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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Z38
審判 全部申立て  登録を維持 Z38
審判 全部申立て  登録を維持 Z38
審判 全部申立て  登録を維持 Z38
管理番号 1088733 
異議申立番号 異議2001-90084 
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2004-01-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-02-05 
確定日 2003-11-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第4430312号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4430312号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第4430312号商標(以下「本件商標」という。)は、「MACROSS」の文字(標準文字による)を横書きしてなり、平成11年8月4日登録出願、第38類「移動体電話による通信・テレックスによる通信・電子計算機端末による通信・電報による通信・電話による通信・ファクシミリによる通信・無線呼び出し,テレビジョン放送・有線テレビジョン放送・ラジオ放送,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」を指定役務として、同12年11月2日に設定登録がなされたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法4条1項7号、同10号、同15号、及び同19号に違反してされたものであり、本件商標の登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第121号証(枝番を含む。)を提出した。
1 申立人が5件の登録商標の権利者であること
申立人は、片仮名文字「マクロス」を左書きしてなる5件の登録商標の権利者であり、この権利は、現在も存続中である(甲第2ないし同第6号証)。
2 「マクロス」の著作権について
(1)「マクロス」は、昭和57年10月3日から昭和58年6月26日にかけて全国テレビ放送された人気テレビアニメーションシリーズの名称であり、その著作権は申立人に属している(甲第8号証(枝番を含む。))。
さらに、申立人は、昭和58年以降も「マクロス」関連のアニメーションシリーズを制作し、その著作権は申立人に属している(甲第8号証、同第9号証、同第11号証(枝番を含む。)、同第12号証、同第15号証ないし同第19号証(枝番を含む。))。
(2)本件商標権者(以下「商標権者」という。)は、上記(1)のテレビアニメーションシリーズ「マクロス」に関して、件外の株式会社竜の子プロダクション(以下「竜の子」と表記する。)から著作権の譲渡を受けたと主張し、アメリカ合衆国において著作権及び商標権の登録を行った。
しかしながら、申立人は「マクロス」に関する著作権をいかなる第三者に対しても譲渡していない。そこで、申立人は、日本において、件外「竜の子」に対する訴訟(著作権が原告らに属することの確認請求、及び、「竜の子」による申立人の著作権を侵害する行為の差し止め請求)を平成13年2月1日に行った(甲第24号証、甲第120号証及び同第121号証)。
3 「マクロス」、「MACROSS」標章の周知・著名性について
申立人は、「マクロス」関連アニメーションシリーズ作品の著作物使用許諾を第三者に行うことにより、「マクロス」商標を付した玩具、ビデオゲーム、出版物、ビデオグラム、録音物、菓子、日用雑貨等の多くの商品の製造頒布を行っている。さらに「マクロス」商標を付した商品の販売を促進するために、テレビ・ラジオコマーシャル、雑誌広告、看板、ラジオ番組の放送などが、初回テレビアニメーション放送開始の1982年から現在にいたる18年間の長期にわたり行われている。この結果、テレビアニメーンョンシリーズ「マクロス」は需要者の間に広く認識されている(甲第7号証ないし同第23号証(枝番を含む。)、甲第25号証ないし同第118号証)。
4 不正の目的について
商標権者は、日本国内のみならず全世界において「マクロス」に関する著作権その他のいかなる権利も有していない。それにもかかわらず本件登録申請を行うことは、申立人の法的権利を侵害し、また申立人が創造した商標を盗用する目的を有するものであることは明白である。

第3 当審の判断
本件商標は、申立人の主張する商標法の規定に違反して登録されたものとは認められない。
以下、その理由を、前記「第2」の申立ての理由にそって記載する。
1 申立人が5件の登録商標の権利者であることについて
申立人主張の登録商標が存在するとしても、これらの事実をもってしては、本件商標が申立てのいずかれの条文に該当するということはできない。
2 「マクロス」の著作権について
(1)申立人は、「『マクロス』は、昭和57年10月3日から昭和58年6月26日にかけて全国テレビ放送された人気テレビアニメーションシリーズ作品の名称であり、その著作権は申立人に属している。」と主張している。
確かに、申立人が提出した、甲第8号証(枝番を含む。)、同第9号証、同第11号証(枝番を含む。)、同第12号証、同第15号証ないし同第20号証(枝番を含む。)、同第22号証等には、「マクロス」、あるいは「MACROSS」とのタイトルのアニメーションに関連して、「C(マル)」及び、申立人の略称と推認される「ビッグウエスト」の文字が表示されている。しかしながら、この「C(マル)」が、著作権を表すものであるとしても、その著作権が何を対象とするものかが明らかではなく、これらの事実のみをもってしては、「マクロス」のアニメーションシリーズ作品の著作権が申立人に属しているということはできない。
さらに、甲第8号証には「C(マル)」表示とともに「毎日放送・ビッグウエスト」との表示があることから、これによっては、「マクロス」のアニメーションシリーズ作品について、申立人のみが著作権を有すると認めることはできない。
したがって、上記の各号証によっては、申立人が「マクロス」のアニメーションシリーズ作品について何らかの著作権を有していることを確認することができないから、同人が「マクロス」、「MACROSS」の文字(語・題号)について何らかの著作権を有しているということもできない。
(2)仮に、アニメーションシリーズ作品「マクロス(MACROSS)」に関して、申立人が何らかの著作権を有するとしても、一般に、著作物の題名は著作物から独立した著作物性を持ちえないと解するのが相当であって(昭和60年9月26日 昭和59年(ネ)第1803号 大阪高等裁判所判決 判例時報1182号141頁)、本件の場合、「マクロス」、「MACROSS」の文字(語・題号)について申立人に著作権があるとすべき特別の事情は認められないから、本件における「マクロス」あるいは「MACROSS」との著作物の題号(名)は、著作物から独立した著作物性を持ち得ず、「マクロス」、「MACROSS」の文字(語・題号)に著作権が発生する余地はないというべきである。
しかも、商標法は、第三者の著作権を侵害するだけでは同法の拒絶条文には該当せず、調整規定である同法29条が機能するのであり、その使用が他人の著作権と抵触する商標であっても、商標法第4条第1項第7号に規定する商標には当たらないと解されているところである(平成13年5月30日 平成12年(行ケ)第386号 東京高等裁判所判決)。
(3)申立人は、件外「竜の子」に対して著作権確認等を請求の趣旨とする訴訟を提起していると主張し、甲第24号証、甲第120号証及び同第121号証を提出した。
しかして、甲第24号証によれば、申立人が「竜の子」に対して確認を求めている権利は、目録として添付された図柄の著作権であり、かつ、当該著作権等確認訴訟の原告は、申立人以外の者も名を連ねていることが認められ、「『マクロス』の著作権は申立人に属している。」との主張は、申立人が提出した甲第24号証に照らし、正確さを欠くものである。
また、甲第120号証によれば、当該事件について判決は、「原告らが,別紙目録1ないし41記載の各図柄について,著作権を有することを確認する。」としたところであり、さらに、甲第121号証によれば、第一審被告である件外「竜の子」は、この判決を不服として控訴したが、「本件控訴をいずれも棄却する」との判決がされている。
したがって、申立人(正確には「申立人ら」)が件外「竜の子」との関係で起こした著作権確認訴訟は、「マクロス」、「MACROSS」の文字(語・題号)に関するものでないことは明らかであって、ほかに、申立人が「マクロス」、「MACROSS」の文字(語・題号)に関する何らかの法的権利を有しているとの証拠もない。
したがって、甲第24号証、甲第120号証及び同第121号証をもってする理由によっては、本件商標には取り消すべき理由があるとすることはできない。
3 「マクロス」、「MACROSS」標章の周知・著名性について
(1)甲第7号証は、昭和57年に発行された雑誌の付録と推認できるが、「マクロス」、「MACROSS」の文字(語)が、誰の取り扱い係るものであるのかが明らかではない。
甲第8号証(枝番を含む。)が昭和58年に出版されたことは認められるが、当該書籍の販売数などが不明であり、また、当該出版物の発行者、あるいは「マクロス」、「MACROSS」の文字(語)の使用主体者が申立人であるとする根拠は見出し得ない。
甲第9号証は、「超時空要塞/マクロス/MACROSS」とのタイトルの映画の宣伝広告であるところ、その観客動員数、上映期間などが明らかではない。また、当該映画の上映主、あるいは「マクロス」、「MACROSS」の文字(語)の使用主体者が申立人であるとする根拠は見出し得ない。
甲第10号証は、「超時空要塞マクロス/愛、おぼえていますか」とのタイトルの映画(甲第9号証のものと推認できる。)を、第1回東京国際映画祭に申立人が出品したことが窺えるが、当該映画の観客動員数、上映期間などが不詳であって、また、当該映画の上映主、あるいは「マクロス」、「MACROSS」の文字(語)の使用主体者が申立人であるとする根拠は見出し得ない。
甲第11号証(枝番を含む。)によれば、平成4年に発行された雑誌に「超時空要塞マクロス『2』(同号証ではローマ数字で表記されているもの。以下、同様に表記する。)」なるタイトルのアニメーション映画に関する記事(宣伝)が掲載されたことは確認できるが、当該アニメーション映画あるいはビデオが、どの期間にわたって上映され、あるいは、どの程度の数量販売されたかが明らかではない。また、当該映画の上映主・ビデオの販売者、あるいは「マクロス」、「MACROSS」の文字(語)の使用主体者が申立人であるとする根拠は見出し得ない。
甲第12号証のビデオは、販売日及び販売数が不明である。また、当該ビデオの販売者、あるいは「マクロス」、「MACROSS」の文字(語)の使用主体者が申立人であるとする根拠は見出し得ない。
甲第13号証は、平成4年に発行された週間誌であるところ、ここに「超時空要塞マクロス『2』」なるタイトルの漫画が連載掲載されたことは確認できるが、当該漫画が、どの期間にわたって掲載され、また、どの程度の販売実績があったのかが明らかではない。また、当該週刊誌の発行者、あるいは「マクロス」、「MACROSS」の文字(語)の使用主体者が申立人であるとする根拠は見出し得ない。
甲第14号証によれば、「超時空要塞マクロス『2』」なるタイトルのテレビ番組が、TXN系列の6のテレビ局により、平成5年8月2日から同年9月6日まで放映されたことが推認できるものの、この契約書によっては、当該タイトル及び「マクロス」、「MACROSS」の文字(語)の使用主体者が申立人であるとする根拠は見出し得ない。
甲第15号証は、「マクロスプラス」なるタイトルのビデオの広告宣伝と認められるが、このビデオが、どの程度の数量の販売実績があったのかが明らかではない。また、当該ビデオの販売者、あるいは「マクロス」、「MACROSS」の文字(語)の使用主体者が申立人であるとする根拠は見出し得ない。
甲第16号証(枝番を含む。)によれば、「Macross Plus」なるタイトルのビデオが販売されたことは確認できるが、このビデオが、どの程度の販売実績があったのかが明らかではなく、また、当該ビデオの販売者、あるいは「マクロス」、「MACROSS」の文字(語)の使用主体者が申立人であるとする根拠は見出し得ない。
甲第17号証(枝番を含む。)によれば、「マクロス7」なるタイトルのテレビ番組が、TBS系列のテレビ局により、平成6年10月16日から放映されたことが推認できるものの、このテレビ放映において、当該タイトル、及び、「マクロス」、「MACROSS」の文字(語)の使用主体者が申立人であるとする根拠は見出し得ない。
甲第18号証は、「マクロス7」あるいは「MACROSS PLUS」とのタイトルの劇場映画の広告宣伝と認められるが、その観客動員数、上映期間などが不詳であり、また、当該映画の上映主、あるいは「マクロス」、「MACROSS」の文字(語)の使用主体者が申立人であるとする根拠は見出し得ない。
甲第19号証は、「マクロスダイナマイト7」とのタイトルのDVDの包装箱と認められるが(この号証のものは、「見本盤」と表記されている)、このDVDが、どの程度の数量の販売実績があったのかが明らかではない。また、当該DVDの販売者、あるいは「マクロス」、「MACROSS」の文字(語)の使用主体者が申立人であるとする根拠は見出し得ない。
甲第20号証によれば、「マクロス7」なるタイトルのテレビ番組が、TBS系列のテレビ局により、平成7年初旬に放映されたことが推認できるものの、このテレビ放映において、当該タイトル、及び、「マクロス」、「MACROSS」の文字(語)の使用主体者が申立人であるとする根拠は見出し得ない。
甲第21号証によれば、「マクロス7 Let’s Fire!!(Fire Bomber)」等のタイトルのアニメアルバムについて申立人摘示の売上枚数があったことは推認できるが、当該タイトルのアニメアルバムの制作・販売者、あるいは「マクロス」、「MACROSS」の文字(語)の使用主体者が申立人であるとする根拠は見出し得ない。
甲第22号証(枝番を含む。)によれば、「マクロスM3」とのタイトルのビデオゲームが販売されたことは確認できるが、このビデオゲームが、どの程度の販売実績があったのかが明らかではなく、また、当該ゲームディスクの販売者、あるいは「マクロス」、「MACROSS」の文字(語)の使用主体者が申立人であるとする根拠は見出し得ない。
甲第23号証によれば、「マクロスプラス」との名称の玩具が、「株式会社やまと」により販売されたことが確認できるものの、「マクロス」、「MACROSS」の文字(語)の使用主体者が申立人であるとする根拠は見出し得ない。
以上、甲第7号証ないし同第23号証(枝番を含む。)によっては、「マクロス」、「MACROSS」の文字(語)周知性の程度を推し量ることができないばかりか、「マクロス」、「MACROSS」の文字(語)が申立人の取り扱いに係る商品・役務に使用される標章として使用された結果、広く知られ、あるいは著名となっていると認めることはできない。
(2)加えて、上記の甲各号証には、申立人の略称と推認される「ビッグウエスト」あるいは「BIG WEST」の文字が表示されているものが散見されるが、これらにおける「ビッグウエスト」あるいは「BIG WEST」の表示は、著作権を主張する「C(マル)」の表示とともになされていることから、その権利主体者を表示したと認識されるものであって、ここにおける「ビッグウエスト」あるいは「BIG WEST」の表示が申立人の取り扱いに係る商品・役務の出所を表示する標識として使用(表示)されていたとすることはできない。
(3)甲第25号証ないし同118号証によれば、「マクロス」、「MACROSS」などの文字(語)が使用された玩具、ビデオゲーム、出版物、ビデオグラム、録音物、菓子、日用雑貨等の商品が販売され事実は推認できるが、これらは、申立人以外の者(社)が販売する商品であって、これらの各号証をもってしては、「マクロス」、「MACROSS」の文字(語)が、申立人の取り扱いに係る商品・役務に使用される標章として使用され、周知・著名となっていると認めることはできない。
この点に関して、申立人は、各販売者に著作権使用の許諾を行っている旨を述べているが、前記「2」に記したとおり、「マクロス」、「MACROSS」の文字(語・題号)には著作権の対象たる著作物性がないというべきであり、また、仮に、「マクロス」、「MACROSS」の文字(語・題号)に何らかの著作権が発生していたとしても、そのことをもって、本件商標の登録を取り消す理由とすることはできないことも前記「2」に記したとおりである。
4 公序良俗を害するおそれの有無及び不正の目的での使用について
本件商標「MACROSS」が公序良俗を害するおそれがあるか、又は、本件商標に関する商標権者の登録出願行為、商標の使用行為が不正の目的をもって使用をするものであったか否かについて検討する。
(1)公序良俗を害するおそれの有無について
(ア)本件商標は、特定の意味合いを有しない造語であり、その構成自体がきょう激、卑わいな文字からなるともいえず、また、提出された証拠をもっては、その使用が不正な意図をもってされ、国際信義又は公正な取引秩序に反するとすることもできない。
申立人が提出した、甲第120号証によれば、「マクロス」の語は、申立人代表者が採択した語であることが認定されている。この点からすれば、商標権者が「MACROSS」からなる本件商標を登録出願した経緯には、申立人代表者との関係で一般的商道徳上の疑義が残るところである。
しかしながら、甲各号証に照らせば、「マクロス」、「MACROSS」の文字(語・題号)は、本件に係るアニメーションシリーズ作品のタイトル(題号)と同一の文字よりなるものであり、本件商標の登録出願時及び登録査定時においては、この語は、申立人代表者による採択の経緯を離れて、同アニメーションシリーズ作品に関する業務に携わる者が、そのタイトル(題号)として普通に使用する語となっていたといえ、ほかに、「マクロス」の語が申立人代表者に係る何らかの権利に抵触するとみるべき特別の事情は認められない。
そうとすれば、本件における上記の疑義は、本件商標を取り消すべき事由に該当するとはいえない。
(イ)甲各号証によれば、「マクロス」、「MACROSS」の語が、「毎日放送」、「小学館」、「東宝株式会社」、「バンダイビジュアル株式会社」、「長谷川製作所」等の、出版、マスコミ、玩具関係等の会社により、特定のアニメーションシリーズ作品のタイトル(題号)として、あるいは、ビデオゲーム、出版物、ビデオグラム、録音物、菓子、日用雑貨等の商品の出所表示標識として使用されている事実が認められるところであるが、このことをもって、本件商標が公序良俗を害するおそれがあるものとすることもできない。
(ウ)乙第1号証及び同第2号証(いずれも本件商標に係る取消理由通知に対する商標権者の意見書に添付されたものであり、商標権者と件外「竜の子」との間のアニメーション「マクロス(MACROSS)」のテレビ映画に関する契約書の写し。以下同じ。)によれば、商標権者は件外「竜の子」との間で契約を交わしていることが認められ、商標権者は、この契約を根拠に、「アニメーション『マクロス(MACROSS)』のテレビ映画の著作権を有する『竜の子』より、米国、カナダ並びにその他の地域(日本その他アジア地域を除く)を対象として、本件テレビ映画に関する放送権、商品化権、映画館及び非映画館向け利用並びに出版等の権利を取得している。」と主張しているところである(本件商標に係る取消理由通知に対する商標権者の意見)。
上記の乙各号証によれば、商標権者は、「マクロス(MACROSS)」なるタイトルのアニメーションテレビ映画に関する業務に携わっていたことが推認でき、そうであれば、商標権者の本件商標の登録出願行為が直ちに、公の秩序を害するおそれがある行為ということはできず、また、商標権者が本件商標を登録出願した行為は、上記乙号証の契約行為に端を発したものと解せないこともなく、「マクロス」の語が申立人代表者が採択した語であるとしても、本件商標の登録出願行為を直ちに申立人の標章の冒認であるとすることもできない。
(ニ)乙第1号証(甲第119号証)によれば、当該契約は、「本件テレビ映画に関する放送権、商品化権、映画館及び非映画館向け利用並びに出版等の権利」に関して、「米国、カナダ並びにその他の地域(日本その他アジア地域を除く)」を対象地域としていることが認められる。しかしながら、これは、商標権者と件外「竜の子」間における件外の両当事者間の契約に関するものであり、この契約事項の存在をもって、商標権者が日本において本件商標を登録出願し、登録を受けて使用する行為が公序良俗を害するおそれがあるとすることもできない。
(2)不正の目的での使用について
上記した事実及び経緯からすれば、本件商標は、商標権者が不正の目的をもって使用するものとはいえないというのが相当であり、また、「マクロス(MACROSS)」の語が、申立人の取扱いに係る商品・役務を表示するものとして広く認識されていたとする証左もない。
5 結論
以上、本件商標は、商標法4条1項7号、同10号、同15号、及び同19号に違反して登録されたものとすることはできない。
よって、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定する。
異議決定日 2003-11-06 
出願番号 商願平11-69360 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (Z38)
T 1 651・ 271- Y (Z38)
T 1 651・ 222- Y (Z38)
T 1 651・ 22- Y (Z38)
最終処分 維持  
前審関与審査官 井出 英一郎 
特許庁審判長 滝沢 智夫
特許庁審判官 岩崎 良子
宮川 久成
登録日 2000-11-02 
登録番号 商標登録第4430312号(T4430312) 
権利者 ハーモニー ゴールド ユー エス エー インコーポレーテッド
商標の称呼 マクロス 
代理人 我妻由佳子 
代理人 安形 雄三 

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