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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消200330385 審決 商標
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取消2008300831 審決 商標
取消2009300438 審決 商標
取消200331718 審決 商標

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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 005
管理番号 1073513 
審判番号 取消2001-30928 
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-04-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2001-08-24 
確定日 2003-01-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第3194767号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3194767号商標の指定商品中「薬剤」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3194767号商標(以下「本件商標」という。)は、平成6年2月25日に登録出願され、「サクセス」の文字と「SUCCESS」の文字とを二段に横書きしてなり、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラ―ト,ガ―ゼ,カプセル,耳帯,眼帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液」を指定商品として、同8年9月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び同第2号証を提出した。
請求人の調査によれば、本件商標は本件指定商品中「薬剤」につき継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められない。また、本件商標について、専用使用権の設定又は通常使用権許諾の登録もないのであるから、使用権者による使用ということも問題にならない。
したがって、請求人は、商標法第50条第1項の規定に基づき、本件商標の指定商品中、上記商品につき登録取消審判を請求する。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第6号証を提出した。
(1)被請求人は、本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、指定商品中の「薬剤」に属する「薬用育毛剤」に使用している。 乙第1号証は、「週刊ポスト 2001年2月16日号」、乙第2号証は、「SPA 2001年9月12日号」である。これらは、商品の広告媒体を多くの人々に読まれている雑誌であって、その内容はきわめて客観的なものである。
また、被請求人が商品を販売するにあたり、花王販売レポート「花王製品ニュース」を発行しているので、「花王販売ニュース 1999年3月号」を乙第3号証として、「同 2000年1月号」を乙第4号証として提出する。
いずれも本件商標と同一性を有する「SUCCESS」の文字及び「サクセス」の文字が使用されている。
(2)本件商標が使用されている商品は、薬事法上の医薬部外品である。医薬部外品は、商品区分に従えば、大きく分けて化粧品に属するものと薬剤に属するものとがある。
本件商標が使用されている商品は、商品の包装に「HAIRGROWING AGENT」と表示されているように、通常いわれるところの育毛剤である。そして、乙第5号証として提出するこの商品のパッケージ本体部分の展開図から明らかなように、表面には「薬用」と明示されており、また、裏面には「毛生促進、発毛促進、育毛、養毛、薄毛、ふけ、かゆみ、脱毛の予防」と表示され、その効能が明示されている。
この種商品は、一般的な商標登録出願の際の指定商品としては、化粧品の概念に包含されることが多いが、取引の場にあっては効能を重視して取引されるから、薬剤中における「毛髪用剤」としての一面を有している。
特許庁商標課編発明協会発行の「商品及び役務区分解説」によれば、「化粧品」の概念の項に「薬事法に規定する”化粧品”の大部分」という表現があり、「化粧品」の一部分は、この区分に属さないものもあることを示唆しており、また、薬剤の概念の項には「毛髪用剤」が例示されているとともに「薬用ベビーオイル」「薬用ベビーパウダー」が例示され、「このような化粧品的なものでも医薬品として取引されるものはこの『薬剤』としての概念に属する」とし、同一商品であっても「薬剤」に属さない場合のあることも示唆している。
いいかえると、一つの商品が取引状況において、化粧品の概念に属する場合と薬剤の概念に属する場合のあることを認めているのである。
さらに、上掲の「商品及び役務区分解説」によれば、「人体に対する作用が緩和なものであって、身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つことを目的」とするものは、化粧品の概念に属することが記されており、「毛髪用剤」の項には、医薬品として取引されるものは薬剤の概念に属することが明らかにされている。
このような考え方に従えば、本件商標が使用されている商品は、毛髪をすこやかに保つことを目的として取引されれば頭髪化粧品であって、上述した効能を中心に取引されれば薬剤となる。
いいかえると、本件商標が使用されている該商品は、頭髪化粧品と薬剤としての二面性を有していることは明白である。
この理は、昭和57年(行ケ)第67号審決取消請求事件及び昭和57年(行ケ)第68号審決取消請求事件(乙第6号証)の判決で認められている。すなわち、該判決によれば、「本件商標は、『石鹸』であるが同時に『化粧品』でもある商品、ないしは石鹸(原料としての石鹸)成分を含有する『化粧品』というべきものであり」として、一つの商品が二つの商品に跨ることを認めるとともに、「右分類のいずれか一つに属するとは決し難い商品が出現した場合、不使用取消審判の場で、商品は常にいずれか一つの分類に属すべきであって、二つの分類に属することはあり得ないとするのは相当でなく、登録商標の使用されている当該商品の実質に則して、それが真に二つの分類に属する二面性を有する商品であれば、当該二つの分類に属する商品について登録商標が使用されているものと扱って差支えないというべきであり」として、実質に則して、商品が「石鹸」であると同時に「化粧品」である商品について、「化粧品」についての使用をも認めている。
してみると、本件商標が使用されている商品は、不使用取消審判の場においては「化粧品」であるとともに「薬剤」であることに疑う余地はないのである。
(3)叙上のとおりであるから、本件商標は、商標権者によって、その指定商品中「薬剤」について、本件商標の取消審判請求の登録前3年以内に使用されていることは明らかであるから、請求人の主張は排斥されるべきものである。

4 当審の判断
被請求人の提出に係る乙第1号証ないし同第5号証によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を「薬用毛髪活性」と称する薬用育毛剤(以下「本件使用商品」という。)について使用していたことを認めることができる。
しかしながら、本件使用商品は、商標法の商品区分における「薬剤」の概念に属する商品ではなく「化粧品」の概念に属する商品とみるのが相当である。確かに、医薬品と化粧品は、いずれも人間の健康、身体に直接関係する商品であり、生薬類(天然材料のもの)を除けば、いずれも広義の化学工業製品であり、法律的には、いずれも薬事法の対象とされている商品であって、その点においては、両者は、相似た一面を持つ商品であるということができる。
これを薬事法についてみれば、医薬品とは「日本薬局方に収められている物。人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されていることが目的とされている物であって……」旨規定されており、また、化粧品とは「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚もしくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用することが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。……」旨規定され、更に、医薬部外品は「吐きけその他の不快感又はロ臭若しくは体臭の防止、あせも、ただれ等の防止、脱毛の防止、育毛又は除毛、人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみ等の駆除又は防止を目的とし、かつ、人体に対する作用が緩和な物で厚生労働大臣の指定するものをいう……」旨規定されている。
また、被請求人も答弁書において述べている「商品及び役務区分解説」(特許庁商標課編集、社団法人発明協会発行 平成4年3月25日改訂第2版)によれば、第5類の「薬剤」の概念の中には、薬事法の規定に基づく医薬品の大部分及び医薬部外品の一部を含み、一方、化粧品の概念の中には、薬事法に規定する化粧品の大部分及び医薬部外品のうち、人体に対する作用が緩和なものであって、身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変えまたは皮膚もしくは毛髪をすこやかに保つことを目的として、身体に塗擦、散布等の方法で使用するものを含む旨記載されている。
なお、ちなみに「現代商品大辞典 新商品版」(東洋経済新報社 昭和61年10月18日発行)の「化粧品」の項には、「……化粧品は、製造から販売にいたるまで種々の法的規制を受けるが、その中心を占めているのが薬事法である。薬事法は医薬品、医薬部外品、化粧品、医療用具等の製造、販売ならびにそれらの取扱いに関する事項を規制した法律であり、一般に化粧品には、薬事法でいう化粧品と医薬部外品が含まれている。……一方、医薬部外品は……と定義されている。これらは化粧品の使用目的に用いられるものが多く、……具体的には脱臭化粧品、薬用石鹸、薬用歯磨き、染毛料、パーマネントウエーブ用剤、日やけ止め製品、にきび用化粧品、薬用クリーム、薬用ヘアトニック、浴用化粧品等がある。……」と記載されている。
そこで、本件使用商品についてみるに、本件使用商品のパッケージ裏面(乙第5号証)には効果・効能として「毛生促進、発毛促進、育毛、養毛、薄毛、ふけ、かゆみ、脱毛の予防」と表示されており、その上部には、これより大きく「ヘアサイクルを正常化し、抜け毛を防いで、毛髪の成長を促進します」と表示されていることを認めることができる。このような記載に照らしてみれば、本件使用商品は、まさに「人体に対する作用が緩和なものであって、毛髪をすこやかに保つことを目的として、身体に塗擦、散布等の方法で使用するもの」であり、医薬部外品の中でも化粧品の使用目的に用いられるものとみるのが相当であり、商標法の商品区分においては「化粧品」の概念に属する商品であるといわなければならない。
この点について、被請求人は、本件使用商品は効能を重視して取引されるから、薬剤中の「毛髪用剤」としての一面を有しているものであり、頭髪化粧品と薬剤としての二面性を有していることは明らかである旨主張している。
しかしながら、第5類「薬剤」中の外皮用薬剤の概念のもとに例示されている「毛髪用剤」は、例えば、壮年脱毛症における治療薬のような、具体的な疾病に対する医薬品として取引されるものをいうのであって、頭髪化粧品としてのヘアートニック等は含まれていない。
確かに、本件使用商品は、医薬部外品の承認を受けていることから、商品パッケージ等には薬用的効能も謳われている。しかし、前記したとおり、化粧品もファインケミカルの代表的な商品の一つとして薬事法の対象とされている商品であるから、化粧品の中にも何らかの薬用的効能を有するものがあるのはむしろ当然のことであり、そうであるからといって、そのことの故に、本件使用商品が商標法の商品区分における「薬剤」の範疇に属する商品であるということはできないし、頭髪化粧品と薬剤としての二面性を有しているということにもならない。
加えて、被請求人の提出に係る「花王製品ニュース(1999年3月号)」(乙第3号証)によれば、本件使用商品は、明らかに化粧品と認められる「プレシェーブローション、フェイスケアローション」等の商品と一纏めにして「サクセスシリーズ」として紹介されており、これら商品の並びからみれば、被請求人自身、本件使用商品を頭髪用化粧品と認識して取引していたものというべきである。
そして、他に、本件使用商品が薬剤として取引されていたとする具体的な証拠は提出されていない。
してみれば、被請求人の答弁の全趣旨及び乙号各証を総合的に判断しても、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、又は使用権者によっても、その請求に係るいずれの指定商品についても使用されていなかったものといわざるを得ない。
また、請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人は明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、指定商品中の「薬剤」について取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-11-14 
結審通知日 2002-11-19 
審決日 2002-12-03 
出願番号 商願平6-18732 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (005)
最終処分 成立  
前審関与審査官 涌井 幸一山本 敦子 
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 山口 烈
小林 和男
登録日 1996-09-30 
登録番号 商標登録第3194767号(T3194767) 
商標の称呼 サクセス 
代理人 宇野 晴海 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 加藤 義明 

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