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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない Z1825 |
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管理番号 | 1067968 |
審判番号 | 不服2000-4630 |
総通号数 | 36 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2002-12-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-04-03 |
確定日 | 2002-10-18 |
事件の表示 | 平成11年商標登録願第9860号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願商標 本願商標は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第18類「かばん類,袋物」及び第25類「エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、平成11年2月5日に商標登録出願されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由の趣旨 原査定は、「本願商標は、ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド(アメリカ合衆国ニューヨーク所在)が、商品『被服、装身具、香水、眼鏡』等に長年使用し、取引者、需要者の間に広く知られている『競技中のポロプレーヤーの図形』よりなる商標と、採択の意図、構成の軸を一にする図形よりなるものであり、これをその指定商品について使用するときは、恰も上記会社あるいは同会社と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。 第3 当審の判断 1.当審において、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される「Polo」ないし「POLO」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章に関して行った職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。 (1)(株)講談社 昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」及びサンケイマーケティング 昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典 ’84 ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバン等のデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服のデザインにも進出、服飾業界の名誉ある「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年の映画「華麗なるギャツビー」で主演したロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことからアメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。わが国においても、そのころからラルフ・ローレンの名前は、服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「by Ralph Lauren」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレイヤーの図形の各商標(以下「ポロ標章」という。)が用いられ、これらの商標は「POLO」「Polo」「ポロ」と略称されている。 (2)(株)洋品界 昭和55年4月発行「海外ファッションブランド総覧 1980年版」における「ポロ/Polo」の項、ボイス情報(株) 昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略 ’85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項及び同63年10月29日付けの日経流通新聞には、わが国においては、ポロ・ファッションズとの契約に基づき、西武百貨店が昭和51年にポロ・ファッションズから使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始した旨記述されている。 (3)ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、「dansen男子専科」(株式会社スタイル社 1971年7月発行)、前出「男の一流品大図鑑」、「世界の一流品大図鑑 ’79年版」(株式会社講談社 昭和54年5月発行)、別冊チャネラー「ファッションブランド年鑑 ’80」(株式会社チャネラー 同54年9月発行)、「男の一流品大図鑑 ’81年版」(株式会社講談社 同55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑 ’80年版」(株式会社講談社 同55年6月発行)、「MEN’S CLUB 1980.12」(婦人画報社 同55年12月発行)、「世界の一流品大図鑑 ’81年版」(株式会社 講談社 同56年6月発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、「流行ブランド図鑑」(株式会社 講談社 同60年5月発行)において、眼鏡については、「世界の一流品大図鑑 ’80年版」、「ファッションブランド年鑑 ’80」、「男の一流品大図鑑 ’81年版」において、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」及び「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されている。 (4)ラルフ・ローレンの「POLO」、「ポロ」、「Polo」の商標について、上記事実とほぼ同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡、判例時報1401号)及び東京地方裁判所の判決(平成8年特(わ)1519号、平成9年3月24日言渡、判例時報1619号)があるほか、東京高等裁判所平成11年(行ケ)第250号、同第251号、同第252号、同第267号、同第290号(以上平成11年12月16日言渡)、同第268号、同289号(以上11年12月21日言渡)等の一連の判決がある。 (5)引用商標を模倣した偽ブランド商品が市場に出回り刑事摘発を受けた旨が、例えば、平成元年5月19日付け朝日新聞夕刊、同4年9月23日付け読売新聞(東京版)朝刊、同5年10月13日付け読売新聞(大阪版)朝刊、同11年6月8日付け朝日新聞夕刊等において報道されている。 (6)前記(1)ないし(5)の事実を総合すると、「Polo」ないし「POLO」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章(ポロ標章)は、我が国においては、遅くとも本願出願時までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識され、かつ著名となっていたものであり、その状態は現在においても継続しているものと認めることができる。 2.商品の出所の混同のおそれについて 本願商標は、「St.」「PO」「LO.」及び「CB」の文字と、馬蹄の図を背景とした競技中のポロプレーヤーのごとき図形よりなるところ、構成中央に競技中のポロプレーヤーのごとき図形が描かれていること、その左右にピリオド(.)で囲まれた「PO」及び「LO」の文字が配されていることから、中央の図形とも相俟って一連に「POLO」の文字を表したものと容易に認められるものである。 一方、前認定のポロ標章も、馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形を有するものであって、「POLO」「Polo」「ポロ」と略称されているものである。 また、本願の指定商品は、「かばん類,袋物,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」であり、これらの商品のほとんどが、ポロ標章が需要者に広く認識され、著名となっているファッション関連商品ということができるものである。 そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合には、前記実情から、これに接する取引者、需要者は、その構成中の馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形及び「PO」「LO」の文字に注目し、前記ポロ標章を連想し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く出所の混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。 なお、請求人(出願人)は、全体観察を行うことにより、本願商標とポロ標章とは、構成上の発想が異り、各々の商標から受ける視覚的印象は全く相違するから、本願商標から上記ポロ標章が想起されることはなく、本願商標をその指定商品に使用したとしても、その商品の出所について、ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッドの商品と混同が生じることはない旨述べているが、本願商標は、構成中比較的強い印象を与える中央に競技中のポロプレーヤーの図形が描かれ、その左右に亘って「POLO」の文字が配されていることから、中央の図形とも相俟って「ポロ」の称呼、観念を生ずるとともに、前記ポロ標章を連想し、出所の混同を生ずるおそれがあるとみるのが相当である。 また、過去の登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、具体的事案の判断においては、過去の判断に拘束されることなく検討されるべきものであり、本願商標については上記のとおりであるから、請求人(出願人)の主張は採用することができない。 3.以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、本願商標は、登録すべきものとすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別 掲 本 願 商 標 ポ ロ 標 章 |
審理終結日 | 2002-08-01 |
結審通知日 | 2002-08-09 |
審決日 | 2002-08-27 |
出願番号 | 商願平11-9860 |
審決分類 |
T
1
8・
271-
Z
(Z1825)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 加園 英明、岩崎 安子 |
特許庁審判長 |
滝沢 智夫 |
特許庁審判官 |
田口 善久 今田 三男 |
商標の称呼 | セントポロシイビイ、ポロシイビイ、セントポロ |
代理人 | 宮崎 栄二 |