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審判番号(事件番号) データベース 権利
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審決分類 審判 全部取消 商51条権利者の不正使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 025
管理番号 1069378 
審判番号 取消2000-30611 
総通号数 37 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-01-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2000-05-29 
確定日 2002-11-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第3204014号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3204014号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3204014号商標(以下、「本件商標」という。)は、「CHAMPIONBOYS」の欧文字を横書きしてなり、平成4年11月16日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,下着,靴下,スカーフ,手袋,ネクタイ,帽子,バンド,ベルト,靴類,運動用特殊衣服」を指定商品として、同8年9月30日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用商標
請求人の引用する登録第1286289号商標(以下、「引用商標1」という。)は、後掲(1)に示すとおりの構成よりなり、昭和48年7月5日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、昭和52年7月20日に設定登録されたものであり、同じく、登録第1458183号商標(以下、「引用商標2」という。)は、後掲(2)に示すとおりの構成よりなり、昭和50年1月17日に登録出願、第6類、第9類、第15類、第16類、第18類、第19類、第20類、第21類、第22類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同56年3月31日に設定登録されたものであり、同じく、登録第4057070号商標(以下、「引用商標3」という。)は、後掲(3)に示すとおりの構成よりなり、平成5年12月2日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」)を除く。),げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同9年9月19日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求める、と申立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。
1 請求人は引用各商標の商標権者であり、被請求人又は被請求人から商品を仕入れ販売している者に対し「CHAMPIONBOYS」に「C」をロゴ化した商標を付加して「トレーナー類」に使用することは請求人の商標を侵害する旨再三警告した。
しかしながら、被請求人はそれらの行為を中止することなく使用を続けている。従って、被請求人が「CHAMPIONBOYS」の商標と共に『C』をロゴ化した商標を付加して使用する行為は、商標法第51条第1項に該当するものである。
商標法第51条第1項は、「商標権者が故意に指定商品……について登録商標若しくはこれに類似する商標の使用……商品の品質……の誤認又は他人の業務に係る商品……と混同を生ずるものをしたときは、何人も、当該商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定している。
そこで検討すると、実際に販売している「トレーナー類」に表示されている商標は、商標法第51条でいう本件商標の類似商標と認められる。
請求人は、日本における関係機関を通して被請求人の行為が請求人の商品と誤認・混同を生じているか否かを調査してきたが、甲各号証より明らかなように被請求人が商品に付している商標は、請求人又は請求人と関係するものからの商品と誤認・混同を生じているとの証言を得た(甲各号証参照)。
この様な使用は、引用各商標と故意に似せた使用と認められ、一般の取引者・需要者間においては、当該製品が引用各商標の商標権者により製造・販売されたものと誤認・混同を生じている。
従って、本件商標は商標法第51条の規定により取り消されるべきである。なお、請求人の引用各商標は著名な商標であると判断されていることを付言する。
2 弁駁
(1)本件商標の商標権が被請求人に移転されたことは争わない。
しかしながら、被請求人は、「甲第5号証ないし甲第10号証の写真に係る商品については本商標権者として全く関知していない。また、当該商品が元商標権者の使用に係る商品であることの証明並びに故意に基づく行為であることの証明もなされていないので、取消請求の理由にならない。」と述べているが、この点については争う。
(2)被請求人は「甲第5号証ないし甲第10号証の写真に係る商品については本商標権者として全く関知していない。」と述べているが、若し、そうだとしたら自己の商標権が侵害されているのにも拘らず、侵害状態を容認していたことになり、それをもって「全く関知しない。」とは言えない。
また、被請求人は「甲第5号証ないし甲第10号証の写真に係る商品が、元商標権者の使用に係る商品であることの証明並びに故意に基づく行為であることの証明もなされていないので、取消請求の理由にならない。」と述べているが、請求人は、元商標権者(株式会社きくや物流)に対して、再三、請求人の登録商標(甲第1号号証ないし甲第3号証)と誤認・混同を生じない使用をするように警告をし、それに対して甲第11号証ないし甲第15号証のような回答を得ている。
したがって、「甲第5号証ないし甲第10号証の写真に係る商品」が存在するのにも拘らず、商標権者としてその行為を放置していたことは、故意に当たるものであり、「全く関知しない。」とは言えない。
また、請求人が元商標権者(株式会社きくや物流)に対して、再三、請求人の引用各商標(甲第1号証ないし甲第3号証)と誤認・混同を生じない使用をするように警告したことは、本件代理人である弁理士八鍬昇氏も十分承知しているものである。
特に、本登録商標は元商標権者(株式会社きくや物流)により使用権許諾をしていた事実があり、現商標権者がその存在を知らずに本商標権を譲り受けたとは到底考えられない。
この様に、係争関係にある商標の商標権を譲り受けるに当たっては、過去の事情は十分熟知して譲り受けるべきであり、過去の事情を知らないとして全ての責任を回避することは許されるべきでない。
即ち、暇庇ある商標権を譲り受けたにも拘らず過去の事実は全く関係なしとするならば、いたずらに、たらい回し状の譲渡等により責任を逃れる結果になるので、その様な理由は信義則に反し認められない。
したがって、被請求人の答弁の理由は、責任逃れに過ぎないものである。
(3)以上の理由により、本件商標は商標法第53条(第51条の誤記と思われる。)に該当し登録を取り消すべきである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求める。と答弁し、その理由を次のように述べている。
(1)請求人は、甲第1号証ないし甲第10号証を提出して、商標法第51条第1項に基づき本件商標の取り消しを求めている。
(2)しかしながら、本商標権者は平成11年11月29日に本商標権を譲渡により取得したものであり、甲第5号証ないし甲第10号証に添付されている写真に係る商品については本商標権者として全く関知していない。
(3)商標法第51条第1項は、「商標権者が故意に指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用であって商品の品質若しくは役務の質の誤認又は他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるものをしたときは、何人も、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる」とするものであり、現商標権者と全く関係がなく、しかも元商標権者の使用に係る商品であることの証明並びに故意に基づく行為であることの証明もなされていない甲第5号証ないし甲第10号証に基づく取消請求は何ら理由がないものと確信する。

第5 当審の判断
1 商標法第51条は、商標権者が(1)故意に(2)自己の登録商標に類似する商標を、その指定商品について使用し又はその登録商標と同一又は類似の商標を、その指定商品と類似する商品について使用し(3)商品の品質の誤認又は他人の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたことを要件として、何人もその登録商標を取り消すことについて審判を請求することができる旨を規定している。
2 そこで本件についてみるに、本件商標は、前記したとおり「CHAMPIONBOYS」の欧文字を一連に横書きしてなり、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,下着,靴下,スカーフ,手袋,ネクタイ,帽子,バンド,ベルト,靴類,運動用特殊衣服」を指定商品とするものである。
そして、請求人が本件商標の変更使用にあたるとして甲第5号証ないし同第10号証に掲げる商標(以下、「使用商標1」及び「使用商標2」という。)は、それぞれ後掲(4)及び(5)に示すとおりの構成よりなり、商品「トレーナー類」(なお、「トレーナー」は、請求外「ユニチカ株式会社」の登録商標であるから、以後、「スウェットシャツ」として扱うものとする。)に使用するものである。
他方、請求人の引用する引用商標1、引用商標2及び引用商標3は、それぞれ後掲(1)ないし(3)に示すとおりの構成よりなり、指定商品は前記したとおりのものである。
3 そこでまず、本件商標と使用商標1及び2との類否についてみるに、本件商標は、前記の欧文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して「チャンピオンボーイズ」の称呼を生ずるものである。
これに対し、使用商標1は、後掲(4)に示すとおりスウェットシャツの襟の部分に「C」の欧文字をデザイン化した図形とその下に「Championboys」の欧文字を配した図形と文字の結合よりなるものであり、また、使用商標2は、後掲(5)に示すとおりスウェットシャツの襟の部分に使用商標1と同じ商標と認められる商標を付し、かつ、スウェットシャツの前面に大きく「C」の欧文字をデザイン化した図形とその下に「Championboys」の欧文字を配した図形と文字の結合によりなるものである。
しかして、これら使用商標1及び2の欧文字部分からは、その構成文字に相応して、「チャンピオンボーイズ」の称呼を生ずるものである。
してみれば、本件商標と使用商標1及び2とは、「チャンピオンボーイズ」の称呼を同じくする類似の商標と認められるものであり、かつ、その使用に係る商品「スウェットシャツ」は、本件商標の指定商品中に含まれているものと認められる。
4 次に、使用商標1及び2と引用商標1及び3との類否についてみるに、引用商標1及び3は、それぞれ後掲(1)及び(3)に示すとおりであるところ、その構成はいずれも「C」の欧文字をデザイン化した特徴のある図形よりなるものであり、これら引用商標1及び3が著名な商標であることは、甲第4号証によっても認め得るところである。
しかして、使用商標1及び2は、前記(1)で述べたとおり、その構成中の図形部分は、いずれも「C」の欧文字をデザイン化した特徴のある図形よりなるものであって、これら使用商標と引用商標1及び3とは、「C」の欧文字の右側の上下の先端部分が若干太く描かれているか細く描かれているかの違いを除いては、ほとんど同一とも認められる外観上、類似する商標といえるものであって、また、使用商標1及び2の使用に係る商品「スウェットシャツ」は、引用商標1及び3の指定商品中に含まれているものと認められる。
そうとすれば、被請求人が、使用商標1及び2を商品「スウェットシャツ」について使用した場合、引用商標1及び3を想起し、その商品が請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認し、その出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
5 被請求人は、前記第4に記載したとおり「被請求人(本商標権者)は本商標権を譲渡により取得したものであり、甲第5号証ないし同第10号証に添付されている写真に係る商品については、本商標権者として全く関知していない。」旨答弁しているが、商標権を譲り受ける場合には、その商標の従前の使用状況の事実または一定の期間使用されていない事実があるときに、その事実自体は、消滅するはずのないものであるから、当該商標権に当然に伴うものとして、譲受人もまたそのような事実を伴いないしはそのような状況下にある商標権を承継し、したがって、当該商標権の譲り受けにより、譲渡前の不使用の事実(又は「使用の事実」)が不問にされるというようなものではない〔東京高裁 昭和55年(行ケ)329号 参照〕と解するのが相当であるから、被請求人の上記主張は、採用することができない。
6 そして、甲第11号証ないし同第14号証によれば、被請求人(現商標権者)は、本件の移転前の元商標権者(株式会社きくや物流)が請求人から「CHAMPIONBOYS」に「C」をロゴ化した商標を付して「スウェットシャツ類」に使用することは請求人の商標(引用商標)を侵害する旨再三警告を受け、請求人に回答書を送付していた事実があることからみれば、被請求人は、請求人が引用商標を所有し、現に商品「スポーツウェア、スウェットシャツ類」について使用していることにつき、十分認識していたとみるのが相当であるから、被請求人は、商標法第51条に規定する故意の要件を満たすものといわざるを得ない。
7 以上の理由から、被請求人は、故意に、本件商標に類似し、かつ、引用商標1及び引用商標3と類似する商標を商品「スウェットシャツ類」に使用するものであって、その使用は、請求人の業務に係る商品と混同を生じさせるおそれがあるものである。
したがって、本件商標は、商標法第51条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (1)引用登録第1286289号商標



(2)引用登録第1458183号商標



(3)引用登録第4057070号商標


(色彩については、原本参照。)

(4)使用商標1



(5)使用商標2


審理終結日 2002-10-01 
結審通知日 2002-10-04 
審決日 2002-10-17 
出願番号 商願平4-312849 
審決分類 T 1 31・ 3- Z (025)
最終処分 成立  
前審関与審査官 米重 洋和堀内 真一 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 井岡 賢一
柳原 雪身
登録日 1996-09-30 
登録番号 商標登録第3204014号(T3204014) 
商標の称呼 チャンピオンボーイズ 
代理人 ウオーレン・ジー・シミオール 

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