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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない Z36
管理番号 1106560 
審判番号 不服2001-18974 
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-10-23 
確定日 2004-10-21 
事件の表示 商願2000-38688拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「賃貸住宅保証」の漢字を標準文字で書してなり、願書記載の役務を指定役務として、平成12年4月12日に登録出願されたものであるが、その後、指定役務については、同13年6月27日付けの手続補正書によって、第36類「債務の信用保証その他の債務の保証」と補正されたものである。

2 原査定における拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、全体として『賃貸住宅に関する保証をすること。』という程度の意味を認識させる『賃貸住宅保証』の文字を標準文字で書してなるにすぎないものであるから、これを本願指定役務について使用しても、これに接する需要者は上記意味合いを認識するに止まり、何人の業務に係る役務であるかを認識することができない商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、その構成中の「賃貸住宅」について各種の辞典を徴すると、「所有者が居住者と賃貸借契約を結び、家賃をとって貸す住宅」(「日本語大辞典第二版」株式会社講談社 1995年7月3日)、「賃貸することを目的とする住宅」(「建築大辞典第2版」株式会社彰国社 1999年9月30日)等の記載が認められ、また、「保証」について各種の辞典を徴すると、「保証債務を負担すること」(「広辞苑第五版」株式会社岩波書店 1998年11月11日)、「法律で、他人の債務を請け合うこと」(「日本語大辞典第二版」株式会社講談社 1995年7月3日)等の記載が認められる。
そうすると、「賃貸住宅保証」の文字は、「賃貸しする住宅の保証債務を負担すること」の意味合いを容易に理解、認識させるとみるのが相当である。
このことは、例えば「賃貸しする住宅の保証債務を負担する」役務について、株式会社ジー・サーチの提供に係る新聞情報及びインターネットの情報をみると、以下のような記事が掲載されていることからも十分に裏付けられるところである。

(1)「賃貸住宅の保証人引き受けへ オリエントコーポレーション」の見出しのもと「賃貸住宅の保証人になります―。クレジット会社のオリエントコーポレーションは七日から、賃貸住宅に入居したい人の親族や知人に代わり、連帯保証人を引き受けるサービスを開始する。企業が有料で保証人になるサービスは初めて。」(「産経新聞」東京朝刊 8頁 1995.8.4)
(2)「オリエントコーポ 入居応援プラン試販 賃貸の保証人引き受け」の見出しのもと「オリエントコーポレーションは、賃貸住宅の保証人を引き受ける入居応援プラン『ザ・パートナー』を開発、全国の管理会社約百五十社が加盟する賃貸管理ビジネスネットワーク(社長・三好勉氏、東京)と提携、七日から同ネットに加入している二十社で試行販売を開始する。」(「日本工業新聞」13頁 1995.8.7)
(3)「オリコ、賃貸住宅の保証人引き受け(ニュースBOX)」の見出しのもと「信販最大手のオリエントコーポレーションは七日から、住宅を賃借する人の連帯保証人を同社が引き受けるシステム『ザ・パートナー』を始める。入居者は保証人を探す必要がなく、賃貸管理業者は入居者を審査する手間が省ける。賃貸住宅の保証人を請け負うシステムを導入するのは同社が初めて。」「日経流通新聞」15頁 1995.8.8)
(4)「知っ得コーナー:賃貸住宅の保証人がわりに」の見出しのもと「アパートや賃貸マンションを転居するときに面倒なのが保証人探し。普段懇意にしていない親類や知人に頼むにも精神的負担が大きいし、逆に親しい付き合いをしている人に保証を頼まれると断りにくい。そこで、信販会社のオリエントコーポレーションは、賃貸住宅の保証人を引き受けるサービスを開始した。」(「日本工業新聞」14頁 1995.8.16)
(5)「通年企画『きずな求めて』(48)『ホームレス』 まさか路上に寝るとは… バブル崩壊で会社員らも」の見出しのもと「『ホームレスやドヤ暮らしのお年寄りの話に耳を傾けることから始めました』。今川さんらは根気よく生活環境を聞き取り、賃貸住宅の保証人を引き受け、福祉サービスの受け方を助言する。ケースワーカー的な役割を果たすボランティアが七十人を超えるまでになった。」(「共同通信」1996.3.1)
(6)「賃貸住宅の保証人・集金…、オリコが引き受け――延滞家賃の立て替えも。」の見出しのもと「オリエントコーポレーションは賃貸住宅の入居者の保証人の引き受けから家賃の集金、催促交渉、延滞家賃の立て替えを一手に引き受ける新サービスを開始する。」「日経産業新聞」21頁 1996.7.18)
(7)「中高年シングル、快適に暮らす法 体験者がノウハウ本 『保証人代行』など活用」の見出しのもと「一人で暮らす人たちに役立つ生活の知恵を、市民グループが体験を基に本にまとめ、来月出版する。最近広がっている賃貸住宅の保証人の代行、葬儀の生前契約など一人暮らしに気配りしたサービスを紹介する一方、『自分でいろいろ工夫する姿勢も大切』と、グループのメンバーのアイデアも紹介している。」(「読売新聞」東京朝刊 20頁 1997.4.16)
(8)「暮らしの法律相談/賃貸住宅の保証人/滞納家賃など支払いの義務」の見出し(「河北新報」1998.3.21)
(9)「<小谷みどりの葬送NOW>58*年末年始*NPOが24時間相談」の見出しのもと「日本生前契約等決済機構は、今年二月に発足したNPOで、葬儀や家の片づけなど死後事務だけでなく、老人ホームや病院、賃貸住宅の保証人引き受け、日常の生活支援などの生前サービス業務も行う。」(「北海道新聞」朝刊全道 12頁 2000.12.24)
(10)「賃貸住宅の保証人――信販会社が引き受けも(キーワードの周辺)」の見出しのもと「気に入った賃貸住宅を見つけても、『要連帯保証人』という条件であきらめてしまった人も多いだろう。特に高齢者にとって連帯保証人を探すのは困難な作業だ。そんな悩みを解消しようと、日本賃貸住宅管理協会(日管協)の主導で、『高齢者入居支援サービス』が今春から本格的に動き出した。 このサービスは日管協と提携した信販会社が連帯保証人となり、入居者が月々の家賃の一・八%を保証料として支払うことで契約時の連帯保証人が不要になる仕組み。」(「日本経済新聞」朝刊 11頁 2001.7.1)
(11)「国交省/高齢者の住宅賃貸促進、日管協の賃貸管理士活用も」の見出しのもと「具体的には、日本賃貸住宅管理協会が行っている賃貸住宅保証制度を活用、支援する。03年10月をめどに住替え支援センターを設置。同協会が運営し、同センター内に『住宅循環円滑化保証基金』を設立(図)。サブリース契約に伴う預かり家賃の保証制度確立の支援として、住宅循環円滑化基金の造成のため、1億円の補助を行う。」(「住宅新報」2面 2003.1.14)
(12)「リプラスと東京賃貸 あす事業統合 保証人引き受け促進、入居率アップ狙う」の見出しのもと「高級分譲・賃貸住宅の企画を手がけるリプラス(社長・姜裕文氏、東京都港区、TEL03・5413・9455)は、賃貸住宅入居希望者の連帯保証人引き受けを行う東京賃貸住宅保証(社長・山本清典氏、東京都渋谷区)と四月一日付で事業統合する。統合により、家賃月十万円以上の物件への保証人引き受けを促進させて、入居率を高める。」(「日本工業新聞」3頁 2003.3.31)
(13)「リプラス、賃貸住宅入居者の保証人を引き受け。」の見出しのもと「高級分譲・賃貸住宅の企画会社であるリプラス(東京、姜裕文社長、03・5413・9455)は、賃貸住宅入居者の保証受託業務を始めた。保証受託を手がける旧東京賃貸住宅保証から四月に営業譲渡を受けた。首都圏など既存の営業地域を固め、全国展開を急ぐ。 旧東京賃貸住宅保証は保証人を見つけにくい高齢者らの保証人代行が主力で約九千件の実績がある。」(「日本経済新聞」朝刊 10頁 2003.5.5)
(14)「生活苦の母子世帯向け、企業・NPOが支援策 経営者育成、賃貸住宅の保証人も」の見出しのもと「Winkではこのほか、シングルマザーが住まいの入退去時に遭うトラブルに対処しようと、賃貸物件を借りる際の連帯保証人を代行するなどの活動を始めている。」(「読売新聞」東京朝刊 25頁 2003.5.10)
(15)「2003・きょうワイド 京の留学生住宅が整う『保証』基盤 『機構』制度、スタートから2年 より暮らしやすい地域に 市民、業者…さらに理解を」の見出しのもと「保証制度を利用する留学生はまず、年間七千五百円を払って内外学生センター(左京区)の留学生住宅総合補償に加入する。それを条件に、京都大、同志社大、立命館大など府内十九大学などでつくる大学コンソーシアム京都(下京区・キャンパスプラザ京都)が賃貸住宅の保証人となる。もし家賃の滞納などが発生すれば、積み立てておいた保証準備金から三十万円までが家主に保証される。」(「京都新聞」朝刊 22頁 2003.9.1)
(16)「ハウジング恒産 賃貸住宅の保証人受託/入居率向上へ、専門子会社を設立」の見出しのもと「ハウジング恒産(清水新一社長)はこのほど、保証人を見つけにくい賃貸入居者の連帯保証人役を引き受ける、全額子会社のライフセキュリティを設立した。自社管理物件だけに保証対象を限定し、1カ月分の賃料と同額の保証料を支払うことで、親など通常の連帯保証人が負う債務すべてをライフセキュリティが引き受ける。」(「住宅新報」4面 2004.2.3)
(17)「公社賃貸住宅保証制度のご案内」の見出しのもと「神奈川県住宅供給公社の賃貸住宅にご入居いただく際には、所定の条件を満たす『連帯保証人』を選定していただくことが必要ですが、事情により『連帯保証人』の選定ができない方につきましては、所定の費用負担と手続きにより『保証制度』をご利用いただくことができます。」(http://www.kanagawa-jk.or.jp/chintai/seido.html)
(18)「中央線『中野』駅 徒歩12分」の見出しのもと「連帯保証人不要(賃貸住宅保証制度利用)」(www.kkf.co.jp/souko/tyuo/nakano/hakkeisya.html)
(19)「保証證券取扱い」の見出しのもと「賃貸住宅の保証は保証証券で!」(http://www.geocities.com/tsohosclub/k2lhp.html)
(20)「筑波大学留学生後援会賃貸住宅連帯保証申請手続について」の見出しのもと「【対象者】本学の留学生で、後援会に、民間アパート等入居時の賃貸借契約の際の連帯保証人になってもらいたい者」(http://www.intersc.tsukuba.ac.jp/campus_life/jllc_j.htm)
(21)「名古屋大学留学生後援会賃貸住宅連帯保証申請手続きについて」の見出しのもと「名古屋大学留学生後援会賃貸住宅連帯保証を受けようとする留学生は、家主等に対する債務負担、留学生住宅総合補償への加入及び名古屋大学留学生後援会への報告等の義務を負うものとする。」(http://int-office.engg.nagoya-u.ac.jp/misc/chintai.htm)
(22)「外国人留学生賃貸住宅連帯保証制度」の見出しのもと「(本制度では留学生課長が連帯保証人になります)」(http://elsie.fish.hokudai.ac.jp/~seki/foreign/rentai/rentai.htm)
(23)「『留学生のための生活情報ガイドブック』」の見出しのもと「留学生が利用できる住宅に関する制度(留学生住宅総合補償制度、大阪大学留学生賃貸住宅連帯保証制度等)」(http://www.isc.osaka-u.ac.jp/japanese/guide/housing-j.html)
(24)「家賃債務保証」の見出しのもと「高齢者円滑入居賃貸住宅に登録された住宅を対象とした家賃債務保証・・・満60歳以上の高齢者の家賃を保証し、賃貸住宅への入居を促進・支援する制度です。」(http://www.koujuuzai.or.jp/html/page02_02.html)

してみると、本願商標をその指定役務に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その役務が賃貸しする住宅に関する債務の信用保証その他の賃貸しする住宅に関する債務の保証であることを表示したものと理解するに止まり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標といわなければならない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
なお、請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨を主張しているが、これらの登録例は、本願とは事案を異にするものであるから、請求人の主張は採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-08-19 
結審通知日 2004-08-24 
審決日 2004-09-09 
出願番号 商願2000-38688(T2000-38688) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (Z36)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高橋 謙司 
特許庁審判長 小川 有三
特許庁審判官 早川 文宏
岩内 三夫
商標の称呼 チンタイジュータクホショー、チンタイジュータク 
代理人 宇野 晴海 

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