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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 030
管理番号 1063315 
審判番号 取消2001-30662 
総通号数 33 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-09-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2001-06-14 
確定日 2002-08-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第4104389号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4104389号商標の指定商品中「パイ菓子,その他のパイ,その他の菓子及びパン,即席菓子のもと」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.本件商標
本件登録第4104389号商標(以下、「本件商標」という。)は、商標の構成を後掲(1)に示すとおりとし、指定商品を第30類「パイ菓子,その他のパイ,その他の菓子及びパン,穀物の加工品,ミートパイ,その他のパイ生地を使用した料理,即席菓子のもと」として、平成7年9月29日に登録出願、平成10年1月23日に設定登録がされたものである。

2.請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
〈請求の理由〉
被請求人は、本件商標の商標権者であって、当該商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが「パイ菓子,その他のパイ,その他の菓子及びパン,即席菓子のもと」については継続して3年以上、本件商標の使用をしていない。

3.被請求人の答弁
被請求人は、「商標法第50条第2項に定められている『登録商標を使用していないことについての正当な理由』があるため、請求には理由がない。したがって、審判費用は請求人の負担とする。」と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として添付資料Aないし添付資料Cを提出し、更に、新たな証拠(名刺)を提出する旨の平成13年12月10日付上申書、及び当該商標がマスコミ媒体で取り上げられた旨の平成14年3月16日付上申書を提出している。
〈答弁の理由〉
(1)商標権者である久保田滋の母、久保田カズは平成9年1月より体調不良を訴え、同年10月末期癌宣告を受け、翌平成10年4月、ホスピスケアのため入院。同年10月6日、78歳で死亡した(添付資料A)。大阪に居住する唯一の肉親である久保田滋は入院中の介護、身の回りの世話はもとより、体調不良を訴えた平成9年1月から死亡後の不動産の整理などに2年余を母親の介護に重点を置くこととなり、経営する有限会社ビッグバンが通常営業できなくなり、開店休業状態を余儀なくされた(添付資料B=半年から1年先の営業を行うため、経営悪化の影響は遅れて現れている。)。
取消の請求のあった平成13年6月18日は、母親の死亡した日から起算したとしても2年8ヵ月と12日であり、商標法第50条に規定する3年に満たない。したがって請求の理由はない。
(2)有限会社ビッグバンは、食品の商品開発、キャンペーン企画、プロデュース、広告制作を通常業務とした取締役社長久保田滋一人の会社である。日常的な営業活動がともなわなければ受注を確保することは難しい。そのため、新規の営業活動にあたる後掲(1)及び(2)に示す商標の商品開発、営業を休まざるを得なかった。休業届けを出して正式に休業しなかったのは、最低限の生活費を稼ぐこともさることながら、通年流れている仕事がわずかながらあり、休業することにより迷惑をかけ、業界全体に悪印象を残すためやむをえざる措置であった。この半休業状態、通常営業の回復の期間(平成12年9月まで)を勘案するなら、当該商標を使用していない期間は1年に満たない。
(3)本件商標並びに商標登録第4104388号(後掲(2)に示す商標)は、第30類の商品、とくにパイ菓子についての販売キャンペーンを行う際に、商品に付随して使用することを目的としたものである。
現在、商標権者は使用を開始していないが、通常使用権を求める洋菓子店が多く、通常使用権の交渉を行っている最中である。すでに平成13年4月に商品に付随して使用するためのデザインも発注済みである(添付資料C)。3月14日の使用に対して交渉時期が早いのは、多くの店が参加するマスコミを動員したキャンペーンとなるからである。
(4)請求人は、当該商標についての使用の意図があるからこそ、無為に登録したままになっている本件商標並びに商標登録第4104388号が業務の侵害にあたるとして、請求を起こしたものと考えられる。
しかし、請求人から商標権者への専用使用権もしくは通常使用権の許諾の問い合わせは一切なく、業務を侵害した事実はない。当該商標は世間に広く認知されることにより営業効果が上がるのであり、むしろ通常使用権を広く開放しようとしているのである。
請求人のような使用希望者がいるということは、当該商標が将来確実に使用される可能性に対する保証ですらある。
仮に、当審判において、当該商標の取消が認められた場合、請求人の既存商標へのフリーライドを認めることになると考える。また、現在交渉を進めている多くの関係者に多大の迷惑をかけることになる。
「3月14日」「ホワイトデー」ということから、1年のうち3月1日〜14日のわずか2週間程度しか使用できない商標である。通年使用可能の商標と同様の不使用期間を当てはめるのは大変厳しく感じる。使用の時期が限定される商標ということを勘案し、一律に論じないことを検討されたい。

4.当審の判断
本件審判の請求は、本件商標の指定商品中の「パイ菓子,その他のパイ,その他の菓子及びパン,即席菓子のもと」(以下、「取消請求に係る商品」という。)について、商標法第50条第1項の規定によりその登録の取消を求めるものである。
ところで、商標登録の取消審判の請求があった場合においては、同条第2項においてその審判請求の登録前3年以内に、日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しなければ、その指定商品についての登録の取消しを免れないとし、ただしその使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしたときは、その指定商品についての登録の取消をすることができない旨規定している。
(1)そこで、これを本件審判についてみると、被請求人の提示に係る答弁書における答弁の趣旨、その理由及び証拠として提出された参考資料Aないし同C、並びに各上申書(参考資料を含む。)をそれぞれ検討するに、被請求人は、本件商標を取消請求に係る指定商品について、審判請求の登録前3年以内(平成10年7月11日ないし平成13年7月11日)に使用していないこと、自ら述べ認めるところである。
(2)そして、被請求人(商標権者)は、実母の逝去を前後に入院中の介護、身の回りの世話、その後の不動産の整理などに2年余をこれらに重点を置くこととなり、経営する有限会社ビッグバンが通常営業できなくなった旨述べ、本件商標を取消請求に係る指定商品について使用していないことについての正当の理由があると主張している。
しかしながら、被請求人(商標権者)の実母の逝去は、平成10年10月6日とするものであり、その後の不動産の整理などに重点を置くこととなったことをもって、審判請求の登録前3年以内(平成10年7月11日ないし平成13年7月11日)の間に、商品の製造、販売をすることができなかったという「不使用の責任」を被請求人(商標権者)等の責めに帰することが酷であるとまでの事由というのは困難であるから、被請求人の経営する有限会社ビッグバンが被請求人を取締役社長一人とする会社であって、係る事情により通常営業できなくなり、開店休業状態を余儀なくされたとする点も認め難い主張といわなければならない。
したがって、本件商標をその取消請求に係る指定商品について使用しないことの正当の理由、すなわち商標法第50条第2項「ただし書き」の規定に該当するものとは認められないというべきである。
(3)また、答弁の理由ないしはその他の書証(新聞報道)によれば、被請求人は、本件商標を「3月14日のホワイトデー」にパイ菓子を販売するためのキャンペーンを行う際に商品に付随させて使用することを目的としたものであると述べているが、これを被請求人又は自らが経営する有限会社ビッグバンにおいて、その指定商品について使用するために商標登録を受けたものものとも認められないところであり、そして、通常使用権を求める洋菓子店が多く、通常使用権の交渉を行っている最中であると述べる点をもってしても、審判請求の登録前3年以内に本件商標を使用していないことを被請求人は自認するものといわざるを得ない。
(4)その他、被請求人提出に係る売上高の証明(添付資料B)、同平成13年4月に商品に付随して使用するためのデザインも発注済みであるとする領収書(添付資料C)、同平成13年12月10日付上申書に添付の名刺、及び同平成14年3月16日付上申書に添付の各紙の切り抜きをもってしては、本件商標のその指定商品についての使用は証明されない。
(5)してみれば、被請求人は、本件商標をその指定商品について使用していないことについて商標法第50条第2項ただし書きにいう正当の理由があるものとは認められず、かつ、本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国において、取消請求に係る指定商品について使用していなかったものというべきである。
このほか述べる被請求人の主張をもって、本件審判の取消請求に係る指定商品についての使用は証明されない。その他前記認定を覆すに足りる証拠はない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中結論掲記の商品ついて、商標法第50条の規定によりその登録は取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(1)




別掲(2)


審理終結日 2002-06-06 
結審通知日 2002-06-11 
審決日 2002-06-26 
出願番号 商願平7-100837 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (030)
最終処分 成立  
前審関与審査官 長沢 祥子 
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 高野 義三
高橋 厚子
登録日 1998-01-23 
登録番号 商標登録第4104389号(T4104389) 
商標の称呼 ホワイトデーワパイノヒ、ホワイトデー、パイノヒ 
代理人 藤井 重男 
代理人 藤井 信行 
代理人 藤井 信孝 

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