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審決分類 審判 査定不服 商3条1項4号 ありふれた氏、名称 取り消して登録 012
管理番号 1070878 
審判番号 審判1998-12947 
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-08-17 
確定日 2003-01-15 
事件の表示 平成 8年商標登録願第104393号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲に示したとおりの構成よりなり、平成8年9月13日に登録出願、指定商品については、平成14年11月18日付をもって手続補正書が提出され、第12類「救助装置を装備した自動車」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、ありふれた氏である『森田』『守田』等に通じる『モリタ』の文字に、会社の種類を表し、その商号を表示するために付さなければならないことが法律上定められている『株式会社』の文字を冠したものであるから、ありふれた名称普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標にすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、別掲に示すとおり「株式会社モリタ」の文字を普通に用いられる域を脱しない程度の書体をもって表してなるものである。
ところで、その構成中の「株式会社」の文字は、法人が、株式組織を有する会社であることを示すため、その商号中に使用する文字である。
また、一般的に「モリタ」の片仮名文字より、氏姓の一つである「森田」を直ちに想起しあるいはその意味合いを容易に感得し得るものであることは、例えば、株式会社三省堂1989年第三刷発行「大辞林」の「もりた」の項において、「[森田]姓氏の一。・・・」との用語解説よりして、見易いところといわなければならない。
そして、「モリタ」と称呼される「森田」の氏姓が、例えば、平成13年3月 日本電信電話株式会社発行に係る「ハローページ 東京23区 個人名全区版・下巻」を見ると約1800もの数の「森田」姓を見出すことができ、さらには1972年3月8日 六藝書房発行・佐久間英著「日本人の姓」の中の当該記載からは、全国で10万位存在する氏である旨の解説とを併せ考えると「森田」はありふれた氏姓と認められるものであって、一般にその氏姓を片仮名文字で表示する場合も決して少なくないことからして、「モリタ」の文字に接した者は、ありふれた氏姓の「森田」と理解し、把握するにとどまるものといわざるを得ない。
そうとすると、本願商標は、株式組織である会社の商号中に使用される「株式会社」の文字と、ありふれた氏姓である「森田」に通ずる「モリタ」の文字とを普通に用いられる程度の態様で「株式会社モリタ」と表してなるものであるから、これをその指定商品に使用しても、取引者または需要者はありふれた名称を表示するものとして理解し、把握するにとどまり、これをもって自他商品の識別標識としての機能を果たす文字とは認識し得ないものといわなければならない。
したがって、この限りにおいて原査定の判断は妥当なものである。
しかしながら、請求人(出願人、以下同じ。)は、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備していると主張し、証拠方法として甲第1ないし第15号証(枝番号を含む。)を提出しているので、以下、この点について検討する。
1)実際に使用している商標および商品
請求人が、商品「救助装置を装備した自動車」及びこれと需要者を共通とすると主張する商品「消防車」に使用しているとして甲各号証で示している商標は、本願商標とその構成において同一の商標といえるものである。
2)使用開始時期および使用期間
提出された登記簿謄本のコピー(甲第2号証の1)会社案内(甲第2号証の3及び第5号証)からすれば、請求人は平成9年4月1日から本願商標を消火器、消防車に使用してきており、現在も継続して使用していると認め得るものである。
なお、請求人は平成9年4月1日「株式会社モリタ」と商号を改称する以前においても、昭和7年「株式会社モリタガソリン喞筒製作所」設立以来、昭和14年「森田喞筒株式会社」、昭和36年「森田ポンプ株式会社」、平成9年4月1日「株式会社モリタ」と一貫して「モリタ」の称呼を伴う商号を使用していた事実も認められる。
3)使用地域
提出された会社案内(甲第2号証の3及び第3号証)に記載されている請求人会社の事業所所在地によれば、請求人は、全国規模による事業展開を行っており、本願商標を付した商品「消防車」は、全国的規模で市場流通に供されていると推認されるものである。
4)指定商品の販売数量
請求人は、平成14年9月30日付提出の手続補正書において、商品「救助装置を装備した自動車」の国内における年間総生産数量が40台前後であり、うち20台前後を請求人が生産している旨を主張する。
しかして、提出された受託試験・鑑定試験台数比較表(過去10年間台数比較)(甲第4号証)及び社団法人日本消防ポンプ協会の平成10年事業報告書(甲第5号証)によれば、請求人は「消防車」を取り扱う業界においてトップクラスのシェアを有していることが認められることから、「消防車」と需要者、製造・販売者、を共通とする指定商品「救助装置を装備した自動車」についても相当程度の販売実績を得ているとの請求人の主張は信用性が十分認められるものである。
5)広告宣伝の方法、回数
商品カタログに係る納品書(甲第11号証)に記載された数量、日本経済新聞への広告(甲第2号証の80ないし83)、新日本消防新聞への広告掲載証明書(甲第12号証)及び審判請求書中の請求人の主張によれば、商品カタログに関しては、平成9年1月1日から平成14年8月31日までの間に、「はしご付消防車・その他の消防車」については約11万部以上作成・配付されていることが、広告に関しては平成9年以降、「はしご付消防車・その他の消防車」についての広告を全国の消防関連施設・企業を講読者とする新聞・雑誌に継続的に掲載していることが推認される。ところで、本願商標に係る商品「はしご付消防車・その他の消防車」は、主に市町村に置かれる公的機関の消防署において使用されるものであって、単体の商品として取引・流通の場に供されるというよりも、むしろ、契約時に全体の設計仕様とともに、カタログ等により選択、販売されることが通例であり、また、その単価も決して安価なものとはいえないことから、当該カタログの配付数量及び広告媒体をもって、本願商標の「はしご付消防車・その他の消防車」についての宣伝活動・実績は、相当程度高いとみて差し支えないものと認められる。
6)他者による「モリタ」の商標の使用の有無
当審において職権をもって調査したところ、本願の指定商品に関して「モリタ」の文字及び「モリタ」と称呼される商標が、請求人以外の者により使用されている事実は発見できなかった。
7)本願指定商品「救助装置を装備した自動車」と商品「消防車」との関係
請求人は、本願指定商品である「救助装置を装備した自動車」と「消防車」とは需要者及び製造・販売者を共通にするものであるから、「救助装置を装備した自動車」の使用実績を証明するとともに、「消防車」における著名性及び使用による自他商品識別標識としての機能の獲得の事実を証明することにより、「救助装置を装備した自動車」についても自他商品識別標識としての機能を有することを証明する旨主張する。
しかして、提出された甲15号証によれば、「救助装置を装備した自動車」は「消防車」と共に消防署を主な需要者とし、火事、事故等、災害時の救助活動に使用され、災害の状況により「消防車」と共に或いは単独で使用される特殊車両であることから、「救助装置を装備した自動車」と「消防車」は需要者、製造・販売者、販売方法、使用の場所、用途を同一とする非常に近似した類似の商品と認められる。
そうとすれば、本願商標の「救助装置を装備した自動車」についての著名性は、「消防車」における著名性と同様と判断するを相当とする。
以上、上記の1)ないし7)を総合して検討すれば、本願商標は、平成9年4月以降継続して使用された結果、これが請求人の取り扱いに係る商品「救助装置を装備した自動車」の商標として、本願指定商品の取引者、需要者間において、広く認識されるに至ったものといい得るものである。
そして、また本願商標の指定商品は、前記1のとおり「救助装置を装備した自動車」に補正されたものである。
してみれば、本願商標は、上記商品について商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものというべく、これをなお原査定の理由をもって拒絶すべきものとすることはできない。
その他、本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (別掲)
本願商標

審理終結日 2002-07-25 
結審通知日 2002-08-06 
審決日 2002-12-16 
出願番号 商願平8-104393 
審決分類 T 1 8・ 14- WY (012)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中束 としえ 
特許庁審判長 小池 隆
特許庁審判官 田中 幸一
山口 烈
商標の称呼 モリタ 
代理人 田中 秀佳 
代理人 白石 吉之 
代理人 江原 省吾 
代理人 城村 邦彦 

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