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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Z30
管理番号 1088301 
審判番号 無効2002-35451 
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-01-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-10-20 
確定日 2003-11-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第4491343号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4491343号商標(以下「本件商標」という。)は、「毎日クッキー」の文字を標準文字で書してなり、平成12年8月4日に登録出願、第30類「クッキー」を指定商品として、同13年7月13日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の引用する商標
登録第4286193号商標(以下「引用商標」という。)は、平成10年2月24日に登録出願、「毎日果実」の文字を標準文字で書してなり、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同11年6月25日に設定登録され、現に有効に存続しているものである

第3 請求人の主張の要点
請求人は、「本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第27号証(枝番含む)を提出している。
1.商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標は、「毎日クッキー」の文字よりなるところ、その構成中「クッキー」は、その指定商品であるクッキーそのものであり、自他商品の識別力を有しないものであるから、本件商標の要部は「毎日」の文字にある。
他方、引用商標は、「毎日果実」の文字よりなるところ、その構成中「果実」の文字は以下に述べる理由により、自他商品の識別力を有しないものであるから、引用商標の要部も「毎日」の文字にある。
(2)「果実」とは、多くの辞書にも記載されているように、種子、植物の花の部分が発育、成熟したものであるとされている。
そして、この果実には,次の6種類がある。
ア 真果……めしべ、子房、胚珠、がくより構成されている。
イ 偽果……がく房、胚珠、花たくより構成されている。
ウ 巣果……エンドウ、アブラナ、サクランボーなど。
エ 複果……クワの実、イチジクなどの実が複数存在するもの。 オ 乾果……朝顔、樫など実が乾燥したもの。
カ 液果……ブドウなど液状の実。
(3)一般にクッキー(英国ではビスケットと呼ばれている。)は、約170種類あるといわれているが、この中でも次のようなものは、小麦粉、バター、チーズ、チョコレート、砂糖、果物、木の実などの果実を材料として作られている。例えば、ベーゼルナッツのサブレ、カシュナッツクツキー、アーモンドリングビスケット、アーモンドのボルボロート、レーズンクッキー、ウォールナッツクッキー、ココナッックッキー、アーモンドのタルトレット、レーズンサブレ、ラムレーズンクッキー、フルーツのサブレ、レーズンビスケット、アーモンドのデュイール (4)このような理由で「果実」は、クッキーという商品の材料を表わすため、自他商品の識別力を有しないものであるから、引用商標の要部は「毎日」にある。
このため、本件商標から「マイニチ」の称呼、「毎日」の観念が生ずるから、「マイニチ」の称呼、「毎日」の観念を有する引用商標とは、称呼上及び観念上互に類似するものである。
2.商標法第4条第1項第15号について
「毎日果実」からなる引用商標については、甲第4ないし第27号証に示すとおり、莫大な費用を投入して宣伝広告した結果、平成10年1月頃には、取引者及び需要者間において広く認識されるに至った。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号の規定にも該当するものであるから、本件商標は、商標法第46条第1項第1号の規定により、その登録を無効とされるべきである。

第4 被請求人の主張の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べている。
1.請求人は、本件商標に対して異議申立を行っており、異議の決定では本件商標を維持するとの結論が出ている。この異議の決定では、引用商標「毎日果実」は構成文字全体をもって「マイニチカジツ」の称呼を生ずる一体不可分の商標として把握、認識され、該両語(即ち「毎日」と「果実」)が組合わされた一種の造語商標を表してなると判断するのが相当である、としている。
被請求人は、この判断を支持するものである。請求人は、商標「毎日果実」の著名性を示す資料を多数提出し、縷々述べているが、これは「毎日」と「果実」の両語が一体不可分であることの逆の意味での証拠を示しているといえる。したがって、引用商標「毎日果実」のうち「毎日」が要部であるとの主張は誤りである。
2.請求人は、「果実」はクッキーという商品の材料を表すため、自他商品識別力がないと述べているが、請求人は、商標法上の商品の概念と、食品学、調理学の学問上の概念を混同していると考える。商品「クッキー」は、菓子の中で、ビスケット、クラッカーなどと並列的に存在する商品である。商品「果実」は、ミカン、モモ、イチゴなどを包含する概念であり、この概念に「クッキー」は含まれない。要するに商品「クッキー」と商品「果実」は、相互に混同を生じない商品である。
3.取引者及び需要者間において広く認識されているのは一連となった「毎日果実」であり、「毎日」ではない。
4.以上のことから、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当しない。

第5 当審の判断
1.商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記第1のとおり、「毎日クッキー」の文字よりなるところ、構成中の「クッキー」の文字部分は、本件商標の指定商品の普通名称を表す語であって、本件商標中で自他商品識別力を有するのは「毎日」の文字部分にあるといえるから、これよりは「マイニチ」の称呼、「毎日」の観念を生ずるとみるのが相当である。
これに対し、引用商標は、「毎日果実」の文字よりなるところ、構成各文字は同書・同大・等間隔に全体としてまとまりよく構成されており、これより生ずると認められる「マイニチカジツ」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、その構成中「毎日」の文字部分のみが独立して、把握、認識しなければならない理由は存しないものであるから、親しまれた語である「毎日」の文字と「果実」の文字とを組み合わせた一体不可分の一種の造語よりなる商標であるといわざるを得ない。
しかして、請求人は、引用商標中の「果実」の文字部分は「クッキー」の原材料としても使用されるものであり、自他商品識別力を有しない文字であるから、引用商標の構成中「毎日」の文字部分より「マイニチ」の称呼、「毎日」の観念をも生ずる旨主張している。
確かに、商品「クッキー」に「果実」を材料として使用することがあることは認め得るとしても、引用商標は、「毎日」の文字と「果実」の文字とを組み合わせた一体不可分の一種の造語よりなるものであること上述のとおりであり、かかる構成においては、「果実」の文字が本願指定商品の原材料を具体的に表示するものとして直ちに理解され得るとは言い難い。
してみれば、引用商標は、特定の観念を生じ得ない一種の造語と判断されるとみるのが相当であるから、これより「マイニチカジツ」の一連の称呼のみを生ずると判断するのが相当である。
そこで、本件商標より生ずる「マイニチ」の称呼と、引用商標より生ずる「マイニチカジツ」の称呼とを比較するに、両者は後半部における「カジツ」の音の有無に顕著な差違を有するものであるから、称呼上明らかに聴別し得るものである。
さらに、引用商標は、特定の観念を生じ得ない一種の造語と判断されることは前記したとおりであるから、両者は、観念上比較し得ないものであり、また、外観においても、それぞれの構成からみて、判然と区別し得るものである。
2.商標法第4条第1項第15号について
引用商標が焼菓子の商標としてある程度知られているとしても、本件商標と引用商標とは、上記第5の1.のとおり、類似しない別異の商標であるから、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者・需要者が引用商標を連想又は想起するようなことはなく、請求人若しくは請求人と関係のある者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。
なお、請求人は、甲各号証を提出しているが、これらは、引用商標が「毎日」又は「マイニチ」と略称されて周知・著名である事実を認めるに足りない。
3.したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項により、その登録を無効とすべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2003-09-10 
結審通知日 2003-09-16 
審決日 2003-09-29 
出願番号 商願2000-86314(T2000-86314) 
審決分類 T 1 11・ 271- Y (Z30)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 大橋 良三
特許庁審判官 富田 領一郎
小川 有三
登録日 2001-07-13 
登録番号 商標登録第4491343号(T4491343) 
商標の称呼 マイニチクッキー、マイニチ 
代理人 江口 俊夫 

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