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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2012300362 審決 商標

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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 124
管理番号 1090366 
審判番号 取消2001-30300 
総通号数 50 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-02-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2001-03-09 
確定日 2004-01-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第2724013号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2724013号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2724013号商標(以下「本件商標」という。)は、「CUSTOM」の欧文字と「カスタム」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成3年2月26日に登録出願、第24類「運動具」を指定商品として、平成10年3月6日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、その証拠方法として甲第1号証ないし同第22号証を提出した。

1 請求の理由
本件商標はその指定商品につき継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれかによって使用された事実が存在しないものであるから、商標法第50条第1項の規定によりその登録は取消されるべきである。
本件商標の商標登録原簿謄本(甲第1号証)によれば、専用使用権者、通常使用権者等の設定登録はなされていないものである。

2 弁駁の理由の要点
(1)「CUSTOM(カスタム)」には複数の意味があるが、その中には「注文で作った。特別製の。」等の意味がある(甲第2号証ないし同第4号証)。
したがって、「カスタム(CUSTOM)」が、「注文、注文する」の意味で普通に使用されている「オーダー(Order)」の語や、「注文システム、注文方法」等を意味すると容易に理解される「オーダーシステム(Order System)」の語、或いは「対応」等の語と共に使用された場合、すなわち、「カスタムオーダーシステム(Custom Order System)」、「カスタムオーダー(Custom Order)」、「カスタム対応」などと表示された場合、これらは一連で「注文製作システム。特別仕様での注文方法。」等の観念を生じるため、これらに接した取引者、需要者はこれらを一連で「注文製作システム。特別仕様での注文方法。」といった商品の品質等を表したものと理解するにとどまる。
(2)実際、「カスタムオーダーシステム(Custom Order System)」、「カスタムオーダー(Custom Order)」、「カスタム対応」等の文字は、ゴルフクラブを扱う業界はもとより多種多様な業界で「注文製作システム。特別仕様での注文方法。」、「注文製作の。特別仕様の。」等を意味するものとして普通に使用されている。この事実を示す事例のいくつかを甲第5号証ないし同第19号証に示す。
(3)被請求人の使用態様についてみれば、被請求人のカタログ(乙第1号証ないし同第6号証及び甲第20号証)における「カスタムオーダーシステム(Custom Order System)」及び「カスタム対応」の文字に接した取引者・需要者は、これらは一連で「(カタログに表示されている既製の仕様以外での)顧客の要求に応じた特別仕様でのゴルフクラブの注文製作」を意味しており商品「ゴルフクラブ」の品質等を表したものと理解するにとどまるものと考えられるのであって、該文字の使用が自他商品識別機能を有する使用であるとは考えられないのである。
したがって、自他商品識別機能を果たしていない以上、該文字の使用は本件商標の使用とは認められない。
そして、上記の事情に鑑みれば、乙第10号証の1ないし同第10号証の8の発注書写に見られる「カスタムオーダー」の文字も単に、「カタログ仕様でない特別仕様での注文製作」の発注である旨を表したに過ぎないと考えるのが適当である。
(4)前述の事情を総合的に勘案すると、乙第1号証ないし同第6号証、同第10号証の1〜8に表示された「カスタムオーダーシステム」、「Custom Order System」、「カスタムオーダー」及び「カスタム対応」の文字の使用は、自他商品の識別標識としての機能を果たすものとは認められず、商標の使用とは認められない。

第3 被請求人の答弁
1 請求に対する答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、その証拠方法として乙第1号証ないし同第10号証(枝番を含む。)を提出した。
被請求人は、取消請求に係る指定商品に含まれる「ゴルフクラブ」について、「カスタムオーダーシステム」「Custom Order System」「カスタム対応」など、『CUSTOM/カスタム』の文字を含む標章をカタログに掲載し配布することにより、本商品『カスタム』についての販売拡大を図るべく宣伝広告していることが、乙第1号証〜同第6号証から明らかである。また、各カタログの作成時期から、本件商標が登録日の平成10年3月6日頃から現在に至るまで、継続的に使用されていることも明白である。
前記カタログにおいては、本件商標は、「オーダー(Order)」及び「システム(System)」とともに使用されているが、これらの用語は共に識別力のない語であり、「オーダーシステム(Order System)」にしても、「注文システム」の意味しか生じ得ないので、これらの文字は単に付記的な部分にすぎず、要部は「カスタム(Custom)」にある。
従って、「カスタムオーダーシステム(Custom Order System)」の使用は、本件商標「CUSTOM/カスタム」と自他商品の識別標識として同一の機能を果たしており、本件商標の使用と認められるべきものである。
実際に商品の取引が行われている事実を証明する一例である乙第10号証の1〜同第10号証の8は、発注日が1998年4月23日〜2001年1月29日のもので、「カスタムオーダー発注書」という書類名が記載されており、この時期に、カタログ中で宣伝広告したゴルフクラブ「カスタム」の取引が実際に行われたことを示している。
本件商標は、このように本件審判請求の登録前の3年間、使用され続けてき、いまや、「カスタム」は、被請求人が提供する種々の優れたゴルフクラブの中の一種として、十分な出所表示機能、品質保証機能を発揮して、周知著名化するに至っているものである。

2 弁駁に対する答弁
(1)請求人が挙証した甲第5号証〜同第19号証の適否について
被請求人が本件で挙証しているのは指定商品の「運道具」であるわけだから、本件商標「CUSTOM/カスタム」或いは、「カスタムオーダーシステム(Custom Order System)」「カスタムオーダー(Custom Order)」、「カスタム対応」等の表示が自他商品識別力を有さないことを証明するためには、商品「運道具」について品質等を表すものとして普通に使用されていることを立証する必要がある。
よって、本件商標の指定商品である「運動具」以外の商品に「カスタムオーダーシステム(Custom Order System)」等が使用されている甲第11号証〜同第19号証は、本件の証拠資料としては適格性を欠くもので、採用されるべきではない。
さらに、「運道具」に関する請求人提出の甲第5〜10号証についても、6件という数はインターネット検索でヒットしたものとしては、極めて少数であり、「カスタムオーダーシステム(Custom Order System)」等が「運道具」について普通に使用されていることを示すには、量的にも不十分である。
(2)被請求人の乙第10号証の1〜同第10号証の8の適否について
被請求人が提出した証拠書類のうち、乙第10号証の1〜同第10号証の8の発注書写は基本的には社内用の書類であるが、この写しが販売先への納品書を兼ねている。
従って、乙第10号証の1〜同第10号証の8に示す発注書の写は、少なくとも記載されている発注日1998年4月23日〜2001年1月29日の間に、実際に本件商標を付した商品の取引が行われていた事実を証明する証拠として十分に成立が認められるべきものである。
被請求人は、登録商標「Custom」を「Order System」と組み合わせることによって、「POWER MAGIC」の「Custom」シリーズは、ヘッドとシャフトの種々の組み合わせで、レディメイドでなく、“オーダーメイド”としてのオーダーシステム、即ち、注文方式であることを示し、当該商標が他の「POWER MAGIC」シリーズの商品と異なる商品であることを、需要者に認識させるよう仕向けて表示する方法を採っているのである。
このような表示方法を、請求人は「注文製作システム」や「特別仕様での注文方法」の観念を勝手に当てはめて、単に商品の品質表示にすぎないとして、恰も登録商標の使用になり得ないかの如く主張しているが、当該カタログ中のこのような表現が商標として認識するかしないかは、単に、受け取り側の認識の仕方の問題であって、被請求人が提出した各乙号証に表示のものは、正しくは、上記したような意図のもとで、「POWER MAGIC」シリーズの中の「Custom」についての「Order System」、すなわち、「商標『カスタム/Custom』の注文システム」或いは「商標『カスタム/Custom』の注文方法」との意図で当該商標を使用しているのである。これはまさしく、商標を使用していることに他ならず、請求人主張のように、商品の品質等を表したものと理解するにとどまると解釈されるものではない。蓋し、本件商標「CUSTOM/カスタム」自体に識別力が認められて登録になったものであるので、「Order System」の語との組み合わせで商標を使用したからといって、商標「CUSTOM/カスタム」が識別力を喪失してしまうなどと捉えること自体が、論理矛盾であり妥当でないからでもある。
(3)本件商標の自他商品識別力についての検討
「CUSTOM(カスタム)」は「運道具」のみならず、複数の商品・役務について自他商品識別力ありとして登録されている(乙第11号証ないし同第18号証)。
このことは、「CUSTOM(カスタム)」からは「注文で作った、特別製の」等の意味が第一義的に生じるものではないことを示している。
このように十分に自他商品識別力を備えている「CUSTOM(カスタム)」が、他の語と組合わされたとしても、そのことにより「CUSTOM(カスタム)」の部分の自他商品識別力がなくなるなどということは、その組み合わされた語が造語或いは熟語として完全に確立され新たな意味を有している、すなわち一般の辞書等に掲載されているという場合以外は、通常考えられない。
よって、本件についても、「CUSTOM(カスタム)」が自他商品識別力を有している以上、識別力のない「オーダー(Order)」及び「システム(System)」の語が付記されたとしても、「CUSTOM(カスタム)」自体の自他商品識別力には何ら影響を与えるものではない。
(4)結論
以上述べたように、請求人が「弁駁の理由」で述べた主張及び証拠書類をもっても、本件審判の取消請求に係る商品中の「ゴルフクラブ」について、本件商標と実質上同一の機能を果たし得ると認められる商標『カスタム』及び『Custom』が、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、被請求人によって継続して使用されている事実は何ら変わるものではない。
したがって、本件商標は商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録が取消されるべきものではない。

第4 当審の判断
1 使用商標について
被請求人は、本件商標をその指定商品中の「ゴルフクラブ」について、本件審判請求の登録前3年以内に使用していると主張し、使用の事実を証明するものとして、乙第1号証ないし同第18号証(枝番を含む。)を提出した。
そこで、各乙号証において、被請求人が本件商標を使用しているとする標章(以下「使用商標」といい、使用事例に応じて「使用商標A」、「使用商標B」のように表記する。)について検討する。
(1)乙第1号証ないし同第6号証(商品カタログ)には、本件商標の指定商品に含まれる商品「ゴルフクラブ」に「カスタムオーダーシステム」の標章(以下「使用商標A」という。)が表示されている。
(2)乙第2号証ないし同第6号証には、本件商標の指定商品に含まれる商品「ゴルフクラブ」に「Custom Order System」の標章(以下「使用商標B」という。)が表示されている。
(3)乙第1号証には、本件商標の指定商品中に含まれる商品「ゴルフクラブ」に「カスタム対応スペック」の標章(以下「使用商標C」という。)が表示されている。
(4)乙第2号証及び同第3号証には、本件商標の指定商品中に含まれる商品「ゴルフクラブ」に「カスタム対応」の標章(以下「使用商標D」という。)が表示されている。
(5)このうち、乙第1号証は、末尾に「2001年6月作成」とあることから、乙第1号証の商品カタログは、本件審判の請求の登録後に作成されたものであるから、これのみによっては本件商標の使用を立証する証左とすることはできないことを附言する。
2 各使用商標の自他商品識別機能について
(1)使用商標A及び使用商標Bについて
乙第1号証ないし同第6号証には「カスタムオーダーシステム」の表示が、また、乙第2号証ないし同第6号証には「Custom Order System」の表示がされているところ、甲第2号証ないし同第4号証によれば、「Custom」及び「カスタム」は、「あつらえの、注文の」の意味を有する語であることが認められる。また、「Order」、「オーダー」は「注文、順序」等の意味を、「System」、「システム」は「しくみ、方式、組織」等の意味を有する語としてどちらも親しまれている語であり、この点については被請求人も乙第7号証及び同第8号証を提出し、自ら認めているところである。
そうとすれば、「カスタムオーダーシステム」、「Custom Order System」は、全体として、「特別注文システム」のごとき意味合いを理解させるものといえる。
ところで、乙第1号証ないし同第6号証は、ゴルフクラブの商品カタログ又は同写しと認められるところ、これら各号証には、いずれも商品の仕様書一覧表と認められる表が掲載されている。そして、その一覧表の上をみると、乙第1号証には「カスタムオーダーシステム」の文字が表示され、乙第2号証ないし同第6号証には、「Custom Order System」及び「カスタムオーダーシステム」の文字が表示されるとともに、「深く、もっと深く。ゴルフの中へという人へ。パワーマジック・カスタムオーダーシステム」(「パワーマジック」は、乙第1号証及び同第2号証の商品カタログ原本によれば、特定のゴルフクラブの商標と認められる。)、「自分に合ったスペックにチューンナップすることで、クラブの性能をさらに引きだすことができます。ヤマハでは、パワーマジックシリーズのヘッドとシャフトの組み合わせで、カタログ仕様以外の対応もしています。」(「スペック」は「仕様書」を意味する語として普通に使用されている。)との記載がされている。
これらの記載からすれば、「Custom Order System」及び「カスタムオーダーシステム」の文字は、「(カタログ仕様以外の仕様の商品の)特別注文システム」のごとき意味合いを容易に認識させ得るものといえるから、「Custom」及び「カスタム」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすとはいい難く、構成文字全体として、「特別注文システム」のごとき意味合いを表すものというべきである。
被請求人は、使用商標A及び使用商標Bについては、登録商標「Custom」を「Order System」と組み合わせることによって、「POWER MAGIC」シリーズ中の「Custom」についての「Order System」、すなわち、「商標『カスタム/Custom』の注文システム」或いは「商標『カスタム/Custom』の注文方法」との意図で当該商標を使用していると述べている。しかしながら、使用商標A及び使用商標Bについては前記認定のとおりであるから、被請求人主張のごとく解釈するのは、不自然というべきである。
また、甲第5号証ないし同第10号証は、ゴルフクラブ、ゴルフホルスター又はゴルフグローブを紹介するインターネット情報と認められるところ、甲第5号証には、「カスタム・オーダーシステム」の表示と共に、「このシステムでは、ご希望の球筋やヘッドスピード、体格や技術に合わせて、ヘッドとシャフトをお選びいただけます。最適な仕様でつくられた[アルテグラ]を手にすれば、あなたが追い求めていた理想の弾道が実現します。」の記載が、甲第6号証には、「トップアマに人気の理由は、カスタムオーダーだからです。・・・オーダー内容:ヘッドの種類、シャフトの種類、・・・グリップ」の記載が、甲第7号証には、「中にはカタログの商品のスペックでは最適のクラブが見つからない方がいらっしゃいます、そんな方の為に有るのがこの『カスタムオーダーシステム』なんです!!」の記載が、甲第8号証には、ゴルフホルスターについて、「カスタムオーダーでロゴを入れる場合は約5週間の期間が必要・・・」の記載が、甲第9号証には、ゴルフグローブについて、「世界でたった一枚、あなた専用に熟練クラフトマンがお誂えする素手感覚の『特別注文グローブ』。」及び「サイズ カスタムオーダー」の記載が、甲第10号証には、「ニュードライバー・・・(カスタムオーダー対応品)」及び「全長(カスタムオーダー可能)・・・」の記載が認められる。
さらに、甲第11号証ないし同第19号証についても、商品分野は異なるものの、同様の記載が認められるところである。
これらの使用状況からすれば、「カスタムオーダーシステム」及び「Custom Order System」の語は、全体として、「特別注文システム」のごとき意味合いを表すものとして把握されるとみるのが相当である。
なお、被請求人は、甲第11号証ないし同第19号証は本件商標の指定商品「運動具」に関するものでないから、本件の証拠資料としては採用できない、また、「運動具」に関するインターネット検索情報である甲第5号証ないし同第10号証についても、件数が6件と少数であるから、証拠として不十分であると主張するが、甲第11号証ないし同第19号証における商品と本件商標の指定商品とは、いずれも一般消費者を対象とする商品であって、需要者が共通する場合が多いものといえる。また、「運動具」について甲第5号証ないし同第10号証に示されたように6件の使用例があるということは、決して少ないとはいえず、また、提出された各甲号証以外に使用例がないとはいえないものであるから、被請求人の上記主張は採用することができない。
以上にれば、使用商標A及び使用商標Bをもってしては、本件商標が指定商品中の「ゴルクラブ」に使用されていたとすることできない。
(2)使用商標C及び使用商標Dについて
乙第1号証には「カスタム対応スペック」の表示が、また、乙第2号証及び同第3号証には「カスタム対応」の表示がされているところ、「カスタム」及び「スペック」の語義及び使用の実情については、前記(1)のとおりであるから、前者は「特別注文対応仕様書」、後者は「特別注文対応」のごとき意味合いを表すとみるのが相当であり、使用商標C及び使用商標Dをもってしては、本件商標が指定商品中の「ゴルフクラブ」に使用されていたということはできない。
以上によれば、乙第1号証ないし同第6号証によっては、本件商標が、その指定商品について、本件審判の請求の登録前三年以内に日本国内において使用されていたと認めることはできない。
(3)その他の乙号証による使用の主張について
被請求人は、乙第7号証及び同第8号証を引用し、使用商標構成中の「オーダーシステム」、「Order System」及び「対応」の文字部分は、いずれも自他商品の識別力がなく、「Custom」及び「カスタム」の文字部分が要部であるから、本件商標と使用商標とは社会通念上同一と認められる商標であると主張する。しかしながら、本件使用商標については、前記のとおり判断するのが相当であるから、被請求人の主張は採用することができない。
また、乙第9号証における「水冷VHC圧縮機」及び「NEOVERNASE/ネオベルナーゼ」は、本件とは事案を異にするものである。
さらに、乙第10号証の1ないし8における「カスタムオーダー発注書」も、乙第1号証ないし乙第6号証についての前記認定からすれば、同様に、「Custom」及び「カスタム」の文字部分が商標として認識されるとはいい難く、「カスタムオーダー発注書」の文字全体が一体のものとしてとらえられ、「特別注文発注書」のごとき意味合いを認識させるとみるのが相当である。
したがって、乙第7号証および同第10号証(枝番を含む。)をもってしては、本件商標が、その指定商品について、本件審判の請求の登録前三年以内に日本国内において使用されていたことを証明する証左とすることはできない。
(4)また、被請求人は、「CUSTOM」「Custom」又は「カスタム」の登録例を示し、該標章が自他商品識別力を備えている以上、識別力のない「オーダー(Order)」及び「システム(System)」の語が付記されたとしても、「CUSTOM(カスタム)」自体の識別力には、何ら影響を与えるものではないと主張しているが、登録商標に他の語を連結して、変更して使用した場合、登録商標を単独に使用した場合と同様のものとして把握されるとはいい得ない場合があり、登録商標に関連する意味をもつ語を連結することにより、より具体的意味合いを表すようになり、ひいては、商品の品質等を具体的又は直接的に表すようになることがないとはいえない。本件商標は、まさしくその一例といえる。
してみれば、被請求人の主張は、いずれも採用することができないものであり、被請求人の提出に係る本件使用商標が本件商標と社会通念上同一の商標ということはできないものである。
3 したがって、被請求人が提出した証拠方法によっては、本件商標が、本件審判の請求の登録前三年以内に日本国内において、本件商標の指定商品「運動具」に使用されていたと認めることはできないから、本件商標の登録は、商標法50条の規定により取り消すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2003-09-11 
結審通知日 2003-09-24 
審決日 2003-11-19 
出願番号 商願平3-18990 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (124)
最終処分 成立  
前審関与審査官 須藤 祀久金子 茂 
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 宮川 久成
高橋 厚子
登録日 1998-03-06 
登録番号 商標登録第2724013号(T2724013) 
商標の称呼 カスタム 
代理人 竹内 耕三 
代理人 海津 保三 
代理人 深見 久郎 
代理人 平山 一幸 
代理人 森田 俊雄 

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