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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 042
管理番号 1072026 
審判番号 取消2000-30455 
総通号数 39 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-03-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2000-04-14 
確定日 2003-01-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第3132082号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3132082号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3132082号商標(以下「本件商標」という。)は、「SUN-A」の文字を横書きしてなり、商標法一部改正(平成3年法律第65号)附則第5条第1項による使用に基づく特例の適用の主張を伴う出願として平成4年9月28日登録出願、第42類「電子計算機(機器組込み用中央処理装置を含む)のプログラムの設計・作成又は保守」を指定役務として、同8年3月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
1.本件商標は、その指定役務中のいずれについても、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2.答弁に対する弁駁
被請求人は、本件商標はシステムとして機器組込みのプログラムという形にて特定の顧客に販売する中で、現在に至るまで使用されている旨主張する。
しかしながら、本件商標に係る役務は,プログラムの設計又は作成そのものであり、かかる行為を提供する場合を指すのである。しかるに、被請求人の主張する行為は、システム機器の販売であり、そこで使用されている商標は、いわゆる商品商標である。自動化のため、プログラムが組込まれたシステム機器は、商標法上の商品であり、機器の組立て調整のために、そのプログラムを変更するのは、当該システム機器の販売に付随するサービスにすぎないか、あるいは、システム機器の修理又は保守であって、第37類に分類される役務である。
したがって、被請求人の主張する事実及び証拠によっては、本件商標に係る指定役務である「電子計算機(機器組込み用中央処理装置を含む)のプログラムの設計・作成又は保守」に本件商標が使用された立証はないといわざるを得ない。
よって,本件商標は、前記1.のとおり、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」旨答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、会社案内、業務別パンフレット(SOLUTION/FACTORY AUTOMATION)、1999年4月13日付け見積書(見積書No 99013)、1999年4月20日付け注文書3通、1999年5月10日付け見積・価格交渉依頼書、1999年6月22日付け見積書(見積書No 99009)、A4及びB5サイズの封筒並びに「技術部開発技術課主事 岡崎憲三」の名刺を提出した。
1.本件商標は、システムとして機器組込みのプログラムという形にて特定の顧客に販売する中で、現在に至るまで使用している。よって商標法第50条第1項の規定に該当しない。
2.請求人は、プログラムが組込まれたシステム機器の販売を目的としたものであり、「電子計算機(機器組込み用中央処理装置を含む)のプログラムの設計・作成又は保守」に本件商標が、使用された立証はない旨主張するが、請求人の主張は、システム機器モデルを販売するがためにプログラムを作成して組み込むというものである。
しかしながら、被請求人は、顧客の求めを具現化したプログラムの開発を行った後に、そのプログラムのパフォーマンスを引き出す最良のシステム機器をどう構築するかといった開発プロセスであり、第42類に属する役務に該当する。

第4 当審の判断
被請求人は、「顧客の求めを具現化したプログラムの開発を行った後に、そのプログラムのパフォーマンスを引き出す最良のシステム機器をどう構築するかといった開発プロセス」について本件商標を使用している旨主張するので、以下検討する。
1.被請求人の提出した書証によれば、以下の事実が認められる。
(1)被請求人の会社案内の「製品領域」によれば、「当社は、高周波高出力モジュール(GaAs・Si)、ハイブリッドIC、各種半導体センサ、IPM(インテリジェントパワーモジュール)、パワートランジスタ等の製品を生産し、情報通信分野をはじめ自動車関連、家電、FA等、幅広い産業分野に提供しています。」の記述がある。また、同パンフッレトの表紙には、本件商標と社会通念上同一と認められる「SUN-A」の表示があるが、その発行年月日は不明である。
(2)業務別パンフレット(SOLUTION/FACTORY AUTOMATION)の「製造品目」には、「車載用ハイブリッドIC、高周波電力増幅トランジスタ、自動車電話用及び移動無線用の高周波電力増幅ハイブリッドIC、衛星放送受信用等に使用されるGaAs電界効果形トランジスタ・HEMT、インテリジェントパワーモジュール等の半導体部品製造、FA関連各種省力化自動装置の設計製造」の記載があり、「OEM供給製品例」として「チップコンデンサー特性検査装置/機構部、操作部、表示部等の制御装置、及び計測部の制御装置をOEM供給。(ハードウエア、ソフトウエア)」、「両面基板検査装置/機構部、操作部、表示部等、システム全体の制御装置をOEM供給。(ハードウエア、ソフトウエア)」、「TAB検査装置/機構部、操作部、表示部等、システム全体の制御装置をOEM供給。(ハードウエア、ソフトウエア)」の記載があり、また、「自社ブランド製品例」として「汎用DCテスター」、「加熱通電エージング装置」、「電気的特性検査用プロービング装置」、「ワーク自動供給装置」、「水系自動洗浄装置」が掲載されている。また、その裏表紙には、大きく書された「SUN-A」とその下に該「SUN-A」と同一の幅で書された「CORPORATION」の表示がある。ただし、発行年月日は不明である。
(3)1999年4月13日付け見積書(見積書No 99013)は、被請求人から三菱電機株式会社(以下「三菱電機」という。)に宛てたものであるところ、「品名及び仕様」欄には、「Gセンサーテストシステム」として「Gセンサー動特性検査システム 一式(数量) 3,298,950(金額)」、「Gセンサー静特性検査システム#1、#2 一式(数量) 6,825,200(金額)」等の記載がある。ただし、この見積書には本件商標ないしこれと社会通念上同一と認められる商標の表示はない。
また、上記見積書に添付の「Gセンサー動特性検査システム内訳」及び「Gセンサー静特性検査システム#1、#2内訳」には、「組立調整費」及び「開発費」として、それぞれの金額が記入されている。
(4)1999年4月20日付け注文書(3通)は、被請求人三次工場から三光電業株式会社に宛てた、「発行No.」をそれぞれ「D0008Z」、「D0009Z」、「D0010Z」とするもので、そのうちの「D0008Z」、「D0009Z」の「品名」欄には、「静特性#1 インターフェース」、「静特性#2 インターフェース」として、いずれも「PCI-4304Pドライバー付属(95,NT)、IBX-2796C64点、CAB-6402、VCT-2000、VCW-2000、PCI-3329ドライバー付属(95,NT)、CAB-8302終端アンフェノール36PI」が記載され、それぞれの数量は1ないし2である。また、「D0010Z」の「品名」欄には、「動特性インターフェース」として「PCI-4304Pドライバー付属(95,NT)、PCI-3329ドライバー付属(95,NT)、CAB-8302終端アンフェノール36PI、IBX-、3135、CAB-7402終端アンフェノール50PI、VIW-3100、VIT-3100、IBX-2796C64点、CAB-6402 5m、UCI-1401Wp(PCI-PCI 4slot)」が記載され、それぞれの数量は1ないし2である。これら注文書の右下には、「SUN-A Co.,Ltd.」と表示されている。
(5)1999年5月10日付け見積・価格交渉依頼書は、三菱電機(半導体生産・技術統括部/資材部)から被請求人(開発技術課)に宛てたもので、「品名」欄には、「Gセンサーテストシステム」、「Gセンサートリマー#2追加費用」の記載があり、「貴社見積NO.」欄には、前者については前記(3)の「見積書No 99013」と同じ「99013」が記載され、後者については後記(6)の「見積書No 99009」と同じ「99009」が記載されている。
(6)1999年6月22日付け見積書(見積書No 99009)は、被請求人から三菱電機に宛てたものであるところ、「品名及び仕様」欄には、「Gセンサートリマー#2追加費用」として「パルスコントローラー、ワークステージベース及びシャフト、バッファBox、テストフィクスチャー、組立調整費」とあり、それぞれの数量はいずれも「一式」である。また、「Gセンサートリマー#2追加費用内訳」として上記「Gセンサートリマー#2追加費用」として記載された項目に加え、「組立調整費」には、「ソフトウエア変更調整費 一式」として「81,000(円)」及び「ハードウエア改造調整費 一式」として「27,000(円)」の記載が加えられている。ただし、この見積書には本件商標ないしこれと社会通念上同一と認められる商標の表示はない。
(7)A4及びB5サイズの封筒には、それぞれ色彩を黒をすれば、本件商標と同一の商標が表示されている。
(8)「技術部開発技術課主事 岡崎憲三」の名刺には、被請求人の名称である「株式会社サンエー」の表示の上に小さく「三菱電機株式会社協力会社」の文字が記載されている。
2.上記1.で認定した事実を総合すると、以下の点において、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標をその指定役務について使用していたかを確認することができない。
(1)会社案内によれば、被請求人は、半導体関連商品の製造を主たる業務とするものと認められ、本件商標の指定役務に関し、業務を行っているとの記載は認められない。
また、業務別パンフレットに掲載された「自社ブランド製品例」は、商品に関するものであり、「OEM供給製品例」には、紹介されている商品の下に「(ハードウエア、ソフトウエア)」の記載が認められるとしても、これが本件商標の指定役務である「電子計算機(機器組込み用中央処理装置を含む)のプログラムの設計・作成又は保守」と如何なる関係を有するものであるのか不明であるし、本件商標が使用されないものであることは明らかである。
(2)三菱電機と被請求人との間における1999年4月13日付け及び1999年6月22日付け「御見積書」に記載された「Gセンサーテストシステム」及び「Gセンサートリマー」は、会社案内及び業務用パンフレットのいずれにも掲載されておらず、「自社ブランド製品例」であるのか、「OEM供給製品例」であるのか把握できないばかりか、これら取引に係る商品について、本件商標の指定役務である「電子計算機(機器組込み用中央処理装置を含む)のプログラムの設計・作成又は保守」なる行為がなされたのかも把握することができない。
(3)1999年6月22日付け見積書の「Gセンサートリマー#2追加費用内訳」には、「組立調整費/ソフトウエア変更調整費」の記載があるところ、「ソフトウエア変更調整」が本件商標の指定商品との関係において、請求に係る指定役務に含まれるものであることを把握することができないのみならず、上記取引書類には、本件商標ないしこれと社会通念上同一と認められる商標の表示がない。
(4)1999年4月20日付け注文書(3通)には、「SUN-A Co.,Ltd.」と表示されているが、この注文書は、数量の表示からして商品の取引書類と認められるものである。
(5)A4及びB5サイズの封筒には本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示が表示されているとしても、これをもってしては、本件商標が請求に係る指定役務に使用されていたことを確認することはできない。
(6)「技術部開発技術課主事 岡崎憲三」の名刺には、被請求人の表示の上に、「三菱電機株式会社協力会社」と記載されており、また、平成14年7月22日付け答弁書によれば、被請求人は「本件商標の使用は特定の顧客並びに分野を対象としたものとしている」旨述べていること、及び上記(1)ないし(3)で述べた事項を併せ考えると、被請求人が取り扱う商品中、「OEM供給製品」について何らかの役務が提供されていたと窺うことができるが、該商品の販売の際に提供される役務について使用される商標は、本件商標の使用ではなかったと推測される。
3.前記2.に関し、審判長は、被請求人対し、平成14年9月3日付けの審尋書をもって審尋をしたところ、被請求人は何らの回答をなさないものである。
4.してみると、被請求人の提出した各書証は、これを総合して勘案するも、本件商標の使用の事実と使用に係る役務との関連性を全く見出すことができず、したがって、本件商標が本件審判の請求前3年以内に使用されていたという事実を証明する書証としては、不十分であるといわざるを得ない。
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標をその指定役務のいずれについても使用していたことを証明したということはできない。また、被請求人は、使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-11-15 
結審通知日 2002-11-20 
審決日 2002-12-03 
出願番号 商願平4-257704 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (042)
最終処分 成立  
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 茂木 静代
野本 登美男
登録日 1996-03-29 
登録番号 商標登録第3132082号(T3132082) 
商標の称呼 サンエイ、サン 
代理人 関根 秀太 

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