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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 035
管理番号 1069417 
審判番号 無効2001-35548 
総通号数 37 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-01-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-12-19 
確定日 2002-12-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第3239578号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3239578号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3239578号商標(以下「本件商標」という。)は、平成5年6月28日に登録出願、「L.O.F.T DESIGN BY...」を横書きした構成よりなり、第35類「広告」を指定役務として、平成8年12月25日に設定登録されたものである。

2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第3123772号商標(以下「引用商標」という。)は、平成4年9月29日に登録出願、別掲のとおりの構成よりなり、第35類「広告,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,財務書類の作成又は監査若しくは証明,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,書類の複製,速記,筆耕,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」を指定役務として、平成8年2月29日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第21号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
(ア)引用商標は、デザイン化した欧文字「LoFt」及び片仮名文字「ロフト」を二段に横書きしてなるから、「ロフト」の称呼を生じ、「屋根裏部屋」の観念を想起させる語である(甲第2号証)。
(イ)本件商標から「ロフト」の称呼を生ずるのは、その態様から一連の「ロフトデザインバイ」の称呼のみならず、構成文字の間隔が異なる部分で分離して「ロフト」、「エルオーエフティー」の称呼及び、「デザインバイ」等の称呼をも生ずるものである。更に、本件商標が有する観念「...によってデザインされた『ロフト』、『L.O.F.T』等」を考慮した場合、自然に「ロフト」の称呼をも生ずる。したがって、本件商標は、「ロフト」の称呼を生ずる。
かかる判断は、審決においても同様の判断がなされている。即ち、本件商標と全く同一の態様からなる商標「L.O.F.T DESIGN BY...」の出願に対して、「LOFT」等と類似すると判断され、結果として拒絶査定となり、これに対する不服審判でも拒絶査定が維持されている(甲第3号証)。この出願は、本件商標に係る商品又は役務の区分とは異なる区分に属するものの、同一商標の類否において異なる判断をしなければならない程の特段の事情があるとは考え難い。
以上のとおり、本件商標と引用商標とは称呼上類似する商標である。
さらに、本件商標から生ずる一連の観念と、引用商標から生ずる観念とは観念上全く同一とはいえない。しかし、本件商標から生ずる「...によってデザインされた『ロフト』、『L.O.F.T』又は『屋根裏部屋』」程度の観念から、単に、「屋根裏部屋」のみの観念をも生ずる。これは、本願商標から生ずる観念が冗長であること及び「...」部分が不明であること等の事情により、明確な観念を有すると認められる「L.O.F.T」の部分が有する「屋根裏部屋」の観念を想起することも少なくないと考えられるからである。
以上より、本件商標と引用商標とは観念上も相互に類似する商標である。
(ウ)したがって、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念において類似し、その指定役務も共通するものである。
(2)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、「LOFT」の文字を含む商標である。「LoFt」の文字は、雑貨専門店の名称であって店舗名称として、本件商標の出願時には、既に、東京・大阪を中心として広く知られるに至っていた。この「LoFt」又は「ロフト」の著名性は、本件商標の出願以前から今日に至る多大な宣伝広告の成果であり、その事実は本件商標の出願時及び登録査定時のいずれの場合でも変わるものではない。
したがって、本件商標は、請求人の営業する著名な店舗名を含む商標である。
(3)商標法第4条第1項第15号について
請求人又はその前身である株式会社西武百貨店のロフト事業部は、1987年11月以降、商標「LoFt」又は「ロフト」を長期にわたって使用し、本件商標の出願時には、6年間継続して宣伝広告してきたため、雑貨専門店の名称として広く知られるに至っていた。
したがって、本件商標をその指定役務について使用すると、請求人又は請求人等と何らかの関係があると、その役務の出所について混同を生じるおそれがある。
(4)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第8号及び同第15号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号の規定により、その登録は無効とされるべきである。

4 被請求人の答弁
被請求人は、何ら答弁していない。

5 当審の判断
本件商標は「L.O.F.T DESIGN BY...」の構成よりなるところ、その構成中の「DESIGN BY」の文字部分は「〜によってデザインされた」なる意を表示するものとして一般的に使用される語であって、特に本件商標の指定役務「広告」の分野においてはデザインが重要視される密接な関係にあるから、自他役務の識別標識としての機能が極めて弱い部分といえる。
そして、その構成中の「L.O.F.T」の部分は、「.」により「L」、「O」、「F」、「T」の各文字が区切られているとしても、これより生ずる「エルオーエフティー」の称呼は冗長であるうえに、「LOFT」の語は「ロフト」と発音し「屋根裏部屋」の意味を有すること及び表記上一体として把握され称呼される場合も決して少なくないところから、「LOFT」の語として把握され、これにより「ロフト」の称呼が生ずると判断するのが相当である。
そうとすれば、本件商標は、「〜によってデザインされたL.O.F.T」或いは「〜によってデザインされたLOFT」のような意味合いをもって認識、理解されるから、結局、「L.O.F.T」の文字部分は独立して自他役務を識別する標識としての機能を果たすものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、「L.O.F.T」の文字部分に相応し、「ロフト」の称呼をも生ずるものというべきである。
他方、引用商標は、別掲のとおりの構成よりなるものであるから、その構成文字に相応して「ロフト」の称呼を生ずること明らかである。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、「ロフト」の称呼を共通にする類似の商標といわざるを得ない。
そして、本件商標の指定役務と引用商標の指定役務とは同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (別掲)
引用商標


審理終結日 2002-10-04 
結審通知日 2002-10-09 
審決日 2002-10-22 
出願番号 商願平5-64195 
審決分類 T 1 11・ 262- Z (035)
最終処分 成立  
前審関与審査官 柴田 良一 
特許庁審判長 上村 勉
特許庁審判官 小池 隆
鈴木 新五
登録日 1996-12-25 
登録番号 商標登録第3239578号(T3239578) 
商標の称呼 ロフトデザインバイ、ロフト 
代理人 涌井 謙一 
代理人 鈴木 正次 

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