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審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Z09
審判 一部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Z09
審判 一部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Z09
管理番号 1075521 
異議申立番号 異議1999-91579 
総通号数 41 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2003-05-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-12-01 
確定日 2003-03-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第4305704号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4305704号商標の指定商品中「電子応用機械器具」についての商標登録を取り消す。 その余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4305704号商標(以下「本件商標」という。)は、平成9年7月11日に登録出願され、別掲のとおりの構成よりなり、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,回転変流機,調相機,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,自動販売機,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,家庭用テレビゲームおもちゃ,電気溶接装置,電動式扉自動開閉装置,電子スチルカメラ」を指定商品として、同11年8月13日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立の理由
(1)引用商標
異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第4222770号商標(以下「引用商標」という。)は、「BGA」の文字を横書きしてなり、平成8年7月1日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同10年12月18日に設定登録されているものである。
(2)商標法第4条第1項第11号の該当性について
本件商標は、「D2BGA」(「D2」の「2」はDの右肩部分に小さく表示されている。以下本件決定において同じ。)の欧文字を書してしてなるものであるところ、半導体パッケージの分野においてD2の部分は、ダイサイズと同等の超小型を意味する「Die Dimension」の略称として普通に用いられている。このことは甲第5号証ないし甲第8号証において、半導体各社が小型のパッケージを「D2PAK」(「D2」の「2」はDの右肩部分に小さく表示されている。)または「DDPAK」と称していることからも明らかである。本件商標は、その構成中「D2」に部分は識別力を有しないので、識別力を有する「BGA」の部分から「ビージ一エイ」の称呼をも生ずる。これに対し、引用商標は、その構成文字に相応して「ビージ一エイ」の称呼を生ずる。
したがって、両商標は「ビージーエイ」の称呼を共通にする類似の商標であり、その指定商品も同一または類似のものであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものである。
(3)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
商標権者は、別件の商標登録異議申立事件(甲第9号証)において、「BGA」なる語が商標法第3条1項第3号または同法第4条第1項第16号に該当する旨の主張をしている。そうとすれば、「D2」の部分は半導体分野においては識別性を有しないものであり、また、そもそも欧文字1文字と数字1字からなる「D2」は識別力がないものであるから、本件商標は、その指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」に使用しても商品の品質を表示するに過ぎず、該商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものである。

3 本件商標に対する取消理由
本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、申立人の提出した甲各号証を徴すれば、大規模集積回路(LSI)を取り扱うこの種業界において、「セラミック又はプラスチックのプリント配線基板に半導体チップを搭載、封止し、そのプリント配線基板に外部端子となる金属ボールを格子状に配置したLSI(大規模集積回路)パッケージの一種」を「Ball Grid Array(ボールグリッドアレイ)」或いはこれを「BGA」と略称し、また、上記パッケージの種類、型式等を表すために「TOー220」「TO247.」のほか「DPAK」「D2PAK」「DDPAK」などと称して、表示している事実が認められる。
上記事実に照らすと、本件商標の「D2BGA」の文字を「D2」と「BGA」に分離させて観察した場合、後半部の「BGA」の文字部分は、上記LSIパッケージの一種を表したものと、また、前半部の「D2」の文字部分は、該「BGA」の種類、型式等を類型的に表したものと認識、理解されるものというのが相当である。
そして、「D2BGA」全体からは格別の意味合いを看取し得ない点を併せ考慮すれば、本件商標を「BGA」と称される「大規模集積回路パッケージ」について使用した場合、取引者、需要者は、これを「D2」という種類、型式の「BGAパッケージ」を認識、理解するに止まり、商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。
そうすると、本件商標は、「大規模集積回路パッケージ」については、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であり、上記商品以外の「電子応用機械器具」については、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、その指定商品中「電子応用機械器具」については、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見要旨
本件商標は、ローマ文字で「D2BGA」と同書同大一連不可分で構成されてなり、この構成からは「デーツービージ一エ」、「デースクエアビージ一エ」又は本件商標の商標権者が意味付けをしている「ダイディメンションボールグリッドアレイ」の一連の称呼が生ずるものである。そして、「D2」の「2」部分は、我が国における義務教育のレベルからみても「平方、2乗」等を表すことは一般の取引社会においても容易に理解することができ、しかも英語の「Square」(スクエア)に相当することは世人一般に知られているところであり、「D×D」、「DD」の略であることは説明するまでもなく明らかである。そうであるとすると、「D2BGA」は、「DDBGA」を簡略化して「D2BGA」の構成で表したものとみるのが相当であり、過去の登録例からみても、「デースクエアビージ一エ」の一連の称呼が生ずるものと解することができるのであり、単に「ビージ一エ」のみの称呼が生ずるものではない。
本件商標構成中「BGA」の部分は、「Ball Grid Array(ボールグリッドアレイ)」を意味することは、商標権者も異論を挟むものではない。しかしながら、「TO-220」「T0247.」のほか「DPAK」「D2PAK」「DDPAK」などと称して表示している事実が認められるとの点については容認することができない。
けだし、本件商標が、上記のような「TO-220」「T0247.」「DPAK」「D2PAK」「DDPAK」と同様に使用されている事実が全く存しないからである。
本件商標が、前記のような例で使用されているとすれば、後半部の「BGA」が「PAK」と同様の意味を有するものと解されるが、そもそも「BGA」は技術用語であるから、「PAK」すなわち「パッケージ」のような意味を有するものではなく、ボンディング技術を指称するものとして採択された言葉であって、このような語に前半部の「D2」の部分が結合されるからといって、一般的に「D2」の部分と「BGA」の部分とが分離されて観察されるというものではなく、密接に結合されることによって構成された造語商標と解するのが相当である。
要するに、本件商標は、「PAK(パック)」、すなわち、商品を包み込むような意味で使用されたものではなく、ボンディング技術に関する「BGA」、「Ball Grid Array(ボールグリッドアレイ)」の技術によって形成された商品を間接的に暗示する商標として、商標権者が新たに創作した商標である。
したがって、本件商標は、商品の種類、形式等を類型的に表したものと認識、理解されるものではなく、十分に自他商品識別標識としての適格を有するものである。
なお、本件商標「D2BGA」が商標として使用され、商品「CHIP SIZE PACKAGE」を識別する商標として使用されている商品カタログを提出する。

5 当審の判断
本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、その構成中の「BGA」の文字は、「セラミック又はプラスチックのプリント配線基板に半導体チップを搭載、封止し、そのプリント配線基板に外部端子となる金属ボールを格子状に配置したLSI(大規模集積回路)パッケージの一種」を表す「Ball Grid Array(ボールグリッドアレイ)」の略称を表すものであり、この点については、商標権者も争っていない。
そして、「D2」の部分については、申立人の提出に係る甲第5号証(1998年8月付けのテキサスインスツルメント社のホームページ)には、「表面実装パワー・パッケージPowerFLEX」の商品説明中に「PowerFLEXパッケージはDPAKやD2PAKよりも小型で薄くなっているにもかかわらず、・・・」と説明されており、甲第6号証(アイアール・ファーイースト社のホームページ)には、「無停電電源装置や自動車オーディオアンプ向けの60VパワーMOSFETシリーズも発表しました。・・・当製品はTO-220、Fullpak、D2pakなどのパッケージがあり・・・(平成10年10月19日)」と商品の紹介がされており、又「より小型でパワフルなモータドライブ向けIGBTシリーズを発売。・・・業界標準のTO-220、TO-247、Super-247などのパッケージの他、表面実装型のD-PAK、D2PAKなども用意されています(平成10年11月12日)」と記載されており、更に、甲第7号証(モトローラ社のRectifierのカタログ)にも、パッケージの種類の一つとして「D2Pak」が記載されており、甲第8号証(日本バー・ブラウン社のホームページ)には「800mA、1A低ドロップアウト正出力レギュレータREG1117にDDPAK表面実装のREG1117FAを追加しました。・・このパッケージは、小型でしかも熱抵抗が低く、・・・(平成9年12月)」と記載されている事実を認めることができる。
上記事実に照らしてみれば、「D2」の文字は、半導体パッケージの分野においては、「DD」の文字等とともに、半導体パッケージの種類、型式等を表すものとして、普通に使用されているものということができる。
この点について、商標権者は、本件商標が「DPAK」「D2PAK」「DDPAK」等と同様に使用されている事実は全く存在しない旨主張している。
しかして、本件商標中の「D2」の文字部分がパッケージの種類、型式等を表すために、同じ半導体パッケージの分野において、「DPAK」「D2PAK」「DDPAK」等のように使用されている用例があること前記のとおりであるから、商標権者のこの点についての主張は、採用できない。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品中「セラミック又はプラスチックのプリント配線基板に半導体チップを搭載、封止し、そのプリント配線基板に、外部端子となる金属ボールを格子状に配置したLSI(大規模集積回路)パッケージ」について使用しても、取引者、需要者は、これを「D2」という種類、型式等の「BGAパッケージ」を認識、理解するに止まり、何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であり、上記商品以外の「電子応用機械器具」について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
しかしながら、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての登録は、「D2BGA」の文字が商品の品質等を表すものであるとする証拠はないから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものとはいえず、また、「D2」の文字部分が商品の種類、型式等を表すものであるとする証拠もないから、本件商標はその構成全体をもって一連一体の造語よりなる商標とみるのが相当であり、その称呼も「ディーツービージーエイ」あるいは「デイデイビージーエイ」の称呼を生ずるものというべきであるから、引用商標とは類似するものではなく、同法第4条第1項第11号に違反してされたものとも認められない。
したがって、本件商標の指定商品中「電子応用機械器具」についての登録は、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたと認められるから、同法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものであり、本件商標の指定商品中「電子応用機械器具」以外の指定商品についての登録は、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 本件商標

異議決定日 2003-01-16 
出願番号 商願平9-137312 
審決分類 T 1 652・ 272- ZC (Z09)
T 1 652・ 262- ZC (Z09)
T 1 652・ 16- ZC (Z09)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 吉田 静子保坂 金彦 
特許庁審判長 田辺 秀三
特許庁審判官 小林 薫
岩崎 良子
登録日 1999-08-13 
登録番号 商標登録第4305704号(T4305704) 
権利者 日本電気株式会社
商標の称呼 デイニビイジイエイ、デイツービイジイエイ、ビイジイエイ 
代理人 大貫 進介 
代理人 河合 信明 
代理人 藤村 直樹 
代理人 本城 雅則 

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