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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200225215 審決 商標
不服200225216 審決 商標
不服200322975 審決 商標
不服20035262 審決 商標
不服20029882 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない Z28
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z28
管理番号 1099978 
審判番号 審判1998-17893 
総通号数 56 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-11-06 
確定日 2004-06-25 
事件の表示 平成9年商標登録願第139441号拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第28類「遊戯用器具,ビリヤード用具,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具,おもちゃ,人形,運動用具,釣り具」を指定商品とし、平成9年7月17日に立体商標として登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、平成11年1月28日付手続補正書をもって「電子式小型携帯用おもちゃ」に補正されたものである。

2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、その指定商品中に含まれる電子式の小型携帯用おもちゃの一形態を認識させる立体的形状のみからなるものであるから、これを該商品について使用するときは、単に商品そのものの形状を普通に用いられる方法をもって表示してなるにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記に相応するおもちゃ以外の『おもちゃ』について使用するときは、需要者をして商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものと認められることから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者・需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者・需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(2)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲のとおりの構成よりなるものであって、全体的には扁平な卵形を呈しているところ、正面中央部に略正方形状の画面表示部とその下に3つの操作ボタンと思しき小突起部を有する態様が認められることから容易に電子式の小型携帯用おもちゃの一形態を表した立体的形状よりなると看取されるものであるから、これをその指定商品に使用しても、取引者・需要者は、単に商品「電子式小型携帯用おもちゃ」の形状を表示するにすぎないものとして理解するに止まり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。
(3)請求人は、本願商標は、請求人が販売する電子式小型携帯用おもちゃ「たまごっち」の立体的形状からなるものであり、この著名な商品表示である「たまごっち」の立体的形状は、商品「電子式小型携帯用おもちゃ」について自他商品の識別機能を十分果たしているものであり、商標法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものと確信する旨主張し、甲第1号証ないし甲第106号証を提出している。
しかし、請求人提出の証拠からは「たまごっち」の文字よりなる商標が商品「電子式小型携帯用おもちゃ」に使用され周知・著名になっていることは十分認められるとしても、当該文字商標を離れて立体的形状のみからなる本願商標が同商品の商標として機能しているとは認め難いところである。
すなわち、前記のとおり、本願商標は、指定商品に使用された場合、当該指定商品の取引者・需要者により、商品の形状そのものとして理解されるため、一般に、自他商品の識別機能を有しないものである。そして、提出の証拠によれば、請求人が本願商標を使用しているとする商品「電子式小型携帯用おもちゃ」は、現実の取引の場においては台紙部分とカバー部分とからなる専用のケースに収められた状態で取り引きされているのが実状であり、その台紙部分には「TAMAGOTCH」及び「たまごっち」の文字が際立つように印刷されているのが認められ(甲第7号証、甲第28号証、甲第34号証(63頁)甲第36号証(12頁)、甲第41号証、甲第48号証、甲第52号証、甲第69号証、甲第98号証、甲第101号証、甲第102号証等)、しかも、通常、この専用のケースと商品本体とは最終消費者の手に渡るまで分離されることがないものである。
そうすると、本願商標が、一般に、自他商品の識別機能を有しないのに加え、本願商標の形状を有する電子式小型携帯用おもちゃ(以下「本件電子おもちゃ」という。)の包装に「TAMAGOTCH」及び「たまごっち」の文字よりなる商標が必ず付されていることを併せ考えると、本件電子おもちゃの取引において、取引者・需要者は台紙部分に表示された「TAMAGOTCH」及び「たまごっち」の文字商標に注目して自他商品の識別を行い、本件電子おもちゃの形状については、商品の形状そのものと理解してきたと認めるのが相当である。
さらにまた、請求人提出の甲号各証は、1996年(平成8年)11月から翌年8月にかけて発行された新聞、雑誌であって、当時掲載された記事内容を主とするものであり、7年有余を過ぎた現時点における本願商標に係る使用状況は必ずしも明らかでない。そして、その後の新聞記事情報によれば、例えば、2003年(平成15年)1月24日付毎日新聞(東京朝刊)8頁には「21世紀版たまごっち バンダイ、来年発売へ」の見出しの下に「旧たまごっちは、液晶画面上のキャラクターを操作して『食事を与える』などと指示することで、キャラクターを成長させていく、手のひらサイズのゲーム。96年11月の発売直後から人気が沸騰。大人を巻き込んで一大ブームを巻き起こし、99年の製造中止までに国内、国外それぞれ2000万個を販売した。」との記事が、また、2004年(平成16年)2月3日付共同通信には「たまごっち 帰ってきた『たまごっち』 バンダイ、結婚や二世も」の見出しの下に「たまごっち 1996年11月の発売と同時に女子高生の間で人気に火が付き、売り切れ店が続出するなど『たまごっちブーム』として社会現象になった。97年の流行語大賞にも選ばれている。しかし、品薄の中、海外の模倣品も登場。バンダイも生産量を増やしたが、人気が下火になると大量の在庫を抱える羽目になり、99年3月期で生産を中止。60億円の在庫損に見舞われた。これまでの販売数は国内外合わせ4千万個。」との記事が、さらに、2004年(平成16年)2月4日付朝日新聞(東京朝刊)9頁には「今度は『交流』新たまごっち 6年ぶりに復活 バンダイ」の見出しの下に「初代『たまごっち』は96年11月に発売された。約30カ国で4千万個を販売し社会現象にもなったが、模造品の横行や需要予測の誤りから約60億円の在庫を抱え込んだ。当時のバンダイの経営悪化の原因ともなり、98年に生産中止した。」との記事が報じられていることより、本件電子おもちゃは、1998年(平成10年)ないしは1999年(平成11年)を境に生産が中止され、その後現在に至るまで、生産も販売もされなかったものと推認されるところである。
そうすると、本件電子おもちゃの立体的形状からなる本願商標もまた、同期間継続して使用されなかったものと認めざるを得ない。
以上によれば、請求人に係る本件電子おもちゃに使用されてきた標章のうち、本願商標の立体的形状のみが独立して自他商品の識別機能を有しているものということはできないし、さらには、1999年(平成11年)以降、本願商標について取引上現実に使用された事実はなかったものと認めざるを得ないから、本願商標が使用により自他商品の識別機能を有するに至ったものと認めることはできない。
(4)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、同法第3条第2項の要件を具備するものとも認められないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (別掲)
本願商標




審理終結日 2004-04-15 
結審通知日 2004-04-23 
審決日 2004-05-07 
出願番号 商願平9-139441 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z28)
T 1 8・ 17- Z (Z28)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土屋 良弘泉田 智宏 
特許庁審判長 小池 隆
特許庁審判官 山本 良廣
半田 正人
代理人 高田 修治 

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