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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z07
管理番号 1083615 
審判番号 不服2000-18945 
総通号数 46 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-11-30 
確定日 2003-08-21 
事件の表示 平成11年商標登録願第 76454号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「エコエアフィルター」の文字を標準文字として、第7類「圧縮機より排出される圧縮空気中の水蒸気、油分、不純物を除去するためのフィルター」を指定商品として、平成11年8月24日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶理由
本願商標は、「エコエアフィルター」の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、その構成中の「エコ」の文字は、環境保護の意を有する「エコロジー」の略称として使用されているものであり、特に最近、各種製品(商品)が環境保護の観点を重視して開発することが求められており、その製造過程、廃棄の際における環境への影響を重視したものが開発され、これらの商品が「エコグッズ」又は「エコ商品」と称して取り扱われれている。
そうとすると、本願商標全体として「環境保護に配慮したエアフィルター」の意味を認識するものであるから、これを指定商品に使用しても、単に該商品の品質を表示したにすぎないものと認められる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。

3 当審の判断
本願商標は、前項1で述べたとおり、「エコエアフィルター」の文字からなるものであるところ、その構成中の「エアフィルター」(Air filter)の文字部分は、「一定のプロセスで、許容できるレベルまで空気流中の固体粒子の濃度を低下させるもの(フィルター)」を意味する語であり、またその前半部の「エコ」の文字は、「生態学」を意味するほか「環境保護」をも意味する「エコロジー」(ecology)の略称と理解される語と認められる。
ところで、近年、地球の環境を保護(保全)する活動が世界的、国家的規模で進められ、企業や消費者を含め大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済活動の中で、環境保全型のものに変革させるよう進められているところであり、人間の生活に必要な空気の清浄化、公害物質の無公害化処理等の当該商品自体の作用効果により環境汚染を防止することを目的としているもののほか、その商品の材料また使用状態や廃棄後において、例えば、環境に有害な物質を使用していない或いはそのような物質を発生させないもの、電気、燃料、水等の資源の消費を節減できるもの、洗浄等すれば再利用できるもの、廃棄後リサイクル資源として利用できるもの等環境保護(保全)への負担を軽減することのできる商品の開発や役務の提供が進められている実情にある。
そして、環境保護(保全)に関係する用語をみるに、「エコ」の語(略称)は、例えば、「エコ・マーク」(環境保全を進める仕組みのひとつで、環境保全に役立つ商品に付けられるマーク。例えば、古紙利用のトイレットペーパー、廃木材再生製品等に該マークが表示されている。)、「エコ・グッズ」(環境保全を提唱する商品)、「エコ・ビジネス(eco-business)」(経済効率だけでなく地球環境を守るような商品も開発していこうという産業)、また「エコ・ステーション(eco-station)」(ガソリン、軽油のかわりに電気、天然ガス、メタノールを使う環境対策自動車の燃料補給所)、「エコセメント(ecocement)」(都市ゴミの焼却灰や乾燥させた下水汚染を主原料に使っているセメント)等のように関係する名詞に冠し「エコ○○○」と用いられていることが認められる。
他方、本願商標の指定商品(使用する商品)は、「圧縮機より排出される圧縮空気中の水蒸気、油分、不純物を除去するためのフィルター」であつて、「エアフィルター」の一種と認められる。
上記実情及び本願商標の意味合いよりして、本願商標は、使用に係る商品(指定商品)を表す「エアフィルター」の文字に「エコ」の文字を冠したものであって、それらの文字を一連に連結したとしても、特に別異の意味合いを看取しうる事情も見出せないものであるから、それぞれの文字(語)の意味を理解し、全体として、当該商品は、環境保護(保全)について考慮されている「環境保護(保全)に役立つエアフィルター」であることを容易に理解されるものと認められる。
してみれば、本願商標を指定商品について使用するときは、取引者・需要者をして、その商品は環境保護(保全)に役立つエアフィルターであり、商品の品質を表示しているものと理解、認識するにすぎず、本願商標は自他商品の識別標識として機能し得ないものとみるのが相当である。
なお、請求人は、「エコ」の文字を含む登録商標が存すること、「エコ」の文字を先頭に有する語は、エコロジー、エコノミー、エコノミック、エコノミカル等があり、意味が特定できないこと、本願商標は全体が一体不可分の外観となっていること、他人が使用している事実はないこと等を指摘し、登録例を列挙して、本願商標は指定商品の品質を表示するものではない旨を主張している。
しかしながら、列挙された登録例は、指定商品又は「エコ」の文字に連結している文字(語)等の事情を異にするものが多数あり、また仮に本願商標と同じ様な状況の商標があるとしても、本願商標が上記認定のとおり商品の品質を表示しているものであると判断するのが相当であることからすると、それらを本願商標における判断の基準とすることは適当でない。また、本願商標が標準文字により一連に表されているものであるとしても、「エアフィルター」の文字部分は上記で述べたとおり商品を表す語(名称)であることからして、「エコ」の文字を「エアフィルター」の語に冠してなる商標であると容易に理解されるものとみるのが自然といえる。また、「エコ」で始まる語は請求人指摘のとおり「エコロジー」(ecology)以外にも存在するが、一般名詞に「エコ」の文字を冠し「エコ○○○」の構成となる場合は、一般的にみて「エコロジー」(ecology)の略称と理解されるものであって、加えて本願商標を使用する商品(指定商品)との関係を考慮すると、取引者・需要者は上記認定のとおり認識するものとみるのが相当であるから、同様の表示を他人が使用していないことのみをもって、商品の品質を表示するものではないと判断することはできないものであり、上記請求人の主張は採用できない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものと認める。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2003-06-03 
結審通知日 2003-06-10 
審決日 2003-07-07 
出願番号 商願平11-76454 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z07)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中村 謙三 
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 宮川 久成
平山 啓子
商標の称呼 エコエアフィルター、エコエア、エコ 
代理人 中島 三千雄 
代理人 中島 三千雄 

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