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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) Z42 |
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管理番号 | 1072335 |
異議申立番号 | 異議2001-90107 |
総通号数 | 39 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2003-03-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-02-13 |
確定日 | 2003-01-24 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4431040号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4431040号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4431040号商標(以下「本件商標」という。)は、平成11年9月22日に登録出願され、「かみ屋」の文字を横書きしてなり、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、同12年11月10日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 (1)本件商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)である「株式会社香味屋」が「日欧フーズ株式会社」(本件商標の名義変更前の権利者)に対して提起した不正競争防止法に基づく「レストラン香味屋」の営業表示の使用禁止及び損害賠償請求の訴訟(東京地裁平成12年(ワ)第5211号)において成立した訴訟上の和解により、日欧フーズ株式会社は平成12年9月10日以降、自己の営業に関し本件営業表示を使用しない旨定められているものであるから、かかる商標を出願・登録することは、商標法第3条第1項柱書きに規定する商標登録の基本的要件に違反して登録されたものである。 (2)申立人の経営する「レストラン香味屋」は、東京都台東区根岸において大正14年創業、75年の長期に亘り洋食の老舗として著名な存在であり、「レストラン香味屋」及び「香味屋」の名称は東京のみならず、関東一円に周知性を有している商標である(甲第2号証ないし同第7号証)。 してみれば、「カミヤ」の称呼を有する本件商標は、申立人の周知商標「香味屋(かみや)」と称呼が同一であり、同じ「飲食物の提供」の役務に使用されるものであるから、本件商標をその指定役務に使用するときは、申立人の業務に係る役務とその出所について混同を生ずるおそれがあるので、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (3)本件商標は、他人の業務(役務)に係る周知性ある商標であることを知りながら、請求人に損害を加えるか、或いはフリーライドの不正の目的をもって出願・登録されたものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。 3 本件商標に対する取消理由 本件登録異議の申立てがあった結果、本件商標を商標法第4条第1項第10号に該当するものとして通知した取消理由は、つぎのとおりである。 <取消理由> 本件商標は、平成11年9月22日に登録出願され、「かみ屋」の文宇を横書きしてなり、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、同12年11月10日に設定登録されたものである。 他方、申立人の提出に係る甲各号証によれば、申立人がレストラン名として使用する「レストラン香味屋」の略称と認められる「香味屋」(以下「引用商標」という。)は、本件商標の登録出願時には申立人の業務に係る役務「飲食物の提供」を表示するものとして取引者・需要者の間において広く認識されていたものと認められる。 そうとすれば、本件商標と「カミヤ」の称呼を生ずるものと認められる引用商標とは、「カミヤ」の称呼を共通にする類似の商標であり、かつ、本件商標の指定役務「飲食物の提供」は申立人の業務に係る役務と同一の役務と認められる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。 4 商標権者の意見 (1)本件商標は「カミヤ」、引用商標は「コウミヤ」の称呼を生ずる(乙第1号証)ものであるから、両者は称呼上区別し得る。また、外観・観念上も区別し得る(乙第2号証ないし同第4号証)。 (2)商標権者の商号を保護するために出願したものであり、不正競争行為の目的で登録出願をしたものではない(乙第5号証)。 (3)商標権者と申立人は、共同出資した関連会社である(乙第6号証)。 そうとすれば、本件商標は商標権者の業務に係る役務を表示するものとして、利用者に認識されたにすぎないものであり、需要者の間で広く認識されている商標とはいえない。 (4)また、商標権者の営業上より生じた利益の一部について、申立人も利益を受けていたことや、料理人も共用していた事実からすれば、両者は「香味屋」の商号を共通して使用している関連会社であることは明らかである。 (5)してみれば、本件商標は自己の業務に係る役務を表示するものとして、一部の雑誌・新聞等に紹介されたにすぎないものであるから、商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものではない。 5 当審の判断 (1)申立人提出の「東京の老舗[上]食事どころ編・東京新聞出版局発行・1995年3月4日改訂第1版」(甲第3号証)、「料理王国・1996年6月発行」(甲第4号証)、「Hanako・1999年(平成11年)2・3発行」(甲第5号証)、「街の洋食屋さん・極めつきの一品・1999年(平成11年)9月25日発行」(甲第6号証)、「産経新聞・1999年(平成11年)5月30日発行」(甲第7号証)等によれば、申立人は、本件商標の出願前より、引用商標を申立人の業務に係る役務「飲食物の提供」に長年使用してきた結果、引用商標は本件商標の出願時において既に、東京を中心とする関東一円で取引者・需要者の間に広く認識されるに至っていたものと認めることができる。 (2)商標権者は引用商標より生ずる称呼は「コウミヤ」である旨主張しているが、引用商標が「カミヤ」と称呼されて周知である事実は、上記甲各号証によって認め得るところである。 (3)さらに、商標権者は両社は共同出資した関連会社である旨主張しているが、両社間における資本関係が本件商標の出願当時既に消滅している事実は、申立人の主張並びに甲各号証によって認め得るものである。 (4)以上のとおり、引用商標は、本件商標の出願前より、申立人の業務に係る役務「飲食物の提供」を表示するものとして、周知性を獲得していること、本件商標の指定役務と引用商標の使用役務とが同一であることを併せ勘案すると、商標権者が本件商標をその指定役務について使用するときは、これに接する取引者・需要者をして、申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その出所について混同を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。 してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものとして、その登録を取り消すべきものとした先の取消理由(上記3)は妥当なものである。 (5)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、同第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2002-12-05 |
出願番号 | 商願平11-86039 |
審決分類 |
T
1
651・
25-
Z
(Z42)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 前山 るり子 |
特許庁審判長 |
上村 勉 |
特許庁審判官 |
鈴木 新五 小池 隆 |
登録日 | 2000-11-10 |
登録番号 | 商標登録第4431040号(T4431040) |
権利者 | 日欧商事株式会社 |
商標の称呼 | カミヤ、カミ |
代理人 | 加藤 和詳 |
代理人 | 小塚 善高 |
代理人 | 筒井 大和 |
代理人 | 福田 浩志 |
代理人 | 中島 淳 |
代理人 | 西元 勝一 |
代理人 | 須藤 昌彦 |