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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 107
管理番号 1070696 
審判番号 取消2001-30374 
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-02-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2001-03-29 
確定日 2002-12-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第1975179号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第1975179号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和57年3月29日に登録出願、第7類「広幅に波付けした形状の合成樹脂製のベランダ、バルコニー用床板、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和62年8月19日に設定登録、その後、平成9年6月3日に商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、「本件商標の指定商品中『建築用又は構築用の金属製専用材料』に係る登録は、これを取り消す、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1ないし第3号証を提出した。
(1)甲第3号証は、インターネットのホームページに掲載された被請求人の会社概要であり、ここに記載されている主要営業品目には「電線・電纜」、「合成樹脂押出成形品」及び「工業用(ゴム・プラスチック)製品」の3種類が示され、各項目に具体的な商品名が記載されている。
この中で、本件の指定商品中、「広幅に波付けした形状の合成樹脂製のベランダ、バルコニー用床板」(類似群コード07A03)は、営業品目の工業用プラスチック製品に該当するが、「建築用又は構築用の金属製専用材料」(類似群コード07AOI)については、本件商標の使用をしている事実は全く認められない。
また、甲第1号証の登録原簿に、専用使用権者又は通常使用権者の登録はなく、これらによる使用も認められない。
よって、本件商標は、継続して3年以上、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも、その指定商品中、「建築用又は構築用の金属製専用材料」について使用をしていないものであるから、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消されるべきである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁
(ア)被請求人は、商標権者自身によって、本件商標を、日本国内において、その指定商品「金属製建築または構築専用材料」の一つである「窓枠用サッシ」について、この3年間より長きにわたって継続して使用していると主張し、その理由として、被請求人のホームページの「沿革」に「1981年(昭和56年)アルミ異形押出複合の技術を開発」が掲載されていることを述べている。また、当該アルミ異形押出複合の開発品である窓枠用サッシについて、同年に被請求人らが実用新案登録出願した公告公報(乙第11号証)によっても推察できると述べている。
また、被請求人は、「窓枠用サッシ」とは、従来品の一枚ガラス専用の窓枠の内側に取りつけて、複層ガラスをはめることができるようにするアタッチメントのことであると定義している。つまり、被請求人の定義している「窓枠用サッシ」は、アルミ製窓枠を複層ガラス用にするアタッチメントであると述べている。
一般に、「サッシ」とは、国語辞典によると「窓枠」を意味するもので、「窓枠用サッシ」とは、すなわち、ガラスをはめ込む窓枠を指すものであり、これを組立てる前の部材であるアルミニウム押出材は窓枠ではない。つまり、窓枠を構成するアルミニウム押出材や、これを連結するビス、ガラスなどは独立した部品として取引されるが、これで構成されているからといって、アルミニウム押出材や、ビス、ガラスは窓枠でないこと明らかである。
被請求人が製造販売している「窓枠(サッシ)」は、窓枠を組立てる部材であるアルミニウム押出材であり、これは類似群06A02(商願平9-123579参照)に属する商品であり、本件商標の「窓枠」は類似群07A01とは異なる商品群である。
(イ)乙第1号証の1は、カタログのカバーで、このカバーの背表紙と裏表紙に、本件商標が付されていることは認める。乙第1号証の3は、窓枠用二重サッシを構成する部材の断面写真であり、「窓枠(サッシ)」は示されていない。乙第1号証の4の右上の写真は、アルミニウム押出材に軟質合成樹脂のシールを設ける複合押出し成型のラインであるが、これは部材を製造するラインであり、完成した「窓枠」はどこにも掲載されていない。
したがって、窓枠用の部材であるアルミニウム押出材や、これに樹脂を被覆するラインの写真が、本件商標が付されているカタログに掲載されているからといって、完成した「窓枠」は全く示されておらず、本件商標を建築用又は構築用の金属製専用材料に使用していることにはならない。
よって、乙第1号証のカタログは、本件商標を「窓枠」に使用している事実を示す証拠とはいえず、また乙第2及び第3号証のカタログを制作したという大光印刷株式会社の証明は、本件商標の使用を証明するものではない。
また、同カタログが本件審判請求の登録前に営業活動の場において配布されている証明として、乙第4ないし第7号証のカタログの配布先の証明書が提出されている。しかし、いずれの証明書も、被請求人が示した見本をそのまま同一の文言で証明しているもので、取引関係にある付き合いの上から、証明した私人間の証明であり、全く証拠価値が認められない。
しかも、商談でカタログを受け取ったという日が平成12年の6月から12月頃の間に集中しており、通常の営業活動において約2年も前の月まで正確に覚えていること事態、不自然であり、まして、証明書を発行するほどに年月を覚えているとは考えられず、全く証拠力のないものである。
(ウ)乙第8号証の1は、日本板硝子株式会社のガラス建材の総合カタログである。この22頁及び23頁に被請求人により製造販売されている「アタッチメント構造図」が掲載されているが、これは22頁左上に「ペアマルチホームは単板ガラス用アルミサッシへ取り付けるための専用アタッチメントがついた改修用の複層ガラスです」と記載されているように、日本板硝子株式会社が販売する複層ガラスの付属品としては記載されているが、被請求人自身が本件商標を付した窓枠を販売している証拠は何ら示されていない。
さらに、乙第9号証の2は、日本板硝子株式会社が承認した制作図面であるが、これも押出材であり、完成した窓枠(サッシ)ではない。したがって、乙第10号証の取引書類も、構成部材である押出材の取引状況を示すだけで、「窓枠」の取引状態を示すものではない。
乙第11号証の実用新案登録公告公報は、被請求人が日本板硝子株式会社と共同出願した二重サッシであると主張しているが、考案の名称も「並列ガラスの密封保持材」であり、窓枠そのものを販売している証拠とはならない。
(4)したがって、被請求人が提出した乙各号証は、「窓枠」の部材である樹脂を被覆したアルミニウム押出材(類似群06A02)を示してはいるが、本件指定商品の「建築用又は構築用の金属製専用材料」(類似群07AOI)に該当する「窓枠」に本件商標の使用をしている事実は全く認められない。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1ないし第11号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標の使用商品について
(ア)本件商標は、商標権者自身によって、日本国内において、本件商標の指定商品「金属製建築または構築専用材料」の一つである「窓枠用サッシ」について、この3年間より長きにわたって継続して使用されている。この点については、請求人が甲第3号証として提出した被請求人のホームページの「沿革」に「1981年(昭和56年)アルミ異形押出複合の技術を開発」が掲載されていたり、当該アルミ異形押出複合の開発品である窓枠用サッシについて、同年に被請求人らが実用新案登録出願した公告公報(乙第11号証)によっても推察できるところである。
(イ)「窓枠用サッシ」とは、従来品の一枚ガラス専用の窓枠の内側に取りつけて、複層ガラスをはめることができるようにするアタッチメントのことである。さらに詳しくは、そのような窓枠にはまっている一枚ガラスに換えて挿入する下部(挿入部)と、複層ガラスを取りつける上部(枠部)とからなるアルミニウム成型品を本体とし、その本体の挿入部の両側に合成樹脂製のシール材を設けたものである。
なお、被請求人においては、このアタッチメントは、もとのアルミ製窓枠を複層ガラス用にするものであるところから、通称「二重サッシ」と称している。
(ウ)「二重サッシ」は、上記説明からも、また、二重サッシ(窓枠用サッシ)の実用新案公告公報(乙第11号証)の技術内容からも、旧7類の金属製建築専用材料に含まれることは明らかである。
(2)本件商標の「二重サッシ」への使用について
乙第1号証の1はカタログのカバーである。このカバーの背表紙と裏表紙には本件商標が付されている。さらに、乙第1号証の2は、カタログ本体の1枚目の表面であり、会社概要を記している。この頁の左上には、本件商標が付されている。乙第1号証の3は、カタログ本体の第4枚目であり、その表面には、窓枠用二重サッシの断面写真が掲載されている。そして、裏面の左上には、これの使用状態の写真(アルミサッシ二重窓)が掲載されている。乙第1号証の4は、カタログ本体の第8枚目で、表面の右上の写真(軟質押出し成型製造ライン)は、「二重サッシ」の製造ライン、つまり金属であるアルミニウム製本体に軟質合成樹脂のシールを設ける複合押出し成型のラインである。この製造ラインは、被請求人の羽曳野工場に設置されている。
乙第1号証の1ないし4は、本件商標と、本件商標の指定商品の-つである二重サッシの写真と、その使用状態の写真とが同時掲載されていることが明白であり、本件商標が二重サッシに使用されていること、また、金属製建築専用材料に使用されていることが明白である。
(3)本件審判請求以前より使用していたことの立証について
(ア)乙第2号証は、乙第1号証(枝番を含む。以下、本項(3)において同じ。)のカタログを制作した大光印刷株式会社の書証である。また、乙第3号証の1は、乙第1号証のカタログを被請求人へ納品したことを証明するための大光印刷株式会社の納品伝票の写しである。乙第3号証の2は、同社の被請求人に当てた請求書の写しである。乙第1号証のカタログにはカタログの制作会社が記載されていないが、乙第2号証により、カタログを制作した会社が大光印刷株式会社であることが明らかである。また、乙第3号証の1により、そのカタログが平成11年12月16日に納品されていたことが明らかである。このカタログは納品後現在にいたるまでの間、営業活動の場において配布されている。
(イ)乙第4号証から乙第7号証は、乙第1号証のカタログの配布先の書証である。
(a)乙第4号証:平成12年10月頃、株式会社ダイワの真田昌行氏は、乙第1号証のカタログを被請求人である株式会社三ツ星の谷本より受け取ったことを立証している。
(b)乙第5号証:平成12年8月頃、伊藤忠ポリマー株式会社の小寺正仁氏は、乙第1号証のカタログを被請求人である株式会社三ツ星の建部より受け取ったことを立証している。
(c)乙第6号証:平成12年6月頃、株式会社野口製作所の脇元俊臣氏は、乙第1号証のカタログを被請求人である株式会社三ツ星の吉田より受け取ったことを立証している。
(d)乙第7号証:平成12年9月頃、チトセ株式会社の佐土原進也氏は、乙第1号証のカタログを被請求人である株式会社三ツ星の吉田より受け取ったことを立証している。
上記の乙第4ないし第7号証により、乙第1号証のカタログが本件審判請求前に配布されていたことは明白であるから、本件商標が二重サッシについて本件審判請求前に被請求人により使用されていたことは確実である
(4)更なる使用事実について
(ア)乙第8号証の1は、発行日が1998年7月20日、発行者が日本板硝子株式会社である同社のガラス建材の総合カタログ(表表紙、裏表紙及び最終頁のコピー)である。また、乙第8号証の2は、同カタログの22頁および23頁であり、23頁の左下方に被請求人により製造販売されている「アタッチメント構造図」が掲載されている。
以下、生産量の多いN2型を代表例として、アタッチメントが被請求人の製造販売にかかる「二重サッシ」であることを立証する。
(イ)乙第9号証の1は、乙第8号証の2に記載されている型番が「N2型」のアタッチメントの製造に際し、被請求人から日本板硝子株式会社へ、平成9年10月2日付けで制作した制作図面について、日本板硝子株式会社が承認した制作図面である。この制作図面は、乙第8号証の2のアタッチメントの構造図「N2型」と同一の断面図であることは明らかである。また、この制作図面の右上には「制作図面の差出日:H9.10.2」と「宛名:日本板硝子(株)殿」と「アタッチメントの名称:ホームマルチN2」が記載されている。また、同右下には、被請求人株式会社三ツ星の技術担当者の日付け入り印鑑が捺印されている。これらの記載内容より、乙第8号証の2に掲載のアタッチメントは、平成9年度末(遅くとも平成10年の前半)より、乙第8号証の1の発行日にいたるまでは製造されていたことが理解できる。
なお、乙第9号証の1に記載されている「ホームマルチN2」の制作図面は、乙第9号証の2に記載されている制作図面が、一旦、承認された後に改良されたものである。乙第9号証の2には、日本板硝子株式会社及び該担当者並びに株式会社三ツ星の営業担当者の捺印があることと、乙第9号証の1に記載されている型式「ホームマルチN2」が乙第9号証の2にも記載されていることから、被請求人が日本板硝子株式会社からN2型のアタッチメントを受注し、製造販売したものと理解することができる。
(ウ)乙第10号証の1は、乙第8号証の2の「N2型」のアタッチメントの資材であるアルミニュウム材を買い入れていることを示す買掛金台帳(平成12年4月1日〜同年10月31日分)である。また、乙第10号証の2は、二重サッシの納品先に対する請求書明細書(控)(平成12年10月1日〜同年10月31日分)である。乙第10号証の1又は2に記載されている株式会社エヌエスジー資材サービス(以下、「エヌエスジー」という。)は、日本板硝子株式会社の関連会社であって、日本板硝子株式会社から被請求人への注文は、エヌエスジーを通じて受注し、また、製品はエヌエスジーへ納品するようになっている。このように末端注文者への納品を関連会社を通じて行うことは一般的に行われている。
したがって、乙第10号証の1及び2に記載されている「N2」型のものは、日本板硝子株式会社からの受注によるものと理解することができる。また、記載されている日付けから、本審判請求前より製造されていたことが明らかである。
(エ)さらに、被請求人が日本板硝子株式会社と共同出願した二重サッシについての実用新案登録公告公報(乙第11号証)からも、被請求人は、二重サッシの技術開発を昭和56年の時点で成功していたことが理解でき、この製品が20年以上の歴史を有しているものであることが理解できる。
(5)以上、乙各号証により、被請求人である商標権者が本件審判請求前3年以内に日本国内において本件商標を指定商品「金属製建築専用材料」に使用していたことは明らかである。さらに、乙第11号証も合わせて総合的に勘案すると、被請求人が二重サッシについて本件商標を使用してきたことは明らかである。
したがって、請求人の主張は、明らかに失当であると言い得るものであり、本件商標は、商標法第50条の規定により取り消されるものではない。

4 当審の判断
(1)被請求人は、本件商標を、従来品の一枚ガラス専用の窓枠の内側に取り付け、複層ガラスをはめることができるようにするアタッチメントである「窓枠用サッシ」(以下「使用商品」という。)に使用していると述べた上で、該使用商品が指定商品中の「金属製建築または構築専用材料」の範ちゅうに含まれると主張している。これに対し、請求人は、「乙各号証は、『窓枠』の部材である樹脂を被覆したアルミニウム押出材を示してはいるが、本件指定商品の『建築用又は構築用の金属製専用材料』に該当する『窓枠』に本件商標の使用をしている事実は全く認められない」と主張している。
そこで、まず、使用商品について検討する。
(2)被請求人が使用商品を含むと主張する「金属製建築または構築専用材料」は、本件商標の登録出願時に適用されていた商標法施行規則別表の第7類に例示されている商品で、専ら建築又は構築に用途を限定されたものとして取り引きされる金属製の材料と解されるものである。
また、請求人が本件商標の使用商品である旨主張する商品「アルミニウム押出材」は、本件商標の登録出願時に適用されていた商標法施行規則別表においては、第6類の「非鉄金属」及び「貴金属」と例示されている商品群に含まれるものであり、非鉄金属(鉄のほか、ナトリウム、カリウム及びカルシウムも除く。)の地金、半加工品及びくずが含まれるが、完成品となったものは含まれない(完成品は、それぞれの用途に従って他の類に属する。)と解されるものである。
(3)使用商品に関して、乙各号証をみるに、以下の事実が認められる。
乙第1及び第2並びに第4ないし第7号証(枝番を含む。)に係る被請求人のカタログには、「軟質押出し成型品」の見出しの下に、断面が見られるようにカットされたアタッチメントの写真とともに「アルミと軟質の複合押出し技術により、防音性、気密性にすぐれた二重サッシを開発しています。」の記載、また、ガラスが入った窓の写真及びアタッチメントの断面図とともに「アルミサッシ二重窓 アルミと軟質によるコンビの複合品。気密性にすぐれ、防音効果もあります。」の記載がある(カタログカバーを除いたカタログ本体の4枚目の表と裏)。
(4)上記(3)の事実と被請求人の主張を総合的に勘案すると、使用商品は、既存の単板ガラス用アルミサッシに複層ガラスを取り付けるためのアタッチメントであって、押出し技術を用いて生産されるものであるが、単板ガラス用アルミサッシに複層ガラスを取り付けるために特定の形状にアルミ資材を成型、合成樹脂製シール材を設けるなどの加工が施され、取り付け後には、複層ガラスを保持する型枠になるものと認められる。そして、被請求人は、単板ガラス用アルミサッシや複層ガラスに取り付けずに、該「アタッチメント」のみを販売しているのであって、その販売に当たっては、商品カタログにおいて、これを「二重サッシ」や「アルミサッシ二重窓」と表示して、取り引きしていることが認められる。
してみれば、使用商品は、これを「窓枠(サッシ)」といえるか否かはともかく、既存の単板ガラス用アルミサッシに複層ガラスを取り付けるという建築または構築専用の商品であり、アタッチメントとしては完成品ということができるものであって、アルミニウム押出材として特定の用途が定まらない非鉄金属の地金などの「非鉄金属、貴金属」の範ちゅうに含まれる商品というよりも、建築または構築専用の完成品として「金属製建築または構築専用材料」の範ちゅうに含まれる商品とみるのが相当である。
なお、請求人は、使用商品が「窓枠(サッシ)」でないと主張している。しかし、本件の審判請求に係る指定商品は「建築用又は構築用の金属製専用材料」であるから、上記のとおり、使用商品が「建築用又は構築用の金属製専用材料」の範ちゅうに含まれるならば、それが「窓枠」であるか否かは、結論に影響を与えるものでない。また、請求人は、平成9年商標登録願第123579号の指定商品の例を挙げているが、当該出願に係る商標登録原簿に徴すれば、該登録商標は、指定商品を「アルミニウム粗製品,アルミニウム地金,アルミニウムの鋳物・はく・粉及び展伸材,その他のアルミニウム,アルミニウム製ドア枠,アルミニウム製窓枠及びその部品」として、設定登録されているところ、該登録出願に適用された商標法施行規則別表(平成8年通商産業省令第66号、平成9年1月1日施行)は、本件商標の登録出願に適用されていた商標法施行規則別表とは異なり、前者の第6類には、後者の第6類に属する「アルミニウム粗製品」等と同じく第7類に属する「アルミニウム製窓枠及びその部品」の双方が属するものとしているのであって、使用商品と同種の商品を「非鉄金属、貴金属」の範ちゅうとして扱っている事例でもないから、本件と事例を異にするものといわざるを得ない。
(4)使用商品が掲載されている乙第1及び第2並びに第4ないし第7号証(枝番を含む。)に係る被請求人のカタログ(カタログカバーの背表紙と裏表紙並びにカタログ本体の1枚目の表)には本件商標と同一の商標が表示されており、乙第2号証のカタログ製作会社の証明書、乙第3号証のカタログ製作会社の納品伝票の写し、乙第4ないし第7号証の商談でのカタログの受領を述べた証明書に徴すれば、これらカタログが本件審判請求の登録前3年以内に作成され、日本国内の事業者に頒布されていたことが認められる。
なお、請求人は、上記2(2)(イ)のとおり、乙第4ないし第7号証の証明書について、同一の文言であること、取引先の証明であること等を指摘して、証拠力がない旨主張している。しかし、証明書の文言が同一であることのみをもって証拠力が乏しいということはできないし、また、商品カタログの主な頒布先が取引先となるのはむしろ自然というべきで、その受領を証明する者が取引先の者であることをもって不自然ということはできない。その他、これら証明書の証拠力が乏しいとみなければならない格段の理由も見出せないし、そのような証拠の提出もない。してみれば、請求人の上記主張は採用することができない。
(5)以上のとおり、使用商品は「金属製建築または構築専用材料」に含まれる商品ということができるものであり、該商品が掲載されている被請求人のカタログには本件商標と同一の商標が表示され、該カタログが本件審判請求の登録前3年以内に日本国内の顧客に頒布されているであるから、本件商標は、被請求人(商標権者)によって、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、審判請求に係る指定商品の「金属製建築または構築専用材料」に含まれる「既存の単板ガラス用アルミサッシに複層ガラスを取り付けるためのアタッチメント」について使用されていたというべきである。
したがって、本件商標の指定商品中、審判請求に係る商品についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本件商標

審理終結日 2002-10-08 
結審通知日 2002-10-11 
審決日 2002-10-22 
出願番号 商願昭57-26651 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (107)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 熊田 資一中嶋 容伸 
特許庁審判長 大橋 良三
特許庁審判官 宮川 久成
林 栄二
登録日 1987-08-19 
登録番号 商標登録第1975179号(T1975179) 
商標の称呼 スター 
代理人 秋山 重夫 
代理人 吉川 勝郎 

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