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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Z25
審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない Z25
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない Z25
管理番号 1106527 
審判番号 無効2004-35091 
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-12-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-02-13 
確定日 2004-10-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第4598497号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4598497号商標(以下「本件商標」という。)は、「カシア」の文字を横書きしてなり、平成13年12月4日に登録出願、第25類「被服,履物」を指定商品として、同14年8月23日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の登録の無効の理由(商標法第4条第1項第11号及び同第10号)に引用する登録商標は、「カシオ」の片仮名文字と「CASIO」の欧文字を二段に横書きしてなり、昭和63年8月18日に登録出願された登録第2376281号商標及び同第2307964号商標であって、前者は、第17類「被服、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成4年1月31日に設定登録されたものであり、また、後者は、第22類「はき物、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成3年4月30日に設定登録されたものである。そして、上記両登録商標の書換登録後の指定商品は、いずれも商標登録原簿に記載のとおりである。(これらの登録商標をまとめて、以下「引用商標」という。)

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第27号証(枝番を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号及び同第10号違反について
(1)本件商標と引用商標の称呼について
本件商標は、その構成文字より「カシア」の称呼が生じる。
一方、引用商標は、その構成文字より「カシオ」の称呼が生じる。
本件商標の称呼「カシア」と引用商標の称呼「カシオ」は、共に3音から構成され、称呼において重要な要素を占める語頭音及び第2音の「カシ」の音を共通とし、語尾音の「ア」と「オ」の1音のみ相違する。
そして、差異音である「ア」と「オ」は、共に声帯を振動させて発生する有声音であり(甲第4号証の3及び4)、かつ、声道を開放して発声する開放母音であって、「お」が「あ」と「う」の中間音であることからも明らかなように、近似母音であって、音質が非常に似通っているものである。
過去の審決例によれば、称呼が3音で構成され、語尾の1音が相違し、相違音が同行音で「a」と「o」の母音を有するものが、称呼上類似と判断されたものが以下のように存在する(甲第5ないし11号証)。
(a)「Photona(フォトナ)」と「PHOTONO\フォトノ」
(b)「XYLA\キシラ」と「XYLO\キシロ」
(c)「アクタ\ACTA」と「ACT(アクト)」
(d)「Nutra(ヌトラ)」と「NUTRO(ヌトロ)」
(e)「ENICO(エニコ)」と「ENICAR(エニカー)」
(f)「FESTO(フェスト)」と「FESTA(フェスタ)」
(g)「SIGNA(シグナ)」と「SIGNO(シグノ)」
上記審決例によると、同行音は語調語感の近似性が高く、「a」と「o」も近似音であり、その差異が語尾音に位置しているため、全体に及ぼす影響が少なく、それぞれを一連に称呼すると彼此聞き誤るおそれがあるため、3音構成で語頭音を含む2音が共通し、語尾音の1音が相違している両商標は称呼類似であるとの判断をしているのである。したがって、上記審決例からしても、本件商標と引用商標は称呼類似であることは明白である。
(2)両商標の造語性について
両商標の造語性については、件外の商標登録異議申立事件(異議2002-90794:甲第12号証、以下「別件異議事件」という。)においても認めており、観念上の相違が、両商標の類否の判断に影響するものではないから、本件商標と引用商標の称呼類否の判断に影響するものではない。
(3)離隔的観察について
別件異議事件の異議決定は、「カシア」と「カシオ」の称呼における「ア」と「オ」の差異は、たとえ、語尾音とはいえ、僅か3音という短い音構成よりなる称呼全体に与える影響は決して小さいものとはいえず、それぞれを一連に称呼する場合には語調・語感が異なり、互いに紛れるおそれはなものというべきである旨認定し、本件商標と引用商標は、その称呼、外観及び観念のいずれにおいても非類似の商標である旨判断した。
しかしながら、上記決定における「カシア」と「カシオ」の称呼の類否判断は、離隔的観察の判断が看過されたものである。商標の類否判断をなすに当たっては、取引の実際からみても明らかなように、直接両商標を対照して比較するのではなく、時と場所を異にした場合に、商標に接する者が商標を間違えるかどうかという前提に立って観察すべきものである。
引用商標が、周知著名商標であることは別件異議事件においても容認されているところ、「カシア」の称呼と「カシオ」の称呼とが時と場所を異にして観察された場合には、看者をして、周知著名である「カシオ」が強く印象として残るものであるから、両者は周知著名な「カシオ」と関連性を有する商標であると、世人をして彼此誤認混同を生じるおそれのある商標であることは明らかである。
したがって、本件商標は、引用商標と称呼上類似の商標であり、かつ、その指定商品は同一若しくは類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号及び同第10号に該当する商標であり、その登録は無効とされるべきものである。
2 商標法第4条第1項第15号違反について
(1)「カシオ」の著名性等について
請求人は、1957年の創立以来、計算機のトップメーカーとしてビジネス用科学技術計算用の新製品を続々と開発し、1972年個人向け電卓「カシオミニ」の爆発的ヒットを機に、「高価」が当たり前だった電卓に一躍大衆化の道を切り開いた。その後、デジタル技術、小型化・低消費電力化技術を応用し、時計、電子楽器、デジタルカメラ、モバイルPC等新たな市場ジャンルを打ち立て、新製品を生みだしてきた。特に、1983年に発売した耐衝撃腕時計「G-SHOCK」は、日本のみならず、米国においても人気を博し、その結果、「CASIO」、「カシオ」(両者をまとめていうときは、以下「引用標章」という。)は、国際的ブランドとなったといっても過言ではなく、需要者間に広く知られている商標であるといえる(甲第13号証)。
その証左として、請求人は、「CASIO」の文字を書し、第11類「電子計算機、その他本類に属する商品」を指定商品とする登録第2062072号を登録商標並びに該登録商標を原登録商標とする防護標章(防護第3号:指定商品「被服、その他の本類に属する商品」、防護第6号:指定商品「はき物、その他本類に属する商品」)を所有している(甲第14ないし16号証)。商標審査基準において「『需要者の間に広く認識されている商標』の認定に当たっては、防護標章された商標と認定された商標は、その登録に従い需要者の間に広く認識された商標と推認して取り扱うものとする。」(26頁)とされていることから、特許庁において商標「CASIO」が需要者の間で全国的に広く知られている商標であることは顕著な事実である。
また、特許庁電子図書館中の「日本国周知・著名商標検索」において、請求人を権利者として検索すると、「CASIO」を検索することができ、さらに、昭和63年6月20日発行の日本商標名鑑には、引用標章が掲載されている。また、「FAMOUS TRADEMARKS IN JAPAN」に「CASIO」が掲載されている(甲第17ないし19号証)。
ローマ文字からなる「CASIO」が需要者間に広く知られている商標であると同時に、日本最大級のインターネット検索サイト「Yahoo! JAPAN」の「ページ検索」で片仮名文字の「カシオ」の語を検索すると、90300件もの使用例が確認された(甲第20号証)。また、請求人のみならず、そのグループ企業も同様に、その社名中に片仮名文字の「カシオ」の語を有しているものであって、「カシオ」グループを構成しているものである。
また、請求人の主力製品の一つである腕時計「G-SHOCK」は、平成13年10月20日に発行された「腕時計王Vol.10」(KKベストセラーズ発行)によれば、特集「超絶人気ウオッチ 最新ランキング 150」において第6位に位置している(甲第21号証)。
(2)商品「被服、履物」と「腕時計」との関連性
上述のとおり、請求人の代表的な商品である腕時計「G-SHOCK」は、カシオとしてのブランド力の高さを最も顕著に認識できる商品の一つであるところ、上記「G-SHOCK」は、他のランキング上位の海外ブランドの腕時計と比較して、価格も比較的割安であるため、幅広い層に支持されている商品である(甲第22号証の2)。
本件商標の指定商品である「被服、履物」と「腕時計」との関係に関し、昭和63年(行ケ)100号判決(東京高裁裁判所、平成元年3月14日判決言渡:甲第23号証)は、「『時計』は、時刻を表示し又は測定するという実用的な面と同時に、装飾のために身に付ける装身具としての面を持ち合わせており、時計を衣服等に合わせて、あるいは衣服等に時計を合わせて用いられることもあるのであって、しかも、本願商標の指定商品中の被服等とは使用状態、使用目的等において密接な関係を有していると解するのが相当であ」る旨判示し、さらに「被服と時計のように、コーディネイトの対象となる商品同士、換言すれば、同一の用途に使用されるような商品同士であれば、原告主張のような共通要素がなくても出所の混同を生ずるおそれのあることは否定できない」旨判示している。
したがって、需要者層も本件商標の指定商品「被服」と共通する可能性が高く、上述のとおり、本件商標と「カシオ」は相紛らわしいものであることから、本件商標を指定商品に付して販売した場合、出所の混同を生じるおそれがあることは明らかである。並びに、「カシオ」は、請求人を表示する商標として著名であるから、非類似の商品に類似の商標を付して販売した場合にも、需要者間において出所の混同を生じ得るおそれがある。
前掲別件異議事件において、「『カシオ』及び『CASIO』の商標が、申立人の業務に係る商品『時計、電子文具、電卓、デジタルカメラ、携帯端末』等を表示するものとして著名であることは認められるとしても・・本件商標から引用商標を直ちに連想又想起するようなことはなく、・・その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものとある」とするが、「CASIO」を原登録商標とする防護標章登録が旧第17類の「被服、その他の本類に属する商品」及び旧第22類の「はき物、その他本類に属する商品」においてされているということは、商品被服、はき物等に商標「CASIO」を付して使用した場合に、請求人の商品と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
(3)商標法第4条第1項第15号の適用に当たっては、「その他人の業務に係る商品又は役務であると誤認し、その商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について混同するおそれがある場合のみならず、その他人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品又は役務であると誤認し、その商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について混同するおそれがある場合もいう。」ことは、商標審査基準(41頁)からも明らかである。
現に、請求人は、耐衝撃腕時計「G-SHOCK」関連のTシャツなどを売出し、需要者のニーズに応じたオリジナルTシャツの製造販売を行っている(甲第24号証)。そして、請求人は、「カシオ」、「CASIO」の語にちなみ、商標「カシオペア」及び「CASSIOPEA」、商標「カレイド」及び「CALEID」をPDF(携帯情報端末機)(甲第25、26号証)に使用し、商標「カビス」及び「CAVIS」を商品画像入力システムに使用している(甲第27号証)。これらの事実から、本件商標に接した需要者は、「カシオ」、「カシア」について、誤認混同を生ずるおそれがある。また、請求人は多数の子会社や関連会社を擁しており、本件商標を付した商品が、請求人の業務に係る商品であると認識しなくても、その子会社又は関連会社等経済的又は組織的に何らかの関連性がある者による商品であると誤認し、その出所について混同を生じるおそれがある。
(4)以上のとおり、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する商標であり、その登録は無効とされるべきものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、前記第3の請求人の主張に対し、何ら答弁するところがない。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号及び同第10号について
(1)本件商標は、前記したとおり、「カシア」の文字を書してなるものであるから、これより「カシア」の称呼を生ずるものである。また、「カシア」の語は、食品等の香料や漢方薬として使用される「桂皮」を意味する英語「cassia」の片仮名表記であり、香料や漢方薬の分野において知られているのみならず、一般の世人の間においてもある程度知られている語というのが相当であるから、本件商標は、これより「桂皮」の観念を生ずるものである。
これに対し、引用商標は、前記したとおり、「カシオ」と「CASIO」の文字を二段に横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して「カシオ」の称呼を生ずるものであり、これより請求人の略称ないし請求人の取扱いに係る商品について使用される商標が想起されるというのが相当である。
そこで、本件商標より生ずる「カシア」の称呼と引用商標より生ずる「カシオ」の称呼を比較すると、両称呼は、いずれも3音といった短い音構成よりなるものであって、「カシ」の音を共通にし、語尾において「ア」と「オ」の音の差異を有するものである。
そして、該差異音は、それ自体単独で発音するときは、いずれも明瞭に響く音である。加えて、「カシア」の称呼を全体として称呼するときは、第2音の「シ」の母音「i」と3音の「ア(a)」は、重母音を形成しないものの、例えば、「ロシア」を「ロシヤ」と発音する場合があるように、「カシヤ」のごとく発音される傾向にある。これに対し、「カシオ」の称呼を全体として称呼するときは、「カ」「シ」「オ」と1音1音明瞭、かつ、平坦にに発音されるものである。
そうすると、両称呼は、いずれも3音といった短い音構成よりなるうえに、語尾において「ア」と「オ」の音の差異を有することにより、称呼全体の語調、語感が大きく異なるものであるから、それぞれの称呼を一連に称呼する場合においても、互いに聞き誤られるおそれはないというのが相当である。
また、本件商標と引用商標とは、前記したとおりの観念を有するものであるから、観念上相紛れるおそれはなく、むしろ観念上の差異が両商標より生ずる称呼を識別するうえで大きな影響を及ぼすというべきである。
さらに、本件商標と引用商標とは、それぞれ前記した構成よりみて、外観上明らかに区別し得るものである。
以上によれば、本件商標と引用商標は、称呼、観念及び外観のいずれの点においても非類似の商標といわなければならない。
(2)請求人の主張について
請求人は、引用商標が著名であることは別件異議事件においても認められているところ、「カシア」の称呼と「カシオ」の称呼とが時と場所を異にして観察された場合には、看者をして、著名な「カシオ」が強く印象として残るものであるから、両者は周知著名な「カシオ」と関連性を有する商標であると、世人をして彼此誤認混同を生じるおそれのある商標である旨主張する。
しかしながら、別件異議事件において、著名商標であるとしたのは、商品「時計、電子文具、電卓、デジタルカメラ、携帯端末」について使用される引用標章であって、被服、履物等について使用される引用商標が著名であると認定したわけではなく、また、引用商標が被服、履物等について使用され、需要者の間に広く認識されているという証拠も見出せない。
仮に引用商標より生ずる「カシオ」の称呼から、請求人の著名な略称が想起されるとすれば、それが著名であるだけに、本件商標より生ずる「カシア」の称呼と聞き違えることはほとんどあり得ないと考えられる。
したがって、上記請求人の主張は採用することができない。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)「CASIO」、「カシオ」(引用標章)について
甲第13号証ないし甲第22号証の2によれば、請求人は、昭和32年(1957年)6月に設立された会社であり、各地に「カシオ」を冠し又は含む社名の子会社、関連会社を擁し、電子楽器、電子手帳、電卓その他小型の電子機器、時計、液晶デジタルカメラ等の製造販売を行っていること、これらの商品について、引用標章を本件商標の登録出願前より継続して使用してきたこと、1983年に発売した腕時計「G-SHOCK」は、平成13年10月20日発行の「腕時計王Vol.10 人気ウオッチ最新ランキング150」において6位に位置し、若い世代を中心に人気を博していること、昭和63年(1988年)当時には、引用標章は、商品「電子応用機械器具、時計」等について使用するものとして、「日本商標名鑑’88」に掲載されたこと、「CASIO」商標は、「FAMOUS TRADEMARKS IN JAPAN」に掲載されたこと、「CASIO」の文字を書し、第11類「電子計算機、その他本類に属する商品」を指定商品とする登録第2062072号商標は、平成3年政令第299号による改正前の商標法施行規則別表による商品区分及び指定商品、第17類「被服、その他の本類に属する商品」及び第22類「はき物、その他本類に属する商品」について防護標章登録がされたことなどが認められる。
(2)上記(1)で認定した事実によれば、引用標章は、本件商標の登録出願前には既に、請求人の取扱いに係る時計、電子応用機器を中心とする商品の商標として、需要者の間に広く認識されていたものということができる。
しかしながら、前記1で認定したとおり、本件商標は、「カシオ」の片仮名文字と「CASIO」の欧文字を二段に横書きしてなる引用商標とは、商標それ自体異なるものであり、したがって、引用標章とも異なるものであることは明らかである。
また、「CASIO」の文字よりなり、指定商品を第11類「電子計算機、その他本類に属する商品」とする登録第2062072号商標につき、第17類「被服、その他の本類に属する商品」及び第22類「はき物、その他本類に属する商品」を指定商品とする防護標章登録がされたことが認められるとしても、これは、他人が「CASIO」の文字よりなる商標を上記第17類「被服、その他の本類に属する商品」及び第22類「はき物、その他本類に属する商品」について使用した場合、電子計算機等について使用され、需要者の間で著名性を獲得している「CASIO」商標との間で商品の出所の混同を生じさせるおそれがあるから、混同を生ずるおそれがある商品として、登録商標と同一の標章について防護標章登録がされ、他人のその標章の使用を禁止排除することができるというものであって、請求人自ら第17類及び第22類の指定商品について、「CASIO」商標の使用をするものではなく、また、これら商品に「CASIO」商標が使用され、需要者の間で広く認識されているという証拠の提出もない。そして、本件商標は、上記のとおり、「CASIO」ではなく、これと称呼、観念及び外観において類似しない「カシア」の文字よりなるものである。
そうすると、電子機器、時計、液晶デジタルカメラ等と生産者、販売者、用途等を全く異にする本件商標の指定商品に本件商標を使用したとしても、これに接する需要者は、請求人若しくはその子会社等が使用する引用標章を想起することはないというのが相当である。
したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
上記に関し、請求人は、同人は腕時計「G-SHOCK」関連のTシャツなどを売出し、需要者のニーズに応じたオリジナルTシャツの製造販売を行っている旨主張し、さらに、「カシオ」、「CASIO」の語にちなみ、商標「カシオペア」及び「CASSIOPEA」、商標「カレイド」及び「CALEID」をPDF(携帯情報端末機)に使用し、商標「カビス」及び「CAVIS」を商品画像入力システムに使用しているから、本件商標に接した需要者は、「カシオ」、「カシア」について、誤認混同を生ずるおそれがある旨主張する。
しかし、請求人が「G-SHOCK」関連のTシャツなどを販売している事実を立証する証拠は、本件商標の登録査定日以降である2002年12月20日に打ち出された請求人のホームページにおける通販サイトであり、しかも、Tシャツ等に引用標章が使用されていることは確認することはできない。
また、請求人が同人の取扱いに係る商品について、「カシオペア/CASSIOPEA」、「カレイド/CALEID」等の商標を使用していることは認められるとしても、これら請求人の使用に係る商標と本件商標とがどのような関連性を有するのか明らかでなく、しかも、「カシア」の語は、前記したとおり、「桂皮」を意味する既成の語であって、これが商標法第3条の登録要件を具備し、かつ、同法第4条の不登録事由等に該当しない限り、何人も採択し、使用することができる商標であるから、これと商標において別異な引用標章をはじめ、種々の商標を請求人がその取扱いに係る商品に使用していることをもって、「カシア」の文字よりなる本件商標をその指定商品について使用することを排除することはできない。したがって、上記請求人の主張は理由がない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号に違反してされたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-08-18 
結審通知日 2004-08-19 
審決日 2004-09-07 
出願番号 商願2001-107920(T2001-107920) 
審決分類 T 1 11・ 26- Y (Z25)
T 1 11・ 25- Y (Z25)
T 1 11・ 271- Y (Z25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 富田 領一郎 
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 内山 進
津金 純子
登録日 2002-08-23 
登録番号 商標登録第4598497号(T4598497) 
商標の称呼 カシア 
代理人 羽切 正治 

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