ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 登録しない Z36 |
---|---|
管理番号 | 1104837 |
審判番号 | 不服2002-13645 |
総通号数 | 59 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2004-11-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-07-19 |
確定日 | 2004-10-04 |
事件の表示 | 商願2000- 83587拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「e-さいふ」の文字を標準文字により表してなり、第36類「電子取引上の電子サイフ」を指定役務として平成12年7月28日に登録出願され、その後、指定役務については、平成14年11月1日提出の手続補正書により「電子マネー利用者に代わってする支払代金の決済」に補正されたものである。 2 原査定の拒絶理由の要旨 (1)本願商標は、昨今においてはコンピュータネットワーク上の商取引を指称するものとして「電子」等の意味を有する「electronic」の略称であるアルファベット一文字の「E、e」を用いた語が、例えば「e-commerce(電子商取引)」「e-money(電子マネー)」のように一般に用いられていることよりすれば、本願商標からは「電子さいふ」の意が生ずるところ、近年、電子商取引において、例えばネット上に金額のデータを登録しておき、そこから支払代金の精算等を行うことを「電子サイフ」「電子さいふ」と称している事実があることよりすれば、これを本願指定役務が「電子マネー利用者に代わってする支払代金の決済」であるならば、それに使用しても、単に役務の質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)本願の指定役務「電子取引上の電子サイフ」は、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められず、また、該役務が不明確でその内容及び範囲を把握できないことから、政令で定める商品及び役務の区分に従って第36類の役務を指定したものと認めることもできない。したがって、本願は、商標法第6条第1項及び第2項の要件を具備しない。ただし、上記役務が「電子マネー利用者に代わってする支払代金の決済」であるならば、その旨補正したときはこの限りではない。 3 当審の判断 当審において、本願の指定役務は、平成14年11月1日提出の手続補正書により「電子マネー利用者に代わってする支払代金の決済」に補正された結果、上記2(2)の拒絶理由は解消したものと認められる。 そこで、以下、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かについて検討する。 ところで、昨今のコンピュータ、インターネット等の進展は目覚ましく、インターネット等を通じてあらゆる情報交換をすることが可能となっており、企業活動におけるあらゆる情報を電子化し経営効率を向上させようとすることが活発に行われ、企業内での連絡やデータ管理に止まらず、インターネット等のネットワークを利用して通信を行ったり、契約、決済、商品の売買等の商取引が行われていることは公知の事実である。 しかして、これらコンピュータネットワークを利用したシステムの一つに「電子サイフ」がある。そして、インターネットの「Multimedia & Internet Dictionary」(http://www.kaigisho.ne.jp/literacy/midic/data/k19/k19554.htm)によれば、「電子サイフ」とは、「デビットカードをさらに発展させ、ICカードに現金残高が記録でき、利用するたびにカード・リーダーで残高が変更できるシステムの総称。銀行に預けてあるお金がまるで自分の財布にある現金のように取り扱えることから電子の財布(電子サイフ)と呼ばれる。」とされ、「デビットカード」とは、「銀行のキャッシュカードのように預金口座からカード利用代金が決済されるカード・システムの総称。」とされる。 この「電子サイフ」が一般的な用語として普通に使用されていることは、例えば、以下の新聞報道記事によっても首肯し得るものである。 ア)読売新聞、2003.10.17大阪朝刊 「[IT探検隊]ネットオークションの仲介 取引に安心感 返品できて代金も戻る」の表題下における 「■電子財布 次は代金の支払いだ。・・・・電子サイフは、オークションチェックの電子口座のことだ。・・・・電子サイフに入金する手数料・・・・」 イ)読売新聞、2001.06.02大阪朝刊 「[ベンチャー新世紀]「携帯」ネットの新サービス 競うアイデア、参入急増」の表題下における 「◆電子決済 ・・・・ネット上に金額のデータを登録しておく”電子サイフ”を手掛けてきた。郵便貯金口座から一定の金額を移しておいて、ネット上での支払いに利用できるサービスだ。・・・・初めての人が電子サイフを使えるように・・・・」 ウ)読売新聞、1996.07.31東京朝刊 「電子マネー人気今一つ アトランタ五輪で大規模実験 機械トラブル続出」の表題下における 「電子マネーは、大きく分けてIC(集積回路)カードを使った「電子サイフ型」と、インターネットなど通信での決済に使う「ネットワーク型」がある。」 エ)流通サービス新聞、1990.12.25 「北九州の黒崎連合商店街、ICカードを決済手段へ。4年度メドに実験開始」の表題下における 「カードは加入店のみで利用できるお金(情報)が入った”電子サイフ”となり、必要に応じ銀行口座からカードへ情報の引き出しを行った後、利用する仕組み。」 オ)日刊工業新聞、1990.12.19 「黒崎連合商店街振興組合、POSネット構築へ。ICカードで決済、学識者らで検討委」の表題下における 「ICカードを顧客が加入商店のみで使用できるお金(情報)を入れた”電子サイフ”と考え、必要に応じ銀行口座から・・・・」 等の記述がある。 そして、コンピュータネットワーク、インターネット等に関連した種々の用語には、「電子の」等を意味する英語「electronic」の略称としての「e」を語頭に冠して「e-○○」、「E-○○」のように用いられているものが、例えば、インターネット等のネットワークを利用して契約や決済等を行う取引形態を意味する「電子商取引」(electronic commerce)が、「e-commerce」「eコマース」と称され、コンピュータを使った電子郵便を意味する「電子メール」(electronic mail)が、「e-mail」「E-mail」「Eメール」と称され、インターネットだけで通用する「電子マネー」(electronic cash)が「Eキャッシュ」と称されているほか、「e-business」「eビジネス」、「e-government」「eガバメント」「e政府」、「e-mail address」「eメールアドレス」、「e-marketplace」「eマーケットプレイス」「e市場」、「e-learning」「eラーニング」、「E-Japan strategy」「Eジャパン構想」のように普通に用いられている例が多数存在する。 以上からすると、本願商標をその指定役務に使用した場合には、これに接する取引者、需要者が、「e-」の文字部分をコンピュータネットワーク、インターネット等に関連した電子の何かであろうと認識するといえるから、それに続く「さいふ」の文字と相まって、本願商標全体から電子のさいふ、つまり上記の「電子サイフ」の意味合いを容易に把握、認識し、該役務が電子サイフを利用した役務であるということ、すなわち役務の内容、質を表示したものと認識するに止まり、本願商標は、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-08-05 |
結審通知日 | 2004-08-06 |
審決日 | 2004-08-25 |
出願番号 | 商願2000-83587(T2000-83587) |
審決分類 |
T
1
8・
Z13-
Z
(Z36)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 佐藤 松江 |
特許庁審判長 |
野本 登美男 |
特許庁審判官 |
茂木 静代 三澤 惠美子 |
商標の称呼 | イイサイフ、エサイフ |
代理人 | 田中 克郎 |
代理人 | 稲葉 良幸 |