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審決分類 審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 009
管理番号 1073517 
審判番号 無効2001-35550 
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-04-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-12-21 
確定日 2002-12-24 
事件の表示 上記当事者間の登録第4299741号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4299741号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4299741号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成6年7月29日に登録出願され、「WORLD CUP」の文字を横書きしてなり、第9類「遊園地用機械器具,自動販売機,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,電気計算機」を指定商品として、同11年7月30日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第125号証を提出した。
(1)「WORLD CUP」の著名性について
(a)「WORLD CUP」の語は、日本国内においては、本件商標の登録出願前から、「サッカーを含む種々のスポーツの国際競技大会」を意味する名称として著名であり(甲第3号証及び同第4号証)、また、外国においても、研究社「新英和大辞典第5版:甲第5号証」に「WORLD CUP」は、サッカーを含む種々のスポーツの国際競技大会の意味に用いられていると記載されているように、本件商標の登録出願前から、「WORLD CUP」は「サッカーを含む種々のスポーツの国際競技大会」を意味する名称として著名であった(甲第6号証及び同第74号証)。
すなわち、サッカーの第1回ウルグアイ大会は、1930年に開催され、本件商標が登録出願される前までに、15回の世界選手権大会が開催されている。
ゴルフの「WORLD CUP」という文言を含む大会名の国際競技大会については、昭和41年(1966年)頃までは「カナダカップ」と呼ばれた大会が「ワールド カップ インターナショナルトロフィー争奪選手権」と改称され、その後継続して開催されている(甲第9号証、同第11号証及び同第12号証)。
スキーの「WORLD CUP」という文言を含む大会名の国際競技大会については、1967年頃にFIS(国際スキー連盟)の公式イベントになり、「アルペンスキー ワールドカップ エビアン・トロフィー争奪戦」という名称で、シリーズレースが継続して開催されている(甲第10号証ないし同第12号証)。
(b)これを特に、サッカーについてみれば、サッカーの「WORLD CUP」は、「世界サッカー選手権大会」の意味として、本件商標の登録出願前から、日本国内及び外国においても極めて著名であった。これを根拠付ける事実を、以下に示す。
東京高裁昭和50年(行ケ)第109号判決(甲第4号証)は、「我が国においては本件商標の登録出願前から、新聞、雑誌、スポーツ誌等において『ワールドカップサッカー』あるいは時に単に『ワールドカップ』という用法で極めて著名で人気のあるサッカー世界選手権大会を指すのに用いられるほか・・・」と判示している。
第1回ウルグアイ大会から、観客動員数は、増加する傾向にあり(甲第75号証)、本件商標の登録出願時には約358万人の観客動員数(1994年第15回のアメリカ大会)に達した。また、サッカーの「WORLD CUP」は、全世界に向けて テレビ放映され、視聴者は増加し続けており(甲第76号証)、第15回アメリカ大会(6月17日から7月17日まで)では、衛星テレビ放映国数は188カ国、テレビ延視聴者数は世界中で約321億人を記録した(甲第80号証及び同第81号証)。
本件商標の登録出願前において、日本国の全国紙に「世界サッカー選手権大会(ワールドカップ)」と表記されており(甲第13号証ないし同第27号証)、「WORLD CUP」を「ワールドカップ(4年毎に開かれるサッカーの国際試合)」と記載した英和辞典があり(甲第28号証)、イベリア航空の広告に「WORLD CUP」が「World Football Championship」(世界サッカー選手権大会)の意味に用いられており(甲第29号証)、1966年(昭和41年)第8回イングランド大会では、ショーウィンドウや大会ポスターに「WORLD CUP」という表記がなされ、大会マスコットの胸の部分には「WORLD CUP」と表記されており(甲第30号証及び同第31号証)、第8回イングランド大会の視察へ行った駒井康人氏が書いた記事「団長雑記」には「・・ロンドンの町は、ワールドカップ一色であった。・・ワールドカップのワッペン、帽子、花(参加国の国花)を売っており、・・町には、いたるところ、ワールドカップの宣伝がウィンドウいっぱいにかざられていた・・」という文面が記載されていた(甲第30号証)。

(2)「WORLD CUP」商標について
「WORLD CUP」単独の文字構成からなる商標については、本件商標の登録出願前から、請求人(通称、FIFA)のみが保有・使用すべき商標であるという認識が、サッカー以外のスポーツのワールドカップ大会主催者間においても存在していることはもちろん、一般大衆の間においても存在していた。
契約・権利譲渡等の成立自体は、本件商標の登録出願後になされたものではあるが、以下の事実がある。
ラグビー・ワールドカップ・リミテッド及びインターナショナル・ラグビー・ボードとFIFAとの間には、FIFAのみが「WORLD CUP」単独商標を保有・使用すべきという契約があり(甲第34号証)、また、FIFAは、株式会社デサントから「WORLD CUP」単独商標の権利譲渡を受けており(甲第35号証ないし同第38号証)、更に、バレーボールのワールドカップ大会が日本において開催された際(甲第41号証及び同第6号証)、株式会社フジテレビジョンは、図形と「World Cup」との結合商標(商標登録第2615423号)の商標権(甲第39号証及び同第40号証)を取得していたが、FIFAが、平成11年4月12日に無効審判(平成11年審判第35169号)を請求したところ、当事者間において、株式会社フジテレビジョンが商標権の放棄を行い(平成11年8月17日登録)、FIFAが無効審判請求の取下げを行う(平成11年9月16日登録)との合意が成立した。
また、FIFAは、日本国及び外国において、「WORLD CUP」単独商標について多数の権利を取得(一部に取得予定を含む)しており(甲第42号証ないし同第69号証)、大会名に「WORLD CUP」を含めた他のスポーツの大会主催者は、日本国及び外国のいずれにおいても「WORLD CUP」単独商標を取得していない。すなわち、サッカー以外の他のスポーツの大会主催者及び関係者は、日本国及び外国のいずれにおいても、「スポーツ名」と「WORLD CUP」との結合、さらには「図形」も結合させた商標(甲第70号証ないし同第73号証)の権利を取得しているにすぎないのである。
以上のようなFIFAの権利取得の事実は、通称「WORLD CUP」が「世界サッカー選手権大会」を指すこと、また、「WORLD CUP」単独商標はFIFAにより取得・使用されるべきであるとの認識が、サッカー以外のスポーツのワールドカップ大会主催者間においても存在していることはもちろんのこと、日本国及び外国における一般大衆の間においても存在していることを如実に物語るものである。

(3)商標法第4条第1項第6号の該当性について
商標法第4条第1項第6号は、同号に掲げるものの権威を尊重し国際信義を保持することを立法趣旨としており、公益保護の規定とされている(甲第83号証)。
ところで、商標法第4条第1項第8号は、人格権保護の私益的規定であるが、権威保護の観点からは、商標法第4条第1項第6号の立法趣旨と共通にするものである。そして、商標法第4条第1項第8号の規定を適用する場合、権威保護対象の特定は、複数の権威保護対象でよいとされている(平成元年(行ケ)第37号審決取消請求事件判決:甲第82号証)。
してみれば、商標法第4条第1項第6号の規定を適用する場合においても、同号にあげるものの権威を尊重し国際信義保持の観点から、権威保護対象の特定は、複数の権威保護対象、すなわち、「サッカーを含む各種スポーツの国際競技大会」でよいはずである。
そして、国際サッカー連盟(FIFA)は、スイス民法60条に規定される公益法人であり(FIFA定款第1条:甲第87号証)、FIFAは、公益法人として、行動規約に従い、「WORLD CUP」を含むサッカー大会を運営する外、他の公益事業も行っている(甲第92号証ないし同第98号証)。
国際ゴルフ協会は、ゴルフを通じて国際親善を果たすことを目的として設立された非営利公益法人であり(甲第9号証)、国際ゴルフ協会が開催する「WORLD CUP」を含む大会名のゴルフ大会も、ゴルフを通じて国際親善を果たすという目的のために開催され、著名な非営利公益事業である。
国際スキー連盟(FIS)も公益目的に設立され(甲第122号証)、FISが行う「WORLD CUP」を含む大会名のスキー大会も著名な非営利公益事業である(甲第10号証)。
国際バレーボール連盟(FIVB)も公益目的に設立され、FIVBが行う「WORLD CUP」を含む大会名のバレーボール大会も著名な非営利公益事業である(甲第125号証)。
以上のように、サッカー、ゴルフ、スキー、バレーボール等についての「WORLD CUP」は、いずれも公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であり、その著名性は、上述のとおりであって、本件商標は、上記標章と同一又は類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第6号に規定する「公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標」に該当する。

(4)商標法第4条第1項第7号の該当性について
本件商標は、「WORLD CUP」の欧文字よりなるものであるが、該文字は、サッカー、ゴルフ、スキー、バレーボール等のスポーツの世界一を決めるために、定期的に開催される国際的な大会名称として使用されてきた結果、前述の国際的な大会を表すものとして著名となっているものであるから、上述の実情よりして、これを、一私人である被請求人が自己の商標として使用することは、国際信義に反するものであるといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

(5)商標法第4条第1項第15号の該当性について
上記したところと同様の実情から、本件商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、該大会のスポンサー、ライセンシーの業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(6)商標法第4条第1項第19号の該当性について
上記したところと同様の実情のもと、2002年日韓共催ワールドカップが日本において実際に開催されることにともない、その開催に向けて、被請求人は、フリーライドにより非営利公益事業であるFIFAが開催する「WORLD CUP」の犠牲のもとに、莫大な利益を得ることが可能となるというおそれがあることから、本件商標は、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他)をもって使用するものであるといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

3 被請求人の答弁
被請求人は、何ら答弁していない。

4 当審の判断
本件商標は、前記のとおり、「WORLD CUP」の文字を書してなるものであるところ、請求人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号にも該当する旨主張しているので、この点について判断する。
(1)「WORLD CUP」の著名性について
請求人の提出に係る甲号各証によれば、次の事実を認めることができる。
(a)「WORLD CUP(ワールドカップ)」の語は、「サッカーを含む種々のスポーツの国際競技大会」を意味する名称であり、例えば、「研究社 新英和大辞典第5版(株式会社研究社 1980年初刷):甲第5号証」には「WORLD CUP(各種のスポーツの世界選手権大会)」と記載されており、「知恵蔵1999(朝日新聞社発行):甲第6号証」には「ワールドカップ(World Cup) サッカー、ラグビー、スキー、マラソン、バレーボールなどで行われている世界大会、最も古いのはサッカー・・・」と記載されており、「角川外来語辞典第二版(株式会社角川書店 1977年1月30日第二版初版印刷発行):甲第11号証」には「《ゴルフ》正式にはワールドカップ インターナショナルトロフィー争奪選手権、ゴルフのオリンピックともいうべき大会で・・・《サッカー》国際サッカー連盟の総括する世界選手権大会で1930年に第1回・・・《スキー》1966年アルペンスキー ワールドカップがつくられ・・・」と記載されており、「コンサイスカタカナ語辞典(株式会社三省堂 1995年2月10日第2刷発行):甲第12号証」には「ワールドカップ[World Cup]各種のスポーツ競技の国際選手権大会。(1)国際ゴルフ競技会の1つ、1953年を第1回とし・・・(2)国際サッカー連盟(FIFA)が4年に1度開く、サッカーの世界選手権大会、1930年を第1回とし・・・(3)バレー 世界3大タイトルの1つ、男子は1965年、女子は1973年、それぞれ第1回大会が開かれる・・・(4)スキー アルペン種目の世界一を決める大会、1967年に始まる。」と記載されており、「岩波新英和辞典(株式会社岩波書店 1981年2月20日第1刷発行):甲第28号証」には「WORLD CUP(ワールドカップ 4年毎に開かれるサッカーの国際試合)」と記載されている。
また、「ワールドカップ 後藤健生著(中央公論社 1998年2月25日初版発行):甲第8号証」には、サッカーのワールドカップの歴史について記載されており、「世界ゴルフ大観-海外編(株式会社ベースボール・マガジン社 1976年10月30日発行):甲第9号証」には、ゴルフのワールドカップの歴史について記載されており、「スキー・ワールドカップ(株式会社ベースボール・マガジン社 1976年3月15日第1版第1刷発行):甲第10号証」には、スキーのワールドカップの歴史について記載されている。
そして、東京高等裁判所昭和50年(行ケ)第109号判決(甲第4号証)においては、「我が国においては本件商標の登録出願前から、新聞、雑誌、スポーツ誌等において『ワールドカップサッカー』あるいは時に単に『ワールドカップ』という用法で・・極めて著名で人気のあるサッカー世界選手権大会を指すのに用いられるほか・・・『ワールドカップゴルフ』あるいは時に『ワールドカップゴルフ選手権』または、単に『ワールドカップ』というような用法で・・・『ワールドカップスキー』あるいは時に『ワールドカップアルペンスキーシリーズ』というような用法で・・・用いられている」と判示されている。
更に、甲第13号証ないし同第27号証の朝日新聞の記事においては「世界サッカー選手権大会(ワールドカップ)・・・」の如く記述されている。
(b)これを特にサッカーについてみれば、サッカーの「WORLD CUP」は、その第1回大会が1930年にウルグアイにおいて開催されており、「WORLD CUP」の歴史は最も古く、観客動員数は、第1回ウルグアイ大会から増加する傾向にあり、本件商標の登録出願当時である1994年に開催された第15回アメリカ大会には、約358万人の観客動員数に達しており、また、サッカーの「WORLD CUP」は、全世界に向けてテレビ放映され、視聴者は増加し続け、前記第15回アメリカ大会では、衛星テレビ放映国数は188カ国、テレビ延視聴者数は、世界中で約321億人を記録していた(甲第75号証ないし同第81号証)。
また、請求人(通称、FIFA)は、「WORLD CUP」の文字からなる商標に関して、契約・権利譲渡等の成立自体は本件商標の登録出願後になされたものではあるが、ラグビー・ワールドカップ・リミテッド及びインターナショナル・ラグビー・ボードとの間において、FIFAのみが「WORLD CUP」単独商標を保有・使用し得るという契約を結んでおり(甲第34号証)、株式会社デサントとの間においては、同社の所有する「WORLD CUP」商標の権利を譲り受けており(甲第35号証ないし同第38号証)、株式会社フジテレビジョンとの間においては、同社所有の「World Cupと図形」からなる商標(商標登録第2615423号)に対し無効審判(平成11年審判第35169号)を請求したところ、同社は商標権の放棄を行い、請求人は無効審判請求の取下げを行うとの合意が成立したことを認めることができる(甲第39号証及び同第40号証)。
更に、請求人は、我が国及び外国において、「WORLD CUP(ワールドカップ)」単独の文字構成からなる商標について多数の権利を取得していることが認められ(甲第42号証ないし同第69号証)、サッカー以外の他のスポーツの大会主催者及び関係者は、日本国及び外国のいずれにおいても、「スポーツ名」と「WORLD CUP」との結合、あるいは「図形」と「WORLD CUP」を結合させた商標の権利を取得しているにすぎない(甲第70号証ないし同第73号証)。
(c)上記認定の各事実を総合すると、「WORLD CUP」の語は、「サッカーを含む種々のスポーツの国際競技大会」を意味するものではあるが、サッカーについての「WORLD CUP」が最も歴史の古いものであり、サッカーの「WORLD CUP」については、世界的に観客動員数、テレビ視聴者数が他のスポーツ競技に較べて格段に多く、また、請求人(FIFA)は、他のスポーツ組織との間において、FIFAのみが「WORLD CUP」単独商標を保有・使用し得るという契約を結び、又、我が国を含む諸外国において、「WORLD CUP(ワールドカップ)」単独の文字構成からなる商標について多数の権利を取得する等、サッカーについての「WORLD CUP」の語の保護・普及に務めた結果、「WORLD CUP」の語は、本件商標の登録出願前から、特に、サッカーについての「世界選手権大会」を指称するものとして広く知られるようになったものということができる。

(2)商標法第4条第1項第7号の該当性について
本件商標は、前記のとおりの構成からなるところ、サッカーをはじめとする種々のスポーツの国際競技大会を指称する「WORLD CUP」と同一の綴り字からなるものであり、それぞれの「WORLD CUP」国際競技大会は、スポーツを通じて国際親善を果たすという公益的な目的をも持って行われているものである(甲第9号証、甲第10号証、同第87号証、同第93号証、同第122号証及び同第125号証)。
しかして、本件商標が登録出願された平成6年(1994年)は、6月17日から7月17日まで第15回サッカーワールドカップアメリカ大会が開催された年であり、一方、我が国においては、これに先立つ1991年に日本初のプロサッカーリーグであるJリーグが設立され、鹿島アントラーズ等10チームをもって1993年5月にJリーグがスタートしており(甲第74号証)、第15回アメリカ大会のアジア地区予選においては、我が国は、その最終戦であるイラクとの試合でロスタイムに同点とされた、いわゆる「ドーハの悲劇」でワールドカップ本大会初出場の夢がかなわなかったこともあり(甲第6号証)、国民の間にもサッカーに対する人気が急速に高まっていた時期である。
また、FIFAは、1994年のワールドカツプをサッカーの後進国アメリカで開催することで、世界一の経済力を誇る北アメリカでサッカーの普及を図った後は、次のターゲットを世界最大の人口を擁し、著しい経済発展を遂げつつあったアジア大陸に求めていた。
これを受けて、日本サッカー協会は、1989年11月には立候補を表明、協会内部でも検討を進め、1991年6月には「2002年ワールドカップ日本招致委員会」、翌1992年3月には「2002年ワールドカップ国会議員招致委員会」が発足、さらに1993年には国内開催候補地として15の自治体が決定され、各自治体が2億3500万円の分担金を拠出して、ワールドカップ招致活動が本格化していたことを認めることができる(甲第8号証)。
そして、大規模なスポーツイベントは、オリンピックやサッカーのワールドカップに限らず、主催者は、多くのライセンシーを募り、各種商品・役務について、標章等の商品化権、使用権を設定することにより、大会費用の一部を賄っていることは周知の事実である。
してみれば、被請求人は、上記のような実情のもとにおいて、本件商標を出願したものであり、少なくと、サッカーのワールドカップの著名性を十分承知していたものと推認され、「WORLD CUP」標章の著名性にフリーライドする等の目的をもって、本件商標の登録を受けたものといわざるを得ないところであるから、「WORLD CUP」の主催者と何らの関係も認められない被請求人によって本件商標を使用するときは、公正な取引秩序を乱すおそれがあるばかりでなく、国際信義に反し、公の秩序を害するおそれのあるものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、請求人のその余の主張について判断するまでもなく、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-10-11 
結審通知日 2002-10-17 
審決日 2002-11-11 
出願番号 商願平6-76157 
審決分類 T 1 11・ 22- Z (009)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 由美子 
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 小林 和男
山口 烈
登録日 1999-07-30 
登録番号 商標登録第4299741号(T4299741) 
商標の称呼 ワールドカップ 
復代理人 羽立 幸司 
代理人 黒田 健二 
復代理人 田中 庄司 

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