ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 Z020916 |
---|---|
管理番号 | 1088590 |
審判番号 | 不服2002-11584 |
総通号数 | 49 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2004-01-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-06-24 |
確定日 | 2003-12-15 |
事件の表示 | 商願2001-79658拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「イグアス」及び「IGUAZU」の文字を横書きしてなり、第2類、第9類及び第16類の願書に記載したとおりの商品を指定商品とし、商標登録願の2000-72321号を原商標登録出願とする分割出願として、平成13年9月3日(遡及日 平成12年6月29日)に登録出願、その後、平成14年5月8日と平成15年11月12日の二度に亘って手続補正書の提出があり、その指定商品が第2類「塗料,染料,顔料,印刷インキ(「謄写版用インキ」を除く。),謄写版用インキ,絵の具」、第9類「測定機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,遊園地用機械器具,自動販売機,写真複写機,家庭用テレビゲームおもちゃ」及び第16類「文房具類(「昆虫採集用具」を除く。),あて名印刷機,印字用インクリボン,事務用電動ホッチキス」に補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、その構成中、『イグアス』の片仮名文字を有してなるものであるが、これよりは米国のナイヤガラの滝、アフリカのビクトリア瀑布、と並んで3大大瀑布に数えられるアルゼンチンとブラジルの国境にあるイグアスの滝で有名なブラジル南部パラナ州の南西フォス・ド・イグアス市の地名を想起させるものであり、これを本願指定商品に使用しても、本願商標は、単に商品の産地、販売地を表示するにすぎないものと認める。本願指定商品に含まれる、電池、レコード、紙類、絵はがきその他の印刷物、写真類等の商品は、各観光地において、取引・販売されている実状にあることよりすれば、本願商標をその指定商品に使用する場合、これに接する取引者、需要者は、『イグアス』『IGUAZU』の文字より、前記観光地を想起し、商品が該地域で生産、販売されたものと認識するのが相当なのである。そして、本願商標が産地、販売地を表示するとの判断は、商標法第3条第1項第3号にいう『商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標』に該当するというためには、当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され販売されていることを要せず、需要者、取引者によって、当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され販売されているであろうと一般に認識されることをもって足りると解すべきとの判示(最高裁判所昭和60年行(ツ)第68号判決参照、昭和61年1月23日言渡)によっても妥当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)本願商標は、「イグアス」及び「IGUAZU」の文字よりなるところ、該文字がスペイン語では世界3大瀑布のひとつであるイグアスの滝を指称する場合があるとしても、例えば、「大辞林」や「コンサイス外国地名事典〈改訂版〉」(発行所はいずれも株式会社三省堂)には「イグアス【ポルトガル Iguacu(「c」にはセディーユが付してある。)】」と記載され、また、我が国でも親しまれている英和辞典でも、「小学館ランダムハウス英和大辞典」(発行所 株式会社小学館)や「研究社新英和大辞典」(発行所 株式会社研究社)には「Iguassu Falls」又は「Iguacu Falls」と記載され、これらの辞書にはポルトガル語の表示は掲載されているがスペイン語の表示が掲載されていないことからすると、必ずしも、イグアスの滝の周知性ほどに本願商標の構成中にある「IGUAZU」の表記が親しまれたものであるとはいうことができない。まして、原査定の拒絶の理由では本願商標がブラジル南部パラナ州の南西フォス・ド・イグアス市を指称すると説示するが、「IGUAZU」及び「イグアス」の文字のみをもって、イグアスの滝にとどまらず、ブラジル南部パラナ州の南西フォス・ド・イグアス市までを指称するものとすべき理由を見出すことはできない。 してみれば、本願商標は、世界3大瀑布のひとつであるイグアスの滝を指称する場合があるとしても、原審説示の都市までをも指称するということはできない。 (2)本願の指定商品は、前記1のとおり補正されているところ、その結果、原審説示のレコード、絵はがきその他の印刷物、写真類、さらには、録画済みビデオディスク及びビデオテープなどの観光地において取引・販売されたり、観光地の紹介や案内を内容とする商品が削除されたといえる。その他、紙類などの商品も削除されたことから、本願の指定商品中に、原審説示のブラジル南部パラナ州の都市が殊更に産地又は販売地として知られているとすべき商品を見出すこともできない。 そして、本願の補正後の指定商品の取引の実情をみても、殊更に、観光名所の名称をもって商品の産地又は販売地を表示することが普通に行われているというような事情を見出すことはできない。 (3)そうすると、本願商標は、補正後の指定商品に使用しても、取引者、需要者をして、仮に、イグアスの滝を指称するものと理解し得たとしも、単に世界3大瀑布の凄さなどを想像するにとどまるというのが自然であって、殊更に、それを商品の産地、販売地を表示したものと認識するということはできないものである。 してみれば、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するということはできない。 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2003-11-20 |
出願番号 | 商願2001-79658(T2001-79658) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
WY
(Z020916)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 八木橋 正雄 |
特許庁審判長 |
小林 薫 |
特許庁審判官 |
岩崎 良子 林 栄二 |
商標の称呼 | イグアス、イグアズ |