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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Z09
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z09
管理番号 1088472 
審判番号 不服2000-20438 
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-12-25 
確定日 2003-11-05 
事件の表示 平成11年商標登録願第 43392号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「Jobticket」の欧文字と「ジョブチケット」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,レコード,メトロノーム,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置」を指定商品とし、平成11年5月18日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶理由
本願商標は、作業指示書等の意味合いを認識させる「Jobticket」の欧文字と「ジョブチケット」の片仮名文字を二段に書してなるが、これをその指定商品中、例えば、デジタル化されたジョブチケットにより作業を行うワークフローシステム用のコンピュータプログラムを記憶させた磁気ディスクに使用するときは、単に、当該商品がジョブチケット方式により作業を行うワークフローシステム用のコンピュータプログラムであるということ、すなわち商品の品質を表示するにすぎない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。

3 当審の判断
本願商標は、前項1で述べたとおり、「Jobticket」の欧文字と「ジョブチケット」の片仮名文字とを二段に横書きしてなるところ、その下段の片仮名文字「ジョブチケット」は、上段の欧文字「Jobticket」の読みを表したものとみられる。
しかして、「Jobticket/ジョブチケット」の文字については、小学館ランダムハウス英和大辞典(1999年1月10日第2版、株式会社小学館発行)によると、「jobticket」の項が設けられ、その語の邦訳として「1作業票:作業指図書につける紙片。2=job order。」と記載され、また研究社新英和大辞典(第6版、株式会社研究社発行)によると、同様に「jobticket」の項が設けられ、その語の邦訳として「1作業指示書、作業票(job orderに付ける)。2=job order。」と記載されていることから、「Jobticket」の語は、joborder〔作業指令(指図)書〕と共に用いられる作業指図書又は作業指示書を意味する英語と認められる。そして、「作業指示書」とは、JIS工業用語大事典【第4版】(1998年7月15日財団法人日本規格協会発行)によると、「実施する作業を承認し、必要な指示、及び工数の振り当てに関する情報を記載した文書」と説明されているところである。
ところで、一般的に、生産過程においては、受注後、製品設計、行程設計、作業指示等の行程を経て製造されるところ、その製品設計や工程設計は、作業指示等として製造現場に指示がされ作業が進められるのが通常といえるが、近年のコンピュータ技術の向上に伴い、製品仕様や作業行程指示をコンピュータへ入力し作業が進められ、製品管理、行程管理等がされていることはよく知られているところである。
他方、インターネット情報によると、例えば、(1)社団法人日本印刷技術協会が掲載するワークフロー管理システムに関する講演記事(http://www.jagat.or.jp/event/project/topicpre.htm)によると、印刷工程に関し「・・・アナログ工程の行き詰まりをデジタルによって解消しようとするのであるから、工程管理の設計、作業指示からジョブ情報の収集までもデジタル化を行う。作業指示にあたるところはジョブチケットによる自動処理ステップを取り入れることで、人為的なミスロスの削減を考える。」等と記載されており、また、同協会が掲載する「ジョブチケット」(1999年4月26日付文書)の説明記事(http://www.jagat.or.jp/column/1999/i904moj.htm)によると、「ジョブチケット(Job Ticket)は,作業票あるいは作業指示書などという意味で,英和辞典にも載っている一般的な用語である。日本の印刷や出版業界でも,それぞれの会社で,あるいは仕事の単位で指示書や作業書を使っていると思うが,基本的にはそれらを広く指す言葉と考えてよいだろう。」と記載し、同文書の「PJTFとJob Ticket」の項には、「アドビ(注:デジタルワークフローにおけるJob Ticketについて提案している米アドビ社と解される。)のJob TicketはPortable Document Format(PDF)に基づいたデータ構造を持つファイルである。その仕様はPortable JobTicket Format(PJTF)として発行されている。これは米アドビ社のホームページで公開されている。」等と記載、(2)富士ゼロックスPA(Publishing Alliances)プログラムを紹介する記事(http://www.docu-plaza.com/product/pa_program/papamphlet_dc.pdf)では、「PAパートナーの皆様にご利用頂くもの」の見出しの下、「1.ジョブチケット」として、「・・・PAパートナーの皆様に、DocuTechのジョブチケットを開示します。DocuTechのジョブチケットを所定のポストスクリプト・ファイルの先頭に付与するだけで、・・・印刷面の指示、用紙の種類の指示、製本の種類の指示等が自動的に処理されます。」等と記載されている。また、(3)「Internet Gateway」のオンラインヘルプのサイトマップ(http://japan.wamgate.com/help/ig/JAPANESE/)によると、項目「5.ジョブチケット」中の「WAM!NET ジョブチケット」の項に、「ジョブチケットはデジタルのメモ用紙です。」等と説明し、「WAM!NET 標準ジョブチケットについて」の項に、4種類のジョブチケットが掲載され、それぞれに「送受信されるすべてのジョブにデフォルテで使用できるもの」、「広告送稿や印刷/出版用のもの」、「出力センター用や印刷会社用のもの」及び「出力センター用のもの」であることが掲載されている。
これらの情報からすると、「ジョブチケット」の語は、ネットワークを通じてコンピュータを用いて印刷、製本等を行うシステムにおいて印刷、製本、出力などを自動的に行う処理指示情報を格納したファイルを示すものとして用いられていることが窺える。
そうしてみると、本願商標を構成する「Jobticket/ジョブチケット」の語は、作業指示書又は作業指図書(文書)を表すものであるとしても、上記で述べたとおり、コンピュータやネットワークを利用したシステムとの関係において、自動的に処理する指示情報を格納したファイルを意味するものと容易に理解されるものと認められる。
してみれば、本願商標を指定商品中「ネットワークを通じて自動処理の指示をするファイル(ジョブチケット)を用いてなるコンピュータ用のプログラム、その他ジョブチケットの作成、読み取り装置等ジョブチケットに関係する電子応用機械器具(周辺機器を含む。)及び電気通信機械器具」について使用するときは、取引者・需要者をして、その商品の用途、品質を表しているものと理解、認識するにすぎず、本願商標は、自他商品の識別標識として機能し得ないものと認められるものであり、かつ上記商品以外の商品について使用するときは、その商品の品質を誤認させるおそれがあるものと認められる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした、原査定は覆すことはではない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2003-07-07 
結審通知日 2003-07-11 
審決日 2003-09-11 
出願番号 商願平11-43392 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z09)
T 1 8・ 272- Z (Z09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤平 良二 
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 宮川 久成
平山 啓子
商標の称呼 ジョブチケット 

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