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審判番号(事件番号) データベース 権利
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取消2009301023 審決 商標
取消200330505 審決 商標
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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 042
管理番号 1061563 
審判番号 取消2001-30378 
総通号数 32 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-08-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2001-03-28 
確定日 2002-06-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第4112475号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4112475号商標の指定役務中、「第42類 農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4112475号商標(以下「本件商標」という。)は、「CIEC」の文字を書してなり、第42類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,美容,理容,入浴施設の提供,写真の撮影,オフセット印刷,グラビア印刷,スクリーン印刷,石版印刷,凸版印刷,求人情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,葬儀の執行,墓地又は納骨堂の提供,一般廃棄物の収集及び処分,産業廃棄物の収集及び処分,庭園又は花壇の手入れ,庭園樹の植樹,肥料の散布,雑草の防除,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものに限る。),建築物の設計,測量,地質の調査,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,通訳,翻訳,編機の貸与,ミシンの貸与,衣服の貸与,植木の貸与,計測器の貸与,コンバインの貸与,祭壇の貸与,自動販売機の貸与,消火器の貸与,超音波診断装置の貸与,展示施設の貸与,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,布団の貸与,ルームクーラーの貸与」を指定役務として、平成10年2月13日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1ないし第5号証を提出した。
(1)請求人の調査の結果、本件商標は、少なくとも過去3年間に日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれによっても、その指定役務中「農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究」について使用された事実を発見することができなかったから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁
(a)「ポスターを貼付して研究発表をする行為」について
2000年8月2日〜4日に北海道大学において開催された学術会議「2000 PC Conference」(以下「2000カンファレンス」という。)のポスター(乙第6号証)中の「CIEC」の表示態様をみると、「2000 PC Conference[試されるIT教育一新しい学びへの挑戦-]」なる会議の名称・開催日時及び会場の記載の下に、「主催=2000PCカンファレンス実行委員会(実行委員長=青木由直北海道大学教授)〈CIEC(コンピュータ利用教育協議会)+全国大学生活協同組合連合会〉」と記すものであることから、ポスターにおける「CIEC」の表示の主目的は、「CIEC(コンピュータ利用教育協議会)」なる団体(以下「協議会」という。)が2000PCカンファレンス実行委員会(以下「実行委員会」という。)の一構成団体として主催することを示す点にあり、該表示は、商標としての表示というよりも、会議の“質”の一つである主催のあり方を普通の方法で表す表示として用いられているものである。商標としての機能が薄弱であるのは、該表示が「主催=」なる記述的表示を伴うだけでなく、「CIEC」が団体の通称又は略称(頭文字)であることが説明的に示されていることによっても増長されている。
該表示に何らかの自他識別性が認められるとするならば、その対象は、第42類の「畜産の研究」ではなく、むしろ、第41類に分類される「(学術)会議の開催(主催)」(甲第1号証)である。ポスターには、「畜産の研究」に該当するとする「画像解析による和牛霜降り程度の客観的評価」についての記載は一切なく、「畜産の研究」に関する研究発表が会議の一部に含まれることを客観的に伺い知ることはできないのであるから、該ポスターが「畜産の研究」の役務に関する広告であるとは認められない。
(b)「パンフレットを配布して研究発表をする行為」について
「CIEC」の表示はパンフレット(乙第7号証)の表紙の一箇所だけにあり、その態様は、(a)のポスターとほとんど変わるところがなく、2000カンファレンスなる学術会議の名称・開催日時等の記載の下に、(実行委員会を構成する団体の一つとしてではなく)同会議を直接に主催する団体の一つとして表示されている。
「CIEC」の表示の主目的は、ポスターと同様に、協議会が2000カンファレンスを他団体と共催していることを示す点にあり、商標としての機能が薄弱なことは明らかである。何らかの自他識別性が認められるとするならば、その表示が使用される対象は、第41類の「(学術)会議の開催(主催)」であって、第42類の「畜産の研究」ではありえない。
パンフレットの表紙に主催者としてのみ記載され、研究発表の概略と同時に記されていない「CIEC」の表示について、21頁以上もあるパンフレットの一部分に記載されるに過ぎない「画像解析による和牛霜降り程度の客観的評価」なる特定の研究発表に使用された商標とみなすことは、表示態様(配置・文字の大きさ等)のみならず、会議の主催のあり方を明確に指示する日本語の意味からも無理がある。研究発表者が協議会の構成メンバーであるか否かは、直接関わりがない。また、表示態様にかんがみれば、かかる表示が識別性を有するのは、自己の会議の開催(主催)と他人の会議の開催(主催)についてのみであり、該表示を自己と他人の「畜産の研究」を識別する標識と解するには無理があるといわざるを得ない。
パンフレットに記載された夥しい数の研究発表を網羅するような「研究」ないし「研究(の)発表」なる包括的役務、すなわち、対象や目的が不特定の研究ないし研究発表は、「他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきもの」(『特許庁編 工業所有権法逐条解説』[第15版])としての“役務”とは認められていない。(一方、研究対象や内容は不特定であっても「研究会の開催(企画・運営)」等の表示形式を取るものは役務として認められている(甲第5号証))。また、「画像解析による和牛霜降り程度の客観的評価」が「業として」提供される独立の役務と認められるかどうかについても、十分な証明がなされておらず、研究発表が“畜産の研究”に関するものであるとしても、これは、同会議に組み込まれることにより初めてその主意を果たす活動であり、反復性・継続性を有し「独立して商取引の目的たりうべきもの」としての役務性を備えるものとは考えられない。

3 被請求人の主張の要点
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、その証拠方法として、乙第1ないし第9号証を提出した。
(1)被請求人は、大学教育・研究におけるコンピュータ利用の促進と発展を目的として、1993年以来「PCカンファレンス」を毎年開催していたが、恒常的な学術研究団体にして欲しいといった参加者からの強い要望もあり、被請求人は、1996年7月に被請求人の住所に事務局を置いた協議会を設立し、総合的な管理・運営を行ってきた(乙第1号証)。本件商標は、その協議会の略称であり、設立以来、今日に至るまで使用されてきたものである。協議会は、専門領域の枠にとらわれない広範なコンピュータを利用する研究及び研究発表、先進的な事例報告、刊行物の発行、学識経験者への参加促進等の業務を活発に行ってきた(乙第2及び第3号証)ところ、その研究実績が認められ、1999年9月14日付けで日本学術会議の学術研究団体として登録を受け(乙第4号証)、被請求人の学術研究機関として現在に至っている(乙第5号証)。
(2)協議会は、2000カンファレンスにおいて、2000年8月4日に「画像解析による和牛霜降り程度の客観的評価」の研究発表(乙第8号証)を行った。
2000カンファレンスは、形式的には、実行委員会、協議会及び被請求人の三者の主催となっているが、実質的には、これら三者を同一視することができる密接な関係が存在している。すなわち、実行委員会の委員長である青木由直氏は、協議会の理事を務める役員であり(乙第1号証)、また、協議会は、被請求人が総合的な管理・運営を行っている被請求人の学術研究機関である。このことは、乙第5号証に協議会が関連団体と明記され、その住所も、協議会の事務局と2000カンファレンスの事務局の所在地(乙第1及び第7号証)が被請求人の住所と同じであることによって明らかである。
2000カンファレンスは、協議会の構成メンバーがコンピュータを利用した種々の分野における研究の成果を第三者に提供する場であり、同年8月4日の分科会(乙第7号証)では、帯広畜産大学の田口圭吾氏が「画像解析による和牛霜降り程度の客観的評価」の研究を発表している(乙第8号証)。これは、「和牛霜降り肉」に関する研究である点で、請求に係る指定役務の一部である「第42類 畜産の研究」に該当する。協議会は、被請求人とともに、カンファレンスの全体テーマの設定、シンポジウムの企画、分科会テーマの設定を担っており(乙第1号証)、分科会で発表された「画像解析による和牛霜降り程度の客観的評価」の研究は、協議会の構成メンバーが行った研究である。
(3)2000カンファレンスのポスター(乙第6号証)には、主催の欄に本件商標と同一の「CIEC」の文字が表示されているところ、該ポスターは、商標法第2条第3項の「役務に関する広告」に該当し、それを北海道大学の校舎に多数貼付して研究発表する行為は、全体として「役務に関する広告に標章を付して展示する行為」に該当するといえる。また、同パンフレット(乙第7号証)には、主催の欄に本件商標と同一の「CIEC」の文字が表示され、さらに、「画像解析による和牛霜降り程度の客観的評価」の研究の概略が記載されているところ、該パンフレットは、同項の「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したもの」に該当し、それを予め配布したうえで協議会の構成メンバーが研究の成果を発表する行為(乙第8号証)は、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為」に該当する。

4 当審の判断
(1)被請求人は、本件商標を、その指定役務中の「画像解析による和牛霜降り程度の客観的評価」の研究発表に使用した旨主張しているので、以下、この点について検討する。
(2)2000カンファレンスに関しては、例えば、乙3号証の「CIECのご案内」(140頁)には、「CIECは、このようにして設立されました」の項に「・・・第1回の『PCカンファレンス』が開催されました。そこでは、専門領域の枠にとらわれない研究発表、先進的な事例報告、教育現場での経験交流がなされ、・・・」と記載され、また、「年間事業」の項には「PCカンファレンス:大学生協との共催で年1回開催(シンポジウム、研究発表、経験交流、講習会、メーカー説明会・展示など)」と記載されているところである。
そうとすれば、PCカンファレンスは、研究者によるシンポジウムや研究発表会の類の一つとみるのが相当である。
また、2000カンファレンスのポスター(乙第6号証)及びパンフレット(乙第7号証)をみると、「CIEC」の文字は、いずれも、日時、会場等の記載とともに、「主催」の欄に、主催者のひとつとして、「CIEC(コンピュータ利用教育協議会)」と表示され、加えて、パンフレット(乙第7号証)及び論文集(乙第8号証)をみると、「画像解析による和牛霜降り程度の客観的評価」の研究発表に関しては、他の様々なテーマと同様に、主催者とは別に、発表者として「田口 圭吾 帯広畜産大学」との表示がされていることが認められる。
そして、乙第1号証の「ご挨拶」中の「CIEC会員には、個人会員と団体会員があります。過半数が大学の教職員ですが・・・」との記載、さらには、同乙号証に掲載の「CIEC役員名簿及び団体会員名簿」によれば、協議会の会員は、過半数が研究者の代表的な職種のひとつといえる大学の教職員であるなど、大学等の他の様々な機関の研究者等によって構成されているといえる点をも含め、これらを総合的に勘案すると、被請求人が協議会と共同し、実行委員会として、「画像解析による和牛霜降り程度の客観的評価」の研究発表を含むシンポジウム又は研究発表会である2000カンファレンスを主催したことは認め得るも、これは、シンポジウム又は研究発表会の主催や企画、開催という役務とみるべきであり、食品の試験・検査又は研究とは別異の役務といわざるを得ないものである。
一方、協議会が専ら試験・検査又は研究行為を行う機関又は組織とみるべき証拠もなく、「画像解析による和牛霜降り程度の客観的評価」の研究自体は、被請求人又は協議会が行ったというよりも、むしろ、帯広畜産大学の田口圭吾氏によるものであって、被請求人等が主催した2000カンファレンスなるシンポジウム又は研究発表会の場において、上記の研究発表がなされたとみるのが相当である。
しかも、商標法上の「役務」とは、「他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきもの」と解されるから、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が「畜産の研究」について本件商標の使用をしたというためには、その前提として、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、単なる学術的な研究発表ではなく、商取引の一環として他人のために畜産の研究をしていなければならないところ、被請求人提出の乙号証によっては、被請求人、協議会及び実行委員会はもちろん、帯広畜産大学の田口圭吾氏についても、「役務」としての畜産の研究をしていたとまではいうことができず、まして、商標権者である被請求人より承諾を得た専用使用権者若しくは通常使用権者が他に存在し、これらの者が「役務」としての畜産の研究をしていたとの証拠もない。
(3)被請求人は、2000カンファレンスに関連して、実行委員会、協議会及び被請求人の三者は同一視することができるし、協議会と被請求人がカンファレンスの全体テーマの設定、シンポジウムの企画、分科会テーマの設定を担っているとも主張している。
しかし、上述の三者が密接な関係を有し、一部の役員や所在地が同一であるとしても、それのみをもって、三者を同一人とまで認めることはできないし、他にこれらを同一人と認めるに足る証拠の提出もない。まして、被請求人がこれらの者に専用使用権又は通常使用権を設定しているかの如き証拠もない。
また、テーマの設定やシンポジウムの企画についても、これらは、シンポジウムや研究発表会の主催者が行うべきを普通とするもので、これを被請求人が行ったとしても、被請求人等は2000カンファレンスを主催したにとどまり、研究自体まで行っているものとみることはできない旨の前記(2)の認定には何ら影響を与えるものでないから、これをもって「画像解析による和牛霜降り程度の客観的評価」の研究を被請求人が行ったということはできない。
(4)以上のとおりであるから、被請求人提出の乙号証によっては、本件審判請求の登録前三年以内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも「畜産の研究」について本件商標を使用したと認めることはできない。そして、他に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定役務のいずれかについて本件商標の使用をしたと認めるに足る証拠の提出もない。
してみれば、被請求人は請求に係る指定役務についての本件商標の使用を証明し得なかったのであるから、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定役務中「農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究」の役務について、その登録を取り消すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-04-23 
結審通知日 2002-04-26 
審決日 2002-05-08 
出願番号 商願平8-21596 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (042)
最終処分 成立  
前審関与審査官 柳原 雪身 
特許庁審判長 大橋 良三
特許庁審判官 林 栄二
宮川 久成
登録日 1998-02-13 
登録番号 商標登録第4112475号(T4112475) 
商標の称呼 シイアイイイシイ、シーク 
代理人 高島 一 
代理人 米屋 武志 

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