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審決分類 審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) Z25
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) Z25
管理番号 1061661 
審判番号 無効2001-35043 
総通号数 32 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-08-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-01-31 
確定日 2002-06-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第4246268号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4246268号商標の指定商品中「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」についての登録を無効とする。 その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4246268号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成9年9月5日に登録出願、後掲に示すとおりの構成よりなり、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、平成11年3月5日に設定登録されたものである。

2 引用商標
請求人が本件商標の無効を述べる理由に引用する登録第704591号商標(以下、「引用商標」という。)は、昭和39年9月4日に登録出願、商標の構成を後掲のとおりとし、指定商品を第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」として、昭和41年4月19日に設定登録され、その後、 昭和51年10月7日、昭和61年9月18日及び平成8年7月30日の3回に亘り商標権存続期間の更新登録がされているものである。

3 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録は無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」と申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第3号証(枝番を含む。)を提出している。
〈請求の理由〉
本件商標は「JUNKO SHIMADA」及び「Junkids」の文字を2段に分けて表示され、しかも両商標の大きさが異なるため「Junkids」の文字がこれを見る者に顕著な印象を与え、したがって、「Junkids」の文字はこの商標の要部というべきである。
そして、「kids」は甲第1号証の2に示す通り小山羊の皮を表わす文字として普通に使用されているから、この商標の要部は「JUN」の文字にあり、したがって、両商標は「ジュン」の称呼において互に類似するというべきである。
特に、請求人は、わが国のファッション業界において10番目に位置する優良企業であり、「JUN」の商標は被服の識別標識として、需要者の間において広く認識されている。このため、被請求人が本願商標をその指定商品に付して使用するときは、あたかも審判請求人の製造、販売に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるというべきである。
このようなわけで、本願商標の登録は、商標法第46条第1項第1号により、その登録は無効とされるべきである。

4 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め答弁し、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証(枝番を含む。)を提出している。
〈答弁の理由〉
被請求人は、著名なデザイナー島田順子が世界で使用する商標全てを保有するものである。これらの商標は商標「JUNKO SHIMADA」からなる商標を基本として、その商品シリーズによりバリエイションがある。本件商標は、既に世界各国において商標登録をした「Junk by Junko Shimada」(乙第1号証参照)と同じく「Junk」シリーズの一つであり、「Junkids」は合成語である。
請求人は、「kids」の文字が小山羊の皮を表す文字と主張するが、甲第1号証の2にもあるとおり、請求人の主張に該当する語は「s」がない「kid」である。本件商標の下側の表示は「Junkids」と末尾に「s」が存在する。したがって、請求人の「kid」が小山羊の皮の意味であるとの主張をもって「Junkids」を「Jun」と「s」のある「kids」に分断する請求人の主張の間には何ら論理的な繋がりはないものであり請求人の主張は失当である。
「Junk」は、フランスにおけるデザイン活動の中で「JUNKO SHIMADA」の「JUNKO」から派生してきた愛称である。
上述のところから理解できるとおり、本件商標には「JUNKO」の「JUNK」と「junkids」の「junk」と二つの「ジュンク」が含まれている。
いずれにしても、本件商標から「Jun」の部分を抽出する何らの理由も存在しないことは明らかである。
したがって、本件商標は、請求人の登録商標「JUN」と同一でも類似でもない。また本件商標は、1997年下半期から我が国においても使用しているが、請求人の商標と混同を生じたことはない。また、請求人の登録商標が周知であるという事実もないし、本件においてその証明もない。
したがって、本件商標をその指定商品に使用しても商品の出所の混同を生ずる恐れもないものである。

5 当審の判断
(1)本件商標は、後掲に示すとおり、上下二段に「JUNKO SHIMADA」、「Junkids」(後段の「i」の文字は、ドットが省略されている。以下同じ)の各欧文字により書されてなるところ、これを構成する各文字は、上下二段に表され、かつ、両文字はその文字態様が異なるから視覚上自ずと分離して看取し得るものである。また、構成上段の「JUNKO SHIMADA」の文字は、デザイナー「島田 順子」の氏名を欧米風に表したものと理解されるものであり、同後段の「Junkids」の文字において「Junk」の文字部分を「JUNKO」から派生してきた愛称であるとするような点を想起するものといい難く、これと上段の該デザイナーの氏名を欧米風に表した部分とは、常に一体のものとして把握しなければならないような事情は認められない。
さらに、これら文字を全体として称呼した場合はやや冗長に亘るといえるものである。
そうすると、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は全体としては、「JUNKO SHIMADA(島田 順子)」のデザインに係る「Junkids」商標として理解するほか、後段の「Junkids」の文字を製造ないしは販売標章を表したものとして認識し、その識別機能を果たす標章として捉え、これをもって取引に資する場合も決して少なくないものというべきである。
そして、「Junkids」の文字中の「kids」の文字部分は、子山羊の皮を表す語であるとする点は認め得るが、むしろ、近時の被服等の取引分野においては、子供の意味合いを有する英語でもある「kid」の語を複数的に「s」文字を付加して「kids」の欧文字表記またはこの読み仮名表記「キッズ」の文字をもって、子供服またはその専門店を表す標章等として商取引上普通に使用されているのが実情であるといえるから、本願の指定商品である被服等について使用した場合、「Junkids」の構成文字中の「kids」の文字部分は子供服ないしは子供用品であることを表したものとして認識させるものというのが取引の実情に即するというべきである。
してみれば、本件商標は、構成後段の「Junkids」の文字より「Jun」印の「子供服ないしは子供用品」として把握され、該構成文字全体として「ジュンキッズ」の称呼を生ずるほか、「Jun」の文字部分を商取引指標として捉え、これより単に、「ジュン」の称呼をも生ずるものと判断するのが相当である。
(2)これに対して、引用商標は、構成別掲のとおり「JUN」の欧文字よりなるものであるから、構成文字に相応して「ジュン」の称呼を生ずるものといわなければならない。
(3)そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、両者は、全体の外観・称呼を異にするとしても、共に「JUN」の欧文字が商品識別標識としての機能を有すること上記のとおりであり、これより生ずる「ジュン」の称呼を共通にすることのある相紛らわしい類似の商標といわざるを得ない。
また、両者はその指定商品をそれぞれ上記のとおりとするものであって、本件商標の指定商品中「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」は引用商標の指定商品と同一又は類似の商品であって、これらは共に子供用の商品を含むものと認められる。
してみれば、本件商標の登録は、上記の商品において、商標法第4条第1項第11号に該当し、これに違反してされたものといわざるを得ない。
(4)更に、請求人は商品の出所の混同のおそれについて「請求人は、我が国のファッション業界において10番目に位置する優良企業であり、『JUN』の商標は被服の識別標識として、需要者の間において広く認識されている。」旨述べているが、被服と運動用特殊衣服及び運動用特殊靴とは、その生産・流通過程並びに需要者の意識範囲等取引の実情を異にする異種・別個の商品といわざるを得ず、請求人がこの種の運動用特殊商品の分野にまでその業務範囲を拡張しあるいは多角経営を図っているというような状況は明らかでなく、また、その証拠も見出せない。
そうすると、たとえ、請求人に係る引用商標または使用商標が商品「被服」に関して需要者の間において広く認識されているものであるとしても、その周知・著名性が直ちに商品「運動用特殊衣服、運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」の分野にまで及ぶとみるのは些か困難というべきであるから、被請求人が本願商標をその指定商品(運動用特殊衣服、運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。))について使用した場合、あたかも請求人の製造、販売に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるということができない。
してみれば、本件商標の登録は、上記の商品において、商標法第4条第1項第15号に該当し、これに違反してされたものとすることはできない。
(5)以上のとおり、本件商標は、その指定商品中「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に該当し、商標法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである。
しかしながら、本願商標の指定商品中、上記商品を除く残余の商品「運動用特殊衣服、運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」は、引用商標の指定商品とは、互いに抵触のない非類似の商品と認められるものであり、また、本件商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標ということができない。
(6)なお、請求人は、本件審判請求において、商標法第46条第1項第1号により、本件商標の無効を述べているが、その主張の全趣旨よりみて適用条項は商標法第4条第1項第11号及び同第15号該当を理由というべきところ、被請求人は、これについて敢えて争わず、また、当事者双方の主張の論点よりみて、本件審判の請求が上記法条の規定違反にあったとみて差し支えないものと判断し、審決した。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本件商標




引用商標


審理終結日 2002-04-08 
結審通知日 2002-04-11 
審決日 2002-05-08 
出願番号 商願平9-156106 
審決分類 T 1 11・ 271- ZC (Z25)
T 1 11・ 26- ZC (Z25)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 佐藤 正雄 
特許庁審判長 小林 薫
特許庁審判官 野上 サトル
高野 義三
登録日 1999-03-05 
登録番号 商標登録第4246268号(T4246268) 
商標の称呼 ジュンコシマダジュンキッズ、ジュンコシマダ、ジュンキッズ、ジュン、シマダジュンコ 
代理人 江口 俊夫 
代理人 関根 秀太 

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