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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 132
管理番号 1088538 
審判番号 取消2003-30160 
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-01-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-02-12 
確定日 2003-11-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第1768278号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1768278号商標の指定商品中「食肉」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1768278号商標(以下、「本件商標」という。)は、「しきさい」の平仮名文字と「四季菜」の漢字とを上下二段に横書きしてなり、昭和57年6月28日に登録出願、第32類「食肉、卵、食用水産物、果実、加工食料品」を指定商品として、同60年5月30日に設定登録、その後、平成7年7月28日に商標権存続期間の更新登録がなされたものである。

第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
結論同旨の審決を求める。
2 請求の理由
請求人は、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び同第2号証を提出した。
本件商標は、その指定商品中「食肉」について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないのみならず、本件商標を使用していないことについて何ら正当な理由も存しないものである。また、本件商標について専用使用権及び通常使用権の設定登録もなされていないものである(甲第2号証)。したがって、本件商標は、その指定商品中「食肉」について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれもが使用していないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
3 答弁に対する弁駁
被請求人は、その答弁書において、本件商標は、取消しを求められている商品について、本件審判請求前3年以内に、国内において使用権者によって使用されていると述べ、その証拠として乙第1号証の1、同2ないし乙第3号証を提出している。
しかしながら、以下に詳述するとおり、前記乙各号証は、いずれも本件商標が使用権者によって使用されていることを何ら立証していないのである。
(1)乙第1号証について
乙第1号証の1および同2は、被請求人と株式会社ニチレイ(以下、使用権者という。)との間に締結された「商標通常使用権許諾契約書」(以下、基本契約書という。)とその契約更新に関する「覚書」であるが、基本契約書によると、許諾対象商標は、本件商標 「四季菜」ではなく、「四季彩」についてのものであり、また、許諾対象商品は、本件審判において取消しを求められている「食肉」ではなく、「食肉加工品」についてのものである(基本契約書第1条)。
したがって、乙第1号証の1および同2は、本件商標「四季菜」を「食肉」に使用していることを何ら立証するものではない。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は、使用権者と株式会社ライフコーポレーション(以下、再使用権者という。)との間に締結された「商標通常使用権許諾契約書」(以下、再許諾契約書という。)であるが、再許諾契約書によると、当然のことながら、許諾対象商標は、「四季彩」であり、許諾対象商品は、使用権者が納入する鶏肉を原料とした「食肉加工品」である(再許諾契約書第1条)。
したがって、乙第2号証は、本件商標「四季菜」を「食肉」に使用していることを何ら立証するものではない。
(3)乙第3号証について
乙第3号証は、使用権者の畜産部食鳥グループに所属する従業員富樫幸男なる者の「商標『四季彩』の使用についての供述書」(以下、供述書という。)であるが、この供述書もまた、乙第1号証の1、同2および乙第2号証と同様に、「四季彩」が「食肉加工品」(鶏肉を加工した惣菜等)に使用されていることを供述しているにすぎないのである。
すなわち、供述書によると、「商標『四季彩』については …(株)ライフコーポレーション惣菜部が当社との使用許諾契約に基づき、当社が納入する『四季鶏』もしくはこれに準じる鶏肉を加工した惣菜に対して使用しており、別添1の写真… に示すような使用形態であります。対象となる商品は、弊社からの『牛肉』および『加工品』を店内で調理加工した惣菜類であり、別添2 …に示すように、年間にわたり継続的に使用しております。」(本文1行目〜7行目) 「別添2にあります『四季彩鶏チキン南蛮』は、…『生鮮品』であります『四季鶏』およびこれに準じる『味彩どり』のムネ肉を原料として納入したもので、その売上の記録は別添4の『国産生鮮味彩鶏ムネ肉開き』であります。」(同8行目〜10行目)「店頭では対象となる惣菜類に『四季彩鶏』のアイキャッチシールを添付し、売場にはPOP等の販促資材を掲示しております。店頭での商標使用の継続を示す物として、別添5は資材作成業者であります株式会社コニーからの納品書であります。」(同1行目〜18行目)などと供述しているのである。
このように、供述書に記載されている商標は、「四季彩」であり、その使用商品は、「鶏肉を加工した惣菜」、「生肉を調理加工した惣菜類」または「四季彩鶏チキン南蛮」であるから、乙第3号証は、本件商標「四季菜」を「食肉」に使用していることを何ら立証するものではない。
(4)本件商標と使用商標の同一性について
被請求人は、本件商標「四季菜」と使用商標「四季彩」との同一性について、「乙第1号証及び乙第2号証に示す使用契約に見られるように、現実の取引の感覚では、この『四季彩』が本件商標『四季菜/しきさい』の一使用態様として把握され、いわば、同一性のあるものとして認識されているものということができ、ことさらに、これを別異のものとすることはない。」(答弁書3頁15行目〜18行目)と主張する。
しかしながら、本件商標「四季菜」と使用商標「四季彩」は、同音異語であって、その意味・観念は全く異なるのである。
すなわち、本件商標「四季菜」中の「菜」は、「1.食用の草。な。なっぱ。あおもの。2.副食物。おかず。」(甲第3号証)の意を表すので、本件商標は、全体として「四季のあおもの」あるいは「四季のおかず」等の観念が生ずるものである。
これに対し、使用商標「四季彩」中の「彩」は、「1.いろどること。いろどり。あやもよう。2.かたち。すがた。」(甲第3号証)の意を表すので、使用商標は、全体として「四季のいろどり」等の観念が生ずるものである。
このように、本件商標と使用商標は、その観念において顕著な差異を有するものであるから、社会通念上同一の商標とはいえないのである。
したがって、現実の取引の感覚では、「四季彩」が本件商標「四季菜」の一使用態様として把握され、同一性のあるものとして認識される、とする被請求人の主張は、失当といわざるを得ない。
また、被請求人は、連合商標制度を引き合いに出し、「特に、連合商標制度の廃止に伴い改正された商標法第50条第1項の規定の趣旨からすれば、読みも観念も同じようなものと見てもよい範ちゅうのものであり、連合商標制度があったときは、…前記『四季彩』の使用により本件商標『四季菜/しきさい』の不使用取消しは免れることになるという関係になる。かようなことから、本件における『四季彩』の使用は、少なくとも、商標法第50条第1項の括弧書きにいう『その他の当該登録商標と社会通念上同一の商標』の使用に当たる」(答弁書3頁19行目〜28行目)と主張する。
しかしながら、上述のとおり、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標といえないものであり、仮に、連合商標制度下において、本件商標「四季菜」が使用商標「四季彩」と相互に連合する商標として登録されていたとしても、「四季彩」は、請求人が取消しを求める「食肉」について使用しているものではないから、本件商標「四季菜」は、「食肉」についてその取消しを免れ得ないのである。
したがって、被請求人の前記主張は、何ら根拠のないものであり、失当といわざるを得ない。
(5)使用商品について
被請求人は、「使用権者である株式会社ニチレイ及び再使用権者である株式会社ライフコーポレーションは、…本件商標を主として生及び加工の鶏肉について継続して使用してきた。…前記資料により、少なくとも、本件審判請求前3年以内に取消請求に係る商品について使用していたことを十分に認定できる」(答弁書3頁6行目〜11行目)旨主張する。
しかしながら、上述のとおり、乙第1号証の1(「基本契約書」)、乙第1号証の2(「覚書」)および乙第2号証(「再許諾契約書」)における使用許諾対象商品は、「食肉加工品」(乙第1号証の1 第1条)または「鶏肉『四季鶏』を原料とした食肉加工品」(乙第2号証 第1条)であって、「食肉」を許諾対象商品とするものではないから、被請求人の主張は、失当といわざるを得ない。
なお、「食肉加工品」(乙第1号証の1)、「鶏肉『四季鶏』を原料とした食肉加工品」(乙第2号証)、「鶏肉を加工した惣菜」、「生肉を調理加工した惣菜類」および「四季彩鶏チキン南蛮」(乙第3号証)は、いずれも本件商標の指定商品中「加工食料品」に属する商品である。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中「食肉」について使用されていないものであるから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁
1 答弁の趣旨
本件審判の請求は成り立たない、審判費用は、請求人の負担とする、との審決を求める。
2 答弁の理由
被請求人は、答弁の理由を以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第3号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、第32類「食肉、卵、食用水産物、果実、加工食料品」を指定商品として、昭和60年5月30日に登録され、その後、平成7年7月28日に存続期間の更新登録を受けているものであるところ、請求人は、本件商標がその指定商品中 「食肉」について使用されていないことを理由に、その取り消しを求められているものである。
(2)しかしながら、本件商標は、取消しを求められている商品について、本件審判請求前3年以内に、国内において使用権者によって使用されているものであり、その登録は取り消されるべきものではない。使用契約は、乙第1号証及び乙第2号証に示すとおりである。
a 本件商標の使用についての状況は、別添供述書(乙第3号証)に記載し及びこれに添付する資料(乙第3号証別添資料1乃至5)に示すとおりである。
すなわち、使用権者である株式会社ニチレイ及び再使用権者である株式会社ライフコーポレーションは、平成11年12月頃から、本件商標を主として生及び加工の鶏肉について継続して使用してきた。
現在取扱を中断しているので、使用状態の現状を示すことができないが、前記資料により、少なくとも、本件審判請求前3年以内に取消請求に係る商品について使用していたことを十分に認定できるものと思料する。
b 本件において、使用商標として提出している商標は「四季彩」であり、本件商標「四季菜/しきさい」との同一性があるいは問題とされる性質のものかと考える。
しかし、乙第1号証及び乙第2号証に示す使用契約に見られるように、現実の取引の感覚では、この「四季彩」が本件商標「四季菜/しきさい」の一使用態様として把握され、いわば、同一性のあるものとして認識されているものということができ、ことさらに、これを別異のものとすることはない。
特に、連合商標制度の廃止に伴い改正された商標法第50条第1項の規定の趣旨からすれば、読みも観念も同じようなものと見てもよい範ちゅうのものであり、連合商標制度があったときは、前記使用商標「四季彩」は当然に本件商標「四季菜/しきさい」と連合する商標として登録される性質のものであり、したがって、連合として登録されれば、前記「四季彩」の使用により本件商標「四季菜/しきさい」の不使用取消しは免れることになるという関係になる。
かようなことから、本件における「四季彩」の使用は、少なくとも、商標法第50条第1項の括弧書きにいう「その他の当該登録商標と社会通念上同一の商標」の使用に当たるものというべきである。
c したがって、商標権者である被請求人は、本件商標を使用権者によって本件取消請求に係る商品「食肉」について、その請求前3年以内に国内において使用していたことを証明するものであり、本件審判の請求は成り立たない。

第4 当審の判断
1 商標法第50条の商標登録の取消審判にあっては、その登録商標の使用をしていないことについて正当な理由がある場合を除いて、その審判の請求の登録(本件の場合平成15年3月5日)前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。
2 そこで、被請求人が本件商標の使用を立証するものとして提出した甲各号証を徴するに、乙第1号証の1および同2は、被請求人と株式会社ニチレイとの間に締結された「商標通常使用権許諾契約書」とその契約更新に関する「覚書」であり、乙第2号証は、使用権者と株式会社ライフコーポレーションとの間に締結された「商標通常使用権許諾契約書」であるが、これらは、本件商標を上記期間内に取消しに係る商品「食肉」について使用したことを立証するものではない。
乙第3号証は、再使用権者である株式会社ライフコーポレーションの畜産部食鳥グループに所属する従業員富樫幸男なる者の供述書であるが、その供述書に示された資料1ないし5は、資料1が「四季彩どり」なる標章を付して「ローストチキン」等の鶏肉製品を展示したものと認められるとしても、取消しに係る商品「食肉」について使用したことを証明しているものではない。また、資料2は、2000年10月付「四季彩」についての「こだわり惣菜提案スケジュール(案)」とするものであるが、これをもって、取消しに係る商品「食肉」について本件商標を使用したことを証明しているものではない。さらに、資料3は、同様に、取消しに係る商品「食肉」について本件商標を使用したことを証明しているものではない。さらにまた、資料4は、取消しに係る商品「食肉」を含む売上伝票と思われるが、本件商標を使用したことを証明しているものではない。
次に、資料5は、本件商標の使用権者である株式会社ニチレイの「四季彩どり」についての印刷シールの請求外「株式会社コニー」からの「納品書(控)」であるが、これをもって、本件商標を取消しに係る商品「食肉」について使用したことを立証したものということはできない。
そして、他に審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標を取消しに係る商品「食肉」について使用したことを証明するものは提出されていない。
3 したがって、その商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明したものということができないから、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、請求に係る指定商品「食肉」について、その登録を取り消すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2003-09-30 
結審通知日 2003-10-03 
審決日 2003-10-15 
出願番号 商願昭57-55515 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (132)
最終処分 成立  
前審関与審査官 関口 博 
特許庁審判長 田辺 秀三
特許庁審判官 柳原 雪身
井出 英一郎
登録日 1985-05-30 
登録番号 商標登録第1768278号(T1768278) 
商標の称呼 シキサイ、シキナ 
代理人 吉野 日出夫 
代理人 鈴江 武彦 
代理人 小出 俊實 
代理人 長南 満輝男 
代理人 細井 貞行 
代理人 石渡 英房 
代理人 石川 義雄 

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