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審決分類 審判 全部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 041
審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 041
管理番号 1064566 
審判番号 審判1999-35226 
総通号数 34 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-10-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-05-17 
確定日 2002-08-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第3371010号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3371010号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3371010号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成6年10月24日に登録出願され、別掲に示すとおりの構成よりなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,植物の供覧」を指定役務として、同11年1月8日に設定登録されたものである。その後、指定役務中「スポーツの教授」については、同11年9月7日に一部放棄による一部抹消の登録がなされている。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第64号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、その要部である「フラワーセラピー」に対応して「フラワーセラピー」の称呼及びこれに対応した観念(花を用いた、又は、花による治療)を生ずる。
請求人の代表者田村喜久子(筆名 田村記子)は、平成5年初め、生花とドライフラワーの中間の性質を持ち、半年間も水なしで生きているオーストラリアに野生するワイルドフラワーが水を使わず手軽に扱え、これを用いた活花が年寄のリハビリに有効であることを発見し、平成6年初め、これを「フラワーセラピー」と名付け、「フラワーセラピー研究会」というボランティアの組織をつくり、主催し、幅広く積極的に活動し、「フラワーセラピー」及び「フラワーセラピー研究会」は広く報道され、本件商標の出願当時、「フラワーセラピー」の語は、請求人の代表者である田村喜久子が考案した「ワイルドフラワーを使用した年寄や心障者のリハビリのための療法」を意味するものとして周知であったし、現在に至るまでも継続して周知である。
したがって、本件商標は、請求人の周知の役務商標「フラワーセラピー」に類似するものであり、かつ、本件商標の指定役務は、請求人が「フラワーセラピー」の商標の下に提供する役務に類似する。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第7号について
被請求人は、本件商標の出願前より、請求人の活動の一環である「フラワーセラピー研究会」の理事であった。即ち、被請求人は、請求人の主催する「フラワーセラピー研究会」の理事として、「フラワーセラピー」という商標の冒用を排除し、「フラワーセラピー」の商標及び「フラワーセラピー研究会」を通じての活動の擁護、保全、発展を図るべき立場にあった者である。
しかるに、被請求人は、理事としてかかる義務を負っていたにも拘わらず、理事としての被請求人のかかる義務を踏みにじり、「フラワーセラピー」を要部とする本件商標を、平成6年10月24日無断で出願し、これを秘したままフラワーセラピー研究会の理事の職に止まり、フラワーセラピーについての知識を得た平成8年4月24日にフラワーセラピー研究会の理事を辞任したが、辞任した後も、本件商標を出願したことを請求人に秘していたのである。
そして、被請求人は、自らをフラワーセラピーの第一人者として売り込み、平成7年10月「フラワーセラピー」の本を出版し、平成8年に入って、「フラワーセラピー」の商標を用いて、請求人の業務と競合する業務を営んでいる。
したがって、本件商標は、「フラワーセラピー」の周知性に便乗せんとして、出願登録されたものであり、かつ、「フラワーセラピー研究会」の理事としての義務に反して出願登録されたものであり、被請求人が本件商標を使用することは、法の維持せんとする商標秩序を破壊するものであり、社会の道義に著しく反するものであり、公の秩序又は善良の風俗に反するものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

(3)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
請求人は、平成7年11月6日、商標「フラワーセラピー」を第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,植物の供覧」を指定役務として登録出願した。これに対して、平成10年5月13日、「フラワーセラピーは、花、草花等を使用した療法(フラワーセラピー(花療法))に関する技芸(生け花を含む)又は知識の教授、セミナーの企画・運営又は開催、ビデオの製作等であることを理解させるものであるから、これを当該出願指定役務について使用するときは、単に役務の内容(質)を表示するに過ぎず、その他の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせる」との拒絶理由通知が出されている。
かかる拒絶理由に従えば、本件商標も同様の理由により、商法法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第113号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号について
(イ)本件商標は、「花療法」を漢字表記にて大きく表示すると共に、この漢字表示に付記的に極めて小さく表記された「フラワーセラピー」から構成されている。
また、「フラワーセラピー」の語は、「アロマテ(セ)ラピー」「タラソテ(セ)ラピー」等と同様に、日本における特定人が考案した語とも考えられない上、最近では、特定人の識別標識というよりは、花によるリラクゼーション療法といった意味の語として一般的に使用される場面が多くなってきた。
よって、上述の本件商標の構成態様及び「フラワーセラピー」の自他識別力の相対的弱さにより、本件商標の要部は「花療法」であり、この「花療法」を度外視し論ずることは当を得ない。
(ロ)「フラワーセラピー」の語が請求人の業務に係る「ワイルドフラワーを用いた活花によるリハビリのための療法」を示す商標として周知であるという事実は、本件商標出願時の平成6年10月24日当時においてはおろか、現在においても認められない。
本件商標出願以前の甲各号証において、「フラワーセラピー」の語の使用が専門機関誌や一部狭域地区での新聞紙上等に数力所程度認められるが、記事の見出しとしてか或いは、記述的に使用されているもので、「フラワーセラピー」の語が、請求人の商標として使用されているとは認め難く、ましてや、本件商標出願当時に、既に請求人の周知商標であったとは到底考えられない。
周知の事実が存在するならば、それは、下記(2)において述べるように、被請求人の永年の活発な営業活動によって、被請求人の業務に係る役務を示す商標として周知化したのである。
(ハ)上述のとおり、「フラワーセラピー」は、本件商標出願前において、請求人による本件指定役務についての商標としての使用すら定かでなく、本件商標出願当時においても現在においても請求人の周知商標とは認められない。
更には、この語が本件商標の自他識別機能を十分に発揮する要部とは認めがたく、同一・類似の概念を論ずるを待たない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第7号について
(イ)「フラワーセラピー」については、上記のとおりであるから、請求人の「フラワーセラピー」の周知性に便乗せんとして出願登録されたものであるとの主張は、もとより成立しない。
(ロ)また、当時、既に、花療法研究家として著名であった被請求人は、「フラワーセラピー」に便乗する必要性もなかった。
被請求人片桐義子は、未だ、花による自然療法が一般的に知られていなかった10年余前より、東洋思想に基づいた花の癒しの効用を研究し、精神面のみならず人体部位にも対応させて体系的にまとめ、独自に「花療法」として広めてきた。乙第1号証から第10号証から明らかなように、平成4年には、既に、著書「病気を治す花療法」発刊、その後「花療法」(3冊)、「フラワーセラピー」「花の気法」「続・花療法」「花セラピー・アレンジメント」「心と体を癒す花療法」等、6年間に9冊もの著書を発行している。また、新聞上における被請求人の「花療法」のコラム連載は、平成5年より開始され、その後も継続的に種々の新聞紙上において連載されている(乙第11号証ないし乙第28号証)。
更に、被請求人は、平成4年より多数のテレビ番組に出演しており(乙第96号証ないし乙第100号証)、また、当然ながら、雑誌等にも数多く紹介されている(乙第29号証ないし乙第95号証)。
このように、被請求人は、本件商標出願前より、既に全国規模での活動を行っており、その後も、商標「花療法/フラワーセラピー」の下、被請求人の提唱する「花の”気”による癒しの効用」に関して、数々の著書、新聞・雑誌掲載記事の執筆活動、テレビ・ラジオへの出演、講演会、講習会、教授活動を精力的かつ広範囲において行い、ますます著名となった(乙各号証)。それとともに、「花療法/フラワーセラピー」は被請求人の業務に係る識別標識として周知化し、特に「花療法」といえば片桐義子と認識される程となった。
このような被請求人による永年かつ全国規模での活動の中で、「花療法」の語とともに「フラワーセラピー」の語も広まってきたものである。「フラワーセラピー」の語の公知化は、被請求人のこれまでの活動に起因するものであるからこそ、被請求人は、「花療法」の第1人者と称されるに加えて、「フラワーセラピー」の第1人者とも称されるに至ったのである(甲第62号証の2及び乙各号証)。
(ハ)また、請求人は、被請求人が「フラワーセラピー研究会の理事としての義務に反して本件商標を無断で出願し、・・」としているが、同研究会の理事となったために、既に、個人の活動の下に積極的に使用してきた本件商標「花療法/フラワーセラピ-」を個人で出願してはならないという義務を負う理由がない。また、そもそも、フラワー・セラピー研究会は、商標「フラワーセラピー」について、適法な権原を有していないのであるから、商標「フラワーセラピー」の保護義務という理事の職務規定が存在しないのは当然であるが、「フラワーセラピー」の語を個人で商標出願してはならないという職責上の義務を提示確認されたこともない。
また、「フラワー・セラピー研究会」の発足にあたり、被請求人の著名性に鑑み、理事を依頼してきたのは、請求人側であり、依頼に応じて被請求人がフラワー・セラピー研究会の理事となったのは事実であるが、乙各号証からも明らかなように、被請求人は、フラワー・セラピー研究会の理事の立場を利用して活動を行っていたとは到底認められず、理事就任の前後を通じて、花療法研究家片桐義子として独自に数々の活動を行い著名となったものである。
(ニ)そもそも請求人は、「プリザーブフラワー(現在は、ワイルドフラワーと呼んでいる)」「フラワーボランティア」と称して活動しており、その内容は、甲各号証にあるように、生花とドライフラワーの中間の性質を持つ花(プリザーブ加工)を使用したフラワーアレンジメントを通じて行うボランティア活動をしているのに対し、被請求人は、これと性質を異にした生花を利用(平成8年時点で、既に、126種類の花について効用をまとめている。(乙第60号証))、即ち、自然の「花の”気”」を利用した療法について老若男女を問わず広く活動している点で大きく相違する。このように趣旨、目的、内容の相違故に、被請求人は、平成8年に同研究会に脱会を申し出たものである。この間も、被請求人は、一貫して、花療法研究家片桐義子として活動してきたことに変わりない。
請求人によると「フラワーセラピーについての知識を得るや研究会の理事を辞任した」とあるが、被請求人は、フラワーセラピーについての知識は同研究会発足以前から有しているものであり、当を得ない。
むしろ、請求人側が被請求人の高名に便乗せんとして、理事花療法研究家片桐義子、若しくは、講師花療法研究家片桐義子として掲げ、研究会の盛り立てを図ったものと考えられる(乙第112号証)。
かような請求人の発想からすれば、被請求人を理事として迎えることにより、被請求人の個人活動を同研究会のものとし、「花療法」の語に化体した被請求人の業務上の信用、名声をも自己の統制下におこうとの意図があったという解釈すら可能である。
(ホ)上述の如く、請求人の主張は、中傷誹議にも相当するものであり、何ら根拠がなく、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

(3)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
(イ)請求人は、自己の商標登録出願と比較し、かかる拒絶理由に従えば、本件商標も同様であると主張しているが、商標登録の要件は、その時(査定時)における取引実情、特別顕著性の有無、先願の有無等が考慮されるものであるから、他人の先願登録例が後願のものと同様に審査されなければならないことにはならない。
したがって、本件商標が、請求人の商標登録出願に対する拒絶理由に従う必要性はない。
(ロ)本件商標について言えば、商標法第3条第1項第3号の適用はなかったものであるが、本件商標が「花を用いた治療法」あるいは「花による治療法」を思わせるとしても、「花を用いた治療法」とは、本件商標出願前には、非常に抽象的な認識であった。「花」を食するのか、「花」を加工して薬剤とするのか、様々な治療法が考えられたはずである。
本件商標査定時において、本件商標が、請求人の商標登録出願に対する拒絶理由通知に記載されているような役務の内容を示す語として認識される実情があったとすれば、その実情を築いたのは被請求人当人である。
(ハ)また、本件商標の要部「花療法」は、被請求人が「花を用いた治療法」という認識が一般的でなかった頃、精神部分のみならず身体部位にも対応させた「花の気による癒しの効用」を、横文字表示を好んで使用する風潮においては、むしろ個性のある漢字3文字の「花療法」とし、いわゆる「アロマテラピー」や「フラワーアレンジメント」等と区別させ称したものである。この「花療法」とは、被請求人の独創性によるものであり、造語であって、それ自体識別力を有するものである。
更に、上述(2)のとおり、被請求人は、本件商標の下に、数々の著書、新聞・雑誌掲載記事の執筆活動、テレビ・ラジオへの出演、講演会、講習会、教授活動等を永年に亘り、精力的かつ全国的範囲にて行ってきており、その活動記録は枚挙にいとまない(乙各号証)。
こうした被請求人の活動によって、本件商標は、被請求人の業務に係る商標として、査定時には、少なくとも、特別顕著性を獲得していたものである。
したがって、仮に、本件商標が記述的要素を含むとしても、本件商標は、商標法第3条第2項にも該当するものである。
(ニ)なお、念のため、本件商標指定役務の中、「スポーツの教授」については、平成11年8月16日付にて一部権利放棄書を提出した。

4 当審の判断
(1)本件商標は、別掲に示すとおり、「花療法」の文字と「フラワーセラピー」の文字とを二段に書してなるところ、「フラワーセラピー」の語は、代表的な国語辞書にも、「フラワー」(flower)につき「花」と、「セラピー」(therapy)につき「治療。療法。薬品や手術を用いないものをいう。」と掲記されているとおり(株式会社岩波書店発行「広辞苑第五版」)、「フラワー」、「セラピー」の各語は、それぞれ上記の意味を有する外来語としてなじみがあるといえるから、これらが結合した「フラワーセラピー」の語が「花を手段とする治療、療法」の意味合いを有することは、その語の構成自体によって容易に認識し得るものということができるものであり、「フラワーセラピー」に対応する日本語が「花療法」であることは、少なくとも初歩的な英語の知識を有していれば容易に理解することができるものということができる。
そして、「フラワーセラピー」ないし「花療法」の語自体の意味するところは、「花を手段とする療法」であると理解されるのが一般であること、すなわち、これらの語が基本的に普通名称としての性質を有するものであることは、例えば、「薬物療法」「食餌療法」「薬餌療法」「物理療法」「化学療法」「ショック療法」「転地療法」などの用語が、いずれも、「療法」の前にある語を手段とする療法を意味するものとして理解されている例に照らしても明らかというべきである。
(2)そして、請求人の提出に係る甲第21号証(平成6年12月26日付読売新聞)には「花を使って心身のバランスを保ち、生活に潤いをもたせようという『フラワーセラピー(花療法)』」との記載があり、甲第23号証(パラマウントベッド株式会社 報道・編集企画資料 1995年2月号VOL.39)には「フラワーセラピー(花療法)の不思議 心を閉ざした老人に歌が甦った」との記載があり、甲第24号証(平成7年4月15日付めぐみ新聞)には「心身のバランスを保ち、生活に潤いと活力を持たせようというフラワーセラピー(花療法)が首都圏を中心に高齢者や障害者向けのリハビリとして広まっている。」との記載があり、甲第35号証(平成8年12月1日付静岡新聞)には「花の醸しだす雰囲気や香りに触れ、気分をリラックスし、心のリハビリをするフラワーセラピー(花療法)を試みる人の輪が広がっている。」との記載があることを認めることができる。
また、前出の甲第24号証には「フラワーセラピーに使う花は西オーストラリアの半乾燥地帯に自生するプリザーブフラワーという野生種。・・・・水をやらなくても約半年は生き続け、香りもあり、しかもほこりがつかない。」と記載されており、被請求人の提出に係る、例えば、乙第4号証(「花療法」ブティク社 1995年)の見出しには「70種の花の効用書 花の持つ匂い、色、形が放つ気が病気に効く」、乙第5号証(「色と香りで治す花療法」主婦と生活社 1995年)の見出しには「心身をリフレッシュできる117種 どの花がどの病気に効くか・・・」等々の記載があることを認めることができる。
更に、甲第3号証(流通サービス新聞 1993年8月31日号)には「フラワー・ボランティア養成講座」の記事が、甲第5号証(シルバー新報 1993年11月5日号)には「フラワーボランティア入門セミナー」の記事が、甲第10号証(朝日新聞 1994年5月13日号)には「シルバーのためのフラワー教室」の記事が掲載されており、又、被請求人の提出に係る乙第103号証(「講座案内」よみうり日本テレビ文化センター北千住 ’97年10月)には「フラワーセラピー(花療法)」の講座案内の記事が、乙第112号証(フラワーセラピー研究会「講座開講案内」)には「フラワーボランティアリーダー養成講座のご案内」の記事が掲載されている事実を認めることができる。
(3)上記新聞及び雑誌等に記載された事実、その記載内容及び請求人提出の各証拠からすれば、「花療法」及び「フラワーセラピー」の語は「花を手段とする療法」ないしは「花を用いた療法」の名称として一般に理解・認識されているものと認められ、高齢者や身障者のリハビリのための療法としてばかりでなく、一般人の間においても、花を手段とする療法として利用されており、各種講座が開講され、その指導者を育てるための講座も開かれていることを認めることができる。
そして、「花療法/フラワーセラピー」に使用される花は、請求人の活動においては、乾燥に強く、枯れて散らない種類の生花であって、安全、衛生的で、軽く、取扱いが簡単なものが用いられており、又、被請求人の活動においては、花の持つ香りや色、形を利用して、バランスを崩した体に足りなくなった「気」を補い、多すぎる「気」を押さえる効果を期待することから、各症状に合った花が用いられているが、いずれにしても、一定の特質を備えた花であることを要するものであることが認められる。
(4)してみれば、本件商標は、「花療法」と「フラワーセラピー」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるにすぎないものであるから、これをその指定役務中の「花を手段とする療法(花療法/フラワーセラピー)に関する技芸又は知識の教授,花を手段とする療法(花療法/フラワーセラピー)に供する花の供覧」について使用しても、これに接する取引者・需要者は、該役務の内容(質)を表示したものと理解するにとどまり、自他役務の識別標識とは認識し得ないものであり、また、これを上記役務以外の指定役務について使用するときは、その役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
なお、被請求人は、本件商標は商標法第3条第2項にも該当するものである旨主張している。
しかしながら、確かに、本件商標構成中の「花療法」の語は、被請求人によって、「花を用いた療法」ないしは「花を手段とする療法」の意味で広く使用されてきたことは認められるにしても、そもそも、「花療法」にせよ「フラワーセラピー」にせよ、本来、普通名称であって、それ自体に出所表示性のあるものではないばかりでなく、その構成中の「フラワーセラピー」の語は、少なくとも、請求人がその業務において使用してきたものであることが認められ、又、前記した甲第21号証、同第23号証、同第24号証及び同第35号証の各種新聞・雑誌などにおいても「フラワーセラピー(花療法)」の語は、「花を用いた療法」の意味合いを表すものとして一般的に使用されていたものであるから、本件商標をもって、需要者が何人(被請求人)かの業務に係る役務であることを認識することができるまでに至っていたものとはいい難く、この点についての被請求人の主張は採用できない。
(5)したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(本件商標)

審理終結日 2002-05-24 
結審通知日 2002-05-29 
審決日 2002-07-02 
出願番号 商願平6-107484 
審決分類 T 1 11・ 13- Z (041)
T 1 11・ 272- Z (041)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大島 護為谷 博 
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 高野 義三
山口 烈
登録日 1999-01-08 
登録番号 商標登録第3371010号(T3371010) 
商標の称呼 ハナリョーホー、フラワーセラピー、カリョウホウ、カリョウ 
代理人 佐藤 卓也 
代理人 小島 高城郎 
代理人 佐藤 睦美 
代理人 佐藤 雅巳 

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