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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z42
管理番号 1098529 
審判番号 不服2000-1765 
総通号数 55 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-01-07 
確定日 2004-05-12 
事件の表示 平成 9年商標登録願第120820号拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「変わりかつ丼」の文字を横書きしてなり、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、平成9年5月26日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶理由の要点
原査定は、「本願商標は、『変わり飯』、『変わり御飯』のように使用され、普通とは違うことを意味する『変わり』の文字と『かつ丼』の文字からなるものであるが、これを本願指定役務に使用しても、『いわゆる普通のかつ丼とは調理方法や具の材料が異なった、一風変わったかつ丼』の意味合いを認識させるに止まり、単に役務の提供の質及び内容を表すにすぎず、自他役務の識別力を有しないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標を構成する「変わりかつ丼」の文字が、原査定において説示するように、「いわゆる普通のかつ丼とは調理方法や具の材料が異なった、一風変わったかつ丼」の意味合いを容易に認識させるものであることは、例えば、岩波書店発行「広辞苑第五版」の「変わり」の項に「それまでと違ったさまになること。変化。普通とはちがうこと。」と、同じく「変わり種」の項に「普通のものとは変わった種類。変種。普通と変わった経歴の人。」と、同じく「変わり飯」の項に「さまざまな具を入れた筍飯・五目飯の類。」と、同じく「カツ丼」の項に「(カツレツどんぶりの略)丼飯の上に卵でとじたカツレツをのせたもの。」とそれぞれ記述されており、また、「食品・栄養・健康用語辞典」の「かつ丼」の項に「とんかつをのせた丼物のことである。とんかつにたまねぎなどの具を加え、甘辛い汁で煮て、とき卵でとじて、丼飯の上に汁ごとかけたものをいう。」と記述されていることなどからも、首肯し得るものである。そして、請求人は、本願商標が上記意味合いを認識させるものであること自体は争っていない。
ところで、請求人は、本願商標は多年にわたる使用の結果、需要者間において既に著名であって識別力を有するに至っている旨主張し、その事実を示す証拠として原審において資料第1ないし第23号(以下、個別に言及するときは「原審資料第○○号」のようにいう。)を提出し、さらに当審において資料第1ないし第18号(以下、個別に言及するときは「当審資料第○○号」のようにいう。)を提出しているので、該資料について検討する。
原審資料第1ないし第4号、第6ないし第9号、第16号及び第19ないし第21号並びに当審資料第1ないし第5号、第11ないし第17号は、各種雑誌の記事の写しであり、原審資料第10号、当審資料第10及び第18号は各種新聞の記事の写しであり、原審資料第11ないし第13号及び第17号並びに当審資料第5ないし第9号はテレビ番組において放映された事実を示す資料であり、原審資料第15号の1ないし4は請求人店舗の写真であることが認められる。これらの資料によれば、請求人がその店舗において「変わりかつ丼」の名称の下に料理を提供していることが認められるが、上記記事やテレビ報道の殆どは店名の「祭太鼓」と共に料理メニューの一つとして記述的に紹介し、需要者に話題を提供しているものであって、これらに接する需要者は、店名たる「祭太鼓」を自他役務の識別標識として認識することはあっても、「変わりかつ丼」の文字自体は、役務の提供に係る物、すなわち料理の内容を表示したものとしてしか認識し得ないというべきであり、自他役務の識別標識として認識するものとはいえないというのが相当である。このことは、例えば、上記雑誌において「『元祖・変わりかつ丼』をうたうのは、キタの『祭太鼓』。トマトカツ丼を筆頭に、カレートマトカツ丼、おろしカツ丼、チーズカツ丼、しぐれカツ丼....etc.」(原審資料第1号)、「トマト、チーズなどを用いてアレンジした13種(¥500〜)のカツ丼が味わえる専門店。」(原審資料第2号)、「13種類のバリエーションが楽しめるかつ丼のお店。定番・卵とじのほか、あっさり大根おろし、和風カレー、まろやかな風味のトマトなど、...」(原審資料第4号)、「トマトやチーズなどを使ってアレンジした変わりもんのかつ丼が目白押し。」(原審資料第9号)、「まさに天然素材100%の変わりかつ丼がいただけちゃうのだ。その変わりメニューはというと煮込みかつにキムチがのった.....」(原審資料第19号)、「...変わりかつ丼は、メニュー名だけ見ると気後れしそうだけど、トマトもチースもキムチもカツとの相性抜群。」(当審資料第1号)、「食べ方いろいろの変わりかつ丼」(当審資料第2号)等と記述されていることからも明らかである。また、例えば、インターネットのホームページ(http://mbs.co.jp/tv/amakara/amcook96/a960604a.htm)検索結果によれば、請求人以外の他人が料理の一つとして「簡単変わりかつ丼」をテレビ放送で紹介している事実からも明らかである。
さらに、本願は「飲食物の提供」を指定役務とするものであり、この指定役務にはかつ丼料理の提供のみならず、うどん又はそば、うなぎ料理、すし等の日本料理を主とする飲食物の提供、西洋料理を主とする飲食物の提供、中華料理を主とする飲食物の提供やアルコール飲料を主とする飲食物の提供等が含まれるのであり、これらのすべてについて本願商標が使用されて自他役務の識別力を獲得するに至っているものとは到底いえない。
してみれば、本願商標は、これをその指定役務に使用しても、単に役務の提供の質及び内容を表示したものと認識されるに止まり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであって、かつ、これが使用された結果、自他役務の識別力を獲得するに至っているものとはいえないと判断するのが相当である。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-03-09 
結審通知日 2004-03-10 
審決日 2004-03-30 
出願番号 商願平9-120820 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z42)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中嶋 容伸森吉 正美池田 佐代子 
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 富田 領一郎
小川 有三
商標の称呼 カワリカツドン 
代理人 清原 義博 

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