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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 015
管理番号 1076960 
審判番号 無効2001-35274 
総通号数 42 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-06-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-06-26 
確定日 2003-05-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4039911号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4039911号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4039911号商標(以下「本件商標」という。)は、平成7年7月7日に登録出願、別掲(1)に表示した構成よりなり、第15類「ギター及びその弦」を指定商品として、平成9年8月8日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第1678886号商標(以下「引用商標1」という。)は、昭和56年12月10日に登録出願、別掲(2)に表示した構成よりなり、第24類「おもちゃ、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和59年4月20日に設定登録、平成6年10月28日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。同じく、登録第2711408号商標(以下「引用商標2」という。)は、平成2年1月26日に登録出願、別掲(3)に表示した構成よりなり、第24類「おもちゃ、人形、娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く。)レコード、これらの部品及び附属品」を指定商品として、平成7年11月30日に設定登録されたものである。同じく、登録第2527710号商標(以下「引用商標3」という。)は、平成2年1月26日に登録出願、別掲(4)に表示した構成よりなり、第24類「おもちゃ、人形、娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)レコード、これらの部品及び附属品」を指定商品として、平成5年4月28日に設定登録されたものである。同じく、登録第2447729号商標(以下「引用商標4」という。)は、平成1年8月3日に登録出願、「トイザラス」の片仮名文字を横書きしてなり、第24類「おもちゃ、人形、娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機、レコード、これらの部品及び附属品」を指定商品として、平成4年8月31日に設定登録、平成14年8月20日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。同じく、登録第2504369号商標(以下「引用商標5」という。)は、平成1年10月11日に登録出願、別掲(5)に表示した構成よりなり、第24類「おもちゃ、人形、娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機、レコード、これらの部品及び附属品」を指定商品として、平成5年2月26日に設定登録されたものである。同じく、登録第2392767号商標(以下「引用商標6」という。)は、平成1年8月3日に登録出願、「キッザラス」の片仮名文字を横書きしてなり、第24類「おもちゃ、人形、娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機、レコード、これらの部品及び附属品」を指定商品として、平成4年3月31日に設定登録、平成14年4月9日に商標権存続期間の更新登録がされ、その後、指定商品を第28類「おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,釣り具」とする指定商品の書換登録が、平成14年8月28日になされたものである。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第125号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
指定商品については、引用商標1ないし6は、いずれも「楽器」を包含するため、本件商標の「ギター及びその弦」との間に何ら相違点はない。
引用商標1ないし引用商標5は、いずれも「トイザラス」の称呼を生ずるところ、「TOY」、「TOYS」あるいは「トイ」の部分は、指定商品「おもちゃ」を表わす普通名称であるから、識別力のある部分として「”R”US」、「S”R”US」あるいは「ザラス」の部分が抽出され、「ザラス」又は「アラス」の称呼が生じる。また、引用商標6は英文商標「KIDS”R”US」に由来するものであり、「KID」の部分は子供を意味する語であるから、識別力のある「”R”US」、「S”R”US」あるいは「ザラス」の部分が抽出される商標である。
これに対し、本件商標は、「guitars・R・US」及び「ギターザラス」の構成よりなるところ、前半の「guitar」、「guitars」あるいは「ギター」の部分は本件商標の指定商品「ギター」の普通名称であるから、識別力のある「・R・US」、「S・R・US」あるいは「ザラス」の部分が抽出される。
したがって、本件商標及び引用各商標は、「ザラス」あるいは「アラス」の称呼を生じるから、両者は類似する。
また、本件商標の上段部分「guitars・R・US」は、前記「ザラス」あるいは「アラス」の称呼を生じる後半部分の「・R・US」の構成態様と引用商標1ないし引用商標3等の「”R”US」の構成態様とは酷似したものである。この点にかんがみれば、外観及び観念上も類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)「TOYS”R”US」及び「トイザラス」が創造商標であり、シリーズ商標と共に展開されている点について
「TOYS”R”US」は、「Toys are us」に由来する造語である(甲第15号証)。また、「TOYS”R”US」の語源が会長ラザラスの名前と「トイズ・アー・アス(がん具は我々みんなの物)との創造的な造語である(甲第19号証及び甲第45号証)。
したがって、「TOYS”R”US」及びそれに対応する「トイザらス」は創造商標の典型といって過言ではない。
「Kids”R”US」又は「キッザラス」は、1983年ころから主として子供服部門のブランドとして米国で使用しており、その使用を継続している(甲第16号証ないし甲第18号証、甲第22号証及び甲第28号証)。
「Babies”R”US」及び「ベビーザらス」は、ベビー用品部門のブランドとして米国及び我が国などにおいて、使用されている(甲第26号証、甲第28号証、甲第36号証及び甲第41号証)。
「TOYS”R”US」及び「トイザらス」は、請求人の関連会社「トイザラス,インコーポレイテッド」(以下「トイザラス社」という。)や日本法人「日本トイザらス株式会社」(以下「日本トイザらス」という。)などの会社名としても使用されており、通常、店舗の入り口に大きく表示され、ハウスマークとして使用されている。
「Kids”R”US」及び「キッザラス」は子供服部門に表示され、「Babies”R”US」及び「ベビーザらス」は店舗内のベビー用品部門に表示され、「TOYS”R”US」及び「トイザらス」とともに使用されることが多い。これは、広告でも同様で、例えば、新聞広告では、「TOYS”R”US」と一緒に「Babies”R”US」及び「ベビーザらス」が表示されており(甲第36号証)、「Babies”R”US」及び「ベビーザらス」が「トイザらス」店舗の地図と一緒に表示されている(甲第41号証)。
このように、「TOYS”R”US」及び「トイザらス」のハウスマークの下に、「Kids”R”US」、「キッザラス」、「Babies”R”US」及び「ベビーザらス」が展開されている以上、「XXX”R”US」又は「XXX ザらス」(XXXは識別力の弱い部分)なる商標を需要者が見れば、商標の識別力ある部分として「”R”US」、「S”R”US」あるいは「ザらス」の部分に着目し、「”R”US」、「S”R”US」あるいは「ザラス」の部分においてあるグループ企業を連想することは明らかである。
(2)商品間の関連性
TOYS“R”USの店舗では、あらゆる種類のがん具の他、録音済みカセットテープ、音楽ビデオ、被服、子供家具、コンピュータ、自転車、プール、雑貨の他、使い捨ておむつ、ベビーオイル、靴、アクセサリー等が販売されている(甲第98号証)。
これに対し、本件商標の指定商品「ギター及びその弦」と、トイザラス社の主力商品であるがん具とを対比した場合、ギターなどの楽器は、子供用にがん具化されている商品である。ちなみに、橿原店オープニングパンフレットには「おしえてキーボード」の商品写真が示されている(甲第98号証)。また、旧来から、ギター、ウクレレ、ピアノ、ラッパなどは、がん具化されて販売されているのが実状であり、そのようながん具化された楽器も、実際、「TOYS”R”US」及び「トイザらス」の店舗で多数販売されている。
したがって、ギターとがん具は、極めて混同を生じやすい商品関係にある。
(3)出所混同のおそれ
「TOYS”R”US」、「トイザラス」の商標は世界的に周知・著名である。
また、「TOYS”R”US」、「トイザらス」は創造商標の典型であり、「”R”US」または「ザらス」の部分が特徴的で識別力の大きく発揮される部分である。しかも、がん具から子供服、ベビー用品、さらには、生活用品一般へ向けての事業規模の拡大に伴い、ハウスマークとしての「TOYS”R”US」、「トイザラス」に加え、「Kids”R”US」、「キッザラス」、「Babies”R”US」及び「ベビーザらス」などのシリーズ商標も展開している。これらのシリーズ商標は、特徴的な「”R”US」または「ザらス」の部分で共通する。
したがって、請求人の商標「TOYS”R”US」、「トイザラス」、「トイザ”ら”ス」、「キッザラス」及び、「ザラス」又は「”R”US」若しくは「S”R”US」の部分の著名性の認定に何ら不足はない。
また、ギターなどの楽器は、旧来からがん具化された商品が提供されており、互いに密接な関係を備えているものであり、需要者において共通する。 このような状況下で、本件商標が、その指定商品「ギター及びその弦」に使用された場合、需要者は、その「・R・us」または「ザラス」の部分から、請求人の「TOYS“R”US」及び「トイザらス」のグループに属する関係にある営業主の業務に係る「ギター及びその弦」が販売されていると誤信するおそれがある。
したがって、本件商標の登録は商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものである。
3 商標法第4条第1項第19号について
請求人は、「トイザラス」、「TOYS”R”US」の他に、「キッザラス」、「KIDS”R”US」や「ベビーザらス」、「BABIES”R”US」といった「ザラス」及び「“R”US」又は「S”R”US」を語尾に備えた商標を展開し著名である。
これと同様の語尾に「”R”US」を備えた本件商標を採用しようとすることは、請求人の商標に蓄積された信用にただ乗りしようとすることは明らかである。
特に、本件商標「guitars・R・US」は、「guitars」と「R」と「US」の語を「・」で区切り、「・R・US」の部分を目立たせて構成されており、請求人の商標「TOYS”R”US」と同じ態様で表示している。
このように、同じ態様で「・R・US」を表示する行為は、意図的に請求人の商標「TOYS“R”US」との関連性を需要者に暗示しようとするものであり、不正の目的をもって商標を使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
4 商標法第4条第1項第10号について
請求人は、「トイザらス」、「TOYS”R”US」の他に、「キッザラス」、「KIDS”R”US」や「ベビーザらス」、「BABIES”R”US」といった「ザらス」及び「”R”US」又は「S”R”US」を語尾に備えた商標を展開しており、これら商標が周知・著名である。
これらの商標は、本件商標の指定商品「ギター及びその弦」に極めて近接した商品に使用されている。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
5 商標法第4条第1項第8号について
「トイザらス/TOYS”R”US」は、請求人の関連会社トイザラス社及び日本トイザらスの名称であり、「トイザらス/TOYS”R”US」が著名である。
また、「”R”US」や「S”R”US」の語尾は識別力の強い部分であり、シリーズ商標としても展開されいる。
したがって、「”R”US」や「S”R”US」の部分は、トイザラス社及び日本トイザらスの名称の著名な要部であり、略称と言っても過言ではないところ、この語尾を含む本件商標は、請求人の承諾なしに出願されたものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものである。
6 答弁に対する弁駁
(1)被請求人の主張は、異議決定(乙第1号証)に依拠して、本件商標登録に瑕疵はないというものにすぎない。
しかしながら、異議申立てと無効審判とは制度趣旨が異なり、また、異議決定時と現在とでは、判例や審査基準も変更されているので、本件無効審判の結論が、異議決定(乙第1号証)に拘束される必要はない。
(2)「TOYS”R”US」、「トイザらス」と企業の多角経営化及びシリーズ商標化の関係
実際の市場において、多くの企業は、自社の製品を自社の店舗で販売すると同時に、他の小売店でも販売させているのが実情である。
このような販売形態に、近年の需要者はいくらでも接しているのであるから、「トイザらス」の商標を冠していない店舗で本件商標の付された商品が販売されていた場合、「TOYS”R”US」や「トイザらス」と何らかの関連性のある商品と誤認することは明らかである。このことは、「TOYS”R”US」や「トイザらス」が、「Kids”R”US」、「キッザらス」、「Babies”R”US」、「ベビーザらス」などのシリーズ商標として展開されている事実にかんがみれば、なおさらである。
また、出所混同の可能性を判断する際「TOYS”R”US」や「トイザらス」がハウスマークである点と、これが「Kids”R”US」、「キッザらス」、「Babies”R”US」、「ベビーザらス」などのシリーズ商標と共に展開されている点は、出所の混同の蓋然性が高まるプラス要因である。
(3)本件商標の指定商品「ギター及びその弦」との関係
がん具と楽器の関係は、需要者を共通とする相互に近接した分野である。そして、本件商標出願前に、既に、「TOYS”R”US」または「トイザらス」は、楽器系の商品についても使用され、周知著名であったことは明らかである。したがって、楽器について本件商標が使用された場合、需要者は、当該楽器が「TOYS”R”US」または「トイザらス」と一定の関係にある者の業務に係るものと混同するおそれがある。
(4)商標登録「”Я”US」、「S”Я”US」の「Я」について
「TOYS”Я”US」の商標における「Я」は、「R」の逆さ文字として認識されているものであり、「TOYS”Я”US」と記載しても、「TOYS”R”US」と記載しても、「トイザラス」の称呼には何の相違も生じることがなく、相互に出所が異なると認識されるものではない。
実際、新聞記事などで報道される場合は、略式に「TOYS”R”US」や「トイザらス」と表示されることも多く、「TOYS”Я”US」と出所を異にすると認識されることはない。重要なことは、「TOYS”Я”US」であれ、「TOYS”R”US」であれ、「トイザらス」であれ、中間の「R」や「ら」が、「”Я”」、「”R”」、平仮名の「ら」として、他の部分から分断されて強調されているかどうかである。
なお、本件商標も「R」の文字が他の文字から分断されているので、「TOYS”R”US」や「トイザらス」と同様の構成態様を有しており、このことからも、需要者が出所の混同を生じやすい。
(5)諸外国の判決例や審決例について
諸外国での判決例や審決例は、本件において、充分に勘案されるべきである。
(6)その他の被請求人の主張について
「TOYS”Я”US」、「TOYS”R”US」なる商標の視覚上の特徴は、中間の「R」が、「”Я”」(逆さ文字+クオーテーションマーク付き)または「”R”」(クオーテーションマーク付き)などの方法で、前半部「TOYS」と、後半部「US」から分断されて強調されている点である。
この分断の態様は、本件商標においても同様である。
しかも、両商標ともに、前半部が「TOYS」あるいは「guitars」であり、商品の普通名称である点でも一致する。
したがって、両商標は、分断の態様において一致するのみならず、識別力を有する「”R”US」及び「・R・US」において、構成態様を同じくすることは明らかである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証を提出した。
1 本件商標は平成7年7月7日に登録出願(商願平7-69171号)され、審査を受けた結果、登録となったものであり、その後、異議(異議平9-90740号)が申し立てられたものの、本件商標を取り消すべき理由及び証拠は発見されず、登録を維持する旨の結論の決定を受けたものである(乙第1号証)。
そして、異議申立事件の申立人であった「ジェフェリー、インコーボレイテッド」は本件審判の請求人と同一であり、また、異議申立事件において引用された引用商標1ないし引用商標6は、本件審判の引用商標1ないし引用商標6と同一の商標である。
2 商標法第4条第1項第11号について
引用商標1ないし引用商標6は、前記した異議申立事件において、「引用各商標は、視覚上一体的に看取し得るものである。」と認定され、請求人の主張及び結論については、『本件商標より「ザラス」の称呼を生ずるということはできないから、本件商標より「S.R・US」「ザラス」の各文字部分を抽出し該文字部分に相応して「ザラス」の称呼を生ずるとした上で、本件商標が引用各商標と類似する旨述べる申立人の主張は妥当でなく、採用できない。その他、本件商標と引用各商標とを類似のものとすべき事由は見いだせない。』と判断されたものである。
すなわち、請求人の主張は、異議申立事件における主張と何ら変わることがなく、また、その主張の証拠となる引用各商標も異議申立事件と同一のものであるから、異議申立事件における判断のとおりである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
3 商標法第4条第1項第15号について
請求人が、1991年の日本進出時から、現在に至るまで、「TOYS”R”US」、「トイザらス」なる商標が、世界最大の規模で使用し続けられている事実は、あくまでおもちゃ(がん具)を中心とする商品分野に限定されていることは明らかである。
「TOYS”R”US」及び「トイザらス」は創造標章であり、ハウスマークであって不可分一体の商標であることは認める。
しかしながら、「TOYS”R”US」及び「トイザらス」が多角経営化の中で「Kids”R”US」、「キッザらス」、「Babies”R”US」、「ベピーザらス」などのシリーズ商標と共に展開されている点や商品の関連性、出所混同のおそれについての主張には事実誤認があり、失当である。
すなわち、「Kids”R”US」、「キッザらス」、「Babies”R”US」、「ベビーザらス」などのシリーズ商標を付した商品(子供服やベビー服)は、あくまで「トイザらス」のハウスマークを冠した店舗における子供服部門あるいはベビー服部門に流通され、また、当該部門においてのみ、つまり「トイザらス」のハウスマークを冠した店舗においてのみ、かかる商標を付した商品(子供服やベビー服)が需要者に販売されている。
したがって、トイザラス社から「Kids”R”US」、「キッザらス」、「Babies”R”US」、「ベビーザらス」などのシリーズ商標を付した商品が、トイザラス社と無関係の他のがん具ショップに流通、販売され、このがん具ショップから当該商品が販売されるという事実はまったくなく、また、この点は、取引者、需要者間においても広く認識されており、その結果、取引界において、出所の混同の余地はなく、また、出所の混同の生じようがないのであり、ましてや「ギターやギターの弦」等を販売している楽器店において、かかる商標を付した商品が販売されることはなく、その事実も皆無である。
さらに、「TOYS”R”US」なる商標がおもちゃの分野で著名であるが故に、「Kids”R”US」、「キッザらス」、「Babies”R”US」、「ベピーザらス」などのシリーズ商標を付した商品を求める需要者は、「トイザらス」のハウスマークを冠した店舗でのみ、初めてかかる商品を購入し得ると考えるのであり、決してトイザラス社と無関係の他の店名のがん具ショップにおいてかかる商品が販売されているとは考えない。
まして、おもちゃやがん具などを販売しない楽器店においてかかる商品が販売されてはいない。
つまり、「guitars・R・US」の商標を付した商品が「トイザらス」のハウスマークを冠した店舗以外の他の店名のがん具ショップや楽器店において販売されたとしても、需要者がかかる商品について、トイザラス社の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるはずがない。
このことは、「トイザらス」に関する商標を付した商品が「トイザらス」のハウスマークを冠した店舗のみにおいて大々的な広告と共に販売されており(甲第99号証及び甲第100号証)、かかる商標がおもちゃの分野において著名になっているからこその顕著な事実であり、その結果、「guitars・R・US」の商標を付した商品が「トイザらス」のハウスマークを冠した店舗以外の他の店名のがん具ショップや楽器店において販売されたとしても、需要者をしてかかる商品についてトイザラス社の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるはずがない。
したがって、「ギター及びその弦」を指定商品とする本件商標が、トイザラス社の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標に成り得るはずがないことは明らかであり、また、出所の混同が生じるはずはない。
また、おもちゃの分野において著名になっている「TOYS”R”US」や「トイザらス」等の商標は、あくまで、「と・い・ざ・ら・す」という名称全体として不可分一体に看取し得るものであり、「S”R”US」、「”R”US」あるいは「ザラス」等の部分が単独に請求人の業務に係る商品等を表示するものとして、あるいは同人の名称の略称として、取引者、需要者間に広く認識されたものでないのである。
すなわち、「TOYS”R”US」や「トイザらス」等の商標は、あくまで、「と.い・ざ・ら・す」という名称全体として不可分一体に看取し得るものである。
したがって、これを商品(役務)に付した場合、需要者はトイザラス社と何らかの関係を有する商品(役務)と認識するはずがない。
このことは、係る拒絶理由通知において、『「”Я”」の文字を要部として、「Toys”Я”US」(トイザラス)と呼ばれ米国内及び世界各地に店舗を持つ小売店として良く知られているものである』、と明記していることからも明らかである。
したがって、この審査例に従えば、逆さ文字「Я」をその構成中に備えない本件商標「guitars・R・US/ギターザラス」が何らかの商品(役務)に付された場合にあっても、需要者はトイザラス社と何らかの関係を有する商品(役務)と誤認するはずはないことが明らかである。
したがって、この審査例は、本件商標が商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものでないことを示す証左である。
また、諸外国の判決例や審決例は、我が国の判決や審決において何らの影響を与えないことは当然であり、諸外国における判決例や審決例は、前記異議申立事件において提出された証拠とほぼ同一であり、しかも当該異議申立事件において全く問題となる証左とは成り得なかったものであり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
4 商標法第4条第1項第19号について
おもちゃの分野において著名になっている「TOYS”R”US」や「トイザらス」等の商標は、あくまで、「と・い・ざ・ら・す」という名称全体として不可分一体に看取し得るものであり、「S”R”US」、「”R”US」あるいは「ザラス」等の部分が単独に請求人の業務に係る商品等を表示するものとしてあるいは同人の名称の略称として、取引者、需要者間に広く認識されたものではない。
すなわち、「TOYS“R”US」や「トイザらス」等の商標は、「と・い・ざ・ら・す」なる不可分一体の称呼及び「TOYS”R”US」や「トイザらス」なる不可分一体の外観を有する一連の商標として、取引者、需要者間に広く認識されたものなのである。
一方、本件商標も視覚上一体のものとして看取し得るものであり、これより生ずる「ぎ・た一・ざ・ら・す」の称呼も格別冗長といえるものでもなく、また、構成中の「S.R.US」なる部分が格別に強調されたものではないから、むしろ全体として不可分一体の造語を表してなるものと認識することができる。
したがって、「ぎ・たー・ざ・ら・す」なる不可分一体の称呼及び「guitars・R・US/ギターザラス」なる不可分一体の外観を有する本件商標をもって、「と・い・ざ・ら・す」なる不可分一体の称呼及び「TOYS”R”US」なる不可分一体の外観を有する商標等を直ちに想起することはできないものである。
このことは、異議申立事件において、「本件商標は他人の著名な略称を含むものでなく、又、引用各商標を直ちに想起し得るものともいえないから、本件商標が不正の目的を持って使用するものということもできない。」と判断されていることからも明らかである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。
5 商標法第4条第1項第10号について
「TOYS”R”US」や「トイザらス」等の商標は、「と・い・ざ・ら・す」なる不可分一体の称呼及び「TOYS ”R”US」や「トイザらス」なる不可分一体の外観を有する一連の商標として、取引者、需要者間に広く認識されたものであることは明白である。
また、本件商標も視覚上不可分一体のものとして看取し得るものであり、これより生ずる「ぎ・たー・ざ・ら・す」の称呼も格別冗長といえるものでもなく、又、構成中の「S・R・US」なる部分が格別に強調されたものではないから、むしろ全体として不可分一体かつ一連の造語を表してなるものと認識すべきである。
したがって、「ぎ・たー・ざ・ら・す」なる不可分一体かつ一連の称呼及び「guitars・R・US/ギターザラス」なる不可分一体かつ一連の外観を有する本件商標をもって、「と・い・ざ・ら・す」なる不可分一体かつ一連の称呼及び「TOYS ”R”US」なる不可分一体かつ一連の外観を有する商標等を直ちに想起しうるものとすることはできないのであり、「guitars.R.US/ギターザラス」なる本件商標が、トイザラス社の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標「TOYS”R”US」等に類似する商標でない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものではない。
6 商標法第4条第1項第8号について
おもちゃの分野において著名になっている「TOYS”R”US」や「トイザらス」等の商標は、あくまで、「と・い・ざ・ら・す」という名称全体として不可分一体に看取し得るものであり、「S”R”US」、「”R”US」あるいは「ザラス」等の部分が単独に請求人の業務に係る商品等を表示するものとして、あるいは同人の名称の略称として、取引者、需要者間に広く認識されたものではないことは明白であり、また、「S”R”US」、「”R”US」あるいは「ザラス」等の部分が単独に請求人の業務に係る商品等を表示するものとしてあるいは同人の名称の略称として、取引者、需要者間に広く認識されているとの点は請求人が提出している各種証拠のいずれをしても全く確認できないだけでなく、そのような事実はまったくない。
すなわち、請求人の業務に係る商品等を表示するものとして、あるいは同人の名称の略称として、取引者、需要者間に広く認識されているのは、あくまで、「と・い・ざ・ら・す」という名称全体若しくは、「TOYS ”R”US」や「トイザらス」等の外観全体なのである。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第8号に該当するものではない。

第4 当審の判断
請求人の提出した甲第15号証ないし甲第50号証及び甲第98号証によれば、次の事実が認められる。
(1)トイザラス社は、米国ニュージャージー州を本拠とする法人であり、請求人は、その関連会社であって、トイザラス社の商標「TOYS”R”US」及び「KID”R”US」を管理する立場にあること。
(2)トイザラス社は、米国最大手のがん具小売り業者であり、米国を初め世界各地で別掲(4)に示す引用商標3と同一といえる態様の「TOYS”R”US」のマーク(構成中のRの文字は鏡文字。)を掲げた主としてがん具を販売する大規模チェーン店を展開し、その店舗数は、1999年(平成11年)において、米国内約700店舗、米国外441店舗でそのうち日本は51店舗であったこと。
(3)日本では1991年(平成3年)に茨城県で1号店がオープンしたこと。
(4)トイザラス社が、日本に進出するに際しては、大規模小売店舗法による出店規制の緩和との関係などから注目され、日本の新聞紙上で報道されたこと。
(5)本件商標の登録出願前に、トイザラス社は、「世界最大のがん具専門店チェーン」などとして少なくとも9回以上日本の新聞紙上で報道されたこと。
(6)トイザラス社は、上記「TOYS”R”US」のマークを1960年頃から使用しており、日本においては、第1号店開店以来、このマークを使用するとともに「トイザらス」の文字よりなる商標を使用してきたこと。
そして、これらの事実からすると、トイザラス社が使用の上記「TOYS”R”US」のマーク、また、このマークに対応する日本語表記のマークともいうべき「トイザらス」の文字よりなる商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、日本国内において既に著名となっていたものと認めることができる。
また、上記「TOYS”R”US」のマーク及び「トイザらス」の文字よりなる商標は、トイザラス社が販売するがん具との関係で著名となった経緯及び「TOY」及び「トイ」が、「がん具、おもちゃ」の意の平易な英語とその外来語であることからすると、一連に表されている構成態様のものであるが、その構成中の「TOY(S)」また「トイ」の文字部分より「がん具、おもちゃ」の意を想起する場合が多いものと認められる。そして、上記「TOYS”R”US」のマークは、鏡文字で表した「R」の文字のみにクオーテーションマークが付されているという特異な構成態様のものである。
これに対して、本件商標は、別掲(1)のとおり「guitars・R・US」及び「ギターザラス」の文字を上下二段に表してなるところ、その構成中の「guitar(s)」「ギター」の文字部分からは楽器のギターが想起される。そして、その構成中の上段の欧文字のうち「s・R・US」の文字部分が「ザラス」と読むべきものであることは、下段に表されている「ギターザラス」の片仮名文字との対応から明らかであり、上記「TOYS”R”US」のマークの「S”R”US」の文字部分が「ザラス」と読まれていることと共通する。なお、「TOYS”R”US」のマーク中の「S”R”US」の文字部分が「ザラス」と読まれていることは、上記「TOYS”R”US」のマークを使用するトイザラス社が、我が国において新聞紙上で「トイザラス」の略称をもって紹介されており、かつ、日本語表記のマークともいうべき「トイザらス」の文字よりなる商標をも使用している事実からして、おのずと明らかといえる。
また、本件商標は、その構成中の「R」の文字の前後にのみ中黒が表されている点において、鏡文字で表した「R」の文字のみにクオーテーションマークが付されている特異な構成態様の上記「TOYS”R”US」のマークと共通性があり、かつ、本件商標中の「s・R・US」の文字部分と上記「TOYS”R”US」のマーク中の「S”R”US」の文字部分はその綴りが一致している。
そして、トイザラス社は、上記「TOYS”R”US」のマークを使用した店舗で主としてがん具を販売しているところ、がん具と本件商標の指定商品である「ギター及びその弦」との関係は、趣味、娯楽のために購入する需要者が一般的であって、使用目的、需要者が共通する場合があり、まったく分野の異なる商品とはいえない。
以上のようにみてくると、本件商標をその指定商品である「ギター及びその弦」について使用した場合、需要者において、世界各地で大規模ながん具のチェーン店舗を展開しているトイザラス社又は同社と関係を有するする者が、がん具について使用して著名となっている上記「TOYS”R”US」のマークの「TOYS」の部分を商品「ギター」を想起する「guitars」に変えて使用しているものと理解し、その商品がトイザラス社又は同社と関係する者の取扱いに係る商品であるかのごとく出所を混同するおそれが、本件商標の登録出願時及び登録査定時においてあったものと判断するのが相当である。
ところで、被請求人は、「TOYS”R”US」や「トイザらス」の商標は、あくまで、「と・い・ざ・ら・す」という名称全体として不可分一体に看取し得る旨、また、本件商標も視覚上一体のものとして看取し得るものであり、不可分一体の造語を表してなるものと認識する旨主張しており、その限りにおいて首肯できるものである。
しかし、そのように看取、認識することをもって、上記認定の出所混同のおそれについての判断は左右されるものでない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものであるから、商標法第46条第1項の規定により無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (1)本件商標

(2)引用商標1

(3)引用商標2

(4)引用商標3

(色彩については原本を参照されたい。)
(5)引用商標5

審理終結日 2003-03-07 
結審通知日 2003-03-12 
審決日 2003-03-26 
出願番号 商願平7-69171 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (015)
最終処分 成立 
前審関与審査官 須藤 祀久 
特許庁審判長 上村 勉
特許庁審判官 鈴木 新五
小池 隆
登録日 1997-08-08 
登録番号 商標登録第4039911号(T4039911) 
商標の称呼 ギターザラス、ギターズラス 
代理人 澤 喜代治 
代理人 井出 正威 
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