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審決分類 審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない Z16
管理番号 1072099 
審判番号 無効2000-35527 
総通号数 39 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-03-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-09-29 
確定日 2003-02-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第4356559号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.本件商標
本件登録第4356559号商標(以下「本件商標」という。)は、「SUPER GRIP」の欧文字を横書きしてなり、平成11年5月20日に登録出願、第16類「グリップ部に軟質ゴムの部材を装着した筆記具」を指定商品として、同12年1月28日に設定登録されたものである。

第2.請求人の引用商標
請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第840669号商標(以下「引用商標」という。)は、「グリップ」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和41年11月22日に登録出願、第25類「紙類、文房具類、但し三角定規、地球儀、計算尺、そろばん、およびその類似商品を除く」を指定商品として、同44年12月9日に設定登録、その後、3回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

第3.請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と主張し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第6号証を提出した。
1.商標の類似について
本件商標は、外観構成の全体から、「スーパーグリップ」の称呼及び観念を生ずるものである。
しかしながら、「SUPER」の文字は「上の」「非常に」の意味を有し、商品の品質,性能を誇示するため、他の語に冠して通常使用されている語である。すなわち、「SUPER」の文字は商品の品質表示であって、これ自体は自他商品の識別力を有しない文字部分であり、自他商品の識別力を有する文字部分は「GRIP」である。したがって、本件商標は、「スーパーグリップ」と称呼する外に、「グリップ」の称呼及び観念を容易かつ自然に生ずる。
これに対し、引用商標は、片仮名文字の「グリップ」から成るものであるから、「グリップ」の称呼及び観念を生ずるものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、ともに「グリップ」の称呼及び観念を有する類似の商標である。
2.商品の同一について
本件商標の指定商品は、第16類の「グリップ部に軟質ゴムの部材を装着した筆記具」であり、類似群コードを「25B01」とする文房具類中の商品である。
これに対し、引用商標の指定商品は、旧第25類の「紙類、文房具類、但し三角定規、地球儀、計算尺、そろばん、およびその類似商品を除く」である。
引用商標の指定商品が、但し書のある記載の指定商品となっている理由は、引用商標の出願書類から明らかなように、その審査時に、旧旧第18類「コンパス」を指定商品とした登録第331998号商標と類似する商標として拒絶引用されたことに対し、旧旧第18類の「教育用機械器具」に属する三角定規、地球儀、「算数器」に属する計算尺、そろばん及びその類似商品に限定して削除したものである。したがって、当時の旧旧第51類の「文房具」に属する「ペン及び鉛筆類」である「万年筆、鉛筆」等の筆記具については、決して削除されていないものであることは明らかである。
以上の事実は、甲第2号証の1回目及び2回目の更新登録出願に添付した「登録商標の使用説明書」によって、客観的に立証することができる。
すなわち、第1回目の昭和54年更新登録願第211382号(甲第3号証)では、商品「事務用クリップ」に商標を使用していることを証明し、2回目の平成1年更新登録願第214375号(甲第4号証)では、商品「クリップファイル」に商標を使用していることを証明した。これらの使用商品はいずれも、「旧第25類文房具類に属する商品」であり、指定商品の使用として更新登録されて、現在も有効に存続中の商標権である。
ちなみに、他人の商標登録第1487803号についても、引用商標と同様の但し書による商品除外の登録例が見られるが(甲第5号証)、こちらは正確に類似群コード「25B01」が記載されている(甲第6号証)。
3.むすび
本件商標の要部は「グリップ」の語にあるところ、これに対する、引用商標は「グリップ」の語である。
したがって、両商標は類似であるといわれるべきである。
しかも、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品である文房具類に含まれているものである。
以上のように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は商標法第46条第1項第1号の規定によって無効とされるべきである。
4.答弁に対する弁駁
(1)「類似商品審査基準」は類似商品の幅を決定するものではない。同基準において四角カッコで囲った見出しの商品に含まれる商品は、互いに類似商品であると「推定」されるに過ぎないから、具体的に商品の類否を判断する際には、実際の商取引、経済界の実情の推移から、同基準で類似と推定されたものでも非類似の商品と認められる場合も十分あり得る。
このように、商品の類否は、時代の流れと経済事情の変化に応じて推移する生き物であり、画一的に固定することは、かえって弊害を招く結果となるものである。
したがって、大正10年法当時また昭和34年法開始時においては、「三角定規、地球儀、計算尺、そろばんおよびその類似商品」とは旧旧第18類の教育用器械器具、算数器」を意味し、旧旧第50類の紙類や紙製品、旧旧第51類の文房具は含まれていないものである。
(2)引用商標は、指定商品中の種々の文房具類の商品に使用してきたものであり、1回目と2回目の更新時の使用商品が相違しても何ら不自然ではない。
また、取扱い商品の全てを商品カタログに掲載している訳ではないので、更新時の使用商品がカタログに掲載されていなくても何ら不自然ではない。
さらに、2回目の更新時の使用商品の品番が、T定規のものと同一であったとしても、商品が異なるので何ら不都合はない。
(3)本件商標中の「SUPER」の文字は「高級な」「優れた」といったような意味を有し、品質のすぐれていることを誇示するために冠して使用される語である。本件商標の場合も、「SUPER GRIP」全体で一つのまとまった意味を有するものではなく、「SUPER」の文字は正に誇称表示にすぎないのであり、自他商品の識別力を有するものは「GRIP」の文字である。よって、本件商標は「スーパーグリップ」と称呼する外に、単に「グリップ」の称呼及び観念を生ずるのを自然とするものである。
したがって、本件商標と引用商標は、明らかに「グリップ」の称呼及び観念を有する類似の商標といえるものである。

第4.被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第8号証を提出した。
1.商品の類否について
(1)引用商標は、昭和34年法時の第25類「紙類、文房具類、但し三角定規、地球儀、計算尺、そろばんおよびその類似商品を除く」を指定商品として登録されているものである以上、たとえ、引用商標の審査において大正10年法時の第18類「コンパス」を指定商品とする登録第331998号商標が引用され、これに起因して、引用商標の指定商品から「三角定規、地球儀、計算尺、そろばんおよびその類似商品」を除外したのであるとしても、ここで除外された商品は、昭和34年法時の第25類「三角定規、地球儀、計算尺、そろばんおよびその類似商品」であって、大正10年法時の第18類「三角定規、地球儀、計算尺、そろばんおよびその類似商品」ではない。にもかかわらず、請求人の主張するところは、引用商標の指定商品表示は、外見上、昭和34年法時の第25類「紙類、文房具類 但し三角定規、地球儀、計算尺、そろばんおよびその類似商品を除く」となっているが、その実質は昭和34年法時の第25類「紙類、文房具類 但し、大正10年法時の第18類『三角定規、地球儀、計算尺、そろばんおよびその類似商品』を除く」であるとするに等しいものであり、このような指定商品表示の解釈が認められるとすれば、取引界において商標を選択・使用する者は、先行商標の願書、登録公報及び商標登録原簿における指定商品の記載のみからでは登録商標の指定商品及び指定役務の範囲を特定することができないことになり、これら制度の存在意義が失われるばかりか、取引の安全も害されることになる。
したがって、引用商標の指定商品の範囲は、昭和34年法時の第25類「紙類、文房具類」から昭和34年法時の第25類「三角定規、地球儀、計算尺、そろばんおよびその類似商品」を除いたものである。
次に、旧第25類「三角定規、地球儀、計算尺、そろばんおよびその類似商品」の指定商品の範囲を検討するに、これら商品中の「三角定規、地球儀、計算尺、そろばん」は、「特許庁商標課編『商品区分』に基づく類似商品審査基準」(乙第1号証)において、「文房具類(柄付補虫網、毒つぼ、殺虫管、昆虫胴乱、昆虫採集箱を除く。)」に属するものとして例示されていることから、これら商品が「文房具類(柄付捕虫網、毒つぼ、殺虫管、昆虫胴乱、昆虫採集箱を除く。)」の範疇に属する商品であることは明らかである。
また、上記類似商品審査基準によって、「文房具類(柄付捕虫網、毒つぼ、殺虫管、昆虫胴乱、昆虫採集箱を除く。)」に属する商品は互いに類似する商品と推定されているのであるから、旧第25類「三角定規、地球儀、計算尺、そろばんおよびその類似商品」とは、「文房具類(柄付補虫網、毒つぼ、殺虫管、昆虫胴乱、昆虫採集箱を除く。)」に属する全ての商品を意味するものである。
そうすると、引用商標の指定商品の旧第25類「紙類、文房具類、但し三角定規、地球儀、計算尺、そろばんおよびその類似商品を除く」とは、旧第25類「紙類、文房具類 但し、文房具類(柄付捕虫網、毒つぼ、殺虫管、昆虫胴乱、昆虫採集箱を除く)を除く」、すなわち、旧第25類「紙類、柄付捕虫網、毒つぼ、殺虫管、昆虫胴乱、昆虫採集箱」を意味することになる。
これに対し、本件商標の指定商品は、第16類の「筆記具」の範疇に属する「グリップ部に軟質ゴムの部材を装着した筆記具」であり、この商品と旧第25類「紙類、柄付捕虫網、毒つぼ、殺虫管、昆虫胴乱、昆虫採集箱」とは、生産部門、用途、原材料、需要者の範囲等の点において相違する非類似の商品である。
また、第16類の「筆記具」と旧第25類「三角定規、地球儀、計算尺、そろばん」とは、生産部門、販売部門、用途、原材料、需要者の範囲等の点において一致し、いずれも類似群コードを「25B01」とする類似の商品であるところ(乙第2号証及び乙第3号証)、前記の通り、引用商標の指定商品からは旧第25類「三角定規、地球儀、計算尺、そろばん」及び「その類似商品」が除かれているのであるから、引用商標の指定商品は、本件商標の指定商品「グリップ部に軟質ゴムの部材を装着した筆記具」及びこれと類似する商品を含んでいないこともまた明らかである。
(2)請求人は、その主張の正当性を裏付ける証拠として引用商標の第1回目及び第2回目の更新登録出願に添付した「登録商標の使用説明書」(甲第2号証)を提出している。
しかしながら、引用商標の指定商品の範囲の実質は、前記の通り、旧第25類「紙類、柄付捕虫網、毒つぼ、殺虫管、昆虫胴乱、昆虫採集箱」であることが明白であるから、これら更新登録は、過誤によりなされたものであると言わざるを得ない。
したがって、甲第2号証は、請求人の主張を裏付ける証拠とはならないものである。
(3)そもそも、特許庁電子図書館の商標登録情報において付与されている類似群コードは、あくまでも参考情報として掲記されているものにすぎず、また、商標登録第1487803号に係る指定商品とその表示を同じくする引用商標の指定商品については、類似群コード「25A01 25B01」ではなく、類似群コード「25A01、25B02」が付与されていることから(乙第8号証)、甲第6号証は、請求人の主張を裏付ける証拠とはなり得ないものである。
以上述べたところから、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品に含まれるものではなく、また、引用商標の指定商品と類似するものでもない。
2.商標の類否について
本件商標は、「SUPER GRIP」の欧文字を同一の書体及び同一の大きさにより、外観上まとまりよく一体的に構成されるものであるから、両者は分離されることなく一体不可分のものとして認識、把握されるものである。また、本件商標より生ずる称呼「スーパーグリップ」は、格別冗長なものではなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。したがって、本件商標の構成から「GRIP」の欧文字のみが独立して、需要者・取引者に認識されることはないから、本件商標より生ずる称呼及び観念は「スーパーグリップ」のみである。
そこで、本件商標より生ずる称呼「スーパーグリップ」と引用商標より生ずる称呼「グリップ」を比較すると、その音数及び音構成の差により、需要者・取引者をして十分に区別し得る非類似のものである。
したがって、本件商標と引用商標は、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
3.むすび
以上述べたところから、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものでないことが明らかであり、また、本件商標は、引用商標と同一又は類似するものではない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、その登録は、商標法第46条第1項第1号の規定により無効にされるべきでない。

第5 当審の判断
本件商標と引用商標の商品の類否についてみるに、引用商標は、その登録出願時(昭和41年11月22日)の商標法施行規則(旧)別表第25類「紙類、文房具類、但し三角定規、地球儀、計算尺、そろばん、およびその類似商品を除く」を指定商品として、登録されたものである。
そうすると、引用商標の出願から登録までの経過において、請求人の主張する商品類別第18類「コンパス」を指定商品とする登録第331998号商標(昭和14年10月25日登録出願)を引用されたことをもとに、その指定商品「紙類、文房具類」から「三角定規、地球儀、計算尺、そろばん、およびその類似商品」を除外する補正がなされて登録されたものであるとしても、この場合における「類似商品」の範囲というのは、その指定商品の補正がなされた時点における商品の類似の範囲と解するのが相当であり、これに反する請求人の主張は採用できない。
そこで、引用商標の指定商品中の「三角定規、地球儀、計算尺、そろばん、およびその類似商品を除く」の範囲を検討するに、商標法施行規則(旧)別表第25類所定の商品例示をみると、この商品中の「三角定規、地球儀、計算尺、そろばん」は、「文房具類」の概念に属する商品ということができる。そして、「特許庁商標課編『商品区分』に基づく類似商品審査基準」(乙第1号証)をみるに、前記商品は、商品区分第25類の「文房具類(柄付捕虫網、毒つぼ、殺虫管、昆虫胴乱、昆虫採集箱を除く。)」に属するものと認められ、この範疇に属する商品は、その用途、販売場所等を総合するに、互いに類似する商品というのが相当である。また、「文房具類(柄付捕虫網、毒つぼ、殺虫管、昆虫胴乱、昆虫採集箱を除く。)」と「柄付捕虫網、毒つぼ、殺虫管、昆虫胴乱、昆虫採集箱」の商品は、その用途、販売場所を異にするから、非類似の商品というのが相当である。
そうすると、引用商標の指定商品「紙類、文房具類、但し三角定規、地球儀、計算尺、そろばん、およびその類似商品を除く」とは、実質的には、「紙類、柄付捕虫網、毒つぼ、殺虫管、昆虫胴乱、昆虫採集箱」を指定商品として登録されたものというべきであって、該指定商品中には、「文房具類(柄付捕虫網、毒つぼ、殺虫管、昆虫胴乱、昆虫採集箱を除く。)」が除外されていると認められるものである。
してみると、本件商標の指定商品「グリップ部に軟質ゴムの部材を装着した筆記具」は、「文房具類(柄付捕虫網、毒つぼ、殺虫管、昆虫胴乱、昆虫採集箱を除く。)」の範疇に属する商品であるというのが相当であるから、引用商標の指定商品「紙類、文房具類、但し三角定規、地球儀、計算尺、そろばん、およびその類似商品を除く」とは、その生産部門、販売部門、用途、需要者の範囲等から総合的に観察するに、一致する点を見出し難いものであるから、両商品は、互いに非類似の商品といわなければならない。
なお、請求人は、引用商標の商標権については1回目及び2回目の更新登録出願において、第1回目は商品「事務用クリップ」、また、第2回目は商品「クリップファイル」に登録商標を使用していることが認められ、更新登録がされており(甲第3号証及び同第4号証)、さらに、他人の商標登録第1487803号についても、引用商標と同様の但し書による商品除外の登録例に類似群コード「25B01」が記載されているので(甲第6号証)、引用商標の指定商品は、「文房具」に属する「ペン及び鉛筆類」である「万年筆、鉛筆」等の筆記具については削除されていない旨主張しているが、たとえ、そのような事実があったとしても、「類似商品」の範囲は、前記の如く解するのが相当であり、また、特許庁の電子図書館より検索した詳細表示という甲第6号証中に「文房具類(柄付捕虫網、毒つぼ、殺虫管、昆虫胴乱、昆虫採集箱を除く。)」の類似群を表すものとして用いられている「25B01」のコードが付されているとしても、このコードはあくまでも「参考情報」を示しているにすぎず、検索等の便宜をも考慮して付与されているにすぎないから、本件商標の商標公報の類似群コードに同一の「25B01」が付されている理由のみをもって、類似群コードを共通にする商品同士が、直ちに類似の商品となるものではない。
してみれば、本件商標は、引用商標と、商標の類否について判断するまでもなく、指定商品において類似しないものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
したがって、本件商標は、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-04-01 
結審通知日 2002-04-04 
審決日 2002-04-17 
出願番号 商願平11-44351 
審決分類 T 1 11・ 26- Y (Z16)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原田 信彦 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 小林 和男
柳原 雪身
登録日 2000-01-28 
登録番号 商標登録第4356559号(T4356559) 
商標の称呼 スーパーグリップ 
代理人 牛木 理一 
代理人 石田 昌彦 
代理人 遠藤 祐吾 
代理人 村橋 史雄 

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