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審決分類 審判 全部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z06
管理番号 1085068 
審判番号 無効2002-35402 
総通号数 47 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-11-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-09-20 
確定日 2003-09-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第4428731号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4428731号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4428731号商標(以下、「本件商標」という。)は、「UNIVERSAL」の欧文字を標準文字で横書きしてなり、平成11年11月29日に登録出願、第6類「金属製手すり・金属製車止めその他の建築用又は構築用の金属製専用材料」を指定商品として、同12年10月27日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
結論同旨の審決を求める。
2 請求の理由(要旨)
請求人は、請求の理由を以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第23号証を提出した。
本件商標は、これをその指定商品中「階段踏み板、回転窓用へいそく装置、シャッター、タイル、手すり、ドアノッカー、扉、扉とって、扉のへいそく装置、防火扉、舗床用材料、窓、窓用引き手、窓枠、床板」に使用しても、これに接する取引者又は需要者に、これらの商品が身障者・高齢者・健常者が分け隔てなく使えるようにデザインされた商品、すなわち、単に商品の品質、用途等を表示した語と認識させるにすぎないから、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものである。また、前記以外の指定商品について使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とされるべきものである。

第3 被請求人の答弁
1 答弁の趣旨
本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。
2 答弁の理由
被請求人は、答弁の理由を以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第9号証を提出した。
(1)「UNIVERSAL(ユニバーサル)」は、「普遍的な」「万人の」「宇宙的・世界的」等の意味の英語又は親しまれた外来語である(甲第2号証、乙第1号証)。
「ユニバーサルデザイン」の語が「高齢者や身体障害者だけでなく一般の人にも使いやすい形の製品」を意味する語として一般に使用されており、「レバーハンドル式ドアノブ、階段、手すり、舗装材」等の商品がこのようにデザインされた製品として以前から存在していたと述べているが、被請求人は、それについて争うものではない。
(2)しかしながら、「UNIVERSAL(ユニバーサル)」の語自体は、前記のとおりであり、「ユニバーサルデザイン」に限らずいろいろな語と結合し、成句として日常的に使用されているものであるから、他の語と結合することなく「UNIVERSAL」の文字よりなる本件商標は、その意味を特定されるものではなく、これに接した一般取引者・需要者が、これから直ちに「ユニバーサルデザイン」における「ユニバーサル」の意味を想起するとは到底考え得るものではない。むしろ、広範かつ抽象的な語意を有するディクショナリー・ワードたる外来語の一つとしてのみ認識するのが普通と思われる。
(3)「UNIVERSAL(ユニバーサル)」を普通に表示した標章のみからなる商標が、多数登録されている事実を乙第4号証ないし同第9号証で示す。これらの例からも、他の語と結合することのない「UNIVERSAL(ユニバーサル)」の語自体は、どの指定商品についても十分に自他商品識別力を備えていることは明らかなのである。
(4)請求人は、建築業界において「ユニバーサルデザイン」製品のことを「ユニバーサル〜」と称して一般に使用している例を挙げているが、甲第17号証ないし同第23号証における「ユニバーサル」の使用例は、甲第6号証ないし同第15号証と同様に「ユニバーサルデザイン」の語の一部として使用されているか、「ユニバーサルデザイン」の意を直感させない単なる「ユニバーサル」の語が使用されている例にすぎず、「UNIVERSAL(ユニバーサル)」の語が「ユニバーサルデザイン」の意で使用されている例ではない。
このように、建築業界においても「ユニバーサルデザイン」のことを「ユニバーサル」と略する慣例はなく、「ユニバーサルデザイン」という完全な形で使用してはじめてその観念(身障者・健常者が分け隔てなく使えるようにデザインされた商品であること)を生ずるのである。
(5)以上のとおり、本件商標をその指定商品のいずれに使用しても、自他商品識別標識としての機能を十分に発揮し得るものであり、また、商品の品質の誤認を生じさせるおそれもないものである。

第4 当審の判断
請求人の提出に係る甲各号証を徴するに、本件指定商品に係る建築業界では、本件商標の査定前において、バリアフリーの概念を受け継ぐ形で、健常者、障害者を分け隔てなく使えるようにされた建築デザイン、また、その製品自体を一般的に「ユニバーサルデザイン」と称していたことは、甲各号証によっても認められ、このことは、当事者間に争いがない。
そして、甲第10号証(インテリア総合専門紙「ゆか」株式会社インテリアタイムス社 1998年5月1日発行 62頁)には、記事の表題として「フレンドリーからバリアフリー」「そしてユニバーサルへ」の記載があり、甲第12号証(バリアフリー内装要覧 2000 1999年11月25日 株式会社インテリアタイムス社発行 6頁)には、記事の表題として「高齢社会における製品・生活環境等のユニバーサル化に関する研究の概要」の記載があり、甲第13号証(1999年度大会【中国】学術講演梗概集 1999年7月30日 日本建築学会発行 807・808頁)には、「“ユニバーサル・スロープ”の可能性に関する研究」の記事の表題及び「できるだけ多様な人々が多数利用するスロープ(ユニバーサル・スロープ)」の記載があり、甲第18号証ないし同第20号証及び同第22号証(建築業会各社のインターネットホームページ)には、「ユニバーサル仕様」、同様に、甲第21号証及び同第23号証の各所に「ユニバーサル空間」「ユニバーサルな邸宅」「ユニバーサルリフォーム」「ユニバーサルプラン」等、単に「ユニバーサル」の文字が「ユニバーサルデザイン」を意味するものとして掲載された事実が認められる。
上記事実を総合すれば、この種業界においては、単に「ユニバーサル」の文字が「ユニバーサルデザイン」を意味するものとして、査定前から現在に至るまで、一般的に使用されていたと認定し得るものである。
また、本件商標は、上記「ユニバーサル」に通ずる欧文字「UNIVERSAL」のみを標準文字で書してなり、第6類「金属製手すり・金属製車止めその他の建築用又は構築用の金属製専用材料」を指定商品とするものである。
してみれば、本件商標は、査定時及び現在に至るまで、取引者、需要者に、健常者、障害者を分け隔てなく使えるようにされた建築デザイン、すなわち「ユニバーサルデザイン」に適した商品であることを認識させるものであったというべきであり、また、これが標準文字よりなるものであるから、これをその指定商品について使用するときは、商品の機能、用途、品質を普通に表してなるにすぎないものといわざるを得ない。
被請求人は、「UNIVERSAL(ユニバーサル)」は、「普遍的な」「万人の」「宇宙的・世界的」等の意味の英語又は親しまれた外来語であると述べ、「UNIVERSAL(ユニバーサル)」を普通に表示した標章のみからなる商標が、多数登録されていると述べているが、商標の意義は、指定商品から離れて論ずることができないことは当然というべきであるから、当該主張は、採用できない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2003-07-18 
結審通知日 2003-07-24 
審決日 2003-08-05 
出願番号 商願平11-109634 
審決分類 T 1 11・ 13- Z (Z06)
最終処分 成立  
特許庁審判長 田辺 秀三
特許庁審判官 柳原 雪身
井出 英一郎
登録日 2000-10-27 
登録番号 商標登録第4428731号(T4428731) 
商標の称呼 ユニバーサル 
代理人 細井 貞行 
代理人 細井 貞行 
代理人 細井 貞行 
代理人 細井 貞行 
代理人 小谷 悦司 
代理人 植木 久一 

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