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審決分類 審判 判定 その他 属さない(申立て成立) 029
管理番号 1100193 
判定請求番号 判定2003-60067 
総通号数 56 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標判定公報 
発行日 2004-08-27 
種別 判定 
2003-08-21 
確定日 2004-07-12 
事件の表示 登録第4201000号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 商品「絹ごし豆腐の厚揚げ」に使用する(イ)号標章は、登録第4201000号商標の商標権の効力の範囲に属しない。
理由 第1 本件商標
本件登録第4201000号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第29類「豆腐」を指定商品として、平成8年7月31日に登録出願、同10年10月16日に設定登録されたものである。

第2 イ号標章
請求人が商品「絹あげ豆腐(絹ごし豆腐の厚揚げ)」に使用する標章として示したイ号標章は、「絹揚げ」の文字よりなるものである。
なお、請求人がイ号標章を使用しているとする商品「絹あげ豆腐」の表示は、後記第3 2(2)の「『絹あげ豆腐』(絹ごし豆腐を油で瞬時に揚げた豆腐:甲第2号証の1、甲第3号証、甲第4号証の2ほか)」とする請求人の主張部分、及び後記第4 1(1)ないし(2)の事実によれば、「絹ごし豆腐の厚揚げ」を略称的に表示したものと認められるから、後記第4 1(3)以下における、イ号標章を使用しているとする商品の正確な表示は、「絹ごし豆腐の厚揚げ」として審理する。

第3 請求人の主張
請求人は、商品「絹あげ豆腐」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しない、との判定を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第12号証(枝番を含む。以下、枝番の全てを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)を提出した。
1 判定請求の必要性
請求人は、商品「豆腐」について本件商標を保有するところ、甲第2号証ないし甲第12号証のとおり、「絹あげ」及び「絹揚げ」等を営業品目の名称として使用する業者がかなり存在しており、これらの業者より、本件商標がその構成中に「絹あげ」の文字を含んでいるため、本件商標とイ号標章「絹揚げ」とをどのように理解したらいいのかという問い合わせを多数受けるとともに、イ号標章の使用者と、その使用権に関する何らかの約定を要するか等についての検討を要する事情をも生じている。
2 イ号標章の説明及び自他商品識別標識としての機能
(1)イ号標章は、「絹ごし豆腐」を想起させる「絹」の文字に、「豆腐を油で揚げること」を看取させる「揚げ」の文字とを連綴してなるものといえる(甲第2号証の1:「絹あげってなに?」の部分参照)。
(2)本件商標権者(請求人)としては、近時の豆腐製品の高級化並びに豆腐料理の盛況等の取引の実情(甲第2号証ないし甲第12号証)に照らしてみるならば、普通に使用されている形態で表示された「絹揚げ」(イ号標章)の文字は、その商品「豆腐」との関係からみれば、広く普及している「絹あげ豆腐」(絹ごし豆腐を油で瞬時に揚げた豆腐:甲第2号証の1、甲第3号証、甲第4号証の2ほか)の文字を容易に想起させるものといえる。
(3)イ号標章「絹揚げ」を商品「絹あげ豆腐」に使用しても、該商品が「絹ごし豆腐等の素材を使用したものであり、かつ、これが軽く揚げられた豆腐」であるかのごとき語意が容易に想起されるところである。加えて、「絹揚げ」の文字が豆腐料理の素材として使用されている場合も少なくはないものと考えられる(甲第9号証)。
したがって、商品「絹揚げ豆腐」に使用するイ号標章は、自他商品の出所識別機能を具有しないものといわざるを得ないものである。

第4 当審の判断
1 イ号標章について
(1)イ号標章は、「絹揚げ」の文字よりなり、商品「絹あげ豆腐」に使用するとするものである。
そこで、先ず、イ号標章を使用する商品「絹あげ豆腐」についてみるに、商品「豆腐」は、その製法により「木綿豆腐」と「絹漉(ごし)豆腐」等の種類があり、また、加工品として豆腐を厚く切って軽く揚げた「生揚げ」(「厚揚げ」と同じ意味である。)がある(株式会社 岩波書店発行 「広辞苑 第五版」、同文書院発行 「総合食品事典(第三版)」、真珠書院発行 「新・食品事典 穀物・豆」)旨の記述が認められる。
そして、「絹揚げ」の文字(語)については、2000年5月21日付け 読売新聞 大阪朝刊に「[今晩のおかず]絹揚げのマヨネーズ焼き」の見出しの下に、「絹揚げは、絹ごし豆腐を揚げたもの。小さければ、一人1個ずつ使う。」、2002年3月13日付け 朝日新聞 東京夕刊に「食 マリオン」の見出しの下に、「ショウガ風味の和風ドレッシングで食べる『水菜と絹揚げ豆腐のサラダ』(630円)など。」の記事が認められる。
(2)さらに、インターネットのホームページ情報によれば、「絹揚げ」、「絹揚げとうふ」及び「絹あげ」の文字(語)は、以下のように、豆腐の加工品であり、料理の一つとして紹介されている。
(a)請求人が他社使用として提出したホームページ情報(http://www.minosuke.co.jp/top1.shtml)に、「三之助豆腐…『絹あげとうふ』 400円…素はいい大豆といい油/絹のようなやわらか風味をそのまま/高温の油でサッと揚げました/絹あげとうふを使ったレシピを紹介…」(甲第4号証の2)。
(b)同じく(http://www.tezukuriya.co.jp/seihin/seihin2.html)に、「『手造り屋 絹あげ(1枚)』/絹豆腐の持つ食感と、絹あげの持つ皮のこんがり感が絶妙にあった、手造り屋の厚揚げです。」(甲第7号証の3)。
(c)「素材クッキング 豆腐-今夜の一品になるお総菜」(http://forum.nifty.com/fcook/sozai/002_toufu/sozai_tofu_004_souzai.htm)に、「厚揚げのチン生姜/…例えば遅くなると思っていたら思いがけず帰宅が早い時などに、とりあえず『腹へった〜』という言葉を封じこめるために『あてがわれる』一品なの。 豆腐の電子レンジ加熱は難しい場合もあるかもしれませんが、厚揚げなら全然問題ありませんね。…上記『チン生姜』は、絹を揚げた『絹揚げ』に限ります。…」。
(d)「楽天広場(日記・ブログ):やまんば楽天Shop…(http://plaza.rakuten.co.jp/hisya/4000)中の「豆腐専科かどや食品」の商品紹介として、商品写真の下に「きぬこし豆腐で造る『絹揚げ』」。
(e)「料理レシピ基本用語/厚揚げ【ネスレVevey】」(http://www.recipe.nestle.co.jp/from1/cook/word/atuage.html)の「厚揚げ」に、「厚揚げとは、水切りした豆腐を厚めに切って高温の油で揚げた豆腐加工品のことです。厚揚げの表面は油揚げのように固いですが、内部はほとんど豆腐と変わらないので『生揚げ』とも呼ばれます。また、なめらかな絹ごし豆腐で作られた厚揚げは、『絹厚揚げ』『絹揚げ』と呼ばれています。厚揚げを調理する時は、熱湯をかけて油抜きをしてから使います。素焼きにして生姜醤油で食べたり、煮物や炒め物、和え物などに利用されます。」。
(f)「絹揚げ…惣菜食材通信販売の良い品.net」(wysiwyg://20/http://www.4147.net/search/)に、「きぬこし豆腐で造る『絹揚げ』150円税別、送料別クレジットカード支払い可能販売店:豆腐専科かどや食品」。
(3)イ号標章を使用しているとする商品の表示について
請求人がイ号標章を使用しているとする商品の表示「絹揚げ豆腐」は、上記(1)及び(2)の事実、及び請求人の主張している上記第3 2(2)「『絹あげ豆腐』(絹ごし豆腐を油で瞬時に揚げた豆腐:甲第2号証の1、甲第3号証、甲第4号証の2ほか)」とする主張部分を総合すれば、「絹ごし豆腐の厚揚げ」を略称的に表示したものと認められるから、以下、イ号標章を使用しているとする商品の正確な表示は、「絹ごし豆腐の厚揚げ」として審理する。
(4)イ号標章の自他商品の識別標識としての機能について
上記(1)及び(2)の事実よりすれば、「絹揚げ」、「絹揚げとうふ」及び「絹揚げ豆腐」の文字は、商品「豆腐」との関係からすると、その加工品の「厚揚げ」のうち、「絹ごし豆腐」を用いて加工した厚揚げを略称的に表示したものというべきである。そして、「絹揚げ」の文字よりなるイ号標章に接する取引者、需要者は、これを商品「絹ごし豆腐の厚揚げ」に使用しても、絹揚げの文字から前記「絹ごし豆腐」を用いて加工した厚揚げをの意味合いを認識、理解するにすぎないものというのが相当である。
したがって、「絹揚げ」の文字よりなるイ号標章は、商品「絹ごし豆腐の厚揚げ」に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を有するものではなく、当該商品の品質、素材を普通に用いられる方法で表示したものといえるものである。
2 本件商標について
本件商標は、第29類「豆腐」を指定商品として、別掲のとおり、「京みやび」、ややデザイン化した「絹あげ」、「懐石仕立ての新しいおいしさ。上品でなめらかな絹ごしの食感を、季節のお料理でお楽しみください。」、「豆腐」及び「絹あげやっこ」の各文字並びに中央下部いっぱいに「皿上に現物商品を表したと認められる図」より構成されているものであって、平成10年8月28日に登録査定されたものである。
そして、本件商標の構成中の「絹あげ」の文字部分は、他の構成中の「豆腐」の文字、「懐石仕立ての新しいおいしさ。上品でなめらかな絹ごしの食感を、季節のお料理でお楽しみください。」の記述、同商品を表したと認められる皿上の図及び本件商標の指定商品が「豆腐」であること、並びに略称的商品名表示を含めた新しい商品名の表示等が各種辞書、新聞、インターネット上に掲載されるようになるには、該商品が実際に製造、販売された時より相当後になる場合が多いことを総合すると、本件商標の登録査定時には、前記1(4)と同様に、取引者、需要者に豆腐の加工品の「厚揚げ」のうち、「絹ごし豆腐を用いて加工した厚揚げ」を略称的に表示した部分と認識、理解され、当該商品の品質、素材を普通に用いられる方法で表示した部分といえるものであって、出所識別の標識(要部)とは認識し得ないものというのが相当である。
3 まとめ
したがって、商品「絹ごし豆腐の厚揚げ」に使用するイ号標章「絹揚げ」は、自他商品の識別標識としての機能を有するものではなく、商標法第26条第1項第2号に該当するものであるから、本件商標がその構成中に「絹あげ」の文字を有しているとしても、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないといわざるを得ない。
よって、結論のとおり判定する。
別掲 別掲 本件商標



色彩については原本参照
判定日 2004-06-30 
出願番号 商願平8-84881 
審決分類 T 1 2・ 9- ZA (029)
最終処分 成立  
前審関与審査官 旦 桂子 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 和田 恵美
三澤 惠美子
登録日 1998-10-16 
登録番号 商標登録第4201000号(T4201000) 
商標の称呼 キョーミヤビキヌアゲトーフ、キョーミヤビ、キヌアゲ、キヌアゲヤッコ 
代理人 鈴江 武彦 
代理人 吉野 日出夫 
代理人 小出 俊實 
代理人 石川 義雄 

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