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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 110
管理番号 1091787 
審判番号 取消2001-30811 
総通号数 51 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-03-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2001-07-23 
確定日 2004-01-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第2035631号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2035631号商標(以下「本件商標」という。)は、「SIS」の欧文字を横書きしてなり、昭和60年2月7日登録出願、第10類「診断用機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、同63年3月30日設定登録され、その後平成10年3月24日に商標権の存続期間更新登録がなされているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中「診断用機械器具、その他の医療機械器具」について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第5号証を提出している。
(1)本件商標は、その指定商品中「診断用機械器具、その他の医療機械器具」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)被請求人が提出している書類からは、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品のいずれかについて登録商標(当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることの条件を満たす証明はされていない。
(3)本件商標の使用に係る商品「臨床検査情報システム」について
(ア)乙第1号証の1に係るカタログを徴するに、同商品は、汎用の電子計算機及び臨床検査情報システム用のコンピュータソフトウェアからなるコンピュータシステムであり「医療機械器具」ではなく、むしろ「電子応用機械器具」の範疇に属する商品である。
(イ)乙第1号証の1に係るカタログには、同商品は、クライアント/サーバータイプのシステムとして紹介されている。同システムにおける「クライアント」とはサービスを受ける側のコンピュータであり、また、「サーバー」とはサービスをする側の高性能コンピュータのことであり(甲第2号証)、いずれもコンピュータ(電子計算機)である。また、乙第1号証の3に係る血球分析装置関連の製品価格表には、「臨床検査情報システム」の「型名」が「SIS(スタンドアロンlite,スタンドアロン,クライアント/サーバーの3タイプ)」と表示されているが、同表示における「スタンドアロン」は「コンピュータがネットワークに接続されずに単独で使用されている状態」を表すコンピュータ用語である(甲第3号証)。
(ウ)乙第1号証の1に係るカタログに、同システムは「メトリックスがご提供する各種分析装置と容易に接続できます」と記されていることから、同システム自体には各種分析装置は含まれていないものであると解される。このことは、乙第1号証の3に係る血球分析装置関連の製品価格表において、例えば「多項目自動血球分析装置」の「型名」が「XE-2100」として掲載されており、「臨床検査情報システム」に係る型名「SIS」と異なることからも裏づけられる。
(エ)乙第1号証に係るカタログには、同カタログがいつ作成されたかについて明確な表示は見うけられない。また、同カタログにおける「SISシリーズ」及び「SIS(SYSMEX INFORMATI〇N /SYSTEM)シリーズ」の表示はいずれも、本件商標「SIS」と社会通念上同一の商標とは認められない。
いずれにしても、標章の「使用」に関して、商標法第2条第3項第7号は「商品又は役務に関する広告、定価表又は取引書類に標章を付して展示し、又は頒布する行為」と規定しており、被請求人が提出する書類からは、乙第1号証の1に係るカタログが本件商標を付して展示され又は頒布されたことに関して何ら証明されていない。
(オ)乙第1号証の2及び乙第1号証の3に係る「製品価格表」には、品名「臨床検査情報システム」の「型名」として、それぞれ「SISシリーズ」及び「SIS」の表示が見うけられるが、それらの表示は例えば「BL-100」等の他商品の表示と同様に、商品の種別を表す「型名」として表示されているにすぎず、商品商標としての表示とは認められない。
(カ)乙第1号証の4及び乙第1号証の5に係る請求書(控)には、本件商標権者であるシスメックス株式会社の表示が一切見うけられない。また、それら請求書(控)からは、当該商品がどのような商品であるかに関する表示が一切見うけられず、よって、それら請求書(控)における「ST/SIS-1000(H)」、「SIS-1000(H)」、「SIS-PRN(DI)」、「SIS-3000(H)」、「SIS-3000-CL」、「SIS-3000トクチュウプログラム(コクリツクレビョウイン)」のそれぞれの表示が、いかなる商品に係るものであるか不明である。
したがって、それらの表示は、商品商標とは認められないものである。なお、それらの表示が仮に商品商標として使用された場合においても、本件商標とは社会通念上同一の商標とは認められない。
(キ) 以上により、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、その指定商品「診断用機械器具、その他の医療機械器具」について使用されていることを立証していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第3号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)本件商標の使用事実
(ア)使用商標の態様:SIS
(イ)使用に係る商品: 「臨床検査情報システム」
(ウ)使用者:商標権者
(エ)使用時期:遅くとも平成8年6月1日以来、現在に至るまで継続的に使用。
(オ)使用場所:兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1丁目5番1号
(カ)使用の事実を示す書類:カタログ:「臨床検査情報システム SISシリーズ」宣伝広告用カタログ(乙1号証の1)、製品価格表 2000-2〔システム関連〕(乙1号証の2)、製品価格表 2000-12〔血球分析装置関連〕(乙1号証の3)、請求書(控):1999年3月31日付今西器械株式会社宛て請求書(控)(乙1号証の4)、1998年3月31日付成和産業株式会社宛て請求書(控)(乙1号証の5)
(2)使用に係る商品の説明
(ア)本件商標の使用に係る商品「臨床検査情報システム」は、血液、生化学,血清,尿一般等の検査装置とそのソフトウェアで構成され、当該商品は、専ら医療機関において臨床検査および検査結果の分析ならびに解析に使用される。また、当該システムは、ネットワークを介して、複数の異なる機種の検査データを共有することが可能となり、臨床検査業務の効率化を図ることができる。本件商標「SIS」は、当該「臨床検査情報システム」の総称として使用されている。したがって、本件商標の使用に係る商品は専ら医療診断用装置であり、本件商標は.医療用機械器具の範疇に属する商品に現に使用されている。
(イ)上記事実より明らかなように、本件商標は、本件審判請求登録前3年以内に日本国内で商標権者により指定商品「診断用機械器具、その他本類に属する商品」中、「臨床検査情報管理システム」について使用されている。
(3)本件商標の使用目的
本件商標が使用されている「医療用検査診断システム」は、分析装置、モニター、プリンターを主たる構成要素とし、その構成要素中で最も重要な役割を果たすのは分析装置である。しかしながら、当該システムは医療における検査データの統合管理並びに共有化を本来的な目的としており、分析装置なくしては意味をなさないシステムであり、分析装置は当該システムの構成要素として必要不可欠なものである(乙第2号証)。
上述の如く「SIS」システムは、複数の異なる分析装置における検査データを統合管理並びに共有することを本質的な目的としている。すなわち分析装置には、血液用、血清用、尿用等各種があるが,各々の分析検査装置単体では、各々の検査データをその分析装置でしか診ることができない。ところが、疾病は種々の異なる要因が複雑に絡み合って発症することが常であり、その要因を探るためには、単体の検査デー夕では疾病の病因を探り、最適な治療薬を処方することが困難である。本件商標「SIS」システムはこれら単体の分析装置における検査デー夕を統合管理並びに共有化する機能を有しており、例えば特定の患者の複数の異なる検査データを瞬時に診ることができ、これにより当該患者の疾病の病因を的確に把握し、最適な治療薬を施すことが可能となる。
当該システムは、的確な診断及び最適の治療を施すために専ら医療機関でのみ使用される「医療機械器具」の範疇に属する商品である。
(4)使用商品の所属
審査例では、「コンピュータネットワークに接続された医療用診断画像の管理装置」及び「医療画像診断装置用画像データ転送管理装置」がいずれもそれぞれ第10類の「医療機械器具」の範疇で認められている(乙第3号証の1ないし乙第3号証の3)。かかる事実と本件商標を使用しているシステムの使用目的を総合的に判断しても当該システムは第10類の「医療機械器具」の範疇に属する商品である。
(5)本件審判請求が棄却されるべき理由
上記の事実より明らかなように、本件商標は、本件審判請求登録前3年以内に日本国内で商標権者により、審判請求に係る指定商品中、「臨床検査情報管理システム」について使用されているものであるから、商標法50条1項の規定により取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断
1 乙第1号証ないし同第2号証から、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証の1の「臨床検査情報システム SISシリーズ」と題する商品カタログによれば、商標権者の名称、住所が記載され、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が明示されている。また、「SISは臨床検査業務をトータルにサポートするシステムです。」の表題のもとに、「SIS・・・・臨床検査システムです。・・・」の記載及び「SISシリーズ臨床検査システム」が生化学、血清、尿一般、血液等の臨床検査システムである概念図と電子計算機により検査、集計、管理するシステム構成図、操作画面が掲載されている。
(2)乙第1号証の2の2000年2月現在の「製品価格表 2000-2〔システム関連〕」によれば、検査用データ処理装置の項目の、品名欄に「臨床検査情報システム」、型式欄に「SISシリーズ」、摘要欄に「生化学/血液/血清/一般等複数部門対応」、価格欄に「仕様ごとに決定」と記載されている。
(3)乙第1号証の3の2000年12月現在の「製品価格表 2000-12〔血球分析装置関連〕」によれば、関連機器の項目の、品名欄に「臨床検査情報システム」、型名欄に「SIS(スタンドアロンLite、スタンドアロン、クライアント/サーバーの3タイプ)」、価格欄に「仕様ごとに決定」と記載されている。
(4)乙第1号証の4によれば、宮崎市の今西器械株式会社宛の99年4月2日付請求書控であり、その支払請求品目中に「ST/SIS-1000(H)」「コクリョウミヤザキヒガシビョウインサマブン」と記載されている。
(5)乙第1号証の5によれば、広島市の成和産業株式会社宛の98年4月1日付請求書控であり、その支払請求品目中に「SIS-1000(H)」「SIS-PRN(DI)」「SIS-3000(H)」「SIS-3000(CL)」「SIS-PRN(DI)」「SIS-3000トクチュウプログラム(コクリツクレビョウイン)」と記載されている。
(6)乙第2号証の「臨床検査情報システム用ソフトウェア SIS」と題する商品カタログによれば、商標権者の名称、住所が記載され、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が明示されている。また、「臨床検査情報システムの新たなステージへ」「SISは、医療の高度情報化に迅速に対応するフレキシブルなソリューションです。」の表題のもと、「SISは、・・・臨床検査情報システムです。・・・」の記載と「自動分析装置データの一元管理・共有化」として「血液検査」「凝固検査」「血清検査」「尿検査」「生化学検査」がそれぞれの分析装置によって行えること、また、「臨床検査情報システムの中核として数多くの機能を備えています。」の表題のもと「1.操作性」の項に「血液、凝固、血清、尿一般、生化学などの臨床検査室に対応。各種サブシステム(病理、輸血、細菌、生理)との接続にも対応します。」「複数検査室の情報の一括管理を実現します。」等のシステムの概要と電子計算機により検査、集計、管理するシステム構成図(SISスタンドアロンLite、SISスタンドアロン、SISクライアント/SISサーバー)、操作画面が掲載されている。 さらに、システム規模としては、前記「SISスタンドアロンLite」は、対象検査部門として「血液、凝固、一般、血清のどれか1つ」、検査取扱項目数として「最大300項目」等と、「SISスタンドアロン」は、対象検査部門として「血液、凝固、一般、血清、生化学」、検査取扱項目数として「最大300項目」等と、「SISクライアント/SISサーバー」は、対象検査部門として「血液、凝固、一般、血清、生化学、その他サブシステム(細菌・病理等)」、検査取扱項目数として「最大9999項目」等と記載されている。
2 前記1で認定した事実によれば、商標権者は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、血液、凝固、血清、尿、生化学等の自動分析装置に接続させ、その分析装置のデータを一元管理する臨床検査情報管理用の医療用診断管理システム(ソフトウェアも含む。)(以下「使用商品」という。)について、日本国内において本件審判請求の登録前3年以内に使用していたと認め得るところである。
請求人は、前記商品カタログ(乙第1号証の1ないし5及び同第2号証)においては、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していない旨主張している。
しかしながら、乙第1号証の1ないし5及び同第2号証に示されている「SIS」の文字部分が本件商標と若干態様が異なるとしても、該「SIS」の文字は、その変更が本件商標の識別性に影響を与えず、かつ、商標の同一性を損なわないものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標の使用であるとみるのが相当である。また、商品カタログの当該箇所に表示されているとしても、これをもって、該表示が自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものとすることはできないし、該商品カタログは商標権者の作成に係るものであり、そこに使用商品を含めて紹介、解説してなる仕様説明書と認められ、該商品カタログに基づき取引が行われた状況を十分窺わせるものであるから、この点に関する請求人の主張は採用することができない。
3 次に、被請求人は「臨床検査情報システム」は医療機械器具の範疇に属する商品であると主張するのに対し、請求人は電子応用機械器具の範疇に属する商品であると主張しているので、この点につき判断する。
被請求人が、本件審判請求の登録前3年以内に、使用商品に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していることが認められることは前記したとおりであり、使用商品は医療機械器具の範疇に属する商品と認めることができる。
ところで、本件商標の出願時における商標法施行令(昭和35年3月8日政令第19号)は、第1条において「商標法第6条第1項の政令で定める商品の区分は、別表のとおりとする。」と規定し、その別表において、第10類は「理化学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く。)光学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く。)写真機界器具 映画機械器具 測定機械器具(電子応用機械器具に属するもの及び電気磁気測定器を除く。)医療機械器具 これらの部品及び附属品(他の類に属するものを除く。)写真材料」、また、第11類は「電気機械器具 電気通信機械器具 電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く。)電気材料」と規定している。そして、同施行令に基づく商標法施行規則(昭和50年通商産業省令第85号)は、第3条において、「商標法施行令(昭和35年3月8日政令第19号)第1条〔商品の区分〕の規定による商品の区分に属すべき商品は、別表のとおりとする。」と規定し、その別表において、第10類中の「医療機械器具」として「一 診断用機械器具」には「聴診器具 打診器具 血液検査器 血圧計 心電計 脳波記録器 ・・・」等の商品が掲げられており、また、第11類中の「電子応用機械器具」として「一 電子応用機械器具」には「産業用X線機械器具 産業用ベータトロン 水中聴音機械器具 地震探鉱機械器具 超音波応用測深機 ・・・」等の商品が掲げられていることから、第10類の「医療機械器具」には電子応用のものであっても、「医院又は病院で専ら使用される機械器具がこの概念に属し、<1.診断用機械器具>」には、「診断の性質上、測定を目的とする機械器具が多いが、医院又は病院で専ら用いられる医療用のものは、ここに属するものと解される。そして、これらの医療機械器具を稼働させるための医療機械器具用のプログラムを記憶させた電子回路、磁気テープも、この概念に含まれるものと解される。
一方、使用商品は、乙第1号証の1によれば、「SIS・・・臨床検査情報システムです。・・・検査情報の一元管理と臨床検査業務の効率化を実現します。」と、乙第2号証によれば、「自動分析装置データの一元管理・共有化」として、「血液検査、凝固検査、血清検査、尿検査、生化学検査」と「血液、凝固、血清、尿一般、生化学などの臨床検査室に対応。」との記載が認められ、使用商品は、病院における血液検査、凝固検査、血清検査、尿検査、生化学検査を機械を利用して行うものとみられ、その検査のデータの分析等を一元管理するものであって、病院で専ら用いられる診断用の機械器具、ソフトウェアと認められ、専ら医療用のものであって、「診断用機械器具」とその用途を同じくするものであり、使用商品は診断用機械器具の範疇に属する商品というべきである。
4 してみれば、本件商標は、これと社会通念上同一と認められる態様で、本件審判の請求の登録前3年以内に、被請求人である商標権者によって本件取消請求に係る商品「医療機械器具」に含まれる「診断用機械器具」について使用されていたといい得るものである。
したがって、本件商標は、取消請求に係る指定商品については、商標法第50条の規定によっては取り消すことができないものである。
よって、結論のとおり、審決する。
審理終結日 2003-03-20 
結審通知日 2003-03-26 
審決日 2003-12-15 
出願番号 商願昭60-11219 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (110)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柴田 昭夫 
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 高橋 厚子
小林 和男
登録日 1988-03-30 
登録番号 商標登録第2035631号(T2035631) 
商標の称呼 シス、エスアイエス 
代理人 樋口 豊治 
代理人 大西 育子 
代理人 青山 葆 

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