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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
審判199830671 審決 商標
取消200531137 審決 商標
取消200231340 審決 商標
審判199830786 審決 商標
取消200331057 審決 商標

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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 042
管理番号 1088631 
審判番号 取消2001-31081 
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-01-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2001-10-02 
確定日 2003-12-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第3368317号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3368317号商標の指定役務中、第42類「工業所有権の実施許諾」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標登録取消審判
1 本件商標
本件登録第3368317号商標(以下「本件商標」という。)は、その構成を別掲(1)に示すものとし、平成4年9月30日に登録出願され、第42類「飲食物の提供,産業廃棄物の収集及び処分,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む)の貸与,電子計算機による計算処理,電子計算機へのデータ入力処理,工業所有権の実施許諾」を指定役務として平成10年1月9日に登録されたものである。
2 本件商標登録取消審判
本件商標登録の取消しの審判は、商標法50条により、本件商標の指定役務中「工業所有権の実施許諾」について、登録の取り消しを請求するものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、「工業所有権の実施許諾」という役務につき、商標権者が「使用」しているとは認められないので、本件商標の登録は、その指定役務中、「工業所有権の実施許諾」につき、商標法50条1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は、本件商標と、「中央に五陵星の図を配した波打つ青い三角旗とその三角旗を掲揚した青色のポールの図」(以下「青色の三角旗の図形」という。)からなる商標(以下「使用商標」という。)とは、社会通念上同一の商標であるという。
しかしながら、被請求人の主張には承服しかねるので、以下その理由を述べる。
(1)商標法50条1項の括弧書きは、登録商標そのままの態様での使用でなくても、「登録商標と社会通念上同一と認められる商標」の使用であれば、不使用取消請求においては、「登録商標」の使用として認められることを明らかにしたものであり、特に、社会通念上同一と認められる商標の例示として、「1.書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標」、「2.平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」及び「3.外観において同視される図形からなる商標」を具体的に示したものである。
上述した「1.」から「3.」の例示からすると、商標法は、社会通念上の同一性を判断するに際しては、称呼及び観念の同一性を重視しているものと考えられるが、このことは、そもそも不使用取消審判において、登録商標の使用概念を社会通念上の同一性が認められる商標にまで範囲を拡張した趣旨が、取引社会においては、商標を登録商標と物理的に同一のものを使用するというよりは、それを付する商品(役務)の具体的な性状に応じて、外観上の形態について、適宜に変更を加えて使用するという実情を考慮したものであるとの理解からも、首肯されるところである。
(2)本件商標は、「青色の三角旗の図形」部分と「アヲハタ」の文字部分からなる結合商標であり、その文字部分から、「アヲハタ」の称呼のみが生じるものと認められる。そして「アヲハタ」といえば、ジャムや缶詰等の加工食品のブランドとして、日本国内でよく知られたものであることから、「アヲハタ」の文字は、本件商標に接した消費者をして、端的に、請求人を出所とする加工食品のブランド名としての「アヲハタ」の観念を想起させるものと認められ、本件商標の構成上、自他識別能力を有する本質的な部分に相当するものと解される。
一方、使用商標は、「青色の三角旗の図形」のみから構成されるものであり、「青い旗」の称呼及び観念を生じるものである。
この点、被請求人は、「青色の三角旗の図形」と言えば、「アヲハタ」と直ちに認識、理解できる程度にまで広く認識されているという事実が存在することを前提として、使用商標に接した需要者・取引者は、直ちに「アヲハタ」と称呼することは明らかであると主張している。
しかしながら、仮に、ジャムや缶詰等の加工食品のブランドとして、「アヲハタ」ブランドが著名であるとしても、「青色の三角旗の図形」が、ジャムや缶詰等の加工食品とは全く無関係な商品や役務、例えばTシャツなどに使用された場合を想像すれば明らかなように、余程注意深い消費者や取引者を別とすれば、「青色の三角旗の図形」から、直ちに「アヲハタ」の称呼が生じる程までに「青色の三角旗の図形」が「アヲハタ」ブランドと結びついているとは到底認め難い。
使用商標は、本件商標の構成上、ジャムや缶詰等の加工食品のブランドとして著名な「アヲハタ」の称呼及び観念を生じさせる本質的な部分である「アヲハタ」の文字部分を欠いたものであり、「アヲハタ」の文字部分の欠落は、本件商標の自他識別能力に影響を与える本質的な変更と認められるから、本件商標とは社会通念上、同一性のある商標とは認められない。
(3)なお、被請求人が答弁書において引用している昭和63年(行ケ)第269号の事件は、ローマ文字と、その発音を日本語で表記した仮名文字との2段併記からなる登録商標に関して、登録商標と使用商標とで、仮名文字部分である「リトルワールド」は同一であるものの、ローマ文字部分(「LITTLEWORLD」及び「LITTLWORLD」)に「E」の有無という「一見したのみでは気付きがたい」(判示より引用)相違があった場合において、「外観において若干の相違があるとはいえ、称呼及び観念を共通にするものと認められる」ことを理由として、社会通念上の同一性を認めた事例であり、登録商標の本質的な部分を欠き、外観上も顕著な相違が存在する本件とは、事例を異にすることは明らかである。
また被請求人が証拠として添付した審決公報(乙第10号証及び乙第11号証)も、欧文字と、その発音を日本語で表記した片仮名文字との2段併記からなる登録商標(すなわち上段と下段の文字部分につき同一の称呼及び観念が生じている場合)において、登録商標と同一の欧文字部分のみからなる商標を使用している事例であり、登録商標と使用商標との間に称呼及び観念の同一性が維持されている場合であるから、本件とは事例を異にする。なお上記審決公報のいずれの事例も、平成8年商標法改正後においては、商標法50条1項括弧書の「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」の一類型として、条文上も、社会通念上の同一性が認められる事例と考えられる。
(4)以上述べた通り、被請求人は、「工業所有権の実施許諾」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用しているとは認められない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件の審判請求は成り立たない旨の答弁をし、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第12号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)被請求人は、株式会社中島董商店会社案内に記載されているとおり、そのメインブランドであるアヲハタ印のもと、工業所有権の取得譲渡およびその実施許諾を事業の一部として行っており、実際に審判請求登録前3年以内において、被請求人が所有している工業所有権について第三者に実施許諾を行っている(乙第1号証)。
例えば、被請求人は、件外A会社に登録商標Aについて使用許諾を行っており(平成13年2月28日付け請求書(乙第2号証))、また、件外B会社にも登録商標Bについて使用許諾を行っている(平成13年11年14日付け請求書(乙第3号証))。
そして、この各請求書には、請求書の上段中心やや右寄り部分に使用商標が表されている(なお、上記各請求書は、請求書写しのため、黒色となっているが、請求書原本(乙第4号証)には、青色の旗図形が表されている)。
かかる請求書は、商標法2条3項7号に規定する「役務に関する取引書類」に該当するから、商標の使用に該当すること明らかである。
(2)本件商標と使用商標の同一性について
上記請求書に付された使用商標と本件商標とは、「アヲハタ」の文字の有無において相違する。
しかし、実際に商標権者等が登録商標を使用する場合は、登録商標をそのまま使用することは希で、商品(役務)の使用場所、位置などの関係で、変更して使用するのが実際であり、自他商品(役務)の識別標識として登録商標と同一の機能を果たすものついては、需要者・取引者に登録商標の使用とみられることは周知の事実であり、このようなことから、商標法50条1項括弧書きにおいて、登録商標と社会通念上同一と認められる商標については、登録商標の使用の範囲に含むと規定されている。
ここで、社会通念上同一の商標の認定に当たっては、需要者・取引者は、商標の外観、称呼又は観念を記憶して商標を取引に供するものであることから、実際の取引の実状を考慮し、これらにおいて同一のものであるときは、物理的には同一とは言えなくても自他商品(役務)の識別標識として同一のものとして社会通念上同一と扱うのが妥当なものである。このような考え方は、既に判決においても認められているところである(昭和63年(行ケ)第269号)。
そこで、被請求人が使用する商標が本件商標と社会通念上同一の商標の範囲に含まれるか否かについてみるに、商標権者である被請求人は、昭和7年に「青色の三角旗」の図形と「アヲハタ」の文字を同時に使用した商品「いちごジャム、マーマレード」を発売して以来、これと同じ商標を付した農水産缶詰、果実缶詰、果実飲料等の各種加工食料品・飲料を次々に発売し(乙第5号証ないし乙第8号証)、被請求人の取り扱う青色の三角旗の商標を付した商品は、戦後の欧風食の普及に伴って着実に売上を伸ばし、これら商品中の「スイートコーン缶詰、ジャム類瓶詰」は、常に我が国におけるシェア第1位を保つ程になっていることから(乙第9号証)、遅くとも本件審判請求時である平成13年10月までには、「青色の三角旗図形」と「アヲハタ」は、老若男女を問わず誰もが知っている程に全国津々浦々に知れ渡り、「青色の三角旗図形」と言えば「アヲハタ」と直ちに認識、理解できる程度にまで需要者の間に広く認識されているというのが妥当なものである。
してみれば、上記請求書に付された使用商標に接した需要者・取引者は、直ちに「アヲハタ」と称呼し、「青色の旗」の観念を想起すること明らかであるから、使用商標は、本件商標の自他役務識別性に影響を与えない範囲の表示態様というのが妥当なものである。
したがって、上記請求書に付された使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標というのが相当である。
例えば、過去の審決において、構成文字を2段表記したものからなる登録商標について、その構成文字の一方の文字の使用について、使用商標の具有する自他商品識別標識としての機能が、登録商標のそれを本質的に変えたものとはいえないばかりでなく、かつ、商取引の社会通念上も同一性を損なうものではないと判断され登録商標の使用と認められており、2段表記の商標の一方の使用という点からみれば、本件商標においても同様に解釈できると考えられる(昭和59年審判第6373号(乙第10号証)昭和57年審判7372号審決(乙第11号証))。
2 弁駁に対する答弁
請求人は、弁駁書において、「ジャムや缶詰等の加工食品のブランドとして、『アヲハタ』ブランドが著名であるとしても、『青色の三角旗の図形』から、直ちに『アヲハタ』の称呼が生じる程までに『青色の三角旗の図形』が『アヲハタ』ブランドと結びついているとは到底認め難い。」とし、「『アヲハタ』の部分の欠落は、本件商標の自他識別能力に影響を与える本質的な変更と認められるから、本願商標とは社会通念上、同一性のある商標とは認められない。」と主張している。
しかし、乙第12号証に示されているとおり、「青色の三角旗の図形」は、国際分類第6版第42類指定役務について、防護標章登録が認められているものである(登録第987598号防護第28号)。
このことは商標「青色の三角旗の図形」は、著名商標であり、第42類の役務である、例えば「工業所有権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務、訴訟事件その他に関する法律事務」といった役務について他人が使用した場合、被請求人の業務に係る業務と出所の混同を生じさせるものと認定されたことを意味するものである。
したがって、被請求人と商標「青色の三角旗の図形」とは、極めて強く密接に結びついているものであり、また、平成14年1月28日付け答弁書で述べたように被請求人は「青色の三角旗の図形」と「アヲハタ」の文字を包装に付したジャム等を長年販売しており、需要者・取引者は両者を関連付けて記憶していることから、商標「青色の三角旗の図形」に接した需要者は、「アヲハタ」の文字がないとしても、直ちに「アヲハタ」と称呼し、「青い旗」の観念を想起するとみるのが極めて妥当なものである。
そうとすれば、被請求人が使用証拠として提出した請求書に付された商標は、「青い三角旗の図形」の著名性、および「アヲハタ」の文字と「青い三角形の図形」とは需要者・取引者に関連づけられて記憶されているという実際の取引実情を考慮した場合、本件商標と社会通念上同一の商標というのが相当である。
3 むすび
以上、被請求人は、審判請求前3年以内に日本国内において、指定役務第42類「工業所有権の実施許諾」について、本件商標と社会通念上同一の商標について使用していること明らかである。

第3 当審の判断
1 商標法50条による商標登録の取消しの審判があった場合、商標権者等による使用の対象となる登録商標について、同条には「………各指定商品又は指定役務についての登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであつて同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。以下この条において同じ。)の使用………」との規定がされているところである。この規定は、登録商標が自他商品(役務)の識別標識として使用されるに際し、これと物理的に同一のものを使用するというよりは、それを付する商品(役務)の具体的な性状に応じ、適宜変更を加えて使用するのがむしろ通常であるという取り引きの実情に沿ったものというべきである。
そして、具体的には、「その外観において互いに同視される商標が使用されている場合」、「平仮名及び片仮名と漢字の相互間の使用であって称呼及び観念を同一とする場合」、「登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部が観念を同一とするときのその一方を使用するとき」、あるいは、「登録商標が日本文字である場合に、これを左横書きで使用するとき」等をいうものとみるべきである。
2 そこで、これを、本件についてみるに、本件商標は、前記の通り別掲に示す態様のものであって、「中央に五陵星の図を配した波打つ青い三角旗とその三角旗を掲揚した青色のポールの図形」(以下、当審においても「青色の三角旗の図形」という。)、及びその下部に、該図形より大きく「アヲハ夕」の文字を書した構成よりなるものである。
そして、本件商標構成中の、上段の「青色の三角旗の図形」部分からは「青い三角旗(青色の三角旗)」の観念を生ずるものの、それ以外の「青い旗(青色の旗)」の観念などは生ぜず、また、この図形からは「アオハタ」などの特定の称呼は生じないというのが相当であり、本件商標は、上段部の図形と下段部の文字の各部の称呼及び観念を同一にするとはいえないものである。
そうとすれば、本件商標は、その構成中、上段部の「青色の三角旗」の図形部分から「青い三角旗(青色の三角旗)」の観念を生じ、また、下段部の「アヲハタ」の文字部分から「アオハタ」の称呼を生ずるものであり、全体として「アオハタ」の称呼と「青い三角旗(青色の三角旗)」の観念とをもって取り引きに資されるとみるのが相当である。
一方、使用商標(乙第4号証に表示されている「青色の三角旗の図形」からなる商標をいう。以下同じ。)は、別掲(2)に示すように、「青色の三角旗の図形」、及びその右側下部に丸で囲んだ「R」の英文字が付された構成よりなるものであり(なお、別掲(2)に示した、丸で囲んだ「R」の英文字部分は、使用商標の構成上附記的表示と判断される。)、使用商標からは、「青い三角旗(青色の三角旗)」の観念を生ずるものである。そして、上記したように、この図形からは、「アオハタ」の称呼、「青い旗(青色の旗)」という観念は生じないというべきである。
3 してみれば、本件商標と使用商標とは、「青色の三角旗の図形」の部分において類似する商標ということはできても、使用商標は、「アヲハタ」の片仮名文字の構成を欠くものであることから、両商標は外観において互いに同視される商標とはいえず、また、称呼及び観念においても同一とはいえないから、本件商標と使用商標とは社会通念上同一と認められる商標ということはできない。
4 被請求人は、本件商標と使用商標とは社会通念上同一と認められるとして、要旨以下の主張をしている。
(1)被請求人は、件外会社に登録商標の使用許諾を行って請求書(乙第2号証、同第3号証)を発行している、この乙号証の各請求書(請求書原本は乙第4号証)には、青色の旗図形が表されている。
上記請求書に付された使用商標と本件商標とは、「アヲハタ」の文字の有無において相違するが、登録商標を使用する場合は、変更して使用するのが実際であり、取引の実状を考慮すれば、外観、称呼又は観念において同一のものであるときは、物理的には同一とはいえなくても社会通念上同一と扱うのが妥当である。
(2)商標権者である被請求人の使用する「青色の三角旗図形」と「アヲハタ」は、遅くとも本件審判請求時には、全国に知れ渡り、「青色の三角旗図形」と言えば「アヲハタ」と直ちに認識、理解できる程度にまで重要者の間に広く認識され(乙第5号証ないし同第9号証)、前記請求書に付された使用商標に接した需要者・取引者は、直ちに「アヲハタ」と称呼し、「青色の旗」の観念を想起するから、前記請求書に付された使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標というのが相当である。
(3)乙第12号証に示されているとおり、「青色の三角旗の図形」は、第42類指定役務について、防護標章登録が認められており著名商標であることを意味するものであり、商標「青色の三角旗の図形」に接した需要者は、「アヲハタ」の文字がないとしても、直ちに「アヲハタ」と称呼し、「青い旗」の観念を想起するとみるのが極めて妥当であり実際の取引実情を考慮した場合、使用商標は本件商標と社会通念上同一の商標というのが相当である。
5 しかしながら、使用商標が本件商標と社会通念上同一の商標とはいえないと判断したこと上記「2」および「3」のとおりであり、被請求人提出の各乙号証によっては、使用商標あるいは「青色の三角旗の図形」から、「アオハタ」の称呼、「青い旗(青色の旗)」という観念が生ずるとすべき事実及び事情は認められないから、この点に関する請求人の前記主張は採用できない。
6 なお、当審は、被請求人が本件商標を使用していると主張する役務が、本件審判請求に係る指定役務「工業所有権の実施許諾」の範囲に含まれるか否かを検討する必要があることから、被請求人に対して、「被請求人の役務が、『工業所有権の実施許諾』に含まれるか否かは、その指定役務に基づき、かつ、その被請求人の役務が他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきものであるか否か、業として提供されるものであって、商標使用者の同種の行為が反復して、継続的に行われ、社会通念上事業を行っているものとみることができるものであるか否か等について検討し決すべきものと解されるから、被請求人の本件役務が本件商標の指定役務の範囲に含まれるものであることを明らかにされたい。」との審尋を発したところ、被請求人は「被請求人が、件外会社に被請求人の登録商標の使用許諾をする行為は、商標法上の役務であり、『工業所有権の実施許諾』の範囲に含まれる」旨の回答書を提出した。
乙第2号証及び同第3号証により示される、被請求人の登録商標の使用許諾行為が、指定役務「工業所有権の実施許諾」の範囲に含まれるか否かは、本件不使用取消審判の争点の一つであるが、本件においては、使用商標と本件商標との対比において結論を導いたので、この点についての判断は措くこととする。
7 してみれば、被請求人が提出した証拠方法によっては、本件商標が、本件審判の請求の登録前三年以内に日本国内において、本件取消対象に係る指定役務「工業所有権の実施許諾」に使用されていたと認めることはできないから、本件商標の登録は、商標法50条の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別掲】
(1)本件商標(色彩については、原本を参照されたい。)



(2)使用商標(色彩については、原本を参照されたい。)

審理終結日 2003-07-07 
結審通知日 2003-07-10 
審決日 2003-07-23 
出願番号 商願平4-278566 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (042)
最終処分 成立  
前審関与審査官 茂木 静代 
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 高橋 厚子
宮川 久成
登録日 1998-01-09 
登録番号 商標登録第3368317号(T3368317) 
商標の称呼 アオハタ 
代理人 大岸 聡 
代理人 新井 悟 
代理人 吉武 賢次 
代理人 清水 恵 
代理人 矢崎 和彦 
代理人 小泉 勝義 

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