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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない Z09
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Z09
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z09
管理番号 1093552 
審判番号 不服2001-922 
総通号数 52 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-01-22 
確定日 2004-02-05 
事件の表示 平成11年商標登録願第94358号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「住宅情報賃貸版」の文字(標準文字)を横書きしてなり、第9類の願書に記載したとおりの商品を指定商品として、平成11年10月19日に登録出願、その後、当審において、平成13年1月22日付けをもって手続補正書の提出があり、その指定商品が第9類「定期刊行雑誌による賃貸住宅に関する情報を記録したビデオディスク及びビデオテープ」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『住宅に関する情報のうち賃貸に関するもの』であることを理解させる『住宅情報賃貸版』の文字を普通に用いられる方法で表示してなるものであるから、これをその指定商品中、例えば『上記情報を録画したビデオディスク及びビデオテープ』に使用しても、これに接する取引者、需要者は、録画されている内容を表したものと理解するに止まり、単に商品の品質を表示したものと認識するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、「住宅情報賃貸版」の文字よりなるところ、その指定商品が「定期刊行雑誌による賃貸住宅に関する情報を記録したビデオディスク及びビデオテープ」であり、賃貸住宅の情報を提供する商品といえるものであることを踏まえると、これに接する取引者、需要者をして、住宅に関する情報を意味する「住宅情報」の文字、さらに、住宅の中でも賃貸契約による物件であることを示す「賃貸」の文字に、出版などの情報分野において対象を特定するために用いられる「版」の文字を結合させたものと容易に理解させるものであり、全体としては、住宅に関する情報のうちの賃貸物件を対象としたものであることを表示するものであると認識させるといえるものである。
(2)住宅に関する情報を取り扱う業界においては、例えば、賃貸住宅の情報に関しては「賃貸版」などの表示、また、地域ごとの住宅の情報に関しては地名に版を付して「首都圏版」、「神奈川版」などの表示を付加し、「住宅情報」の文字を用いて住宅に関する情報を提供している実情があり、その情報の提供手段も、雑誌等にとどまらず様々な手段が用いられている。
そして、本願の補正後の指定商品は「定期刊行雑誌による賃貸住宅に関する情報を記録したビデオディスク及びビデオテープ」であるところ、請求人(出願人)も、審判請求の理由において「雑誌と同様な内容(あるいは関連する内容)の録画済みビデオディスクやビデオテープが当該雑誌と同一の出所から販売されるということは、決して珍しいことではない。」と述べているところである。
このような業界の実情を踏まえると、本願商標は、尚更、上記(1)のとおり、住宅に関する情報のうちの賃貸物件を対象としたものであることを表示するものとして認識されるといえるのであり、このことは、住宅情報に関する次の(a)ないし(y)新聞記事からも十分に裏付けられるところである。
なお、これらの新聞記事は、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定により、既に、平成15年9月8日付け証拠調べ通知書をもって、請求人に通知したものである。
(a)2003年1月17日付け朝日新聞(西部地方版/大分)の22頁には、「れじゃぐるTV(OABから) /大分」の見出しの下に、「18日(土)午前9時30分〜特集は『住宅情報れじゃぐる版』と題して、賃貸マンションや一戸建て住宅の情報を紹介。流行のデザイナーズマンションなど、不動産関係者がイチオシの優良物件を一挙公開=写真。さらに激安の庭付き一戸建て住宅も登場する。」の記載がある。
(b)2003年1月14日付け住宅新報(5面)には、「『CHINTAI』エリア4誌を創刊 賃貸住宅ニュース社」の見出しの下に、「賃貸住宅ニュース社は、同社が発行している賃貸住宅情報誌『CHINTAI』のエリア版4誌を、月刊で1月中に順次創刊する。これで、同社の情報誌は全21誌となる。エリア及び発売日は、『大分版』(1日発売)『大阪南部・和歌山版』(第3木曜)『福島・郡山版』(第3水曜)『栃木版』(第4金曜)で、すべてA4判。」の記載がある。
(c)2001年8月10日付け日本経済新聞(日本経済新聞)の43頁には、「広報社、『iモード』で賃貸情報、関東の物件を提供。」の見出しの下に、「住宅情報誌などを発行している広報社(前橋市、〜社長)は賃貸物件情報をホームページとNTTドコモの『iモード』で検索できるシステムを構築し、情報提供を始めた。・・・同社は当面、システム利用料を無料にして不動産会社に参加を呼び掛ける。『アパートマンションガイド』には群馬版、栃木版など関東の六都県版があり、掲載物件数は合計二万四千件。」の記載がある。
(d)2001年8月8日付け日本経済新聞(地方経済面)の3頁には、「不動産仲介『エイブル』、センデン、FC本格展開――長野県内8店体制目指す。」の見出しの下に、「消費者への物件情報提供体制も強化する。長野店ではエイブルの賃貸住宅情報誌『CHINTAI』を発行する賃貸住宅ニュース社(東京・港)が開発した最新の賃貸不動産業務支援システムを導入した。同店のパソコンで間取り図や写真が入った物件情報を作成。顧客がインターネットで最新の情報を検索できるよう、エイブルのデータベースに即座に情報を蓄積する体制を整えた。同様のシステムは松本店でも十一月に導入する。このシステムで作成した物件情報はCHINTAIにそのまま転用できる。センデンは今後開設するすべての店舗に同システムを導入し、二年以内にCHINTAIの長野版か甲信越版を発行する。」の記載がある。
(e)2001年1月2日付け住宅新報(7面)には、「『athome賃貸版』新創刊―アットホーム―」の見出しの下に、「不動産総合情報サービスのアットホームは一月から、首都圏発行の賃貸住宅情報誌『MyRoom』(マイルーム)を『athome賃貸版』(アットホーム チンタイバン)に誌名を変えて新創刊する。同社は、不動産会社間の情報流通サービスや消費者向けに、賃貸住宅情報誌やインターネットで、物件情報、関連情報を提供しており、これまで業界向けと消費者向けのブランド名を『MyRoom』と『athome』に分けていたが、インターネットによる業界と消費者共通の媒体が活発になり、このほど『athome』ブランドに統一した。これによりネットワークの更なる浸透を目指している。『athome賃貸版 東京・神奈川』は週刊で、『athome賃貸版 埼玉』『athome賃貸版 千葉』はそれぞれ月二回の発売。価格は二百円(本体価格百九十円)。」の記載がある。
(f)2000年11月2日付け日本工業新聞の15頁には、「スターツ 女性向け住宅専用サイト 賃貸マンション開発 02年完成目指す」の見出しの下に、「不動産デベロッパーのスターツは、関連会社のスターツ出版が運営する女性向けサイト『OZモール』に住宅情報専用サイトを開設し、女性読者の意見を生かした女性向け賃貸マンションの開発とブランド化に取り組む。」の記載がある。
(g)2000年8月31日付け日経流通新聞の7頁には、「イズミヤ、賃貸住宅情報、ネットで提供。」の見出しの下に、「イズミヤはグループ子会社を通じ十二月下旬、インターネット上で賃貸住宅情報の提供を始める。関西地域版だけで七万件と物件数は国内最大規模。利用者は無料検索できる。将来は全国の情報を提供、グループ事業の柱の一つとする。」の記載がある。
(h)2000年3月8日付け日刊工業新聞の3頁には、「文化放送ブレーン、ソフトバンク子会社に第三者割り当て。会長に北尾氏受け入れ」の見出しの下に、「就職情報サービスの文化放送ブレーンは7日、31日付でインターネット関連ビジネスの強化に向けた第三者割当増資(200万株)を実施すると発表した。・・・文化放送ブレーンは、賃貸住宅ニュース社の賃貸住宅情報誌『CHINTAI』などの出版や情報サービスを核に、事業展開を図る方針。中でも赤字体質の脱却に向けてインターネット事業の強化が課題だった。」の記載がある。
(i)1999年12月21日付け住宅新報(4面)には、「『CHINTAI広島版』創刊 賃貸住宅ニュース」の見出しの下に、「賃貸住宅情報誌を発行する賃貸住宅ニュース社(本社・東京、〜社長)は十二月十六日、地域版として十二地域目となる『CHINTAI広島版』を創刊した。同誌は広島市を中心に、その周辺エリアの最新賃貸物件情報を掲載する。」の記載がある。
(j)1999年4月1日付け毎日新聞(東京朝刊)の16頁には、「[特集]役立つ住宅情報 ハウジング・ミニ情報 マイルーム『千葉』『埼玉』発行」の見出しの下に、「不動産情報を提供するアットホーム(本社・東京)は、同社の賃貸住宅雑誌『マイルーム千葉版』と『同埼玉版』を新たに4月7日から発行する。これまで、1都3県の物件を紹介した『首都圏版』を発売してきたが、読者や不動産会社からきめ細かい情報提供のニーズが高まった。物件の間取り図を中心に、同社と提携している地域の不動産会社も案内図入りで紹介する。住まいを探す際の基本知識や、インターネットによる関連情報なども掲載する。」の記載がある。
(k)1999年3月25日付け日本工業新聞の18頁には、「短信:アットホームが千葉版、埼玉版の賃貸住宅情報誌を発刊」の見出しの下に、「不動産情報サービスのアットホーム(社長・〜氏、東京都大田区、TEL〜)は、賃貸住宅情報誌『マイルーム千葉版』と『マイルーム埼玉版』を二十四日から順次発刊する。いずれも隔週発行で、定価は二百円。これに伴い、現在の『週刊マイルーム』(首都圏版)の発行エリアは東京都と神奈川県全域とする。」の記載がある。
(l)1999年2月4日付け毎日新聞(東京朝刊)の15頁には、「[特集]役立つ住宅情報 ハウジング・ミニ情報 神奈川対象の賃貸ニュース」の見出しの下に、「賃貸住宅ニュース社は、新コンセプトの住宅雑誌『CHINTAI 神奈川版』(写真、200円)を1月から隔週で発売した。エリアを神奈川県全域に限定する一方、ユニークな室内整理や引っ越し、部屋探しなど読者の体験例を紹介。同県内同一エリアの家賃相場と比較しながら部屋を探せる。」の記載がある。
(m)1999年1月27日付け日本工業新聞の19頁には、「賃貸住宅ニュース 神奈川版を創刊」の見出しの下に、「賃貸住宅ニュース社(社長・〜氏、東京都港区、TEL〜)は、神奈川県の賃貸住宅情報誌『CHINTAI神奈川版』を二十八日に創刊する。東京、札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡に次いで七地区目。」の記載がある。
(n)1998年9月1日付け住宅新報(4面)には、「長・短期滞在需要に対応/海外生活 日系業者を国際ネット」の見出しの下に、「海外の日系不動産業者をネットワークして、出国前の海外赴任予定者や個人の海外長・短期滞在予定者向けに、世界の賃貸住宅情報を提供しようという新会社が誕生した。・・・日本での情報提供は、アドパークやCHINTAIネットワークが運営するホームページに海外賃貸欄を設けるほか、国内版の物件情報誌『週刊CHINTAI』に業者名を公開、海外専門の物件情報誌も作製する。また、物件情報のほか、各国ごとに異なる不動産取引の慣習や滞在に適したエリア情報、さらに異業種との提携で引っ越しや保険などの生活情報も提供することにしている。」の記載がある。
(o)1997年8月1日付け日本経済新聞(地方経済面)の12頁には、「SPC、住宅情報パソコンで――発行誌と連動システム開発、不動産会社に売り込み。」の見出しの下に、「住宅情報雑誌を発行するエス・ピー・シー(SPC、松山市、〜社長)は、不動産情報を画像や地図付きでパソコン上で検索できるシステムを開発した。不動産会社などに採用を働き掛ける。雑誌とシステムの情報を連動させることで、不動産会社の営業力強化に役立てる。・・・『住まい情報』は賃貸版で五千件ほどの物件を掲載している。現在、各物件を画像、地図付きのデータベースにする作業を進めており、十一月からのシステムの本格運用を目指している。」の記載がある。
(p)1997年2月22日付け日刊工業新聞の7頁には、「アルネ、FAXネットを構築。賃貸住宅の条件別検索サービスを開始」の見出しの下に、「住宅情報誌出版のアルネ(愛知県豊橋市〜、社長〜氏、電〜)はファクスで住宅、賃貸物件の条件別検索が自動的にできるシステム『アル・ネット』を構築、サービスを開始した。物件の希望条件を音声ガイドに従いダイヤルするだけで、素早く検索できるのが特徴。・・・今回、構築したアル・ネットは希望条件を選定することで登録業者すべての情報が得られる。利用者は電話回線でホストコンピューターにアクセスするだけ。あとは音声ガイドに従い戸建て、アパートなどの物件タイプ、賃貸・価格帯、面積・間取りの希望をダイヤルで選定する。条件に合った情報は即、ファクス送信される。」の記載がある。
(q)1996年9月18日付け日刊工業新聞の7頁には、「凸版印刷、パソコン通信『PC―VAN』で百科事典や住宅情報を提供」の見出しの下に、「凸版印刷(社長〜氏)は十七日、NECが提供するネットワークサービス、BIGLOBEのパソコン通信『PC―VAN』上で百科事典や賃貸住宅物件の検索・紹介などのコンテンツ(情報内容)を提供する新サービスを十八日から開始すると発表した。」の記載がある。
(r)1995年9月14日付け毎日新聞(東京朝刊)の15頁には、「[特集]役立つ住宅情報 ハウジング・ミニ情報 パソコン通信で賃貸情報」の見出しの下に、「賃貸住宅ニュース社(本社・東京都港区)は今月初めから不動産誌『週刊CHINTAI』の情報をパソコン通信でも提供を始めた。『NIFTY―Serve』を通じて、『週刊CHINTAI』の首都圏版、近畿圏版、東海圏版、福岡版の最新号の内容の情報を提供する。全国4地域、13,000の物件情報は、毎週火曜日に更新される。地域、沿線、間取り、家賃などのメニュー別の検索や、『ペット可』『フローリング』といったフリーキーワードでの検索もできる。」の記載がある。
(s)1995年9月1日付け産経新聞(東京夕刊)の4頁には、「借りたい部屋パソコン検索 賃貸住宅ニュース ニフティーサーブ通じ、情報提供」の見出しの下に、「賃貸住宅ニュース(本社・東京)は、一日から、同社が発行する『週刊CHINTAI』の情報をパソコン通信網の『ニフティーサーブ』を通じて、サービス提供を開始した。これにより、パソコン通信の利用者は、二十四時間、全国どこからでも借りたい部屋、住宅の情報が取り出せることになる。賃貸の住宅情報をFAXを通じて検索するサービスはあるが、パソコンネット上で一般ユーザーを対象とする本格的な賃貸情報提供はこれが初めて。提供する賃貸住宅情報は、同社が発行する賃貸情報誌の首都圏版、近畿版、東海版、福岡版の最新号情報(約一万三千物件)。ユーザーは、地域、沿線、間取り、家賃などのメニュー形式での検索や『ペット可』『フローリング』『駐車場付き』といったキーワードでの検索も自由に行える。」の記載がある。
(t)1995年4月20日付け日本工業新聞の18頁には、「アットホーム賃貸住宅情報誌をリニューアル」の見出しの下に、「不動産情報サービスのアットホーム(社長・〜氏、東京都大田区、TEL〜)は、二十六日発売の賃貸住宅情報誌『週刊マイルームガイド(首都圏版)』五月三日・十日合併号から、誌面とファクシミリを用いた情報提供を連動できるようにリニューアルする。掲載物件の設備詳細や現地案内図がついた間取り図、物件周辺の生活・環境情報、主要鉄道沿線の最新家賃相場などの情報をファクシミリから取り出せるサービスを開始するのが、主な変更点。」の記載がある。
(u)1994年7月22日付け日本工業新聞の15頁には、「ハウスコム 19店舗の営業開始 賃貸住宅情報誌も発刊」の見出しの下に、「同社では、各店舗の営業開始に合わせて、月刊賃貸住宅情報誌『住SEE』を創刊、三大都市圏で販売を始めた。同誌は、首都圏・北関東版、中部版、関西版の三種類を発行、三大都市圏の書店で販売。総発行部数は、合計で七万五千部、定価は二百円。賃貸情報のほか、タウン情報や賃貸生活に役立つ情報、特集ページも充実させている。」の記載がある。
(v)2002年6月7日付け日経産業新聞の16頁には、「アットホーム、賃貸住宅情報誌、地域版を強化――近畿版を創刊、間取り図充実。」の見出しの下に、「不動産情報サービス会社のアットホーム(東京・大田、〜社長)は地方での賃貸住宅情報の提供を強化する。今月から、近畿地方の消費者向け賃貸住宅情報誌『at homeマガジン近畿版』を創刊する。・・・新誌の発刊に伴い、首都圏で地域ごとに発行している『at home賃貸版』をそれぞれ、『at homeマガジン東京・神奈川版』『同埼玉版』『同千葉版』に名称を変更する。」の記載がある。
(w)1989年8月3日付け日経産業新聞の14頁には、「アットホームも賃貸物件情報誌、図面情報ふんだんに。」の見出しの下に、「不動産情報会社のアットホーム(本社東京、社長〜氏、資本金〜円)は首都圏で不動産の賃貸物件情報誌を今月発刊する。分譲住宅価格の高騰により賃貸住宅の需要が拡大していることに対応するもので、間取りなどの図面情報をふんだんに取り入れる。当初七万部を発行する予定。」の記載がある。
(x)1988年1月20日付け日本経済新聞(地方経済面)の31頁には、「『週刊ルームガイド・関西版』創刊(スポット関西)」の見出しの下に、「不動産情報サービス会社、エムジー(本社東京、社長〜氏)は関西地区(大阪、神戸、京都)の賃貸住宅情報を紹介する『週刊ルームガイド・関西版』=写真=を二十日に創刊する。読者層を主に十代後半から三十代前半に想定し、独身者、新婚家庭向けのマンションなど最新の賃貸物件情報を毎週三千―五千件程度掲載する。また独自のビデオテックス網による住宅情報提供も計画している。」の記載がある。
(y)1986年9月20日付け日本経済新聞(地方経済面)の5頁には、「街頭ビデオテックスで、賃貸住宅情報も提供――東京テレガイド、1都3県分。」の見出しの下に、「繁華街のビルなどに置いたビデオテックス端末機を使って買い物情報などを提供している東京テレガイド(本社東京、社長〜氏)は二十四日から、東京、神奈川、埼玉、千葉の一都三県の賃貸住宅情報の提供を始める。週刊賃貸住宅ニュースを発行している賃貸住宅ニュース社(本社大阪市、社長〜氏)と提携、同誌の首都圏版に掲載してあるすべての物件をビデオテックスで提供する。」の記載がある。
(3)請求人(出願人)は、本願商標は登録すべきものであるとして、その理由を種々述べているが、これら請求人の主張については、次のとおりであって、採用することはできない。
(a)請求人は、件外商標の識別性が問題となった際に、指定商品を「定期刊行雑誌による就職に関する情報を記録したビデオディスク及びビデオテープ」に補正して登録を確保したことがあるとした上で、本願商標の指定商品も、これに倣って第9類「定期刊行雑誌による賃貸住宅に関する情報を記録したビデオディスク及びビデオテープ」に補正したのであるから、本願商標について自他商品の識別力を認めるべきである旨主張する。
しかし、本願商標の審理は請求人主張の件外案件の処分に拘束されるものではない。しかも、本願の補正後の指定商品は、そもそも、定期刊行雑誌に掲載された賃貸住宅に関する情報を記録したものであることを示してはいるが、ビデオディスク及びビデオテープ自体が定期的に刊行、発売されるものに限定されたわけではないから、これを定期的に刊行、発売される「雑誌」と同様に扱うことはできない。まして、仮に、該ビデオディスク及びビデオテープが定期的に発売されるものであったとしても、本願指定商品の記載によれば、その内容は、結局、賃貸住宅に関するものであるから、本願商標は住宅に関する情報のうちの賃貸物件を対象としたものであることを認識させるとした上記(1)及び(2)の認定、判断は、何ら左右されるものではない。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
(b)請求人は、甲第1ないし第25号証(枝番を含む。以下において単に「甲第〜号証」というときも枝番を含むものとする。なお、甲第19号証は提出されていない。)を提出して、請求人発行の雑誌の題号である「住宅情報賃貸版」が、その姉妹紙「住宅情報」の著名性と相俟って、賃貸住宅に関する情報誌の商標として周知性を獲得しているから、本願商標も自他商品の識別標識として機能し得る旨主張する。
しかし、使用による識別性の獲得を主張して商標登録が可能になるのは、出願商標と使用商標の商標及び商品が同一の場合に限られる(昭和58年(行ケ)第156号 東京高裁昭和59年9月26日判決言渡、平成2年(行ケ)第103号 東京高裁平成3年1月29日判決言渡、平成14年(行ケ)第222号 東京高裁平成15年4月21日判決言渡、平成14年(行ケ)第223号 東京高裁平成15年4月21日判決言渡参照)ものであるところ、請求人提出の甲号証は、雑誌に関するものであり、本願商標の指定商品である「定期刊行雑誌による賃貸住宅に関する情報を記録したビデオディスク及びビデオテープ」についてのものではないから、本願商標の指定商品と使用に係る商品が同一であるということはできない。
また、その商標をみても、本願商標は「住宅情報賃貸版」の文字を標準文字で表示したものであるところ、請求人提出の甲号証のうち、実際の商標の使用態様を示すといえる甲第2ないし第4、第7ないし第12並びに第17ないし第22号証をみるに、これらは、「住宅情報」の文字を含むとしても、「賃貸版」の文字までを含むのは甲第17ないし第22号証にとどまるのであって、そのほかの甲号証は「賃貸版」の文字を含むものではなく、また、本願商標には含まれない一週間に一度刊行する刊行物であることを表す「週刊」の文字や、「東北版」、「東海版」のように「(地名)版」の文字を付加したものが殆どであるから本願商標とは異なるものといわざるを得ない。そして、「賃貸版」の文字までを含む甲第17ないし第22号証についても、これらは、四角形状の輪郭図形内に、例えば、漢字中の点に相当する部分を丸く表示するなど、装飾された特徴的な書体の文字をもって書されたものでものであり、加えて、住宅をモチーフとしたかの如き二つの擬人化した台形状の図形や、所謂「クレヨンしんちゃん」と思しきキャラクターの図形を伴って表示されているから、標準文字で「住宅情報賃貸版」の文字を書してなる本願商標とは構成及び態様が相違するといわざるを得ないものである。さらに、その中でも、甲第17号証、甲第18号証、甲第21号証の1及び2並びに甲第22号証の1及び2は、一週間に一度刊行する刊行物であることを表す「週刊」の文字をその語頭に付加しているものであり、請求人の主張によれば、「週刊」の文字が付加されるのは需要が最も多い首都圏と関西のものであることをも踏まえると、その影響は少なくないといえるから、「週刊」の文字がない本願商標に接した場合とは需要者に異なる印象を与えるものといわざるを得ないものである。
そのほか、新聞記事や雑誌記事として甲第13及び第14号証を提出しているが、これらは、その記事中に「住宅情報」等の文字が記されているとしても、商標としての使用とはいえないばかりでなく、見出しや記事の前後に「リクルート」、「週刊住宅情報」等の他の文字の記載もあることから、「住宅情報」や「住宅情報賃貸版」の文字のみをもって出所を識別し得るものとなっている証左とはなり得ない。また、ラジオ広告の資料として甲第24及び第25号証を提出しているが、その広告内容に必ずしも明確でない部分があるばかりでなく、そもそも、音声が商標法上商標の構成要素とはなっていないものであるから、本願商標の使用を証明するものとはなり得ない。
そうすると、請求人主張の使用商標は、仮に、甲第1、甲第5、第6、第16、第23及び第25号証に示される規模で広告がなされ、大々的な規模で広告宣伝するところがあったとしても、それは、本願の指定商品とは異なる商品について、本願商標と構成及び態様が異なる商標を使用して行ったものであるから、これをもって、本願商標について使用による識別性を獲得していると認めることはできない。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
(c)請求人は、証拠調べ通知書に対する平成15年10月27日付け意見書において、上記(2)の新聞記事は第36類の「不動産情報の提供」と第16類の「雑誌」に関するものであって、本願の指定商品とは異なる分野のものであるから、本願商標が品質表示といえるか否かの証左とはなり得ないと主張する。
しかし、商標法第3条第1項第3号の品質表示に該当するというためには、我が国の取引者、需要者が品質を表示するものとして認識するものであれば足りるといえるのであって、実際に品質を表示するものとして使用されていることまでは必要としないと解される(昭和52年(行ケ)第82号 東京高裁昭和56年5月28日判決言渡、平成13年(行ケ)第207号 東京高裁平成13年12月26日判決言渡、平成13年(行ケ)第208号 東京高裁平成13年12月26日判決言渡参照)。
そして、本願の指定商品の「定期刊行雑誌による賃貸住宅に関する情報を記録したビデオディスク及びビデオテープ」であろうと、「賃貸住宅情報誌(雑誌)」や「賃貸住宅の情報の提供(不動産情報の提供)」であろうと、賃貸住宅に関する情報を需要者に供給するという点では共通であり、主な需要者層についても、賃貸住宅を探し求めている者であるという点で共通である。しかも、これらを供給する側についても、賃貸住宅情報誌を発行している業者となる場合が少なくないことは上記(2)の新聞記事をみても明らかであるし、請求人自身、審判請求の理由において「雑誌と同様な内容(あるいは関連する内容)の録画済みビデオディスクやビデオテープが当該雑誌と同一の出所から販売されるということは、決して珍しいことではない。」と述べているところである。
そうすると、本願商標は、その構成各文字の意味合いに徴しても、また、住宅の情報に関する新聞記事に徴しても、住宅に関する情報のうちの賃貸物件を対象としたものであることを表示するものと認識させるものといえるのであり、本願の補正後の指定商品と新聞記事にある商品及び役務についても、結局、その情報を供給する手段(すなわち、雑誌、録画済みビデオディスクやビデオテープ、コンピュータネットワーク等のいずれを通じて情報を需要者に供給するか)が異なるだけで、その内容や需要者、供給者等については共通する点が多いといえるのであるから、たとえ、上記(2)の新聞記事が補正後の指定商品自体を直接扱う新聞記事ではなかったとしても、上記(1)及び(2)の認定、判断は何ら否定されるものではない。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
(4)以上のとおり、本願商標は、これを、補正後の指定商品に使用するときは、取引者、需要者をして、住宅に関する情報のうちの賃貸物件を対象としたものであることを認識するにとどまるものであって、その商品の品質を表示するにすぎないといえるものであり、しかも、本願商標が使用による識別性を獲得しているということもできないことから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないというべきものである。
したがって、仮に、本願の指定商品が当審において前記1のとおり補正された結果、本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当するとの拒絶の理由は解消したとしても、本願商標は、依然として、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した点において、原査定は、妥当であり、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2003-11-20 
結審通知日 2003-11-25 
審決日 2003-12-08 
出願番号 商願平11-94358 
審決分類 T 1 8・ 17- Z (Z09)
T 1 8・ 272- Z (Z09)
T 1 8・ 13- Z (Z09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 啓之 
特許庁審判長 小林 薫
特許庁審判官 林 栄二
岩崎 良子
商標の称呼 ジュータクジョーホーチンタイバン、ジュータクジョーホー、チンタイバン 
代理人 鈴木 知 
代理人 原島 典孝 
代理人 黒川 恵 
代理人 一色 健輔 

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