• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効200589039 審決 商標
無効200589076 審決 商標
無効200489106 審決 商標
無効200589025 審決 商標
取消200130013 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 104
管理番号 1073723 
審判番号 取消2002-30178 
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-04-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2002-02-19 
確定日 2003-03-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第2591515号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2591515号商標の指定商品中「せっけん類(薬剤に属するものを除く)及びその類似商品」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2591515号商標(以下「本件商標」という。)は、「リストア」の片仮名文字を横書きしてなり、平成3年12月13日登録出願、第4類「せつけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、同5年10月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。なお、本件商標の権利者は、日本バイタミン株式会社であったが、その後ネイチャーケア・ジャパン株式会社へ移転され、その登録が平成12年12月8日になされた。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第一号証を提出した。
1.請求の理由
本件商標は、商標権者あるいは使用権者によって継続して3年以上日本国内において、「せっけん類(薬剤に属するものを除く)」について使用された事実がないので取り消されるべきである。
2.答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、乙第1号証に示されている商品「クレンジングローション」について使用していると主張する。
特許庁商標課編「類似商品・役務審査基準」によると、「スキンローション」あるいは「ハンドローション」は小分類「2.化粧水」に属するとされ、又「クレンジングクリーム」は「3.クリーム」に属するとされ、何れも化粧品(04C0l)に属するとされている。
「クレンジングローション」の品名の例示はないが、その性質上当然化粧品(04C0l)に属するものである。
(2)被請求人は、乙第2号証を提出し、本件商標は、平成5年10月29日より当該商品について、不使用であったが、平成12年12月8日に現権利者に移転され、本件不使用による取消審判の予告登録日、平成14年3月13日までの間には1年3カ月程しか経過していないから、商標法第50条に定める不使用期間を経過していないと主張している。
しかしながら、商標法第50条の立法趣旨、すなわち、膨大な数の不使用商標を削減するという目的ら見てかかる主張は受入れ難い。
本件商標は、審判請求の予告登録日より過去3年にわたって関係商品について全く使用されていなかったことは完全に明白な事実である。これについては被請求人も自認しているところである。
(3)被請求人は、「化粧せっけん」について将来使用の意思があるので、商標法第50条第2項ただし書による「不使用の正当な理由」と主張する。
しかしながら、従来容認されている「正当な理由」とは、官庁等に販売許可承認の申請後、承認待ちの期間等が認められているのみであって、単に使用の意思があるのみでは正当な理由とはいえない。まして被請求人はこれについての証拠の提出を拒否しているにおいては、当然正当の理由に該当しない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は、成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
1.本件商標は、被請求人により「化粧品」及び「せっけん類」について使用されている(乙第1号証;被請求人発行に係る2001年12月現在の全製品カタログ「Natur Care」)。すなわち、乙第1号証には、本件商標が、スキンケア製品の一つである「クレンジングローション」に使用されていることが示されている。このクレンジングローションが、洗顔のための弱酸性のクレンザー、すなわち「洗顔料」であることも明記されており、このことから、この製品が「せっけん類」に属することは明らかである。
被請求人においても、上記「クレンジングローション」を、その名称が意味するところや、「クレンザー」あるいは「洗顔料」といった説明書きが示すとおり、化粧品等を洗い落とすための「化粧せっけん」の一種として位置付け、商品の販売戦略を立てているのである。
したがって、本件商標は、それが被請求人により「せっけん類」について使用されていることは明らかであり、商標法第50条第1項の規定に該当するものではない。
2.仮に、上記「クレンジングローション」が「化粧品」に属するとしても、本件商標は、「せっけん類(薬剤に属するものを除く)」について、商標法第50条第1項に規定する「継続して3年以上日本国内において被請求人が本件登録商標を使用していない」という要件に該当するものではない。
すなわち、商標法第50条第1項には、「継続して三年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて、審判を請求することができる。」旨が定められているが、この規定は「商標権者、専用使用権者又は通常使用権者」を主語として不使用の要件を定めているものであり、この場合の「商標権者、専用使用権者又は通常使用権者」は、現在の商標権者等を指すものと解するのが自然であるから、商標権の譲渡があった場合、前商標権者が登録商標を3年以上継続して使用していなかったからといって、その不使用であった期間を譲受人の不使用の期間に算入すると、譲受人がその登録商標を使用して業務上の信用を得ようとしても、実質的に使用の準備をする期間すら無く取り消されることになり、譲受人にきわめて酷であるばかりでなく、商標権者の未必的可能性として存在する業務上の信用をも保護するというわが国商標法の趣旨にも反することになる。したがって、商標権の譲渡人である前商標権者の不使用期間は算入されないと解するのが自然であり、実情に則するものである。
一方、被請求人は、本件商標を前商標権者である日本バイタミン株式会社から譲り受け、乙第2号証の登録原簿に示すように、平成12年12月8日にその登録がされたものである。したがって、本件商標が現在の商標権者である被請求人の所有となってから本件審判請求の予告登録日までは、1年3月程度しか経過していないことになる。
したがって、本件商標の「せっけん類」についての不使用の期間は、被請求人が商標権者となってから3年にも満たないことは明らかであり、本件取消審判の請求は理由がない。
3.商標法第50条第2項ただし書には、「その指定商品又は指定役務についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときは」、同条第1項の審判に係る取り消しを免れる旨が規定されている。
ここでいう「正当な理由」には、3年以上継続して不使用であった登録商標を譲り受けた場合、その譲受人が使用する意思を持っていて、使用のための具体的準備を進めているといったような事情も含まれると解するのが自然である。
実際に被請求人は、本件商標を前商標権者から譲り受けたあと、乙第1号証に示すように、各種のスキンケア製品について直ちに使用を開始し、それらの商品のブランド化を進めており、この一環として2003年中に、「クレンジングローション(洗顔料)」の関連製品として、洗顔用の固形化粧石けんを「Facial Soap」として発売する予定を立てている。その発売についての具体的なスケジュールも決定済みで、スケジュール表も存在するが、それは他の製品の発売計画も含めた全般的なスケジュール表であるため、秘密保持のため、証拠としての提出、公開は差し控えさせて頂くこととする。
このように、被請求人が本件商標を「せっけん類」について現在使用していないとしても、被請求人が本件商標を譲り受けてからまだ3年に達していないこと、及び被請求人が本件商標を「化粧品」については現実に使用していて、この「化粧品」と関連が深い「化粧せっけん」についても使用する意思があり、その使用のための準備を進めるとともに使用を開始する時期まで具体的に決定していることなどの事情があり、これらが、商標法第50条第2項ただし書に規定する「不使用についての正当な理由」に当たるものと思料する。
4.以上のとおり、本件商標は、その指定商品中「せっけん類(薬剤に属するものを除く)及びその類似商品」について、商標法第50条第1項の規定に該当するものではなく、また、当該指定商品について使用していないとしてもその不使用について正当な理由があるものである。

第4 当審の判断
1.使用に係る商品「クレンジングローション」について
(1)乙第1号証(被請求人発行に係る「NaturCare/全商品カタログ」2001年12月現在)によれば、「スキン ケア製品」に「リストア シリーズ-特許V.D.Dシステムのはたらきで、24時間素肌の回復をうながす、老化対策用シリーズ」として、「リストア クレンジングローション(洗顔料)/マイルドな泡で、うるおいとバリア機能をキープ。ビタミンE+サフラワー オイル配合の弱酸性クレンザー」、「リストア トーニングローション(化粧水)/ビタミンC+ハマメリス エキスのW効果で、きめ細やかなみずみずしい肌に。」、「リストア デイ モイスチャライザー(日中用乳液)/生活紫外線や乾燥から肌をまもり、優れた保湿効果で、肌をしっとりとなめらかに。」、「リストア リバイタライジング クリーム(保湿クリーム)/3つのビタミンが、24時間はたらき続け、ハリとうるおいのある美肌をつくるクリーム」の記載がある。
(2)商標法上の化粧品とは、薬事法(昭和35年法律第145号)に規定する化粧品の大部分と医薬部外品のうち、人体に対する作用が緩和なものであって、身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つことを目的として、身体に塗擦、散布等の方法で使用するものをいうと解される(特許庁商標課編「商品及び役務区分解説」改訂第3版)ところ、本件使用に係る商品「クレンジングローション」は、上記(1)の認定事実によれば、「スキン ケア製品」である「リストア シリーズ」の一つとして、「素肌の回復をうながす、老化対策用シリーズ」との表示のもと、「化粧水」、「乳液」、「保湿クリーム」とともに掲載されており、また、「マイルドな泡で、うるおいとバリア機能をキープ。ビタミンE+サフラワー オイル配合の弱酸性クレンザー」の記載からすると、単に洗浄作用のみを目的とする商品ではなく、皮膚を清潔にする一方で、保湿剤等により皮膚をすこやかに保つことを目的として使用される商品であると認められる。
加えて、一般的に、「クレンジングローション」は、クレンジングクリームと同様、顔の汚れ、主として油性の汚れ、油性のメイクアップ化粧料の落としに用いる乳液性の製品で、薄化粧の落としの油性洗顔料であり、洗浄用化粧料として位置づけられている商品であるということができる(株式会社廣川書店、平成4年10月1日発行「廣川 香粧品事典」119、226頁参照)。
(3)上記(2)の事情よりすると、本件使用に係る商品「クレンジングローション」は、化粧品の範疇に属する商品とみるのが相当である。
したがって、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者(被請求人)が、本件商標を取消請求に係る「せっけん類(薬剤に属するものを除く)及びその類似商品」について使用していることを証明していないものといわざるを得ない。
2.商標法第50条第1項に規定する「継続して三年以上」について
商標法は、使用により商標に蓄積された信用を保護することにより、産業の発達に寄与し、需要者の利益を保護すること目的としているものである。換言すれば、商標権者が登録商標を使用することを保護の前提としているものであって、一定期間登録商標を使用しない場合は、保護する対象がないものというべきであり、他方、不使用の登録商標を放置することは、商標の使用を欲する者の商標採択の範囲を狭める結果ともなり、国民一般の利益を損なうこととなる。
商標法第50条の立法趣旨は、上記のような一定期間登録商標を使用していない登録商標については、請求により、商標登録を取り消すことにあると解される。
そして、上記登録商標の不使用の事実は、その後に商標権が譲渡されたとしても、その事実自体が消滅するものではなく、また、不使用の登録商標は、保護すべき信用がなく、これを存続させることが、商標法の目的に反する結果となるのみならず、上記のように国民一般の利益を不当に侵害するなどいった状態も、譲渡によって変動するものではない。
してみると、上記した商標登録不使用取消の審判制度の趣旨からみて、商標法第50条第1項に規定する「継続して三年以上」とは、商標権の移転等の有無にかかわらず、前商標権者、現商標権者を通しての期間をいうものと解するのが相当である。
したがって、被請求人の「商標権の譲渡があった場合、前商標権者が登録商標を3年以上継続して使用していなかったからといって、その不使用であった期間を譲受人の不使用の期間に算入すると、譲受人がその登録商標を使用して業務上の信用を得ようとしても、実質的に使用の準備をする期間すら無く取り消されることになり、譲受人にきわめて酷であるばかりでなく、商標権者の未必的可能性として存在する業務上の信用をも保護するというわが国商標法の趣旨にも反することになる。したがって、商標権の譲渡人である前商標権者の不使用期間は算入されないと解するのが自然であり、実情に則するものである。」なる主張は失当である。
3.不使用についての正当理由の有無について
被請求人は、本件商標を前商標権者から譲り受けたあと、各種のスキンケア製品について直ちに使用を開始し(乙第1号証)、それらの商品のブランド化の一環として2003年中に、洗顔用の固形化粧石けんを発売する予定を立てているから、本件商標の不使用につき正当な理由がある旨主張する。
しかしながら、前記した商標制度及び商標登録不使用取消の審判制度の立法趣旨からみれば、商標法第50条第2項但し書きにいう「正当な理由」があるといえるためには、例えば、その商標の使用をする予定の準備を進めていたにもかかわらず、天災地変等によって工場等が損壊した結果、その使用ができなかったような場合や時限立法によって一定期間(3年以上)その商標の使用が禁止されたような場合など、登録商標を使用しないことについて、商標権者の責めに帰することができない特別の事情が存在することが不可欠と解されるところ、被請求人は、本件商標を取消請求に係る「せっけん類(薬剤に属するものを除く)及びその類似商品」について使用開始の準備をしている旨主張するのみで、不使用につき正当な理由があるという事実関係を具体的に何ら立証していないものである。したがって、単に商標の使用をする準備を進めていたという主張のみをしても、これをもって不使用につき正当な理由があると認めることは到底できない。
加えて、前記したとおり、「継続して三年以上」とは、商標権の移転等の有無にかかわらず、前商標権者、現商標権者を通しての期間をいい、登録商標それ自体に「継続して三年以上」使用の事実があったか否かの問題であって、本件においては、本件商標の商標権の移転登録がなされた平成12年12月8日から審判の請求の登録日である平成14年3月13日までは、1年3ヶ月もの期間があり、その間、商標権者等は、本件商標を取消請求に係る指定商品について使用していなかったものであり、さらに、被請求人が本件商標の商標権を譲り受ける以前にも長期間不使用の状態が継続していたものである。
上記した事情を併せて考えると、本件商標を取消請求に係る「せっけん類(薬剤に属するものを除く)及びその類似商品」について使用しないことについて、商標権者の責めに帰することができないやむを得ない事情があり、不使用を理由に当該登録商標を取り消すことが社会通念上酷であるとまで認めることはできない。
したがって、本件商標を取消請求に係る指定商品に使用していないことについて、商標法第50条第2項但し書きにいう「正当な理由」があるということはできない。
4.以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、指定商品中の「せっけん類(薬剤に属するものを除く)及びその類似商品」について取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2003-01-07 
結審通知日 2003-01-10 
審決日 2003-01-21 
出願番号 商願平3-130410 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (104)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中村 俊男和田 恵美 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 茂木 静代
中嶋 容伸
登録日 1993-10-29 
登録番号 商標登録第2591515号(T2591515) 
商標の称呼 リストア 
代理人 林 宏 
代理人 林 直生樹 
代理人 杉村 興作 
代理人 末野 徳郎 
代理人 廣田 米男 
代理人 後藤 正彦 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ