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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Z41
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z41
管理番号 1072141 
審判番号 不服2000-20016 
総通号数 39 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-12-18 
確定日 2003-01-24 
事件の表示 平成11年商標登録願第47801号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「金融コンプライアンスオフィサー1級」の文字を横書きしてなり、第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定して、平成11年5月31日に登録出願、その後、指定役務については、平成12年9月19日付の手続補正書により、「金融業務関連の通信教育,金融業務関連の検定試験,金融業務関連の研修会の企画・運営又は開催,技芸・スポーツ又は知識の教授」とする補正がされたものである。

2 原査定における拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、その指定役務との関係において『金融における(証券業者・金融機関内の)特別監査責任者(「compliance officer」)の資格1級』の意味合いを認識させるところの『金融コンプライアンスオフィサー1級』の文字を書してなるものであるから、これを本願指定役務に使用するときは、上記内容に照応する通信教育・検定試験・研修会などと認識され、単に、役務の質・内容を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断して本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1) 本願商標は、「金融コンプライアンスオフィサー1級」の文字よりなるところ、構成中冒頭の「金融」、中段の「コンプライアンスオフィサー」及び後半の「1級」は、それぞれ「金銭の融通、経済社会における資金の貸借」、「社内規程・法律にしたがって職務遂行をしているかを社内でチェックする専門職制(compliance officer)」及び「一つの階級、等級の第一位」を意味する語である。
ところで、今日の社会においては、法令遵守(コンプライアンス)が重視され、不正行為の監視、経営の透明性、さらに信用維持などの要請からコンプライアンスオフィサー制度を導入して、この制度を事業経営又は企業活動上の枢要な部分と位置づけ、活用している状況が顕著であり、また、この職制に従事する担当者(人材)を育成・養成の目的から研修や業界内の任意の団体等による資格認定試験が行われていることは、例えば、以下の新聞記事情報及びインターネットのホームページ情報よりうかがい得るところである。
(ア)「法令順守へ『勇気の扉』 丸紅が相談窓口」の欄に丸紅は5日、コンプライアンス(法令順守)体制を強化するため、社員の不正行為を別の社員が気付いた際、報告や相談をする窓口「勇気の扉」を設置したと発表した。メールと電話で相談できる。さらに、各部門長などを「コンプライアンスオフィサー」として14人任命。10月には法務部内に事務局の専門チームを置く。「コンプライアンスマニュアル」も初めて作成。連結対象会社などグループ約500社にも徹底させる。同社では、子会社の丸紅畜産の鶏肉偽装事件が3月に発覚したほか、三井物産の国後島発電施設の不正入札事件でも入札に協力した疑惑がもたれ、体制の見直しを進めていた。(2002.09.06 東京朝刊13頁 朝日新聞社)
(イ)「なとり、企業行動規範を制定、新理念で倫理確立図る」(株)なとり(東京都北区、03・5390・8112)は、関係法令の順守と企業倫理確立の観点から経営理念を見直し、役員、社員一人ひとりが日常の業務遂行において順守すべき基本的事項を定めた「企業行動規範」を制定した。3月26日に開催した取締役会で決議、4月1日から本格的活動に入っている。同社は創業五〇周年を迎えた1987年に、組織、社員の業務における基本的精神や考え方を記した「行動基準」を制定していた。昨今の食品業界で安全性に欠ける事例や不祥事が頻発するなか、なとりグループ全体がより高い倫理観に根ざした事業活動を行い、コンプライアンスを重視した経営を推進するため。経営理念の全文は次の通り。・・・企業倫理活動の運営については、企業倫理担当役員(エシックスオフィサー)を副会長に委嘱、執行役員総務部長をシニアコンプライアンスオフィサーとして発令した。このほか「企業行動規範遵守励行推進委員会」を設置、営業・生産・管理部署・子会社から32人のコンプライアンスオフィサーを任命した。行動基準ガイドブックを作成して周知徹底を図るほか、研修カリキュラムに必須講座として企業倫理を設けるなどで積極的に推進していく。(2002.04.10日本食糧新聞社)
(ウ)総合商社、海外で相次ぐ不祥事 物産の事件、業界に警鐘、中国で贈賄の罪に問われた三井物産は・・・各商社は法令順守(コンプライアンス)に力を入れている。住友商事は、昨年11月にコンプライアンス委員会をつくった。・・・三菱商事も、社内の8部門でコンプライアンスオフィサーを選び、全社を統括する責任者の副社長とともに、社内で不正行為がないか監視したり、不正行為が起きた際の対応に当たったりすることにしている。物産もコンプライアンス委を設けているが、機能しなかったようだ。(2001.06.05 朝日新聞 東京朝刊11頁)
(エ)一般的に米国型の特色と思われているのは、より弾力的な雇用・給与体系や、社外重役・執行役員・外部監査・コンプライアンスオフィサー制度等に見られる経営の透明性や説明責任の重視、株主の資産価値上昇を第一に考える経営方針などである。(1999.08.30 読売新聞 東京朝刊1頁)
(オ)大和証券の原良也新社長は、(中略)総務管理室には、専任の役員、室長に、弁護士などによる「コンプライアンスオフィサー」(法令順守要員)を加え、違法取引に対するチェックを強化するとともに、捜査当局への連絡などを徹底し、総会屋、暴力団などとの関係を断絶する。(1997.10.01読売新聞 東京朝刊13頁)
(カ)西京信用金庫では、金融検定協会で最も難関とされている金融法務の上級試験『シニア・コンプライアンス・オフィサー』の資格取得者が141名に上っています(平成13年6月29日現在、全金融機関中35位、全国信用金庫中13位)。当金庫では、シニア・コンプライアンス・オフィサーの資格取得者を営業店ならびに本部の各部に平均して3名配置し、日々の営業活動に必要な金融法務を職場に浸透させるように努めております。(http://www.shinkin.co.jp/saikyo/houreizyunsyutaisei.htm)
(キ)《基礎実務試験、預金中級・融資中級試験、上級実務試験、シニアコンプライアンスオ フィサー》と任意検定試験《アシスタントファイナンシャルアドバイザー、法務・税務3級等》があります。(http://www.shinkin.co.jp/kiryu/saiyo/kenshu.htm)
(ク)本検定試験は、全銀協をはじめ各協会の法令遵守申合せのルールならびに金融庁から公表された金融検査マニュアルに則り、コンプライアンス・オフィサーや同担当者として必要な法令等の知識や法的判断能力の有無を判定するものであり、(中略)また生命保険会社職員向けのICOと併せて、合計4コースを用意しています。(http://www.bsig.ne.jp/kinken/cp_o_exam.html)
(ケ)コンプライアンス・オフィサー(銀行コース)試験問題集 重点整理と実践演習 2001年度版 著者: 出版社:金融財政事情研究会。 本書は、「コンプライアンス・オフィサー(銀行コース)」の受験生の学習の利便を図るためにまとめた問題解説集。(http://shopping.yahoo.co.jp/shop?d=jbid=30817768)
(コ)ACO(アシスタント・コンプライアンス・オフィサー)検定試験模擬問題集 金融検定協会認定 2001版 / 石井真司/監修 。(http://shopping.yahoo.co.jp/shop?d=jb=30881357)
(2)以上によれば、「金融コンプライアンスオフィサー1級」の文字よりなる本願商標からは、全体として「金融機関・金融取引等における法令等遵守監視員(専門職制)の1級(修得程度)」との意味合いが容易に理解されるものといえる。
そうとすれば、本願商標をその指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、提供に係る役務が「金融業務関連における法令遵守監視員1級の認定試験、又はそのための教育、研修会」等であることを理解、認識させるに止まり、これをもって自他役務の識別標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。また、上記役務以外の役務に使用した場合には、当該役務の質(内容)について誤認を生じさせるおそれがある。
ところで、請求人は、「本願商標は、請求人(出願人)が創造した造語であり、当該役務の質・内容を表示するものではない」旨主張しているが、上記事情よりして、本願商標は当該役務の質(内容)を表示するものとした前記認定を相当とするから、その主張を採用することはできない。
(3)結論
本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものといわざるを得ないから、これと同旨の理由をもって本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-11-07 
結審通知日 2002-11-15 
審決日 2002-12-02 
出願番号 商願平11-47801 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Z41)
T 1 8・ 13- Z (Z41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井出 英一郎 
特許庁審判長 上村 勉
特許庁審判官 鈴木 新五
中田みよ子
商標の称呼 キンユーコンプライアンスオフィサーイチキュー、キンユーコンプライアンスオフィサーイッキュー、キンユーコンプライアンスオフィサー 
代理人 小林 正治 

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