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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 025
管理番号 1098419 
審判番号 取消2003-30429 
総通号数 55 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-07-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-04-09 
確定日 2004-05-24 
事件の表示 上記当事者間の登録第3129292号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3129292号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3129292号商標(以下「本件商標」という。)は、「FLEXY」の欧文字を筆記体で横書きしてなり、第25類「下着」を指定商品として、平成4年12月11日登録出願、同8年3月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証の1及び2を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品について継続して過去3年以上にわたり使用された事実が存在しない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人が提出した雑誌(「SWIM MODE」、乙第1号証)の裏表紙の写真には、「ブラジャーカップ」はどこにも見あたらないし、「○○のブラジャーカップ使用」といった記載もない。
男性用の場合でいえば、水着の写真で「サポーター」の使用を証明していることにはならないのと同様である。
したがって、上記写真は、商品「ブラジャーカップ」の使用を示す証拠にはならないと考えるのが妥当である。
(2)登録商標の使用について
乙第1号証の裏表紙には、「Flexy」と「Cup」とが二段に表示されているが、同一書体、同一の大きさでまとまりよく配されている。また、上記(1)で述べたように、「ブラジャーカップ」の写真、記載等もないことから、需要者が「Cup」を「ブラジャーカップ」に結びつけるといったことは考えられないから、該表示からは、商標「FlexyCup」の使用であると認識するのが普通である。
このように、使用に係る商標は、本件商標の使用を証明するものではないと考えるのが妥当である。
(3)登録商標の使用者について
乙第1号証の裏表紙の「SANKYO CO.,LTD」が「三協(株)」を表している点については認めるが、裏表紙右下には、「TOYOBO ESPA」と「SANKYO CO.,LTD」と書されており、上段に大きく書された「TOYOBO」の文字から、水着の素材でよく知られた東洋紡績、あるいは該社と「SANKYOCO.,LTD」なる会社との共有の商標使用であると考えるのが自然である。少なくとも、商標の使用者が「三協(株)」単独であると特定することは困難である。
この点、被請求人は、「奥付には『三協 表4』と記載されていることから、」を根拠にしているが、これは、奥付の「東洋紡績・・・26」が本来「東洋紡績・・・26、表4」と記載すべきところを記載もれをしてしまったと考えるべきである。
(4)商標の「広告的使用」について
乙第1号証は、いわゆる広告的使用を証明する意図で提出されたものであるが、この広告は、上述のように、これを見た者が商標がどの商品について、誰が使用したかを理解するには困難なものである。
しかも、この広告で記載されたと主張する商品「ブラジャーカップ」に、商標「FLEXY」を付したものが日本国内に販売された事実は、この証拠からは何ら認められるものではない。
広告的使用を商標の「使用」とする商標法第2条第3項第8号は、商標の広告的な使い方にも信用の蓄積作用があるとする見地に立っているものである。
そうすると、この証拠だけでは、上記規定にいう、商品に関する広告に標章を付して展示し、若しくは頒布する行為を証明するものではない。この証拠は、単に不使用取消の審判を免れる目的で名目的に商標を使用するかのような外観を呈する意図の下の行為があったことを示すだけのものであるといわざるを得ないものである。
(5)まとめ
以上のように、被請求人提出の証拠によっては、本件商標が被請求人等によって審判請求の登録前3年以内に使用されたことは何ら証明されていないものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は、成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由及び審尋に対する回答を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証(枝番を含む。)及び参考資料1を提出した。(なお、被請求人の提出に係る平成15年6月27日付け答弁書に添付した「甲第1号証」及び同年12月1日付け回答書に添付した「乙第1号証の1」は、同16年3月17日付け回答書に添付した「乙第1号証」(SWIM MODE)と重複するから、これらを上記「乙第1号証」と差し替える。)
1 商標の使用者
(1)乙第1号証の裏表紙には、「Flexy Cup」と「SANKYO CO.,LTD.」の記載のもと水着の写真が示されている。該「SANKYO CO.,LTD.」は、本件商標の商標権者である三協株式会社の英文表示である。
このことは、乙第1号証の目次に、「メーカー・問屋・関連企業・団体リスト・・・78」及び「奥付広告索引・・・80」とあり、78頁の「関連企業・団体」欄に「三協(株) 03(3662)5501」と記載され、80頁の奥付の「広告索引」欄に、「三協 表4」と記載されて、他に三協及びSANKYOという記載をもつ企業名が全く記載されてないことからも裏表紙、すなわち表4に記載されている「SANKYO CO.,LTD.」が三協株式会社を意味することは明らかである。
そして、これが被請求人であることは、乙第1号証の雑誌発行元から被請求人に宛てた請求書(乙第2号証)で裏付けられる。
(2)裏表紙(表4)には、「TOYOBO ESPA」との記載もあるが、これは、裏表紙に示されている水着が東洋紡績株式会社の「TOYOBO ESPA」なるスパンデックス繊維と被請求人の「F1exy Cup」のブラジャーカップを用いた水着であることを示している。
このことは、乙第1号証の26頁の東洋紡績株式会社の「ESPA」の記載及び乙第9号証の「Flexy Cup」と「SANKYO CO.,LTD.」の記載とを合せれば、「Flexy」が被請求人の水着用のブラジャーカップの登録商標であることは明らかである。
そして、ブラジャーカップは、下着の一つであるブラジャーの一部を構成するものである。
2 使用の事実
(1)被請求人は、主にポリエチレンフォーム製のブラジャーカップを製造販売している。乙第3号証は、たとえば、単価125円の品名「FX-B VOM」のブラジャーカップ(フレキシーカップ)を株式会社ミノウラ(以下「ミノウラ」という。)に納入した事実を示している。
ミノウラは、被請求人の販売代理店として、水着関連商品を製造販売しており、被請求人より納入された水着用のブラジャーカップを販売する業者であり(乙第1号証の61及び78頁、乙第8号証)、本件商標の通常使用権者である。
(2)乙第4号証の1は、被請求人のブラジャーカップを入れたポリ袋を示した写真であり、「Flexy Cup」の表示がある。
乙第4号証の2は、それを入れるダンボール箱の写真であり、「Flexy Cup」の表示や品番名の記載がある。
(3)乙第5号証は、被請求人がミノウラに宛てた入日記受領書であり、「FX-W」や「PS-B」は、乙第3号証及び乙第4号証に示されているブラジャーカップの品番に相当する。
(4)乙第6号証は、被請求人の棚卸表(平成13年12月31日現在)であり、11頁の「PS-W KS」から13頁の「PS-B ABL(FL)」までが、被請求人の製造販売に係る各種のブラジャーカップである。
(5)乙第7号証は、本件商標が表示されたポリ袋に入れた商品「ブラジャーカップ」の写真である。
(6)参考資料1は、品番表示をしたブラジャーカップ見本の写真である。
(7)乙第7号証、乙第8号証及び参考資料1には、乙第3号証、乙第4号証の2、乙第5号証及び乙第6号証に記載された商品の番号(品番)と一致する商品が示されている。
すなわち、乙第7号証の上段及び中段の写真の商品は、乙第3号証に記載した商品であり、下段の写真の商品は、乙第6号証に記載した商品である。乙第8号証及び参考資料1も同様である。
参考資料1には、本件商標の表示がなく品番表示のみであるため、参考資料1と表示したが、乙第3号証、乙第4号証の2、乙第5号証及び乙第6号証と合せてみれば、それが本件商標をもつブラジャーカップの商品見本であることがわかる。
3 使用に係る商標
乙第1号証の裏表紙に示されている「Flexy」は、本件商標の一態様である。
また、この種商品で「カップ」は、ブラジャーカップを意味することは一般に認識されているところであり、この点からも「Flexy Cup」という表示が「Flexy」という商標をもつブラジャーカップを意味するものである。
4 乙第1号証が2002年に発行された刊行物であることから、被請求人(通常使用権者も含む。)が本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標を指定商品について使用していたことは明らかである。

第4 当審の判断
1 乙第1号証、乙第3号証、乙第5号証、乙第7号証及び乙第8号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)乙第1号証は、「スイムファッション専門誌/SWIM MODE 2002年度版 第6号」(株式会社繊維商業ニュース社、2002年3月25日発行)であるところ、その表紙には、「特集1/2002 Swim Wear/Collection」、「[巻頭企画]TOKYOエリア別'01水着商戦総決算」、「特集2/国内有力メーカー・最新企画/2002 SWIM WEAR NEW COLLECTION」などの記載とともに、水着を着用した女性の写真が掲載されている。奥付には、「国内の消費低迷が続く中、水着業界も過去数年の間売上げの減少を見せている。・・・今期も東西水着メーカー団体が大同団結して・・」なる記載があり、水着関連商品の業界誌と認められる。
裏表紙の上段左に、筆記体で書した「Flexy」の文字と該「Flexy」中の「y」の右下に「Cup」の文字が表示され、同裏表紙の右下に、「TOYOBO ESPA」の文字と該文字よりやや小さく表した「SANKYO CO.,LTD」の文字とが二段に横書きにして表示され、中央に大きく、水着を着用した女性の写真が掲載されている。
26頁には、中央に大きく横書きにした「ESPA」の文字と右下に「東洋紡績株式会社」の文字などが表示されている。
61頁には、上段に「SWIMWEAR PARTS」の文字、下段に「カップ・裏地・金具」、「株式会社ミノウラ」などの文字と黒塗り長方形内に白抜きの「m」状の図形が表示されている。
78頁の「関連企業・団体」欄に、「三協(株) 03(3662)5501」、「(株)ミノウラ」などの記載がある。
(2)乙第3号証は、東京都中央区日本橋小伝馬町2番8号に所在の三協株式会社が東京都墨田区両国3-6-5に所在のミノウラに宛てた平成13年3月1日付け及び同年3月7日付けの納品書(控)であることろ、前者における「品名」欄には、「FX-B VOS Flexy Cup」などの記載があり、後者における「品名」欄には、「PS-B VKM Flexy Cup」などの記載がある。また、上記三協株式会社の電話番号として、「03(3662)5501」の記載がある。
(3)乙第5号証は、上記(2)の三協株式会社がミノウラに宛てた平成13年3月7日付け入日記受領書であるところ、「商品名」欄に「PS-B VKM」などの記載がある。
(4)乙第7号証は、使用に係る商品の写真3葉であるところ、それぞれ筆記体で書した「Flexy Cup」の文字が表示されたビニール袋で包装され、上段の写真の商品には「FX-B VOS」の品番が付されている。
(5)乙第8号証は、上段に「FLEXY CUP」の文字が表示され、下段に「m」状の図形が表示されたパンフレット(129頁)であるところ、商品中に、品番「PS-B VKM」、同「FX-B VOS」が付された商品がある。
2 前記1で認定した事実並びに答弁の理由及び審尋に対する回答を総合すると、被請求人と認められる「三協株式会社」は、主にポリエチレンフォーム製のブラジャーカップを製造販売している業者であり、本件審判の請求の登録日(平成15年5月7日)前3年以内に発行された水着関連商品の業界誌「スイムファッション専門誌/SWIM MODE 2002年度版 第6号」に、「SANKYO CO.,LTD」の文字とともに、筆記体で書した「Flexy」の文字及び「Cup」の文字を表示して掲載したことが認められる。
また、被請求人の取引先であるミノウラは、水着関連商品を取り扱う業者である。
被請求人は、ミノウラに対し、本件審判の請求の登録前3年以内である平成13年3月1日及び同年3月7日に、「Flexy Cup」を表示した「水着用胸パッド(水着用ブラジャーカップ)」を納品し、ミノウラは、被請求人より納入した上記「水着用胸パッド(水着用ブラジャーカップ)」のうち、少なくとも、品番を「FX-B VOS」及び「PS-B VKM」とする商品を、自己のハウスマークと認められる「m」状図形を表示したパンフレットに掲載したものと推認することができる。
そうすると、被請求人及びミノウラが、筆記体で書した「Flexy Cup」商標を表示して使用する商品は、「水着用胸パッド(水着用ブラジャーカップ)」であるということができる。
3 「水着用胸パッド(水着用ブラジャーカップ)」について
ところで、商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項により、被請求人において、請求に係る指定商品について当該登録商標を使用していることを証明し、または、使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れないところである。
そして、同条でいう「登録商標の使用」とは、商標権者が指定商品について登録商標の使用をする権利を占有する(同法第25条)範囲内における登録商標の使用をいうのであって、その範囲を超えた、いわゆる禁止権の範囲についての登録商標の使用は含まれないと解すべきである。
これを本件についてみるに、本件請求に係る指定商品(本件商標の商標権)は、「下着」であるところ、被請求人及びミノウラが本件商標の使用の事実を立証している商品は、前記認定のとおり、「水着用胸パッド(水着用ブラジャーカップ)」である。該「水着用胸パッド(水着用ブラジャーカップ)」は、水着について使用される、いわば水着の部分品的な存在であって、下着とは、素材、生産者、販売場所等において異なる商品である。
なるほど、両商品は、商標法施行規則別表第25類によれば、いずれも「一 被服」の概念に属するものであり、身に着けるという点において共通するものであることは認められる。
しかしながら、被請求人が本件商標の使用の事実を立証しなければならない商品は、本件商標の権利範囲である「下着」についてであり、上記別表第25類の「一 被服」中の「(七)下着」の概念に属する商品の範囲内に限られるというべきであるから、同「(八)水泳着 水泳帽」の概念に属する商品の使用をもって、本件商標の使用の事実を立証したということにはならない。
他に、本件商標ないし本件商標と社会通念上同一と認められる商標が、請求に係る指定商品「下着」について使用されたという事実を客観的に認めることができる証拠は見出せない。
4 むすび
したがって、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品「下着」について、本件商標を使用していることを証明したということはできないし、また、使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていないといわざるを得ない。
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-03-26 
結審通知日 2004-03-30 
審決日 2004-04-12 
出願番号 商願平4-322176 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (025)
最終処分 成立  
前審関与審査官 岩内 三夫小野寺 強 
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 瀧本 佐代子
井岡 賢一
登録日 1996-03-29 
登録番号 商標登録第3129292号(T3129292) 
商標の称呼 フレクシー 
代理人 斉藤 武彦 
代理人 畑 泰之 

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