ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 129 |
---|---|
管理番号 | 1088443 |
審判番号 | 取消2003-30317 |
総通号数 | 49 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2004-01-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2003-03-20 |
確定日 | 2003-11-19 |
事件の表示 | 上記当事者間における登録第1910589号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1910589号商標の指定商品中「清涼飲料,果実飲料及びこれらの類似商品」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第1910589号商標(以下「本件商標」という。)は、「一休」の構成文字よりなり、昭和59年11月10日に登録出願され、指定商品を第29類「茶、その他本類に属する商品」として、昭和61年11月27日に商標権の設定登録がされたものである。 当該商標権は、平成9年4月18日に存続期間の更新登録がされている。 本件審判請求の予告登録は、平成15年4月16日にされた。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対して要旨次のとおり述べている。 1 請求の理由 (1)被請求人は、本件審判請求前に継続して3年以上日本国内において本件商標をその指定商品中「清涼飲料,果実飲料及びこれらの類似商品」(以下「取消請求に係る商品」という。)について使用していない。 (2)過去3年以内における使用の事実、あるいは不使用についての正当な理由の存在は被請求人において速やかに挙証されるべきである。 2 弁駁の理由 (1)乙第1号証の標題において「登録商標の不使用についての正当理由説明書」と記載しているように、被請求人が本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標をその指定商品中の取消請求に係る商品について使用していないことは争いがない事実である。 したがって、被請求人が主張するような本件商標の不使用について正当な理由がない限り、本件商標の取消は免れない。 被請求人は、不使用の正当な理由として、本件商標を商品「清涼飲料」について使用する準備中であり、すなわち容器に表示すべき成分データ、JASへの申請、保健所への必要な届出事項につき準備中であり、これらの手続きによる遅延が不使用の正当な理由であると主張している。そして、乙第1号証を提出しているが、乙第1号証は被請求人の主張を繰り返し述べるだけで、具体的な証拠方法を提出するものではないので、証拠としては価値のないものである。 而して、商標法第50条第2項ただし書きが規定する不使用についての「正当な理由」とは、商標権者等の責に帰すことができない事由により登録商標の使用をすることができなかった場合を想定しているのであり、具体的には次のような例が挙げられている。 たとえば、特許庁公表のガイドラインである「商標の審判請求書の『請求の理由』等の書き方」(甲第1号証)においても、「正当な理由」となりうる事情として、 イ.地震、台風その他の天災地変 口.類焼、放火、破壊その他の第三者の故意または過失 ハ.法令による全面禁止、許認可手続きの遅延その他の公権力の発動 が挙げられており、いずれも権利者にとって不可抗力の事由ばかりである。 一方、被請求人が主張する本件商標の不使用についての理由は、「販売予定の清涼飲料の成分確認、JASへの申請、保健所への必要な届出事項につき現在準備中であり、これらの手続きの遅延」であるが、要は必要な届出を提出したが、官公庁側の都合により製造販売に必要な許認可が下るのが遅れているという公的な理由ではなく、被請求人において必要な届出を提出するための準備が遅れており、届出の申請自体さえ提出されていないことを意味している。この事由は正に被請求人自身の責めに帰すべきものばかりであり、到底不可抗力の事由とはいえない。 もし実際に被請求人の手元に商品があるのであれば、自社製品の成分分析に時間がかかるはずはないし、JASや保健所への申請や届出でも速やかにできたはずである。何よりも、被請求人が製造販売しようとする商品が、JASへの申請や保健所への届出が法令上必須要件であることが先ず立証されなければならない。 そのような法的な要件があり、これを本件審判請求前にすべて行なっていたにもかかわらず、その許認可が遅れている場合だけが、商標法第50条第2項ただし書きが規定する「正当な理由」と評価される。 これらの事実に関する立証責任が被請求人にあることは条文の規定上明らかである。 (2)以上のとおり、被請求人は本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標をその指定商品中取消請求に係る商品について使用していることを証明しておらず、また、被請求人は本件商標を不使用であることの正当な理由を明らかにしていない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とするとの審決を求める。と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出している。 <答弁の理由> 被請求人は、2002年12月1日東京都墨田区所在のアサヒ飲料株式会社と、本件商標をお茶等の清涼飲料に使用する契約をなし、その販売のための準備中である。すなわち、容器に表示すべき成分データ、JASへの申請、保健所への必要な届出事項につき準備中であり、これらの手続による遅延が、現時点での使用証明を不可能にしている(乙第1号証)。 このような使用準備中の登録商標の一部を取り消すことは、被請求人に甚大な経済的損害を与えることになり、許されるべきことではない。 第4 当審の判断 本件審判請求は、本件商標の指定商品中の「清涼飲料,果実飲料及びこれらの類似商品」について、商標法第50条第1項の規定によりその登録の取消しを求めるものである。そして、該規定による商標登録の取消審判の請求があった場合においては、同条第2項においてその審判請求登録前3年以内に、日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しなければ、その指定商品についての登録の取消しを免れないとし、ただし、その使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしたときは、その指定商品についての登録の取消しをすることができない旨規定している。 (1)被請求人の提示に係る答弁書における答弁の趣旨、その理由及び証拠として提出された「登録商標の不使用についての正当理由説明書」(乙第1号証:以下「不使用理由説明書」という。)を検討するに、被請求人は、答弁の理由において、2002年12月1日東京都墨田区所在のアサヒ飲料株式会社と、本件商標をお茶等の清涼飲料に使用する契約をなし、容器に表示すべき成分データ、JASへの申請、保健所への必要な届出事項につき準備中であり、これらの手続による遅延が使用証明を不可能にしてる旨述べるのみで、本件商標を取消請求に係る商品について、審判請求登録前3年以内に使用していることを立証するところがない。 (2)そして、登録商標をその取消請求に係る商品について使用しないことの正当な理由は、天災地変等の不可抗力事由その他法的規制等により、商標権者又は使用権者の責に帰すべからざる事由が発生したことがそれに該当すると解される。 しかしながら、被請求人は、上記の各手続等について準備中であり、その手続による遅延が使用証明を不可能にしてる旨述べるに止まり、具体的な証拠を何ら提出してないし、他にこれを認めるに足る証拠も存しない。 そうすると、審判請求登録前3年以内の間に、商品の製造、販売をすることができなかったという「不使用の責任」を被請求人(商標権者)等の責めに帰することが酷であるとまでの事由というのは困難であり、むしろ、被請求人の社内事情による自己都合と認められるから、不使用の正当理由には該当しないものというべきである。 したがって、被請求人のかかる主張は、本件商標をその取消請求に係る商品について使用しないことの正当な理由、すなわち商標法第50条第2項「ただし書き」の規定に該当するものとは認められない。 (3)なお、被請求人は、不使用理由説明書において、不使用についての正当な理由の説明を裏付ける事実を示す書類について「現段階では営業秘密に係わるため、文書提出命令があれば、営業秘密が守られる範囲内で提出する。」としているが、上述のとおり、不使用の正当理由は被請求人において明らかにしない限り、商標権者は、取消請求に係る商品についての商標登録の取消しを免れないことは商標法第50条第2項の規定により明らかであるにも拘わらず、被請求人はこれをしない。そして、被請求人の不使用の正当理由に係る主張は、前記のとおり、本件商標の不使用の正当理由には該当しない企業内の自己都合によるものであり、被請求人にこの点の事情について釈明を求めても不使用の正当理由に足りる事由が存するものといい難いから、審判長は文書提出等を求める手続の必要性を認めない。 その他、被請求人の主張は、いずれも妥当性に欠けるものであって、採用することができない。 (4)以上、(1)ないし(3)に示すとおり、被請求人の述べる本件商標の不使用の正当理由の主張は、いずれもこれを採用し難いものであるから、結局、被請求人は、本件審判請求に対し、所定事項の証明をなし得なかったものといわなければならない。 したがって、本件商標の登録は、その指定商品中結論掲記の商品ついて、商標法第50条の規定によりその登録は取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-09-10 |
結審通知日 | 2003-09-16 |
審決日 | 2003-10-08 |
出願番号 | 商願昭59-118459 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(129)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 村上 政弘 |
特許庁審判長 |
野本 登美男 |
特許庁審判官 |
高野 義三 和田 恵美 |
登録日 | 1986-11-27 |
登録番号 | 商標登録第1910589号(T1910589) |
商標の称呼 | イッキュウ、ヒトヤスミ |
代理人 | 木村 吉宏 |
代理人 | 小谷 武 |