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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効としない 014
管理番号 1091774 
審判番号 無効2002-35435 
総通号数 51 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-03-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-10-16 
確定日 2004-02-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第4069907号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4069907号商標(以下「本件商標」という。)は、平成5年4月21日に登録出願、「QUEEN」の欧文字を大きく「PEARL」の欧文字を小さく二段に併記してなり、第14類「本真珠,人工真珠,真珠を使用してなる身飾品」を指定商品として、平成9年10月17日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標登録の無効の理由に引用する登録商標は、以下のとおりである。
1 登録第463958号の2号商標(以下「引用商標1」という。)は、筆記体風の「Queen’s Diamond」の欧文字を横書きしてなり、昭和29年8月20日に登録出願、同30年4月5日に設定登録された登録第463958号商標より、指定商品中の第36類「帯止、ズボン釣、ガーター及び腕止、手巾類、釦紐、装身用ピン」について同55年3月17日に分割移転登録、その後2回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ現に有効に存続しているものである。
2 登録第463959号の2商標(以下「引用商標2」という。)は、筆記体風の「Queen’s Dia」の欧文字を横書きしてなり、昭和29年8月20日に登録出願、同30年4月5日に設定登録された登録第463959号商標より、指定商品中の第36類「帯止、ズボン釣、ガーター及び腕止、手巾類、釦紐、装身用ピン」について同55年3月17日に分割移転登録、その後2回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ現に有効に存続しているものである。
3 登録第2207971号商標(以下「引用商標3」という。)は、「QUEEN GALLERY」の欧文字を横書きしてなり、昭和62年10月20日に登録出願、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、平成2年1月30日に設定登録、その後、平成12年4月4日に商標権存続期間の更新登録がなされ現に有効に存続しているものである。
4 登録第2477047号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成2年11月19日に登録出願、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、同4年11月30日に設定登録、その後、平成14年12月3日に商標権存続期間の更新登録がなされ現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張の要点
請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第5号証を提出している。
1 請求の理由
(1)本件商標と各引用商標との類否をみるに、今日の欧文字の氾濫した取引市場、特に、本件商標の指定商品の取引界における欧文字の普及程度を勘案するなら、「QUEEN」及び「クイーン」の文字は、日常会話にても多用され親しく好んで使用されているものと認められるから、本件商標と各引用商標が同一又は類似商品に使用された場合において、その商品の出所について混同を生じさせるおそれのある類似商標と認められるものである。
(2)各引用商標をみるに、その商標の要部と認められる部分は「Queen’s」又は「QUEEN」であり、その称呼は「クイーンズ」又は「クイーン」として、観念は「女王の」「女王」の意味合いを容易に認識看取させるものと認められる。
即ち、引用商標1及び同2の構成は上記のとおりであり、本件指定商品である「身飾品或いは貴金属製品」の取引界においては、商標中の「Dia」及び「Diamond」の文字が、当該商品の原材料・品質表示としての「Diamond」「ダイヤモンド」を表示するものとして、或いはその略称として通常一般に使用され認識されているものである。しからば、引用商標1及び同2の商標の要部は「Queen’s」である。よって、その称呼、観念は「クイーンズ」(女王の)として取引に供されるものと認められる。
しかして、当該引用商標のその称呼、観念において「クイーンズダイヤ」(女王のダイヤ)、「クイーンズダイヤモンド」(女王のダイヤモンド)の称呼、観念の外に、単に「クイーンズ」(女王の)との称呼、観念にて取引がなされる場合が認められることは、取引の実情からして容易に首肯し得るものである。
次に、引用商標3及び同4について、今日の欧文字の氾濫した取引界の実情を勘案するなら、その指定商品「装身具」にあっては、「GALLERY」(ギャラリー)の文字は、「展示場、美術館等」の意味合いを有する語として広く知られているものであるから、商品の販売展示場所等を一般に表示し顕著性のない語と認められる。
しからば、引用商標3及び同4についての称呼、観念は、その要部である「QUEEN」から生じ、取引に供される場合が多分に認められるものである。
これに対して、本件商標は、「QUEEN」の文字部分より単に「クイーン」(女王)との称呼、観念が生じ取引に供されるものと認められるものである。
(3)よって、本件商標と各引用商標とは、「QUEEN」「Queen’s」の文字部分において彼此誤認混同の生ずるおそれが認められる類似商標といわざるを得ないものである。
2 弁駁の理由
(1)本件商標が商品「貝パール」等に使用され当業界で広く知られているとする事実は、被請求人も当業界で営業を継続しているが、その事実を全く知らない。また、それを証する資料の提出もなく、それを信ずるに足る理由根拠も認められない。
(2)各引用商標が必ずしも一連一体の称呼観念が生じ取引に供されるものとはいえず、むしろ自然に省略しての「クイーン」「女王」との称呼観念にて取引される場合があること明らかである。
これに対して、本件商標は、その構成態様からして、単に「クイーン」「女王」との称呼観念が生ずること明らかであるから、時と処を別異にした一般的商取引に当たり一般取引者需要者が各引用商標と誤認混同するおそれが多分に認められる類似商標といわざるを得ない。

第4 被請求人の主張の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第5号証を提出している。
1 本件商標は、被請求人の他の商標「QUEEN」(登録第3332881号)と共に、主として「貝パール」等の商品に使用され、広く当業界に知られているものである。
2 引用商標1及び同2の前半の語「Queen’s」は、形容詞的の所有格であって、後半の「Diamond」又は「Dia」と不可分かつ一体的なつながりを持つ文字で、「Diamond(Dia) of Queen」なる語句と同意語と解釈される。
したがって、それぞれ「クイーンズダイヤモンド」又は「クイーンズダイヤ」の称呼、「女王のダイヤモンド」又は「女王のダイヤ」の観念を生じるとするのが相当である。
また、両商標の構成上から見ても、筆記体状の「Queen’s」なる語と、「Diamond」又は「Dia」なる語とが間隔を置いて横一列に書され、全体としてまとまりよく一体的に構成され、称呼上もそれほど冗長なものでなく、よどみなく一連に「クイーンズダイヤモンド」又は「クイーンズダイヤ」と称呼し得るものである。
3 引用商標3及び同4は、「QUEEN」と「GALLERY」とが間隔を置いて並記された文字と、定冠詞を備えた英文筆記体「The Queen」なる語と、「GALLERY」なる語とが、後者が前者の下段後方に配置された構成よりなる文字とで構成されている。
そして、両商標の構成部分「QUEEN」及び「The Queen」なる語は、「女王、女王の、王妃、女王陛下、女王陛下の」等の意味合いのものとして、また、他の構成部分「GALLERY」は、「美術館、展示場」等の意味合いの英語としてそれぞれ共に良く親しまれている語であると認められる。
さらに、「GALLERY」なる語は、指定商品との関係において品質等を暗示し、全体の構成の中で識別上の軽重の差をもたらすものとも認められない。
そうすると、当該商標は、いずれも「QUEEN」又は「The Queen」と「GALLERY」なる語が、軽重の差無く結合されたもので、全体として「女王の美術館」「女王陛下の美術館」等の観念を生じ、これより生ずる称呼は「クイーンギャラリー」及び「ザクイーンギャラリー」であるとみるのが相当である。
4 他方、本件商標は、「QUEEN」と「PEARL」の語を二段に横書きしてなるものである。
そして、「QUEEN」及び「PEARL」の語は、それぞれ「女王、女王の、王妃、王妃の」等及び「真珠、真珠色、真珠に似たもの」等の意味合いを持ち、共に「クイーン」及び「パール」と呼称されるものである。
したがって、本件商標よりは「クイーンパール」の称呼、「女王の真珠」の観念を生ずるものと認められる。
また、本件商標の構成中の「PEARL」の語が、本件商標の指定商品の原材料表示であるとするならば、本件商標の要部は「QUEEN」のみとなり、これよりは「クイーン」の称呼のみを生ずるものである。
しかしながら、かかる状況下においても、上記の理由により、引用商標1ないし4の称呼は、「クイーン」「クイーンズ」と称呼されるべきでないものであってみれば、両商標は誤認混同する事はないとするのが相当である。
5 よって、本件商標と引用商標1ないし4とは、その外観、称呼及び観念のいずれからしても十分に区別し得る商標であるから、商標法第4条第1項第11号の規定に該当せず、本件無効審判は、理由なきものとするのが相当である。

第5 当審の判断
1 本件商標の称呼及び観念について
本件商標は、上記のとおり、「QUEEN」の文字を圧倒的顕著に表してなる構成に照らし、該「QUEEN」の文字部分が識別標識としての要部となることに加え、構成中の「PEARL」の文字は、その指定商品との関係において自他商品識別力が弱いものとみられるから、本件商標よりは「クイーンパール」の称呼を生ずると共に「クイーン」の称呼をも生ずるとみるのが相当である。
また、本件商標よりは、全体として「女王の真珠」の一連の観念を生ずると共に「女王」の観念をも生ずると認められる。
2 各引用商標の称呼及び観念について
(1)引用商標1及び同2は、上記のとおり、それぞれ筆記体風の書体で一連にまとまりよく横書きしてなるものであるから、これよりは「クイーンズダイヤモンド」又は「クイーンズダイヤ」の称呼、「女王のダイヤモンド」又は「女王のダイヤ」の観念を生ずるものと認められるものであり、これを「Queen’s」と「Diamond」の文字に分断して称呼・観念すべき特段の事情を見出せない。
しかして、請求人は、引用商標1及び同2の構成中の「Diamond」及び「Dia」の文字部分は、「身飾品や貴金属製品」との関係においては、当該商品の原材料・品質表示であると主張しているが、例え「Diamond」及び「Dia」の文字部分が原材料、品質等を表示するものとして使用される場合があるとしても、かかる構成においては商品の原材料、品質等を具体的に表示するものとして直ちに理解し得るものともいい難いところであり、かつ、引用商標1及び同2の指定商品との関係において、「Diamond」又は「Dia」の文字部分が直ちに商品の原材料、品質等を表示するものとして認識されるともいえないから、請求人の主張は採用することができない。
(2)引用商標3は、上記のとおり、同書、同大の文字をまとまりよく一体的に表してなり、殊更これを「QUEEN」と「GALLERY」とに分離して観察しなければならない格別の理由を見出し難いばかりでなく、これより生ずると認められる「クイーンギャラリー」の称呼も、それ程冗長なものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものであるから、「クイーンギャラリー」の一連の称呼、「女王の美術館」程の観念を生ずるものと認められる。
(3)引用商標4は、別掲のとおり、「The Queen」の文字の最後の「n」の文字の右の縦線をやや長く延ばし、その縦線の中間部に左から右に十字状に横線を配し、その十字状の横線の右下に「GALLERY」の文字を「The Queen」の文字に比してかなり小さく横書きした構成よりなるものであって、一種図案化された商標として一体的に看取されるとみるのが自然であるから、これを「The Queen」と「GALLERY」の文字に分離して称呼・観念することは、むしろ不自然であるというべきであり、これよりは「ザクイーンギャラリー」の一連の称呼、「女王の美術館」の一連の観念を生ずると判断するのが相当である。
(4)請求人は、「引用商標3及び4の構成中の『GALLERY』の文字部分は、その指定商品『装身具』等との関係においては、販売展示場所等を意味する語であり自他商品識別力を有しない語である。」旨主張しているが、例え「GALLERY」の語に「展示場、美術館」等の意味合いがあるとしても、かかる構成においては商品の販売展示場所等を具体的に表示するものとして直ちに理解し得るものとはいい難い。
3 本件商標と各引用商標との類否について
本件商標より生ずる「クイーン」及び「クイーンパール」の称呼と、各引用商標より生ずる「クイーンズダイヤモンド」、「クイーンズダイヤ」、「クイーンギャラリー」及び「ザクイーンギャラリー」の各称呼とを比較するに、両者は前半部における「クイーン」と「クイーンズ」又は「ザクイーン」の音に多少の共通性を有するとしても、それに続く音構成に顕著な差違を有するものであるから、両者は称呼上区別し得るものである。
また、本件商標と各引用商標から生ずる観念は上記2のとおり、それぞれ別異のものであるから、本件商標と各引用商標は観念上類似するとはいい得ないものである。
さらに、本件商標と各引用商標の構成は、上記第1及び第2で述べたとおりであり、両者の構成上これだけの差違があれば、外観上区別し得ること明らかである。
してみれば、本件商標と各引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲
引用商標4

審理終結日 2003-09-10 
結審通知日 2003-09-16 
審決日 2003-09-29 
出願番号 商願平5-40657 
審決分類 T 1 11・ 262- Y (014)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩内 三夫芦葉 松美岡田 美加 
特許庁審判長 大橋 良三
特許庁審判官 富田 領一郎
小川 有三
登録日 1997-10-17 
登録番号 商標登録第4069907号(T4069907) 
商標の称呼 クイーンパール、クイーン 
代理人 三嶋 景治 

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