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審決分類 審判 査定不服 商64条防護標章 取り消して登録 Z36
管理番号 1079889 
審判番号 不服2001-17053 
総通号数 44 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-09-25 
確定日 2003-06-25 
事件の表示 商願2000-66730拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の標章は、登録第710081号の防護標章として登録をすべきものとする。
理由 1 本願標章
本願標章は、「アイシン」の片仮名文字を横書きしてなり、第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定著物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,割賦購入あっせん,プリペイドカードの発行,商品券の発行,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,集金の代行及び支払いの取次ぎ,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,商品市場における先物取引の受託,生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,骨董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,中古車の評価,企業の信用に関する調査,税務に関する情報の提供,慈善のための募金,野生生物及び自然環境の保護のための募金」を指定役務として、登録第710081号商標(以下「原登録商標」という。)に係る防護標章登録出願として、平成12年6月15日に登録出願されたものである。
そして、原登録商標は、「アイシン」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和40年5月6日に登録出願、第12類「輸送機械器具、その部品及び附属品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、同41年6月13日に設定登録が行われ、現に有効に存続するものである。

2 原査定における拒絶の理由
原査定は、「本願標章は、自己の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められない。したがって、本願標章は、商標法第64条に規定する要件を具備しない。」旨認定して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願標章と原登録商標との一致について
本願標章は、「アイシン」の文字を横書きしてなるところ、該文字は原登録商標と同一のものであること、そして、原登録商標が本件審判請求人(出願人)(以下「請求人」という。)の所有に係るものであり、かつ、該商標権が現に有効に存続していることは、その商標登録原簿の記載に照らし、これを認めることができる。
(2)原登録商標の著名性について
請求人の提出した原審における甲第1号証ないし甲第13号証、当審における甲第1号証ないし甲第28号証及び職権による調査を総合すると以下の事実が認められる。
(ア)請求人は、1949年6月設立、1965年8月社名をアイシン精機株式会社に変更、資本金363億円(1997年12月末現在)、売上高5,190億円(1997年3月期)、従業員数11,200名、国内13工場、事務所・営業所は、国内37ヶ所、海外3ヶ所、さらに、アイシングループの連結子会社を49社有し、国内ではトヨタ、ホンダ、日産、マツダ、三菱等、また、海外ではGM、フォード、ボルボ、ルノー、現代等の自動車部品を手がけ、もともとはトヨタグループであった請求人会社が、現在では国際的にも広く活躍するようになっている。
そして、請求人は、自動車部品を中心に、ミシン、ベッド、住宅関連機器等の家庭用機器の他、アパレル機器、エアコン、冷凍機器等の産業機器を営業品目とし、それらの商品に「アイシン」又は「AISIN」の商標を使用している。
(イ)請求人の依頼に基づく証明書であるが、東京、大阪及び名古屋の商工会議所、日本自動車工業界、日本自動車部品工業界の会員及び不動産、建築、銀行、証券及び保険業界等による証明によれば、当該業界においては、「アイシン」の文字が、請求人を指称するものであることが認識されている。
(ウ)請求人は、1965年8月に社名をアイシン精機株式会社に変更して以来、その社名の略称である「アイシン」を自動車部品に使用開始し、新聞、雑誌、テレビのコマーシャル、看板、ナゴヤドームなどの球場のフェンス等を含む宣伝物等において、請求人の業務に係る商品を示す表示として継続的に使用し、いまでは、「アイシン」の文字及びそのローマ字表記である「AISIN」とともに、請求人を表示する社章(ハウスマーク)として認識されるに至っている。
(エ)請求人のグループ会社の多くは、「アイシン」の文字を含む企業名であり、その取り扱う商品及び保険・不動産等の役務について、それが請求人のグループに属することを表示するものとして「アイシン」あるいは「AISIN」の文字を含む標章を使用している。
(オ)請求人が中心的に取り扱う自動車部品と関連する自動車業界への就労者数は、726万人であり、我が国の就労者人口の1割を占めていることからも、自動車部品に使用されている「アイシン」標章は、その取引者・需要者間において広く認識されていることが推認できる。
以上の認定事実に照らせば、請求人は、自動車部品を中心に、上記「アイシン」の文字をハウスマーク及び商標として長年使用し、宣伝したことにより、これが請求人及び請求人のグループ会社の業務に係る商品を表示する商標として取引者・需要者の間において周知・著名なものとなっていることを認め得るものである。
また、原登録商標と請求人使用の上記「アイシン」とは、片仮名文字を同一にしており、社会通念上同一といえるものであり、その取り扱いに係る商品又はその業務を表すものとして、自動車業界の取引者・需要者間のみならず、不動産、建築、銀行、証券及び保険等の業界においても広く認識されるに至ったものといわなければならない。
(3)出所の混同のおそれについて
本願標章に係る指定役務について、他人が原登録商標を使用した場合、請求人の取り扱いに係る役務とその出所について混同を生ずるおそれがあるか否かを判断するに、原登録商標「アイシン」は、請求人のハウスマークであること、請求人は自動車部品を中心に、ベッド、シャワー、トイレ、エアコンもしくは住宅関連機器等生活関連商品を幅広く手掛けていること、請求人のグループ会社には「アイシン」の文字をその商号の一部に有する会社が多く、そして、これらには本願標章に係る指定役務に含まれる保険、不動産に関する役務をその業務としている者も存することは前記(2)のとおりである。
そうとすれば、本願標章を他人がその指定役務について使用した場合には、これに接する取引者、需要者をして、該役務が請求人又は同人と組織的もしくは経済的に何らかの関係を有する者の取り扱いに係る役務であるかのように、その出所について混同を生じさせるおそれがあるというのが相当である。
(4)したがって、本願標章は商標法第64条第1項に規定する要件を具備するものと認められるから、同条の要件を具備しないとして、本願を拒絶した原査定は、妥当ではなく取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2003-06-03 
出願番号 商願2000-66730(T2000-66730) 
審決分類 T 1 8・ 8- WY (Z36)
最終処分 成立  
前審関与審査官 須藤 祀久深沢 美沙子 
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 鈴木 新五
中田みよ子
商標の称呼 アイシン 
代理人 小谷 武 

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