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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 126 |
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管理番号 | 1088332 |
審判番号 | 取消2002-30949 |
総通号数 | 49 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2004-01-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2002-08-07 |
確定日 | 2003-11-10 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2618580号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第2618580号商標の指定商品中「印刷物」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第2618580号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲に示したとおりの構成よりなり、平成2年10月25日に登録出願、第26類「印刷物、書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として、平成6年1月31日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張 請求人は、結論と同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べている。 本件商標は、その登録に係る指定商品中「印刷物」について、継続して3年以上、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用されている事実を発見できなかった。 よって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、その登録の取消を免れることができないものである。 3 被請求人の主張 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第3号証を提出している。 (1)本件商標は、以下に述べるように、商標権者である被請求人が「印刷物」について使用しているものであり、したがって、本件商標の登録は、商標法第50条により取り消されるべきものではない。 (2)被請求人は、昭和57年来、「Vup」を長期事業計画の目標として掲げ、今日に至るまで、「Vup」又は「Vup運動」というようなかたちで社内のあらゆる印刷物に表示し、内外にアピールしているものである。 そして、これを商標としても使用しているというものである。 表示の具体的な態様は変遷があるが、例えば、社内報(乙第1号証ないし同第3号証)に見られるような態様で、表示し使用しているものである。 社内報自体は、いわば出版名義で発行しているものではないが、関連グループには実費頒布しているものであって、その限りにおいては、商品である。 (3)以上のとおり、本件商標権の商標権者である被請求人は、本件商標を取消請求に係る指定商品について、本件審判請求前3年以内に国内において使用していたことを証明するものである。 4 当審の判断 (1)被請求人は、本件商標を使用する印刷物として「フジソク社内報(フジソク社報)」(乙第1号証ないし同第3号証)を提出する。 そこで、まず、該「フジソク社内報(フジソク社報)」(以下「使用商品」という。)が本件審判請求に係る指定商品の「印刷物」に当たるかどうかについて検討する。 商標は、その主たる機能として、商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する機能を有しており、また、商品・役務の品質を保証する機能、広告宣伝機能を有しているところ、これらの機能が発揮し得る商品、すなわち商標法上の商品というためには、それが流通性を有していて市場で取引の対象なり得るものであることを要すると解される。これを本件取消請求に係る指定商品の「印刷物」についてみれば、一般の書店、インターネットの通信販売その他何らかの販売経路を通じて、不特定多数の需要者に対し、譲渡する対象となり得るものに限られると認められる。 これを使用商品についてみるに、一般に「社内報」は、「会社がその従業員・家族を対象にして配布する機関紙誌」(岩波書店発行「広辞苑」)であり、使用商品も、その表題、体裁からして請求人会社の社内報と認められる。そうすると、使用商品は、市場に流通し、不特定多数の需要者を取引の対象とするものではないといわざるを得ないから、商標法上の商品としての「出版物」には当たらないものというべきである。 被請求人は、使用商品は関連グループに実費頒布しているものであって、この限りにおいては商品である旨主張するが、たとえ実費で頒布されているものであっても、その頒布先は関連グループという限られたものであり、市場において不特定多数の需要者を対象に譲渡されるものではない。被請求人の上記主張は採用の限りでない。 (2)次に、本件審判請求の登録前3年以内の使用に当たるか否か、及び本件商標の使用に当たるか否かについてみるに、商標登録原簿の記録によれば、本件審判請求の登録は、平成14年8月28日にされているものであるところ、甲第1号証の「フジソク社報」の発行は昭和57年7月12日、同第2号証の「フジコク社内報」の発行は平成4年3月25日であって、本件審判請求の登録前3年以内に発行されたものではない。 また、本件商標は、別掲に示したとおり、横長長方形内にその長方形の高さと同じ高さの「V」の文字と小さな「UP」の文字をハイフンを介して全体を彩色して表してなるものであるところ、甲第1号証の「フジコク社報」には「Vup」の文字、及び、甲第2号証の「フジコク社内報」には「Vup」(「V」の文字は二重に白抜きされたかのように多少図案化されている)の文字が表されていて、これらは、本件商標とはその構成が異なるものというべきであるから、本件商標と社会通念上同一のものとは認め難いものである。他に、本件商標が使用されていると認め得る表示はない。 甲第3号証の「フジコク社内報」は、平成13年1月18日の発行に係るものであり、本件審判請求の登録前3年以内に発行されたものである。 しかしながら、該社内報には「『Vサインをした手のひら状の図形』と『up』の文字」が表されていて、これは、本件商標とその構成が大きく異なること明らかであり、本件商標と社会通念上同一のものとは判断することができない。他に、本件商標が使用されていると認め得る表示はない。 (3)してみれば、被請求人の提出に係る証拠によっては、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、請求に係る指定商品「印刷物」のいずれかの商品について本件商標を使用していたことを証明しているものとは認められない。 また、被請求人は、請求に係る指定商品について本件商標を使用していなかったことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。 (4)したがって、本件商標の登録は、本件審判請求に係る指定商品について、商標法第50条第1項の規定に基づき、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 (色彩については原本参照) |
審理終結日 | 2003-09-16 |
結審通知日 | 2003-09-19 |
審決日 | 2003-09-30 |
出願番号 | 商願平2-119446 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(126)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 深沢 美沙子、澁谷 良雄 |
特許庁審判長 |
滝沢 智夫 |
特許庁審判官 |
岩崎 良子 小林 薫 |
登録日 | 1994-01-31 |
登録番号 | 商標登録第2618580号(T2618580) |
商標の称呼 | ブイアップ、バップ、ブイユーピー |
代理人 | 吉野 日出夫 |
代理人 | 市川 利光 |
代理人 | 小栗 昌平 |
代理人 | 鈴江 武彦 |
代理人 | 石川 義雄 |
代理人 | 小出 俊實 |