろく 2002年版」によれば、その18頁に、「内容解説で別冊・ムックなど、内容を特定できない雑誌については………」、「ムック(コードが6から始まるもの)は本体価格(税抜き)のため別途消費税が加算されます。」との記載が認められる。
(5)以上の、(1)ないし(4)を総合すれば、ムックは、雑誌と書籍の両面の性質を有する出版物であり、これが雑誌として取り引きされている実情も一部認められることから、ムックのうち、ある特定の題号を使用して、単発ではなく、継続的に発行されるものについては、発行間隔が不定期であるものも含めて、雑誌に準ずるものとして、商標法上の商品としての雑誌の範疇に含まれると解することができるというべきである。
(6)これを、本件についてみるに、乙第1号証は「ゴルフマガジン」、「B.B.MOOK」あるいは「50歳からの飛ばしBOOK」のタイトルのもとに発刊されたムックであるところ、この約1年後である平成14年12月20日に発行された乙第2号証のムックは、乙第1号証と同様の体裁により、「ゴルフマガジン」、「B.B.MOOK」、「50歳からの飛ばしBOOK」という乙第1号証のタイトルと同一のタイトルが使用されているものである。
また、乙第2号証の奥付に相当する頁には、「次回は03年5月発売予定」との表示が認められるところである。
したがって、乙第1号証のムックと内容は異なるものの、同一のタイトルが付されたムックが、発行間隔は定期的ではないとしても、継続して発行され、あるいは発行される予定であるといえ、本件ムックは、これが雑誌に含まれる出版物とみて差し支えないというべきである。
2 乙第1号証における自他商品識別機能を果たす文字部分について
乙第1号証は、被請求人の発行に係るムック(以下「本件ムック」という。)の表紙、裏表紙、目次及び奥付の写しと認められるところ、これによれば以下の事実が認められる。
(1)本件ムックの表紙には、表題部と思しき場所に「50歳からの」及び「飛ばしBOOK」の文字が大きく二段に横書きされ、その「50歳からの」の文字の右側で、かつ「飛ばしBOOK」の文字中の「OOK」の文字の上部に描かれたゴルフボールの図形中に、「ゴルフマガジン」、「B.B.MOOK」、「ベースボール・マガジン社」及び「¥1,000」の文字及び数字が4段に横書きされている。
(2)背表紙に相当する部分には、縦書きで、上から順番に「ゴルフマガジン」、「50歳からの飛ばしBOOK」及び「ベースボール・マガジン社」と記載されている。
(3)裏表紙の左端には、「50歳からの飛ばしBOOK」の文字が大きく横書きされ、その下に「B.B.MOOK199 スポーツシリーズNo.114」の文字がやや小さく横書きされるとともに、「(株)ベースボール・マガジン社」、「平成13年12月15日発行」等の文字が記載されている。
(4)目次(CONTENTS)に相当する頁には、表紙と同様の二段書きの「50歳からの」及び「飛ばしBOOK」の文字並びに、ゴルフボールの図形中に、「ゴルフマガジン」、「B.B.MOOK199」、「スポーツシリーズNo.114」及び「平成13年12月15日発行」の文字及び数字が記載されている。
(5)奥付に相当する頁には、下部に、表題として、「ゴルフマガジン」、「50歳からの飛ばしBOOK」、「B.B.MOOK199」、「スポーツシリーズNo.114」の文字が二段に横書きされるとともに、発行日及び発行所が記載されている。
(6)以上によれば、被請求人である商標権者は、本件審判請求の登録前三年以内に、本件ムックを発行していたといえ、その表紙、背表紙、目次及び奥付に表された「ゴルフマガジン」の文字は、本件ムックの表題ないしは商標と理解され、認識されるとみるのが自然である。
(7)乙第3号証の219頁によれば、本件ムックの雑誌コード「67673」が付された「誌名」が「B.B.MOOK(ビービームック)」とされていることが認められるが、本件ムックがこの誌名により取り引きされるものとしても、この誌名のみによって取り引きされ、「ゴルフマガジン」の文字によっては取り引きされないとはいえず、本件ムックは、上記(6)で認定したように、「ゴルフマガジン」の文字部分が自他商品識別機能を果たしているとみて差し支えないものである(以下、この「ゴルフマガジン」の文字部分を「使用商標」という。)。
3 本件商標と使用商標の同一性について
しかして、本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、上段の部分について個々の文字のみをみた限りでは、判然としないものの、これを全体としてみた場合には、「GOLF」の欧文字を図案化してなるものと認識することはさほど困難とはいえず、この部分は、全体として、「GOLF」の欧文字の綴りを損なわない範囲の態様のものとみられるというべきである。そして、この下部の文字は、「magazine」の欧文字を筆記体風で表してなるものであり、本件商標からは、「ゴルフマガジン」の称呼及び「ゴルフの雑誌」の観念を生ずるといえるものである。
これに対し、本件ムックに使用されている「ゴルフマガジン」の文字は、本件商標とは文字を異にし外観が相違するものの、本件商標と同一の、「ゴルフマガジン」の称呼及び「ゴルフの雑誌」の観念を生ずるといえるものであって、商標法50条1項かっこ書にいう「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生じる商標」に相当し、本件商標と社会通念上同一の商標とみることができるものである。
請求人は、本件商標中の上段の「GOLF」の文字は陰影を施した特殊装飾文字であり、本件商標において特に取引者、需要者にアピールする顕著性を有する部分であるのに対し、乙第1号証の本件ムックの商標は「ゴルフマガジン/B.B.MOOK」と2段に表し、全体的に「ゴルフマガジンビービームック」と称呼され、本件商標とは称呼及び外観形状が全く異なり、単に「ゴルフマガジン」とは称呼されることはない旨主張している。
しかしながら、本件ムックに表された「ゴルフマガジン」の文字は、上記のとおり、それ自体が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、また、これが、本件商標と社会通念上同一のものというべきであるから、請求人の主張は採用することができない。
4 以上の、「1」ないし「3」によれば、本件商標は、これと社会通念上同一と認められる「ゴルフマガジン」の態様をもって、指定商品である雑誌の範疇に含まれるといえる出版物である本件ムックに使用されていたといえるものである。
5 請求人は、本件商標が商標法3条1項3号に該当するものであり、登録されてはいるが無効原因を有する商標である旨主張する。
しかしながら、本件審判は、本件商標が、その指定商品に使用されていたか否かが争われているものであるから、本件審判において、本件商標の特別顕著性(自他商品識別性)の有無を判断することはできず、上記の請求人の主張は失当である。
6 以上のとおり、本件商標は、これと社会通念上同一といえる態様をもって、本件審判請求の登録前三年以内に日本国内において、商標権者によって、その指定商品について使用されていたということができるから、商標法50条の規定によりその登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

審理終結日 2004-04-19 
結審通知日 2004-04-21 
審決日 2004-05-11 
出願番号 商願昭27-32355 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (266)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 山本 良廣
宮川 久成
登録日 1954-05-26 
登録番号 商標登録第445205号(T445205) 
商標の称呼 1=ゴルフマガジン 2=ゴルフ 
代理人 中村 政美 
代理人 門間 正一 

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