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審判番号(事件番号) データベース 権利
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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 132
管理番号 1104598 
審判番号 取消2003-30105 
総通号数 59 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-11-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-01-29 
確定日 2004-09-13 
事件の表示 上記当事者間における登録第1164720号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 請求に係る登録商標
本件登録第1164720号商標(以下「本件登録商標」という。)は、「カール」の片仮名文字を書してなり、昭和47年9月6日に登録出願され、平成3年政令第299号による改正前商標法施行令第1条別表(以下「旧分類」という。)第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、昭和50年10月20日に商標権の設定登録がされ、当該商標権は、昭和60年11月14日及び平成7年11月29日の2回にわたり存続期間の更新登録がされている。
そして、指定商品中の「食用水産物」についての登録は、商標権一部取消し審判の請求(平成3年審判第14685号)がされ、その登録を取り消す旨の審決が確定して平成5年3月30日に登録されている。
また、当該商標登録原簿の丙区には、通常使用権者を「株式会社明治屋」(以下「明治屋」という。)とし、「地域 日本全国、期間 本件商標権の存続期間満了の日まで、内容 指定商品 マカロニ、スパゲツテイー」を範囲として昭和52年1月17日に通常使用権の設定登録がされている。
本件審判請求の登録は、平成15年2月26日にされた。

第2 請求人の主張
請求人は、本件登録商標の指定商品中「加工穀物、すし、べんとう、サンドイッチ」について登録を取り消す、との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1.請求の理由
本件登録商標は、請求人の知る限り、本審判請求前3年以内に指定商品中「加工穀物、すし、べんとう、サンドイッチ」について商標権者により使用された事実がない。また、本件登録商標が専用使用権者または通常使用権者により使用されていることを推認する根拠もない。
したがって、被請求人が本請求の登録前3年以内に本件登録商標が使用されていることを証明し、または使用されていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、商標法第50条第1項の規定により、本件登録商標の登録は取消されるべきである。
2.弁駁の理由
(1)通常使用権許諾契約書について
乙第1号証の商標通常使用権許諾契約書(以下「当該許諾契約書」という。)は、自動更新条項はあるものの昭和51年8月締結のもので、第11条によると明治屋が「カール」の使用を中止した場合、契約は自動的に失効することとなっている。つまり使用を中断するとその時点で契約は失効することとなる。
乙第2号証の商標登録原簿によると、昭和52年1月に通常使用権の設定登録がなされ、期間は「本件商標権の存続期間満了の日まで」、すなわち、昭和60年10月20日までとなっている。その後、商標権の更新は行われているが、通常使用権の設定登録は行われていない。
また、契約の一方の当事者である明治屋からは、現在、当該許諾契約が有効である旨の証拠は提出されていない。
当該許諾契約第8条で「登録商標である旨の表示をするようにつとめる。」と規定されているが、乙第3号証によると、明治屋の登録商標である「MEIDI-YA'S」の文字には登録商標である旨の表示が明記されているが「カール」には何ら表記がないことから、通常使用権者としての使用かどうか不明である。
さらに、明治屋は、現在、マカロニに「カール」を表示しているが、表示の仕方をみても後述するようにカール状のマカロニの表示にすぎず、商標としての使用とは認められない。
以上から、当該許諾契約書のみでは、現在、有効に存続していることを立証するには足りないと考える。
(2)明治屋「カールマカロニ」の表示について
乙第3号証及び乙第4号証の「カールマカロニ」の表示は、マカロニの普通名称の表示であり商標の使用には該当しないものと考える。
乙第4号証「明治屋製品のご案内」35頁の「マカロニ」の頁には黒帯の中の白抜き文字で「ペンネマカロニ」、「カールマカロニ」、「シェルマカロニ」、「ツイストマカロニ」、「サラダマカロニ」、「エルボマカロニ」の表示とパッケージの掲載からなる9品目6種類のマカロニが掲載されている。
「ペンネマカロニ」、「カールマカロニ」、「シェルマカロニ」、「ツイストマカロニ」、「サラダマカロニ」、「エルボマカロニ」は、すべてマカロニの種類を表す普通名称である(甲第1号証)。
「ペン先」のような形状であることから「ぺンネマカロニ」、貝のような形状から「シェルマカロニ」、ねじれ形の「ツイストマカロニ」、ひじのように湾曲した形の「エルボマカロニ」と、マカロニの種類を表す名称は形状からネーミングされたものが多数ある。
「カールマカロニ」は、「渦を巻いた」形状、すなわち、「カール状」であることから「カールマカロニ」と称されるものである。
すなわち、明治屋の「カールマカロニ」の表示は、業界の慣例からして普通名称の表示にすぎないものと考える。
明治屋は、自社の登録商標「MEIDI-YA'S」にはRマークを明示しているにもかかわらず「カールマカロニ」の部分にはRマークを表示していないこと、乙第3号証の明治屋「カールマカロニ」のパッケージの裏面の表記に「明治屋の/カールマカロニ」と表記していることからも、「MEIDI-YA'S」を他の商品と識別するための商標として、「カールマカロニ」はマカロニの種類を表す普通名称として使用していることがわかる。
明治屋のパッケージの構成は、同社登録商標である「明治屋の」を意味する「MEIDI-YA'S」の文字と、「カールマカロニ」を表す英文字筆記体とその下に英文字と比較して小さな文字でカタカナ表記がされ、各々のマカロニの調理例が掲載されている。
「カールマカロニ」は中央に大きく表示されているが、客観的にみても商標としての表示とはいえない。
マカロニのパッケージは、通常、普通名称を中央に目立つように表示し、商標となる名称をその上部に記載する。これは、マカロニにはいくつもの種類があり、同一ブランドで種類の異なるマカロニを販売するため、種類を明示するため目立つ表示をするものである(甲第2号証ないし甲第4号証)。
以上から、使用証明として提出された乙第3号証及び乙第4号証の「カールマカロニ」の表示は、自他商品を識別するための商標ではなく、カール状のマカロニを表示する普通名称「カールマカロニ」の表示にすぎない。
(3)以上の(1)及び(2)から、被請求人の通常使用権者である明治屋の使用は本件登録商標の使用には該当せず、したがって、本件登録商標は、本件審判請求前3年以内に使用しているものではなく、商標法第50条第1項の規定に該当し、取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。
1.答弁の理由
被請求人は明治屋に対し、本件登録商標をその指定商品中「マカロニ、スパゲッティー」について通常使用権を許諾している。
そして、通常使用権者である明治屋は本件登録商標指定商品中「加工穀物」に属する商品である「マカロニ」について本件登録商標「カール」を使用しているので、本件登録商標は商標法第50条第1項の規定には該当せず、取り消されるべきものではない。
(1)乙第1号証は、被請求人と通常使用権者である明治屋との間で締結された昭和51年8月2日付商標通常使用許諾契約書の写しである。ここから、本件登録商標に関しその指定商品中「マカロニ、スパゲッティー」について通常使用権が許諾されていることが明らかである。
そして、通常使用権の期間は同契約書第1条中に「本件商標権の存続期間満了の日まで」と定められており、第3条として「甲(被請求人)は事情の変更のない限り本件商標の存続期間を更新するものとする。」との条項があることから、当該通常使用権は現在も有効に存続しているものである。
なお、当該契約書中には被請求人「株式会社日清製粉グループ本社」は旧商号である「日清製粉株式会社」と記載されており、住所も現住所とは異なる「東京都中央区日本橋小網町19番12号」となっているが、これはいうまでもなく契約締結時においては被請求人が旧名称、旧住所であったからである。「日清製粉株式会社」が被請求人の旧商号であり、「東京都中央区日本橋小網町19番12号」が被請求人の旧住所であることは本件登録商標の商標原簿(乙第2号証)からも明らかである。
(2)乙第3号証は、明治屋が現在販売している「マカロニ」の写真である。ここから、同商品に本件登録商標「カール」が実際に使用されていることが立証される。
なお、同商品のパッケージ中「賞味期限05.12.6」との刻印は賞味期限が2005年12月6日であることを意味している。
(3)乙第4号証は、明治屋の商品カタログ「明治屋製品の御案内」である(副本には同カタログの抜粋写しを添付した。)。
同カタログ第35頁に本件登録商標が使用されている「マカロニ」が掲載されており、第3頁及び裏表紙に「平成14年6月1日現在」と印刷されていることから、同カタログの頒布により本件登録商標が本件審判請求の登録前3年以内に使用されていることが立証される。
(4)以上の乙各号証により、本件登録商標は乙第1号証の当該許諾契約締結の下、日本国内において通常使用権者により「マカロニ」の商標として使用されていることが立証されるものである。
2.(第二回)答弁の理由
(1)通常使用権許諾契約書(写し)について
そもそも通常使用権の場合、登録は契約の効力発生要件ではないから、登録がないことをもって契約の有効性を争うことはできない。現時点において通常使用権の設定登録が行われていないことは何ら被請求人の主張の正当性を否定する根拠となり得ないものである。当該許諾契約に基づき、明治屋が本件登録商標の正当な使用権者であることに何ら変わりはない。
そして、当該許諾契約が現在も有効であるとする明治屋からの証明書を提出する(乙第5号証)。これから、通常使用権許諾契約の契約期間である「商標権の存続期間中」とは「商標権の存続期間が更新された期間」も含む趣旨であると明治屋も認識していること、また、明治屋は本件登録商標を明治屋が販売する「マカロニ」に現在も商標として使用していることが明らかである。
(2)明治屋による「カール」の使用について
乙第3号証及び第4号証に示したとおり、明治屋は商品のパッケージ中央上部にひときわ目立つ態様で大きく表示してなるものであり、同文字部分が商標であることを直感させるものである。加えて、使用権者である明治屋も上述の証明書において述べているように、「カール」を商標として認識した上で、商標として使用しているものである。
さらには、使用権者である明治屋は食品のみに限っても膨大な商品を取り扱っており、単に「MElDI-YA'S」と表示したのみではこれが明治屋の如何なる商品を指すのか、全く識別することができない状況にある。
このことからも、「カール」の文字は個々の商品を識別するための商品商標として、即ち識別標識として機能していることが明らかである。
また、請求人は甲第1号証ないし甲第4号証を挙げて、明治屋の「カール」の使用は商標としての使用には該当しないとしている。しかしながら、請求人が挙げた甲各号証のうち、実際の商品パッケージにおいて「カール」と表示されているものはわずかに一例しか見あたらない。しかも、同商品は請求人の製造、販売に係る商品であることから、この証拠を以て当業界で「カール」が普通名称として一般に使用されているという客観的な証拠とはなり得ないものである。

第4 当審の判断
本件審判請求は、商標法第50条第1項の規定により本件登録商標の指定商品中「加工穀物、すし、べんとう、サンドイッチ」について、その登録の取消しを求めるものであって、本件登録商標は、商標の構成を「カール」の片仮名とし、指定商品を旧分類第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品(他の類に属するものを除く)、但し、食用水産物を除く。」とするものであり、その請求の登録は、平成15年2月26日にされたこと上記のとおりである。
そして、当該審判請求があった場合、同第2項において、その審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品等のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、その指定商品等に係る登録商標は取消しを免れないとされている(ただし、その審判請求に係る指定商品等についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときは、この限りでない。)。なお、商標法で「商標」とは、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩の結合(以下「標章」という。)であり、業務を行うものが商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの等(商標法第2条第1項)、そして、「登録商標」とは、商標登録を受けている商標という(同条第2項)とされ、また、標章について「使用」とは、商品又は商品の包装に標章を付する行為、商品等に関する広告、定価表又は取引書類に標章を付して展示し、又は頒布する行為等をいう(同条第3項)とされている。
しかして、被請求人は、本件登録商標は取消請求に係るその指定商品中、「加工穀物」に属する「マカロニ」について、本件審判請求の登録前3年以内に通常使用権者により使用されたものと述べているのに対し、請求人は、大旨、当該許諾契約書(乙第1号証)のみでは、現在、通常使用権許諾契約が有効に存続していることを立証するには足りず、また、使用証明として提出された乙第3号証及び乙第4号証の「カールマカロニ」の表示は、自他商品を識別するための商標ではなく、カール状のマカロニを表示する普通名称「カールマカロニ」の表示にすぎないから、通常使用権者の使用は本件登録商標の使用には該当しないと反論している。
そうすると、本件審判の争点は、1.本件審判請求の登録(平成15年2月26日)前3年以内においても、明治屋が通常使用権者といえるものであったか。2.商品「マカロニ」に使用される「カール マカロニ」等の表示は、本件登録商標の使用と認められるか否かである。そこで、これらに関して判断する。
1.明治屋は通常使用権者であるかについて
商標権者は、当該商標権について他人に通常使用権を許諾することができるとされ、その登録の効果は当該商標権又は専用使用権をその後に取得した者に対してその効力を生ずるとされ(商標法第31条第1項)、通常使用権の発生の要件は商標権の登録原簿への登録によるものでなく、当事者間の許諾契約により効力を生ずるものと解される。また、通常使用権の変更、消滅等も登録をもって第三者対抗要件とされているところ(同条第4項で準用する特許法第99条第3項)、被請求人の提出に係る乙第1号証(当該許諾契約書)によれば、被請求人(商標権者)は明治屋(住所「横浜市中区尾上町5丁目76番地」は事業所所在地と推認できる。)との間において、昭和51年8月2日付で本件登録商標の通常使用権に関し、「地域 日本全国、期間 本件商標権の存続期間満了の日まで、内容 指定商品 マカロニ、スパゲツテイー」を範囲として許諾する旨の通常使用権契約を取り交わしたことが認められ、さらに、明治屋が証明した平成16年3月30日付の乙第5号証によれば、その期間について「商標権の存続期間が更新された期間」も含む趣旨と認識していること、及び本件登録商標「カール」を商品「マカロニ」に現在も商標として使用している旨が認められる。
してみれば、当該許諾契約(乙第1号証)の存在と使用権の期間等を認める書証(乙第5号証)により、被請求人(商標権者)と明治屋(通常使用権者)との関係は証明されたものといえるから、本件登録商標の通常使用権者による使用について疑義の存する旨述べる請求人の主張は採用することができない。
2.商品「マカロニ」に使用される「カール マカロニ」について
(1)明治屋(通常使用権者)による使用について
(ア)乙第3号証は、商品「マカロニ」のパッケージを撮った写真4葉であるところ、そのパッケージ表面の上部に大きく筆記体風の「CURL Macaroni」の下に片仮名「カール マカロニ」を表示してなること、その最下段部に「明治屋のカール マカロニ」の表示が読みとれること。そして、裏面の左側上部に「明治屋の」と「カール マカロニ」を二段に書し、「マカロニのゆで方」としてその説明中に「カールマカロニ」の記述、及びその最下段部に賞味期限として「05.12. 6」の表示があることほか、右側中段に販売者として「株式会社 明治屋」の表示等があることが認められる。
(イ)乙第4号証は、 明治屋の商品カタログ「明治屋製品のご案内」とする商品カタログであるところ、同カタログ第35頁に上記乙第3号証の商品「マカロニ」のパッケージ表面と同様の写真が掲載されており、その下に「容量/入数/希望小売価格」とともに「賞味期間 3年」の表示が認められる。そして、同カタログの頒布ないし掲載商品の販売時期といえる「平成14年6月1日現在」の表示が第3頁及び裏表紙に表示があることが認められる。
(ウ)以上の(ア)及び(イ)で認定した事実を総合すると、該商品「マカロニ」のパッケージ(乙第3号証)及び商品カタログ「明治屋製品のご案内」(乙第4号証)は、いずれも明治屋(通常使用権者)の販売に供されたものであること明らかであって、該パッケージに係る商品は、その賞味期限「05.12. 6」の記述が2005年12月6日を簡略表記したものであり、該パッケージと同様の写真が掲載されている該カタログ第35頁の当該箇所に記述の「賞味期間 3年」とを合わせみれば、2002年(平成12年)12月6日頃に製造されたものと推認でき、また、同カタログの頒布ないし掲載商品の販売時期といえる「平成14年6月1日現在」の表示から、本件審判請求の登録日(平成15年2月26日)前3年以内である平成12年12月頃から同14年6月頃にかけて、本件請求に係る指定商品中、「加工穀物」に含まれる「マカロニ」について、「カール マカロニ」を表示して、日本国内に所在の明治屋の事業所で商取引をしたと推認し得るところである。
(2)使用に係る商標について
(ア)請求人は、乙第3号証及び乙第4号証の「カールマカロニ」の表示は、自他商品を識別するための商標ではなく、カール状のマカロニを表示する普通名称「カールマカロニ」の表示にすぎないから、通常使用権者の使用は本件登録商標の使用には該当しない旨述べている。
確かに、請求人の提出に係る「社団法人 日本パスタ協会」インターネット上のサイト情報(甲第1号証)において、見出しを「パスタの種類」とする頁の「Short Pasta」の最下段右に「カール」の文字とバネ状のマカロニと思しき製品写真の掲載があること、同見出しを「黒オリーブとアンチョビのハーブパスタ」とするレシピを紹介した頁に材料としての「カールマカロニ」の記述があること、及び日本製粉株式会社の「製品のご案内」(甲第4号証)とする商品カタログのオーマイ ショートパスタの頁に「カールマカロニ」の見出しと「カール」の文字が表示がされたパッケージの掲載ほか、「ファンタジーマカロニ」「ハローキティマカロニ」ないし「サッカーマカロニ」が必ずしも形状のみからネーミングされたものともいえないものもあるが、「ペン先」のような形状であることから「ぺンネ(マカロニ)」、貝のような形状から「シェル(マカロニ)」、ねじれ形の「ツイスト(マカロニ)」等とするマカロニの種類を表す名称が形状からネーミングされたものがあることは認められる。
(イ)しかし、請求人の提出に係る上記のサイト情報及び日本製粉株式会社の商品カタログの書証をもって、「カールマカロニ」は、「渦を巻いた」形状、すなわち、「カール状」であることから「カールマカロニ」と称されるものであるとし、明治屋の「カール マカロニ」の表示は、業界の慣例からして普通名称の表示にすぎないものと考える。と述べるところ、これら書証のみをしては俄に普通名称とまで認め難いものであって、パスタを取り扱う分野で「カールマカロニ」の表示をもって、これが特定マカロニの普通名称として普遍的に使用されているといい得ないものであり、かつ、本件登録商標の登録査定時(昭和50年3月28日)ないし平成12年12月頃から同14年6月頃の間に、パスタに使用されるものとして「カールマカロニ」の表示がこの種業界において、既に普通名称であると理解し認識されていたのかの点は不明というほかない(付言するに、本件にかかる商標登録が商標法46条所定の無効理由ないし同法26条に規定する商標権の効力が制限されるものであるかを判断し得るものでない。)。
(ウ)そうすると、商標法第50条第1項におけるカッコ書きで、本条の審判における「登録商標」の使用にあたっては、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む」として、その使用範囲を拡大して社会通念上同一と認められるものを含む旨規定しているところであって、これを踏まえみれば、明治屋が商品「マカロニ」のパッケージに使用する「CURL Macaroni」、「カール マカロニ」ないし「明治屋のカール マカロニ」等については、一般の商取引でみられる登録商標と商品を表す語とを組み合わせての使用であって、社会通念上同一の商標というべきものである。すなわち、登録商標「カール」を商品を表す「マカロニ」の語に冠して使用しているものと把握され、「カール」及びその外国語表記である「CURL」の標章は、自己の製品と他人の製品とを識別するための標識として使用していたものといわざるを得ない。
3.むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が本件請求に係る指定商品中の「マカロニ」について、登録商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したと認め得るところである。
したがって、本件登録商標は、その指定商品中「加工穀物、すし、べんとう、サンドイッチ」についての登録を商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-07-12 
結審通知日 2004-07-13 
審決日 2004-08-04 
出願番号 商願昭47-123941 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (132)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 和田 恵美
高野 義三
登録日 1975-10-20 
登録番号 商標登録第1164720号(T1164720) 
商標の称呼 カール 
代理人 岸田 正行 

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