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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2012300362 審決 商標

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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 131
管理番号 1098315 
審判番号 取消2003-30642 
総通号数 55 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-07-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-05-16 
確定日 2004-05-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第2080564号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2080564商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、第31類「調味料、香辛料、食用油脂、乳製品」を指定商品として、昭和61年5月9日登録出願、同63年9月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の指定商品中の『調味料』についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中の「調味料」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証について
乙第1号証(商標使用許諾契約書)は、本件商標の使用に関するもので、平成11年11月1日に商標権者である被請求人と通常使用権者である東京鶏卵事業協同組合との間に交わされたものであるが、この契約書から確認できることは、被請求人が通常使用権者に対し、平成11年11月1日から平成16年11月30日までの5年間日本国内において商品「マヨネーズ」について本件商標の使用を許諾した事実が確認できるにとどまるもので、通常使用権者による本件商標の使用事実を確認することはできない。
(2)乙第2号証について
乙第2号証(納品書)は、2003年(平成15年)7月8日付けで商標権者である被請求人から得意先の日本マタイ株式会社(以下「日本マタイ」という。)の食品部営業二課宛に発行されたもので、同日の取引の内容が記載された書類であり、納品先として「和泉屋商店」、帳合先として通常使用権者である「東京鶏卵事業協同組合」の名称が記載されている。
しかしながら、商品名の項目の欄をみると、「タマゴヤノマヨネーズ」と記載されており、この「タマゴヤ」の文字は、本件商標と語尾の「ヤ」の文字においてその大きさを著しく異にするものであるから、これがコンピュータで文字の出入力の処理が行われる形式の納品書の記載であることや、両者の文字が同一の称呼を生ずることなどを考慮しても、本件商標を明確に表示したものといえるものではない。また、本件商標と文字の表現方法において大きく異なる上記納品書の商品名の記載を本件商標を表示したものと特定し、常にそう認識されなければならない格別の理由も存在しないものである。
よって、この納品書中の商品名の記載は、本件商標の表示態様の変更使用であって、両者は外観において顕著に相違し、社会通念上も同視されるものではないから、到底本件商標の使用と認められるものではない。
さらに、この納品書は、単価、金額の欄がすべて見えないように塗りつぶされていたり、ゴム印や担当者の氏名・捺印(照合印)等も見当たらないなど、実際の取引に用いられたものと特定することができない不自然な点を有するもので、見方によっては故意に作成されたものとも思われる。
なお、乙第2号証は、前述のごとく、2003年(平成15年)7月8日付けで発行されたものであるから、本件審判の請求の登録日(予告登録日)の平成15年6月11日(甲第4号証)以降の取引であって、本件審判請求の登録前3年以内の日本国内における通常使用権者による本件商標の使用の事実を立証する証拠とはなり得ないものである。
したがって、乙第2号証は、商標の使用方法(表示態様)において本件商標の使用とは認められないものであり、かつ、商標の使用時期においても、本件審判請求の登録前3年以内の日本国内における通常使用権者による本件商標の使用の事実を立証する証拠となり得ないことは明らかである。
(3)乙第3号証及び乙第4号証について
乙第3号証(「ビニール製の包装袋に収められたチューブ形状の容器に封入されたマヨネーズ」を撮影した写真)及び乙第4号証(「ビニール製の包装袋に密封された状態のマヨネーズ」を撮影した写真)は、いずれの包装袋にも「タマゴヤのマヨネーズ」の文字と販売者として通常使用権者である「東京鶏卵事業協同組合」の名称と住所が印刷されている。また、「マヨネーズの原材料」「使用上の注意」「賞味期限と思われる日付」などの表示を確認することができる。
しかしながら、この写真に写っているマヨネーズには、「製造年月日」「価格」などの表示が全く見当たらず、「登録商標の使用説明書」の添付もないため、「写真の撮影者」「撮影年月日」「撮影場所」なども不明である。よって、このマヨネーズがいつ製造され、販売されたものなのか、また、実際に取引に供された商品なのか等、商標の使用時期を特定することができなし、推測することもできない。
また、乙第2号証の商品名の項目の欄(二段目の欄)の記載にもみられるように、被請求人若しくは通常使用権者の業務に係るマヨネーズが無償で提供される場合があることを考え合わせれば、上記写真に写っているマヨネーズは、商品の販売活動中に無償で提供される試供品に該当するものである可能性も否定できない。
してみれば、乙第3号証及び乙第4号証は、本件商標が表示された包装袋に収められたマヨネーズであることを確認するにとどまる資料であって、マヨネーズが実際に商品として取引されているものと特定することはできないものである。
したがって、乙第3号証及び乙第4号証は、本件審判の請求の登録前3年以内の日本国内における本件商標の指定商品「調味料」についての使用事実を証明する証拠とはなり得ないものである。
(4)むすび
以上のとおり、乙第1号証ないし乙第4号証は、本件商標を使用している事実を立証する証拠とはなり得りえないものであるから、本件商標は、その指定商品中の「調味料」について、商標法第50条第1項の規定によりその登録を取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び審尋に対する回答を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第31号証(枝番を含む。)を提出した。
1 使用の事実
(1)本件商標の商標権者は、東京鶏卵事業協同組合(東京都千代田区神田駿河台一丁目2番)に対して、本件商標を請求に係る商品「調味料」に含まれるマヨネーズについて使用する通常使用権を許諾している(乙第1号証)。
(2)商標権者及び通常使用権者は、少なくとも1999年(平成11年)から現在まで、商品「マヨネーズ」の製造・販売をし、該「マヨネーズ」の包装用フィルム、絞り袋、段ボール箱に本件商標を付して使用している(乙第3号証ないし乙第8号証及び乙第29号証ないし乙第31号証)。
なお、通常使用権者は、平成15年(2003年)7月21日付けで、東京都中央区新川二丁目6-16へ移転した(乙第9号証)。
(3)商品「マヨネーズ」(lkgチューブ×10、lkg×絞り袋の商流業務向け商品)は、商標権者により製造・販売され、通常使用権者により販売されている。商品自体は、商標権者から各届け先に直送され、当該商品の納品書は、商標権者から得意先である日本マタイ及び帳合先(通常使用権者)を介して商品の届け先に発行され、商品の請求明細書は、通常使用権者から商品の届け先に発行される(乙第10号証)。
(4)具体的取引
(a)商標権者は、2003年2月19日に、本件商標を付した商品「マヨネーズ」(lk×10 絞り袋)を日本マタイ及び通常使用権者を介して、有限会社新海商事(以下「新海商事」という。)に納品し、通常使用権者は、新海商事に対し、同年2月28日に代金を請求した(乙第11号証及び乙第12号証)。
新海商事は、その店舗内で本件商標を付した「マヨネーズ」を販売している(乙第13号証)。
(b)商標権者は、2003年2月27日に、本件商標を付した商品「マヨネーズ」(lk×10 チューブ)を日本マタイ及び通常使用権者を介して、有限会社山田茂商店浦安(以下「山田茂商店」という。)に納品し、通常使用権者は、山田茂商店に対し、同年2月28日に代金を請求した(乙第14号証及び乙第15号証)。
(c)商標権者は、2003年3月1日に、本件商標を付した商品「マヨネーズ」(lk×10 チューブ)を日本マタイ及び通常使用権者を介して、株式会社千葉鶏卵センター(以下「千葉鶏卵センター」という。)に納品し、通常使用権者は、千葉鶏卵センターに対し、同年3月31日に代金を請求した(乙第16号証及び乙第17号証)。
(d)上記(a)ないし(c)の取引のほか、商標権者若しくは通常使用権者は、本件商標を付した商品「マヨネーズ」を取り引きした(乙第18号証ないし乙第27号証)。
(5)商品「マヨネーズ」の包装用フィルム(乙第5号証)は、商標権者が遅くとも2000年9月11日から現在まで、大成ラミック株式会社に製造依頼をしている(乙第28号証)。
(6)商標権者は、少なくとも平成11年(1999年)11月4日以降現在に至るまで、滋賀工場(滋賀県神崎郡永源寺町相谷501)において、マヨネーズを製造し、本件商標を付して販売している(乙第29号証ないし乙第31号証)。
2 以上より、商標権者及び通常使用権者は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、指定商品「調味料」に含まれるマヨネーズについて、本件商標の使用をしていることは明らかである。

第4 当審の判断
1 請求人は、東京鶏卵事業協同組合が本件商標の通常使用権者であること及び使用に係る商品「マヨネーズ」が請求に係る指定商品中に含まれるものであることについては、争うことを明らかにしていない。
そこで、本件商標が本件審判の請求の登録日(平成15年6月11日)前3年以内に商標権者及び通常使用権者により商品「マヨネーズ」について使用されていたか否かについて検討する。
2 乙第3号証ないし乙第24号証及び乙第28号証ないし乙第31号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)商標権者(被請求人)は、マーガリン、マヨネーズ等を製造・販売する企業であること。
(2)商標権者及び通常使用権者は、「タマゴャの」と「マヨネーズ」とを二段にした文字若しくは「タマゴャのマヨネーズ」の文字よりなる商標を表示したマヨネーズの包装容器、包装用フィルム、段ボール箱を商品「マヨネーズ」について使用したこと。マヨネーズの包装容器のうち、「1kgポリビン外装フィルム」は、少なくとも2000年(平成12年)9月ころには大成ラミック株式会社に製造依頼したこと。
(3)商標権者及び通常使用権者は、日本マタイを介して、上記商標を使用した商品「マヨネーズ」を、2001年3月から2003年3月にかけてその顧客である新海商事、山田茂商店、千葉鶏卵センターに販売したこと。(乙第11号証(納品書)の「商品名」欄には「タマゴヤノマヨネーズ 1kX10 絞り袋/10ケース」の下に、「無償/タマゴヤノマヨネーズ 1kX10 絞り袋/1ケース」の記載が、乙第14号証(納品書)の「商品名」欄には「タマゴヤノマヨネーズ 1kX10 チュウブ/10ケース」の下に、「無償/タマゴヤノマヨネーズ 1kX10 チュウブ/1ケース」の記載が、また、乙第16号証(納品書)の「商品名」欄には「タマゴヤノマヨネーズ 1kX10 チュウブ/25ケース」の下に、「無償/タマゴヤノマヨネーズ 1kX10 チュウブ/10ケース」の記載がある。)
3 前記2で認定した事実を総合すると、商標権者及び通常使用権者は、「タマゴャの」と「マヨネーズ」とを二段にした文字若しくは「タマゴャのマヨネーズ」の文字よりなる商標を表示した商品「マヨネーズ」を、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、取り引きしたことが認められる。
また、上記使用に係る商標は、その構成中に「マヨネーズ」の文字部分を含むものであるところ、該文字部分は、使用に係る商品「マヨネーズ」を表すものであるから、その要部は、「タマゴャ」の文字部分であり、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということができる。
なお、納品書(乙第11号証、乙第14号証及び乙第16号証)中には、「無償」の文字の記載があるが、納品した商品のうちの一部が無償で譲渡したものがあるとしても、有償で販売した商品があることは明らかであるから、該「無償」の文字のみをもって、納品書の記載された商品のすべてのものが試供品等とみることはできない。
4 むすび
以上のとおり、被請求人は、商標権者及び通常使用権者が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標を請求に係る指定商品「調味料」の範疇に属する「マヨネーズ」について使用していたことを証明したと認め得るところである。
したがって、本件商標の指定商品中の「調味料」についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本件商標


審理終結日 2004-03-17 
結審通知日 2004-03-22 
審決日 2004-04-05 
出願番号 商願昭61-46920 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (131)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鹿谷 俊夫中村 欽五 
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 井岡 賢一
瀧本 佐代子
登録日 1988-09-30 
登録番号 商標登録第2080564号(T2080564) 
商標の称呼 タマゴヤ 
代理人 篠原 泰司 
代理人 奈良 武 

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